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第95回薬剤師国家試験
薬物治療学
§7薬物治療学
☆前年度の新傾向過去問アレンジ出題がしばしば見られる。
脳血管障害
頭蓋内出血→血管が破れる、脳梗塞→血管が詰まる。
片麻痺で動かなくなるのはダメージを受けた脳と「反対」の手足。(これは神経が延髄あたりで交差している事による。)
右脳→直感、左脳→計算を司る。(腕を組んで上になる手の側の反対が普段使っている脳)
動かせないストレスによってストレス性潰瘍を起こすことがある。(ファモチジンなどを使う)
脳浮腫→脳ヘルニア→延髄に障害となって致命的な障害になることもある。
脳内出血が起きやすいのは被殻(こいつは尾状核とセットで線条体、淡蒼球とセットでレンズ核)で日中に多い。
脳浮腫に対しては濃グリセリン、D-マンニトールで血管中に水分を戻す。
くも膜下出血は脳の周りに出血。そのためそれだけでは麻痺は起きにくい。
髄膜を圧迫するために激痛が起こるが、生じない人もいる。(必発症状ではない)
オザグレルNaはTXA2合成阻害、ファスジルはリン酸化阻害でれん縮を抑える。
脳梗塞ではその場の血管が細くなる脳血栓と他からの要因で詰まる脳塞栓がある。
ラクナ梗塞による認知症は脳血管性痴呆とも呼ばれる。
脳血栓は徐々に詰まるためTIAなども起きやすく徐々に進行する。チクロピジンやアスピリンで起きないようにする。
詰まったらウロキナーゼやアルテプラーゼを3hr以内に投与。
脳保護にはエダラボン(但し腎障害には使用禁忌)
脳塞栓では(主に)心臓から血栓が飛んでくるので急速に症状が進行する。(心房細動などが原因になることも)
脳塞栓では「ウロキナーゼ」は禁忌。少し解けた血栓が再び違うところで詰まるとやばい。
濃グリセリンやD-マンニトールは同じように使える。
アルツハイマー病は脳が萎縮して認知症を起こす。
レビー小体も関わるとされる。
基本的に女性に多い。
(2009年3月)現在では対症療法のドネペジルくらいしか治療はない。
記憶障害から始まるため老化との区別が付きにくい。症状が重くなると運動障害もある。
アミロイドβタンパク質の蓄積が原因と見られている。(β、γ-セクレターゼより生成)
さらに神経においてはリン酸化τタンパク質によって神経繊維が太くなる。
マイトネル基底核においてAch神経が変成してしまうのでAch↓→記憶障害など。
ドネペジルは中枢性のAchE阻害薬(1日1回でいい)
骨粗鬆症では骨量だけ減少する。(骨軟化症は骨を硬くする骨塩が減少)
閉経によってエストロゲンが減少するとカルシトニンも下がり骨吸収があがる→閉経後骨粗鬆症。
基本的に骨吸収、骨形成共に上昇する。
加齢によってVD3活性↓→骨形成↓→老人性骨粗鬆症。
基本的に骨吸収、骨形成共に低下する。
どちらのケースでも血中Ca濃度自体は正常。(下がるわけではない)
血中オステオカルシン(骨芽細胞に関係)→閉経後骨粗鬆症は上昇、老人性骨粗鬆症は低下。
DXA法によって椎体や大腿骨近位部の撮影をして骨量を見たりする。
カルシトリオールは主に老人性。
カルシトニン製剤は疼痛に適応。(但し筋注のみ)
ラロキシフェンは骨に対してエストロゲン作用、他にはアンチエストロゲン作用を示す都合のいいやつ。
ビスホスホネート剤は骨吸収を強力に抑制。
虚血性心疾患は急性心筋梗塞、狭心症などによって心筋に十分な酸素が行き渡らない状態。
主にβ遮断薬、血管拡張薬(硝酸薬)を用いる。また血栓の防止にアスピリンも用いる。
特に異型(安静)狭心症では早朝に発作が、労作性狭心症では日中(動作時)に発作が起きやすい。
ただ、心筋梗塞は早朝に起きやすい。
動脈硬化によって発症する代表的な病気である。
心不全は末梢が要求するだけの心拍出量を確保できていない状態。
右心不全→主に全身症状、左心不全→主に肺症状。
前負荷→心臓にくる血液が増えると心臓ががんばらないといけない、後負荷→血管が細いと圧力がかかる。
心不全によって血圧が下がると交感神経が緊張し血圧が上昇、またレニン分泌によるアルドステロン上昇で尿量減少になる悪循環。
スピロノラクトンは少しずつ使えば生命予後が改善。
