Sytrus FMシンセシスの基礎とモジュレーション・マトリックス

FMシンセシスの基本

現代のソフトウェア・シンセサイザーの多くは'サブトラクティブ・シンセシス'として知られる処理を使用しており、スペクトラムが豊富なオシレータ(のこぎり、矩形、三角等)を、ローパス、バンドパス、ハイパス・レゾナント・フィルターで処理して最終出力を生成します。FM(Frequency Modulation:周波数変調)は異なるアプローチを用いており、純粋なトーン(サイン波)を追加的なハーモニクスを生成する(ひとつのサイン波が別のサイン波の周波数を変調する)方法で処理され、最終サウンドを生成するために信号へ足されます。サブトラクティブ・シンセとは違い、FMシンセの基本モジュールはオペレータと呼ばれ、純粋なトーン(サイン波)のオシレータとアーティキュレーションのセクションを持っています。基本的なレベルではアーティキュレーション・セクションは少なくともシンプルなADSRボリューム・エンベロープです。
FMシンセサイザーは2つ以上のオペレータを持っています(Sytrusは最大6個のオペレータをサポートしています)。オペレータが別のオペレータの入力へ接続されると、ピッチ(周波数)モジュレーションが起こります(上のダイアグラムを見てください)。モジュレーションするオペレータは'モジュレータ'と呼ばれ、モジュレーションされるオペレータは'キャリア'と呼ばれます(Sytrusではひとつのオペレータがキャリアとモジュレータの両方で動作できます)。

Sytrusの実装

SytrusはクラシックなFMシンセサイザーに見られる全ての機能、最大6個までのオペレータ、シンセシス・アルゴリズムを定義できるモジュレーション・マトリックスを提供します。また、Sytrusは数多くのユニークなサウンドを生成することができる進んだ機能をも含んでいます。
  • カスタム・オシレータ・シェイプ - 各オペレータのオシレータのシェイプは、ハーモニクスの追加、サイン波以外の形状(矩形波、三角波)へのモーフィング、パルス幅、ノイズの付加といった様々な方法で調整できます。また、オペレータはカスタマイズ可能なダンピング・エンベロープを備えたプラックド・ストリングのトーンを生成するように設定でき、これはストリングやパッドのパッチには不可欠なものでしょう。
  • リング・モジュレーション - FM(frequency modulation)とアディティブ・ミキシングの他、SytrusのオペレータはRM(ring modulation)モードでも動作できます。リング・モジュレーションは二つの入力信号を互いに乗算して新たなサウンドを生成する方法で、その特性は元々の入力信号とは質的に異なります。
  • サブトラクティブ・シンセシスのサポート - Sytrusはオペレータ出力のフィルターに使用できる三つの完全な機能を備えたSVF(フィルター)モジュールを持っています。アディティブ(FM/RM)とサブトラクティブ(SVF)シンセシスの両方を組み合わせることで、Sytrusは他のプラグインや処理を追加する必要なしに、幅広いサウンドを生成する柔軟性を提供します。
  • エフェクト・モジュール - 3つのディレイ・ライン(並列または直列に処理が可能)とパッチに深さを与える高品質のコーラス・エフェクトを含む、パッチ・サウンドを扱うエフェクトを提供します。エフェクト・モジュールからの信号はさらなる処理のためにミキサー・センド・トラックへ送ることができます。
  • 完全にカスタマイズ可能なアーティキュレーション - Sytrusのマッピング・ダイアグラム、LFO、エンベロープはシンプルなADSRボリューム・エンベロープをはるかに越えて拡張されています。各ダイアグラムとエンベロープのステートは無制限の個数のカーブ・セグメントで構成されており、ピッチ、ボリューム、パニング、ベロシティ・マッピング、ユニゾン・セッティングなどをコントロールできます。これによりさらに複雑なパッチの構造ができ、ひとつのパッチ/ボイスでもドラムやシンセ・ループ全体をプログラミングすることさえ可能です。
  • プログラム可能ユニゾン・モード - サブレベル・ボイス、可変ピッチ、パン、ボリューム、エンベロープによるバリエーションをサポートします。このモジュールのアーティキュレーション・セクションにある各ターゲットプロパティはパッチ製作者により100%カスタマイズ可能なマッピング・グラフにしたがったユニゾン・ボイスへマップでき、ユニゾン中のほとんど全てのボイスに異なるプロパティを持たせることができます(詳しい情報はメイン・モジュールを参照)。

