年代的に全く整合しないため、史実を含まない単なる創作と考えられる。
概要
五島によると、パスツールが20代のとき、ワイマール公国の宰相を務めていたゲーテと親交があり、ゲーテはパスツールの研究成果を衛生政策に取り入れていた。
そんなある日、執務室でノストラダムスの『予言集』を読んでいたゲーテは、
詩百篇第1巻25番にパスツールの名が予言されているのに気づいて、驚愕のあまり叫びながら椅子から転げ落ちたという。
五島はこの出来事を19世紀初頭のことと紹介している。
【画像】『新装版・ゲーテ全集1』
コメント
このエピソードが発表されてまもなく、
高木彬光が年代の不整合を指摘した。
ゲーテは1832年歿、パスツールは1822年生まれで、ゲーテが死んだ時点ですら、パスツールは10歳でしかないというわけだ。
五島はもともと「ゲーテのパスツール・ショック」を紹介した際に、「こまかい年代を追及していくと多少の疑問が出てくる」と注記していたが、よりあとの改訂版では高木の批判を意識したのか、さらに「当時、ルイ・パスツールはまだ子どもで」という文言を加えている。
五島の改訂については、公刊された文献では
志水一夫が最初に指摘していた。
なお、五島の主張とは裏腹に、ロッブの関連書にはこんなエピソードは出てこない。
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最終更新:2009年09月21日 13:41