ジギタリスは直接心筋収縮力を上げる。低Kや高Caで作用が強くなる。中毒の消化管症状や不整脈に注意する。
硝酸薬でcGMP↑→Kチャネル開口
αβ遮断薬のカルベジロールが用いられることもある。ただし慎重に使わないと危険。
ネフローゼ症候群はタンパク尿と低タンパク血症を呈する病態。
小児では微小変化群、大人では膜性腎症によるものがおおい。
アルブミン減少による浮腫や肝機能亢進による脂質異常症が起こる。
腎臓疾患においては基本的に低タンパクかつ高カロリー食をとる。
治療にはステロイド、ジピリダモール(タンパク尿を抑える)、シクロスポリンなどが用いられる。
腎不全は腎臓の機能が低下することによって体液の恒常性を維持できない病態である。
BUN、Scr、血中P、血中Na、水分量が上昇し、血中K上昇、アシドーシスを起こすことで炭酸水素イオンが減少する。
また、エリスロポエチン低下、VD活性低下、尿酸排泄低下にもなる。
ループ系利尿薬を用いることがある。
高Kにポリスチレンスルホン酸Na、高Pに沈降炭酸Ca、アシドーシスに炭酸水素Na、低Caに活性型VD3製剤を使う。…「CarpのポリKO」
尿路結石症はまあ…そのままの意味で…
基本的に膀胱より上に多い。
多くはシュウ酸Caで、他にリン酸Mgアンモニウム結石、尿酸結石などがある。頭2つはX線に写る。
比較的男性に多いが、リン酸Mg~はプロテウス菌の感染が関与するので女性に多い。
関節リウマチは関節が自己免疫反応により破壊される病態である。
免疫複合体が関節を破壊していくのでIII型アレルギーに分類。
ある程度遺伝の影響が見られる。
朝のこわばりが主な症状で、左右対称かつ多発性に病変が起こる。(変形性関節症は逆に非対称の単発性)
全身症状も起こる。
赤沈↑やCRP陽性といった炎症症状は必発だが、リウマトイド因子は90%程度の患者に陽性。
第一選択はNSAID、DMARDも使う。
メトトレキサートは関節リウマチに使うなら1週間に2日のみ投与。(12時間おきに3回)
しかしDMARDは薬効の出ないノンレスポンダーや薬効が下がってくるエスケープ現象などがある。
これらの症状は(現在)投与してみないとわからない。
インフリキシマブ…TNF-αへのモノクローナル抗体でメトトレキサートを併用する。
エタネルセプトはTNF-αのおとりレセプターで作用させないようにする。
但しこれらの生物学的製剤は他の薬が効かないときに使う。
AIDSはHIVウイルスによって起こる免疫不全である。
逆転写をミスりやすく異常に変異する。
増殖の仕方は§2-3参照。
代表的な症状はカリニ肺炎、カポジ肉腫、AIDS脳症など。
抗体をスクリーニングすることで発見する。
PA法はゼラチン、ELISA法はサンドイッチ法。
スクリーニングが陽性だと抗体確認検査をする。
ウェスタンブロット、HIV-RNA検出法などがある。
☆新基準ではCD4が350個/μL以下で予防的治療を始める。(以前は症状がなければ200以下)
多剤併用を行う。(なお他に最初から多剤併用するのは悪性腫瘍、白血病、結核、ピロリ菌除菌)
逆転写酵素阻害薬にラミブジン(B型肝炎ウイルスも抑える)
☆インテグラーゼ阻害薬…ラルテグラビルカリウム
カリニ肺炎の予防にはST合剤、ペンタミジンイセチオン酸塩。
インフルエンザはウイルス感染症。
オセルタミビルはNAを阻害して増殖を抑える。そのため48時間以内に投与する。A型、B型両方に有効。
小児にはライ症候群の防止のためにもジクロフェナクナトリウムなどのNSAIDは使用しない。
スパイロメトリーは肺機能検査に使用。
%肺活量(正常な時を基準にした肺活量)<80%で拘束性障害→肺胞の動きが小さくなる。(肺炎や肺がんなど)
1秒率(1秒でどれだけ肺活量のうちどれくらい吐けるか)<70%で閉塞性障害→気道が狭い状態。(喘息やCOPDなど)
気管支喘息は気管支の炎症による気道狭窄とリモデリングによる発作性の呼吸障害を伴う疾患。
症状の度合いに応じてβ2刺激薬、抗コリン薬、ステロイドなどが使用される。
症状を安定させるコントローラーと発作時に用いるリリーバーの使い方は重要である。
特にβ2刺激薬の過剰使用は心停止にもつながる。
COPDは肺気腫や慢性気管支炎による病気。
肺気腫では肺胞の表面積が下がり気道も狭窄する。
