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ドクターあすさん6

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匿名ユーザー

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あすさんと喫茶店で楽しく過ごし、外へ出た田中信一は、
小川で溺れている女の子の姿を見つけた。



あすさん「田中さん、あの子を助けてあげてください」
田中「今いくぞ!」


田中はそれほど泳ぎに自信があるわけではない。

しかし、明らかに運動の苦手そうなあすさんには任せていられず、
服を着たまま、急いで川に飛び込んだ田中であった。


田中「よしっ! 捕まえた!」
あすさん「ここのところ晴天が続いていて、水量が少なかったのが幸いでしたね」
田中「ええぇ!?なんですって!?」
あすさん「そのまま岸まで泳いできてください!」
田中「よしよし。もう大丈夫だからね~」


田中の救出劇は一瞬であった。

女の子を岸まで無事に引き上げることができた。


田中「…おい…、おいっ!」
あすさん「意識が…」
田中「息をしていない!!」
あすさん「………」


助けた女の子の呼吸が停止していた。

商店街でのあの出来事が思い出される。


田中「あ……。…………ど……どうすれ…ば…」
あすさん「どうにかしないといけませんね」
田中「ど……どうすれば!?」
あすさん「早く対処しなくては、命の助かる可能性は低下していきます」
田中「なっ……あ、あすさん!!!!」
あすさん「呼吸停止から1分、といったところでしょうか」


田中「あ、あ、あ…あすさん、頼む…。あなたしかいないんだ…。
 この子を救えるのはあすさんしかいない!」
あすさん「それはそれは…」
田中「事情はあとで話すから!!!!!!助けてやってくれ!!!!!」


田中は死にもの狂いであすさんに助けを求めた。

自分の力では、死にかけた女の子の命を救えないからだ。


あすさん「大量の水を飲んでいますね。でも、無理に吐き出させるのは危険です」
田中「できますか…?」
あすさん「あくまで応急処置ですけどね」
田中「あ…あああ……」
あすさん「吐いた水が肺に入らないように注意します。シャレじゃありませんよ」
田中「はい……」


田中「ど……どうした……? 動かないですよ……」
あすさん「田中さん、あれから心肺蘇生法の勉強でもしましたか?」
田中「……えっ……」
あすさん「安定した平らな硬い地面の上に寝かせて、左右どちらかにひざまずきます」
田中「は、はあ……」
あすさん「田中さん、右腕のひじを伸ばして。手のひらで胸のこの部分を圧迫し、すぐに離す」
田中「こ、こうですか?」
あすさん「そう。一定のリズムで続けて」
田中「これでいいですか…」
あすさん「僕は救急車を呼んできます」
田中「あ、あすさん…! 私はこのままで大丈夫でしょうか…?」
あすさん「この状況ではそうするしかないんですよ。田中さんが手を休めたら……」
田中「わ、わかった! 通報してください!」



「田中!!!!!!!」


やってきたのは、田中の友人・仁岡であった。


仁岡「田中!!どうしたんだ!?」
田中「に、仁岡…」
仁岡「お前がやったのか?」
田中「バカ言うな! 助けてるんだよ!」
仁岡「溺れたんだな? 大丈夫か!?」
田中「今、あすさんが救急車を…」
仁岡「そうか。この子、脈拍は……」
田中「私は心臓マッサージを続けてる…」
仁岡「よし、いいぞ! 呼吸は俺に任せろ!」
田中「頼む……生き返ってくれ……」


女の子を引き上げてから5分。

あのときよりずっと早く救急車が到着した。


この騒動で、エアコンの効いた部屋にこもっていた人たちも外へ出てきて、
川べりに大勢集まっていた。


田中と救急隊の処置によって意識を取り戻した女の子は、苦しさのあまり大声で泣き叫んだ。


田中「ふう……。もう大丈夫か……。まだ、苦しそうだが…」
仁岡「大丈夫だ。心配すんなって」
救急隊「搬送先はこちらの病院となります。ご協力、ありがとうございました」


田中「あの子の保護者は、いったい何をやってるんだ……」
仁岡「子供を危険な目に遭わせる親…か…」
田中「私が助けていなければ、今ごろ……」
仁岡「あの子はお前に感謝するんだな」
田中「そんなことより……あすさんは……」



通報をしたきり、姿を消したあすさん。



田中「なぜ……。なぜ肝心なときにいなくなるんだ……」
仁岡「わけあり…な感じなんじゃねえの?」





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