被告・富士スピードウェイの答弁書を以下に公開します。
(公開にあたって個人情報保護など一部修正を行っておりますが、ほぼ原文のまま)
平成20年(ワ)第16322号 損害賠償請求事件
原 告 ●●●● 外108名
被 告 富士スピードウェイ株式会社
答 弁 書
平成20年7月29日
東 京 地 方 裁 判 所
民事第49部 御中
上記当事者間の頭書事件について、被告は後記のとおり答弁する。
被 告 富士スピードウェイ株式会社
〒●●-●●
東京都●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●法律事務所(送達場所)
電 話 03-●●-●●
FAX O3-●●-●●
上記被告訴訟代理人
弁護士 ●● ●●
同 ●● ●●
記
第1、請求の趣旨(訴状第1の項)に対する答弁
1、原告らの請求をいずれも棄却する
2、訴訟費用は原告ら各自の負担とする
との判決を求める。
第2、請求の原因(訴状第2の項)に対する認否
1、当事者(第2の1の項)について
(1)、1の(1)の項は認める。
(2)、1の(2)の項については、次のとおりである。
①、訴状添付の当事者目録記載の原告らのうち、本答弁書末尾添付の別紙「調査結果一覧表」における「確認結果」の欄に丸印が付されている者合計72名に、被告が本件F1グランプリのチケットを販売したことは認める。
②、但し、当該原告らのうち、原告番号●●の原告(●●●●)に対して被
告が販売した本件F1グランプリのチケットの券種は、同原告が主張する金61,000円のC指定席券(甲第2号証の●●)ではなく、金11,000円の自由席券である(乙第1号証の原告番号●●)。
③、上記の72名を含めて、原告らが「本件F1グランプリを観戦しに行った者」であるかどうかは知らない。
本件F1グランプリのチケットは、譲渡可能な無記名有価証券の一種であって、「観戦しに行った者」が誰であるかは被告の知るところではないからである。
2、債務不履行責任(第2の2の項)について
(1)、2の(1)の項は、一般論としてこれを争わない。
(2)、2の(2)の項は争う。
3、不法行為責任(第2の3の項)について
争う。
4、損害の発生および額(第2の4の項)について
(1)、4の(1)の項は争う。
(2)、4の(2)の項は争う。
(3)、4の(3)の項は争う。
5、第2の5の項について
争う。
第3、本件の経緯(訴状第3の項)に対する認否
1、本件F1グランプリの開催(第3の1の項)について
1の(1)乃至(5)の各項は、大筋においてこれを争わない。
2、チケット&ライドシステムの採用(第3の2の項)について
2の項は、大筋においてこれを争わない。
3、本件F1グランプリの開催日程(第3の3の項)について
3の(1)乃至(4)の各項は、大筋においてこれを争わない。
4、本件F1グランプリ初日(9月28日)の状況(第3の4の項)について
4の項は、大筋においてこれを争わない。
5、本件F1グランプリ2日目(9月29日)の状況(第3の5の項)について
5の(1)乃至(4)の各項は、全体の趣旨としてこれを争う。
6、本件F1グランプリ3日目(9月30日)の状況(第3の6の項)について
6の(1)乃至(3)の各項は全体の趣旨としてこれを争う。
7、結語(第3の7の項)についで
争う。
第4、被告の主張(想定される争点)の概要
1、被告は、本件F1グランプリの運営について、想定を超える悪天候に見舞われたことなどの特殊事情もあり、結果として来場者の全てに十分満足を与えることが出来たとはいい難い面があったことは否定しない。
しかし、被告としては、その運営に最善を尽くしたつもりであり、また事後処理についても、可能な限り真摯且つ誠実に対応して来たと考えている。
例えば、本件F1グランプリの三日目に開催された決勝レースのスタート時刻(午後1時30分)以降に遅参して入場ゲートを通過した来場者についてはその場で個別に確認して、合計85名の対象者に「遅延証明書」を発給のうえ、後日改めてチケット代金の一部払戻し手続を実施したこと(但し、85名中の31名は、「自分は期待どおり十分楽しませて貰ったから」などの理由を述べて払戻しを辞退し、あるいは払戻し手続きを取られなかった)、またC指定席の一部を構成する仮設スタンドで観戦した来場者から、「目当てにしていた第1コーナーのデッドヒートがよく見えない」との苦情が出されたため、直ちにその原因を調査した結果、仮設スタンドの建設請負業者による設計構造上の問題があると判断し、該当者全員に対して後目チケット代金の一部返戻手続を実施したことなどは、合理的な理由があると認められる来場者についてそれぞれ然るべき対応をしたことの例(それだけではない)である。
2、前記第2の1の(2)の項において指摘したように、原告らは、「本件F1グランプリを観戦しに行った者」であると主張して本訴請求を行なう適格性を有する者であるのかどうかは、前提条件として明確にされなければならない事項である。
3、原告らの主張、とりわけ本件F1グランプリの二日目(9月29日)及び三日目(9月30日)の状況に関するその主張には、実態を少なからず誇張するところが多いため、本件訴訟事件の審理を通じて客観的な正しい状況が明らかにされることが必要である。
4、更に、原告らが、被告による本件F1グランプリの運営状況によって損害を受けたと主張する具体的な原因事実及びその程度は原告各自によってそれぞれ異なる筈であるから、それらの点が個別的に明らかにされることもまた不可欠である。
5、なお、上記4の点に関連して付言するに、巷間伝えられるところによれば、原告らはインターネットを媒介手段とする募集に応募してそれぞれ原告となった者であるとのことであるから、その住所地は全国各地に散在し(訴状添付の当事者目録参照)、個別の事情を逐一正確に確認するのは容易でないことは理解し得ないでもないが、それにしても、総勢109名にのぼる原告ら全員を全く同じ経験をした者として一律に取り扱うというのは、如何にも杜撰であるとの批判を免れないであろう。
せめて、原告ら各自の言い分から複数の具体的なレベルでの共通項を抽出し、それを指標として原告らを幾つかのグループに仕分けしてそれぞれ主張する、という程度の労を惜しむべきではないと考えられる。
証 拠 方 法
1、乙第1号証 報告書(作成者 ●●●●)
添 付 文 書
1、訴訟代理委任状 1通
2、乙第1号証写 1通
以 上
【現在,チケットを所持していない人について】
現在チケットを所持していないが,そのような人でも,
今回の裁判に参加できないか?といった問い合わせが多数寄せられておりました。
この件について理事会と弁護団とで協議した結果,現在,チケットを所持してい
ない人でも,レース当日チケットを所持し,観戦に行き,被害に遭われた人であ
れば訴訟をできることとしました。
ただし,申込みに際し,現在チケットを持っている人と申込書類が異なります。
詳しくは,申込書類をご覧下さい。
富士スピードウェイで開催された2007年F1日本グランプリを観戦した皆様のご参加をお待ちしています。
最終更新:2008年08月17日 23:55