原文
Du plus profond
1 de l'Occident
2 d'Europe
3,
De pauures
4 gens vn ieune
5 enfant
6 naistra,
Qui par sa langue seduira grande troupe
7 :
Son
8 bruit au
regne9 d'Orient plus croistra.
異文
(1) profond : profont 1605 1628 1649Xa
(2) l'Occident : l'occident 1568I
(3) d'Europe : d'Eutrope 1589PV
(4) pauures : pouures 1557U 1557B, pouure 1568A, poures 1589PV 1590Ro, pauure 1627 1644 1672
(5) ieune : Ieune 1650Le 1668A
(6) enfant : Enfant 1712Guy
(7) troupe : trope 1589PV, trouppe 1605 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668
(8) Son : Sont 1600 1867LP
(9) regne : Regne 1672 1712Guy
(注記)1588-89 はI-23に差し替えられていて不収録
校訂
troupe は綴りとしては正しいが、むしろ trope とする方が韻にあう。
日本語訳
ヨーロッパ西部の最も奥深い場所の、
貧しい人々の中から一人の幼い子供が生まれ、
その弁舌によって大群衆を籠絡するだろう。
その名声は東方の王国で一層大きくなるだろう。
訳について
大乗訳はおおむね許容範囲だが、4行目「その名声は 西の方の王国にも広まるだろう」は、西と東を取り違えた単純な誤訳。
山根訳もほぼ問題ないが、2行目「貧しい家に一人の子供が生まれるだろう」が微妙。貧しい人々(pauvres gens)が複数形で述べられているため、一つの家庭というよりもそういう階層の中からと理解すべきだろう。
信奉者側の見解
テオフィル・ド・ガランシエール(1672年)は「説明の必要なし」とだけ述べ、具体的な関連付けは行わなかった。
バルタザール・ギノー(1712年)も、ヨーロッパの貧民層の出身者が成長してから東方に行き、そこで名声を高めることの予言としていたが、具体的な関連付けは見られない。
ジャン・ムズレット(未作成)ら(1947年)は近未来に現れる反キリストの予言で、悪魔的な考えを持つ聖職者夫妻から生まれ、東方へ赴くことが予言されているとした(ムズレットの原文は2行目冒頭が De pauvres religieux となっている)。
エリカ・チータム(1973年)は、ナポレオンにもヒトラーにも当てはまる詩としていた。
同時代的な視点
エドガー・レオニはナポレオンに当てはまることを認めつつも、詩が書かれた時点で既に歿していたフランシスコ・ザビエルにも十分当てはまる詩だと指摘していた。
エヴリット・ブライラーもザビエルに適合するとしていた。
ピエール・ブランダムールは、「西欧の最奥」がノストラダムスの暦書などではしばしば
イギリス諸島と並列的に用いられていることを指摘した。
高田勇と
伊藤進が指摘するように、この読み方が正しいとすれば、ナポレオン、ヒトラーはもちろん、ザビエルとする読み方も斥けられることになる。
ピーター・ラメジャラーはそれを踏まえたうえで、当時まだ20代だったジョン・ディーのことではないかとした。当時のディーはイングランドよりも大陸での評価が高く、その学識に基づく講義はパリ大学やルーヴァン大学で多くの学生達に支持されていたという。
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コメントらん
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- 映画俳優のチャップリンはイギリスの貧民街で生まれ、アメリカ(西欧の奥深く)に渡った。そこで、ヒトラーを風刺する映画『独裁者』を作った。そのモデルとなったヒトラーと誕生年月が同じ、1889年4月である(チャップリンの方が4日早い)。(1-2行)そのモデルとなったヒトラーは演説によってドイツの大勢の人を魅了し、当時の日本にまで影響を与え、ドイツと同盟した。(3-4行) -- とある信奉者 (2013-02-01 22:41:40)
- 上記の解釈は関係代名詞を無視した強引な解釈であることを断っておく。 故に、未だ成就してない可能性の方が高い。しかし、現時点で出来る解釈を提示したかったのだ。 -- とある信奉者 (2013-02-04 12:20:42)
最終更新:2013年02月04日 12:20