Black and Gold

 なあ、チチ。オラにもしものことがあったら、おめえは普通のオラと超化した
オラのどっちを思い出すんだ?

 チチがやっと風呂から上がってきた。夕食の片づけをして、明日の準備をして、
ゆっくり風呂に入って、念入りに戸締りするから、悟空はすっかり待ちくたびれた。
悟空の所にすぐに来るかと思い体を半分起したが、チチはベッドの脇を素通りして
窓際に行くと、窓から月夜の空を見上げた。
「明日は晴れるぞ。今夜は月が出てるからな。」
「天気のことじゃねえだよ!神殿が見えねえかと思っただよ。」
「見えるわけねえじゃねえか。」
「だども、悟飯ちゃんがどうしてるか気になるだよ。なして、悟空さは悟飯ちゃんを
神殿に置いてきちまっただ?」
「デンデだって同じ年頃の子がいりゃ寂しくねえだろ。」
「だったらデンデを家に連れてくればよかっただ。」
「まあ、そう言うなって。」
 チチはぷーっと頬を膨らました。何度目かの同じやり取りにさしもの悟空も少し業を
煮やした。
「悟飯、悟飯て、チチは悟飯だけいりゃいいのか?」
 いつにない口調にチチは驚いて悟空を見たが、その口を尖がらした顔を見てクスクス
笑いがこぼれた。
「もしかして、悟空さ、悟飯ちゃんに焼きもち妬いてるだか?」
「オラは餅なんか焼いて食ってねえよ。」
「おらが悟飯ちゃんのことばっかり言うから嫉妬してるんだべ?」
「嫉妬?悟飯は子供じゃねえか。」
 でも、まあ、俺が嫉妬してる奴がいるとすれば、それは悟飯じゃない。

 はあー。仕方ねえだな。ため息交じりにつぶやきながら、チチが布団に入ってきた。
神殿を見ることは諦めたらしい。
 するりと無防備に横になったチチに悟空はすかさず覆いかぶさり、チチの唇を奪った。
言葉で了解をとる野暮な真似はしない。口づけを受け入れたらそれが了承の合図だ。
唇を離すとチチは言った。
「悟空さ。超サイヤ人はやめてけれ。」
 ほうら来た。
 チチが超サイヤ人姿の自分を拒む度に悟空は複雑な気持ちになる。強い奴と戦う時は
 ワクワクするのに、こいつが相手だとワクワクするどころか厭な気分になる。黒髪に
黒い瞳の、戦闘力は遥かに劣るもう一人の自分。妻はどうやらその男の方が好きらしい。
「戻ろうと思えば戻れるんだべ?だったら元の悟空さに戻ってけれ。戻らなんだら、おら、
一緒に寝ねえだ。」
「だめだ。セルゲームまで超サイヤ人でいる特訓してんだ。」
「超サイヤ人は嫌いだべ。」
「不良みてえだからか?ちょっと髪の毛と目の色が違うだけでオラには変わりねえ。」


 問答無用にチチの唇を割って舌を差し入れようとすると、唇を固く閉じてその
侵入を拒もうとする。襟元から手を差し入れようとするとイヤイヤと言うように
身をくねらせる。それでもただ一言「チチ」と呼べば、おずおずと唇を開き、
悟空の舌を口中に迎え入れた。襟元から差し入れられた手はこんもりと小高く
柔らかい乳房の頂点の乳首に触れ、固く、そそり立っていることを確かめる。
 あれは三年前か。初めてチチを超サイヤ人のまま抱いた時のチチの嫌がりようは
なかった。泣き叫びながら拒む姿に同情するどころか却って興奮してしまった。
その時のチチの様子は、まるで他の男に犯されているかのように見えた。あまりに
嫌がるので悟空は別の女を抱いているような錯覚を覚えた。
 かつて感じたことのない快感を出しつくして、体の下のチチを見ると、手で顔を
覆いむせび泣いていた。チチの太股から細い糸のように赤い血が流れていた。
 「わりい。」
 申し訳なさで胸がいっぱいになって頭を下げたとき、金色の光は消え、黒い髪、
黒い瞳に戻っていた。
 むせび泣きながらチチが言った。
 「悟空さじゃねえみてえだから厭なんだ。」と。


 チチは自分を裏切らない。もし他の男に奪われそうになった場合は舌を噛み切ってでも
自分への貞操を守ってくれる。その一方で誰もが驚嘆する千年に一度の伝説の戦士を認めて
くれないことへの苛立ちもあり、これが悟空を複雑な気分にさせる。
 悟空が単純な頭と真っ直ぐな心で複雑に思う以上に、チチもまた姿形の違う夫に接することに
戸惑った。彼女が異形の夫に心を開き始めたのは、その匂いと、抱かれた腕の強さと、自分を
呼ぶ声に変わりはなかったからだ。
 今宵もまた、金色の髪の夫に帯を解かれ、下着をはぎ取られ、白い裸身を緑色の瞳の前に余す
ところなく晒している。
 悟空は広げたチチの両足の間に身を置き、体の中心に顔を近づけた。風呂上がりの石鹸の匂いが
漂う。透き通るような白い脚の付け根は、一転して肉の色になり、大切な部分をささやかに隠す恥毛は
悟空のそれとは違い鳥の羽毛のように柔らかく、チチの髪と同じ、青みがかった黒い色をしている。
悟空の髪が漆黒なら、チチの髪は夜明け前の陽が射す一瞬前の闇の色だ。
 柔らかい毛をどかして、脚の中心の裂け目を下から上へと舐め上げると、チチは大きく啼いて体を
くねらせた。割れたザクロの実の中に舌を突っ込み、その果汁をすすれば、股ぐらの悟空の髪を掴み、
つま先を痙攣させてチチは達してしまった。

