「第4話」(2007/12/01 (土) 18:19:29) の最新版変更点
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「このカバリアアイランドにはね、大きな街が5つあるの」
桜ちゃんは遠い目をして静かな口調で話し始めた。
ブルーミングコーラ、パラダイス、アステカ、メガロポリス、カルバイガルの5つ。
ここから近い街は、ブルーミングコーラという街とパラダイスという街。
ブルミングコーラは、あなたがこの世界に生まれた場所ね。
この世界で冒険者として活躍している人達はみんなあの場所で生まれたの。
どういう仕組みで冒険者を生み出しているのかは解っていないのだけれど、このカバリアアイランドの人々はドン・カバ●アが信仰していた神「ドン・ガバチョ」の奇跡と言っているゎ。
それを否定して、科学的に解明しようとしているのが・・・
「白衣の天使」をあなたに与えた「あの人」よ。
パラダイスという街は、このブルーミングコーラで生まれた冒険者達が沢山集い、今このカバリアアイランドに増殖しているモンスター達を駆除しようと、情報交換したり、一緒にあちこちへ出かけたりする拠点になっているの。
この街には、私もよく行って、特産品のパイナップルジュースや、
砂漠のポーション、カニばさみを買ってくるの。
パラダイスで売っているパイナップルジュースは、どこで売っているものよりもコックリと甘くて酸っぱくて私もペット達も大好物なの。
砂漠のポーションは、どんなに疲れていても、一口飲めば元気モリモリ!
カニばさみは、「クリコロ」っていう料理に入れるとホッペが落ちちゃうゎ。
そして忘れちゃいけない、私たちが今いるこの場所は、ちょうど2つの街の中間にある《地図にない空中の島》。
この牧場はね、私の可愛い羊のもえちゃんや、あなたが連れている白衣の天使ちゃんの様なペットの中でも特別な力を持つペットの力を借りないと来ることが出来ないの。
この牧場では「ペット」を飼っていて日々新しいペットが生まれているゎ。
その中でも特別な力を持つペットが生まれることは稀な事。
私はそのペット達を育てて管理を任されているのよ。すごいでしょ。
そうそう、今では5つしか街はないのだけれど、昔は6つあったの。
幻の街となってしまった、・・・・・水中の楽園都市アクアリース。
あれはいつの日の事だっただろう、私が食糧品を買いにパラダイスへ出掛けた時のことだった。
パラダイスへ一人の男が今にも倒れてしまいそうな状態で辿り着いたの。
どう見ても凶暴なモンスターに噛み付かれたとしか思えない傷や、打撲傷、腕は骨折して、ボロボロの体だった。。
その人は朦朧とした状態で「アクアリースが。。アクアリースが。。。」ってうわ言の様に言ってた。
ちょうどその場所に居合わせた人達の中から、数人の羊さんと龍さんが力を合わせて必死にその人を癒そうと魔法を唱えてね、そのおかげで男の人は助かったの。
パラダイスショップのアイラちゃんが持ってきた砂漠のポーションを一口飲んだ後、男の人は事の次第を話し始めたわ。。。
沢山の人でごった返していたアクアリースに突然ものすごい数のモンスターが襲撃してきて、冒険者の多くは必死でアクアリースを守ろうと戦った事。
戦うだけの力を持たない人々は、唯逃げ惑うだけで、次々モンスターの餌食となってしまった事。
冒険者達の決死の抵抗もむなしく、アクアリースがモンスター達の巣になってしまった事。
自分も戦ったけれど、力が及ばない事を悟り、命からがら逃げてきた事。。。。
その場で話を聞いていた人達は、アクアリースで起きた悪夢の様な出来事を想像し、みんな悲嘆に暮れた。。
何人かの人達は、アクアリースを救う為にこれから行くと云う人もいたけれど、他の人達は、情報を把握してちゃんと対策を練ってからじゃないとまた悲劇が起こってしまうとなだめてね。。。
いつの日かアクアリースをあなたにも見せてあげたいな。。。
水の中の不思議な街。。
水の中なのに全然苦しくなんてないの。
私の一番のお気に入りの場所はアクアリースホテルっていうところ。
ここのベッドが不思議でね、ベッドが水分を吸ってウォーターベッドみたいにぷよんぷよんでね、毛布はたぷんたぷんしてて、いつまででも寝てたいっって思っちゃってね。
次の日待ち合わせがあるっていうのに寝過しちゃうこともよくあったゎ・・・・。
懐かしそうに目を細めながら話す桜ちゃんの周りを、白衣の天使はソワソワを飛び回って
「ねねっ!昔話は帰ってからでいいよ~(*´д`)日が暮れちゃうよ~、ねっ!?」
ねっ!?って私に同意を求められても、どこに行けばいいのかもわからないし。。。
白衣の天使を見ながらごまかすように笑う私の方を向き、桜ちゃんは言った。
「そうだね。日が暮れてモンスターに襲われて怪我をしちゃ大変だもんね。早く発った方がいいゎ。
パラダイスには色々な場所から人が集まるし、メイちゃんにとって役立つ事が聞けるかもしれないし。
美味しい食べ物もいっぱいあるから、是非いってみてっ」
「はいw場所がよくわからないけれど、、天使ちゃんに連れてって貰って行ってきます」
桜ちゃんは、桜色のリュックサックに携帯電話5個と、怪我をした時の為にと透き通った赤色のポーション10個を積めて、そして無事に帰って来れるようにと、桜の花びらの形をしたペンダント型お守りと共に持たせてくれた。
「それじゃあ行ってきます」
「うん、くれぐれも気をつけて行ってきてね☆」
今か今かと羽をパタパタと慌ただしく動かしながらいつでも出発出来る態勢の白衣の天使のそばへスタスタ歩きながら、牧場の入り口まで見送ってくれた桜ちゃんを振り向き、数回手を振った。
「さぁ、イックヨー!ゴゥッ!」
一瞬のうちにフワッと重力がないみたいに軽々と浮かび上がったと思ったら、次の瞬間には光速の世界。
白衣の天使が放つオーロラ色が自分の後ろで花びらのように散っていく様を見ながら、自分の心の中が不安よりも、これからどんな出来事が待っているのか期待する気持が大きくなっていくのを感じていた。。
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