農業博覧会屋台（詩歌藩国）

詩歌藩国屋台

屋台の詩歌藩国ブースでは、吟遊詩人たちによる軽やかな生演奏が響いていた。
農業博覧会の開催を盛り上げるために、集まっているのだ。
そして、演奏に重なる声。

「は～い。そちらの青い着物の旦那さま！詩歌産ビールは、いかがですか～？
　青空の元で飲むビールも、たまには良いものですよ。
　それから、詩歌藩国では古くから飲まれている、はちみつ酒もあります。
　こちらは女性にお勧めです！あま～い香りも楽しめますよ～ｗ
　おつまみは、じゃがバター、フィッシュ＆チップス等、手軽につまめるものをご用意しておりま～す！」

屋台の売り子さんたちだ。まるで謡ってるよう。
詩歌藩国は歌の国。
日頃から鍛えた自慢の喉で、声をかける。
多くの人たちで賑わう会場でも、遠くまで届いた。

「は～い。親子連れのみなさま～。農業博覧会、楽しんでますか～？
　詩歌産りんごジュース、飲んでいかれませんか？
　ほのかな甘さとすっぱさのハーモニーが、喉を潤します！
　りんごのパイ、りんごジャムをそえたスコーンも用意しておりま～す。
　屋台ならでは！の、りんご飴もあります。うきうき散歩しつつ、会場を回りませんか～？」

「ねぇ、ねぇ。りんご飴買って～。」
「はいはい。じゃあ。ひとつくださいな。」
「わーい。あま～い。お母さんも、なめてみて。ねぇ。」

楽しげな人たち。
大人も子どもも、思い出の記憶がひとつ増える。
暖かな春の日差しが心地よかった。