 「チチ、オラにもしてくれよ。」
 舐められた体の中心に熱い痺れを残したまま、チチはゆっくりと起き上がり、
悟空の脚の間に顔を寄せた。
 「チチ、ちゃんと見ろよ。」
 目のやり場に困り、目を閉じたチチに鞭のように鋭い言葉が飛んだ。チチが
恐る恐る薄眼を開けると、容積を増し、形を変えて筋を立てたペニスが見えた。
既に先端から透明の汁が流れている。その付け根には悟空の髪の色と同じ金色を
した陰毛が見えた。朝日のように輝く髪の金色とは異なり、ややくすんだ黄金色の
毛は秋の稲穂を思わせる。
 チチは悟空自身をそっと握り、舌先を出して先端を舐めた後、ゆっくりと口に
含んだ。口に含んだ途端に悟空は口内を塞ぐほど体積を増し、チチは息苦しく
なった。口に含んだままチチは顔を上下させた。
 下の毛の色は違うが握った感触、何よりも悟空の精液の夏草のような匂いと、
口に流れ込んできたときの生臭さと苦味は、超サイヤ人になる前となんら変わり
ない。チチは悟空の睾丸を優しく撫でながら、口の中で悟空の先端の割れ目に
舌を這わせた。

 「チチ・・・!」
 悟空が股間に身をかがめたチチの肩を掴むと後ろに押し倒した。チチは仰向けに
倒され、天井が見え、燃えるような緑の目と目があった次の瞬間には、膣内に強烈な
異物が侵入してきた。
 「ああン!!」
 嬌声を上げて、大きくのけぞったチチの体を抑え込むように悟空は体重をかけた。
悟空の唾液とチチ自身の愛液で十分すぎるくらい潤った蜜壺は巨大な悟空自身を易々と
飲みこむ。
 「チチん中、スゲー気持ちいいぞ。」
 更に奥に進もうと、悟空はチチの両足を自分の両肩に担ぎ上げると、更に体重をかけて
一気にチチの奥底に沈ませた。

 「ごくうさぁ・・・」
 腹の中が悟空で満たされ息苦しくてチチはかすれた声を出した。悟空が両肩で
チチの両足を押し付けるので、チチは脚を折り曲げ、体を屈ませる格好になった。
チチの柔軟な体はチチの両膝がその乳房につく無理な体勢のまま悟空を受け止め、
深く侵入した悟空自身はチチの子宮口まで到達した。そのまま悟空は腰を動かし、
二人の体の触れあう音がヌチャヌチャと響いた。
 「チチ・・・はぁ・・・中に出してもいいか?」
 「あん・・子供さ・・・できちまう・・・」
 「困るんか?」
 チチは首を横に振った。悟空が腰の動きを速めた。チチの曲げた両足を押して
深く深く貫こうとする。
 「悟空さ、一緒に・・・」
 「チチ、いくぞ・・・」
 悟空の低い呻き声と同時に体の奥に熱い液が注がれるのをチチは感じた。頭の中に
光が溢れ、目尻から涙が出た。光は悟空の髪と同じ金色だった。

 「なあ、元の悟空さに戻ってけれよ。」
 汗で額に張り付いた悟空の金色の髪を撫でながらチチが言った。
 「しょうがねえなあ・・・ちょっとだけだぞ。」
 仕掛けのある手品みたいに金色の髪は黒く、碧色の瞳も黒く、そして辺りも暗くなった。
 「悟空さだ。」
 チチは悟空の首につる草のように腕を巻きつけ、その唇を求めてきた。超化している自分に
対する態度とは異なるチチの自然な動きに、悟空の中で金髪の自分が腹を立て、黒髪の自分が
へらへらと笑う。
 しばしの口づけの後でチチが目を開けると、碧の瞳と目が合った。また超サイヤ人に戻っている。
 「もう!元の悟空さのままでいてけれよ。」
 「だめだって。セルゲームまで自然に超サイヤ人でいる訓練してんだから。」
 頬を膨らましたチチに悟空の口からつい出てしまった。
「なあ、チチ。オラにもしものことがあったら、おめえは普通のオラと超化したオラのどっちを
思い出すんだ?」
 やっぱ、普通のオラかな?と悟空が一人ごちたとき、チチの大きく見開いた黒い目から涙が
あふれた。
「悟空さ、もしものことってどういう・・・・」
 後は言葉にならない。
 わりい、冗談だ。
 悟空はチチの小さな頭を顎の下に閉じ込めるように抱きしめた。

 チチ、そんな顔すんなよ。そんな顔されたら、もしもの時にオラ、おめえの泣き顔しか
思い出せなくなっちまうじゃねえか。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月08日 21:13