慢性気管支炎では繊毛細胞から毛がなくなり、杯細胞からの粘液分泌が増えるために詰まったような状況になる。(喘息ではこれが起きない)
肺気腫ではα1-アンチトリプシン欠損症によってタンパク分解が促進されることで起こることがある。
気管支炎は主に大気汚染が原因。
共通して喫煙は原因となる。
1秒率が低下し、PEFが低下する。(喘息は発作時に低下する)
COPDでは抗コリン薬を第一選択薬とする。(β2刺激薬、ステロイド吸入薬も使うけどね)
胸痛、血痰、息切れなどは肺癌の症状、細気管支の炎症はびまん性汎細気管支炎。
☆肺結核症は結核菌による肺の感染症である。
結核菌による「飛沫核感染」。(空気感染、飛沫感染でも一応○)
先進国の中では罹患率がかなり高い。
免疫低下によって再発するケースが多い。
感染しても70%ぐらいは不顕性。
3剤くらい併用で9~12ヶ月投与する。DOTsでは最短6ヶ月。
イソニアジド→末梢神経炎、リファンピシン→肝障害、ストレプトマイシン→聴力低下、エタンブトール→視力障害、ピラジナミド→胃腸障害などがある。
凝固系検査はAPTT、PT、出血時間の3つ。
APTTは内因系と共通系のVIII、IX、XI、XII因子。
PTは外因系と共通系のIIIとVII因子。
※共通系はIとIIとV因子。
※※10の法則→内因系は10の周り、外因系は3+7、共通系は1×2×5
出血時間は血小板。
APTT↑→DIC、血友病、VK欠乏
PT↑→DIC、VK欠乏
出血時間→DIC、紫斑病、再生不良性貧血、白血病(後ろ2つは汎血球減少)
DICでは血液凝固によって凝固因子も血小板も消費する。
血友病…「アベック約11名」…血友病のABCが8,9,11因子欠乏
VKが関与するのはII、IX、VII、X因子(肉納豆)
貧血は赤血球が足りない状況。
鉄欠乏性貧血はFeが足りてない。とにかく女性に多い。
不足していく順序は、貯蔵鉄→血清鉄→ヘモグロビン鉄。鉄の補給で増えていくのは逆の順番。
出血性疾患で貧血になるケースもある。
ふらつき、めまいなどはどんな貧血でも起こる。
特異的な症状としてスプーン爪がある。(爪にFeが必要なため)
小球性低色素性、トランスフェリン↓、フェリチン↓、鉄結合能↑
通常は経口でFe2+を摂取。貯蔵鉄の回復まで3~6ヶ月かかる。
多すぎたときはデフェロキサミン。(通常静注したときにしか問題にならない)
巨赤芽球性貧血は遺伝子合成に異常あり。
悪性貧血では胃の内因子が欠乏でVB12が足りなくなる状況。(VB12の吸収自体は回腸)
自己抗体の影響が考えられている。
舌乳頭が減少し舌炎や神経症状が見られる。
大球性、間接ビリルビン↑、LDH↑(一部が骨髄で破壊されるため)
シリングテストによってVB12吸収を測定する。
これ以外に抗壁細胞、内因子抗体が生じるケースもある。(バセドウ病やアジソン病に伴うことも)
VB12の非経口投与を行う。
溶血性貧血では赤血球が通常の寿命より早く壊れる。
主にII型アレルギーによって発症する。(これ以外の血液疾患もII型アレルギーによるものが多い)
抗赤血球抗体が生じるケースがある。
間接型ビリルビン↑によって黄疸が生じる。
正球性正色素性、間接ビリルビン↑、LDH↑、ハプトグロビン(赤血球が壊れるときに使う)↓、網状赤血球↑
治療はステロイド、免疫抑制薬、脾臓摘出などがある。
子宮がんは子宮頸がん、子宮体がんに大きく分かれるが発症頻度の高いがんの1つである。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスの感染が特にリスクとなる。また、性交渉の多いこと、出産回数が多いこともリスクとなりうる。
新たにこのウイルスに対するワクチンであるサーバリックスが承認された。(2009/12)
多くは扁平上皮癌であり、化学療法、放射線療法の有効性が高い。
子宮体がんは子宮頸がんとは逆で性交渉が少ないこと、出産回数が少ないことがリスクとなりうる。エストロゲンがその原因の1つとして考えられている。
多くは腺癌であり、手術療法の有効性が高い。
発症数は子宮頸がんの方が多いが、子宮体がんは増加傾向にある。
リツキシマブはCD20に対するモノクローナル抗体で、非ホジキンリンパ腫に用いられる。
単剤だけではなくCHOP療法の1つでもある。