Note:自分でSytrusのパッチを作りたいときや既存のものを修正するときはSytrusのプロセッシング・ダイアグラムをチェックすることをお勧めします。これはSytrusのモジュールがどのように処理されミックスされるかを詳しく記述しています。
これと同じダイアグラムにSytrusのインターフェースのボタンから簡単にアクセスできます。

モジュレーション・マトリックス

Sytrusのモジュレーション・マトリックスではFMシンセシスのアルゴリズム、オペレータからエフェクト、フィルターへのセンド・レベル、パニングと'ドライ'出力レベルを設定できます。
各ノブは下記で説明する特定の機能かマッピングをコントロールします。ノブのニュートラル位置は真中で、ノブをニュートラルにリセットするにはAlt+左クリックを使います。また、ノブを右クリックするとノブの値を保持したまま素早くミュート/アンミュートできます(この機能はパッチのテストと調整時に便利です)。
モジュレーション・マトリックスはいくつかの部分から形成されています。下記では各セクションとその使用法を詳しく見ていきます。

モジュレーション・セットアップ

FM/RMセクションはSytrusのモジュレーション・アルゴリズムを設定します。各行がそれぞれのオペレータを表わしていて、それをどのオペレータがどの程度モジュレートするかを決めます。
ノブがモジュレーションの量を決めます。値が負(左に回す)の場合、モジュレーションの位相が反転します。ニュートラル・レベル(ノブをAlt+左クリック)では、モジュレーションされません。
出力を生成するために必ずしもオペレータはモジュレートする必要はありません。
Note - マトリックス中のノブの目的がはっきり分からないときは、マウスをその上にもっていき、FL Studioのヒント・バーをチェックしてください。
いくつかの基本的なアルゴリズムとそれのSytrusのマトリックスでの表現を示します。
これらの例では、オペレータ1がキャリアとして使用され残りのオペレータはモジュレータとして使われています。オペレータが自分自身をモジュレートすることもでき(例3の2行2列目 - オペレータ2が自分自身をモジュレートしています)、フィードバック効果を生成します。

キャリアは直接(上の例のように)、またはフィルター・モジュールを介して出力に割り当てられなければならないことに注意してください。フィルターと出力への割り当てについては下記のそれぞれのマトリックス・セクションを参照してください。

またSytrusはオペレータ間のRM(Ring Modulation)をサポートしています。RMの設定を表示して調整するには、マトリックスの下にあるFM/RM切り替えスイッチをクリックします。
このスイッチはマトリックスのモジュレーション設定のみに影響することに注意してください。したがって残りの設定(パン、FXセンド、フィルター・センドなど)はFM/RM設定で共通です。

フィルター・センド・レベル

このセクションでは各オペレータからフィルター・モジュールへ送られる信号量を調整します。負の値にすると反転した信号をフィルター・モジュールへ送ります。
Sytrusは3つのフィルター・モジュールを持っています。このセクションの各行がそれぞれ一つのモジュールを表わしています。オペレータ3と4からの出力の50%をフィルター2に送りたい場合、次のようにノブを調整します。F2の行(フィルター・セクション2)の3列目(オペレータ3)を50%に、同じ行の4列目(オペレータ4)のノブを50%にします。
ノブをニュートラル位置にリセットするにはAlt+左クリックします。
フィルター・セクションの出力を聞こえるようにするには、出力へ割り当てる必要があります。詳しくは下記の、パン、FXセンドおよび出力のセクションを参照してください。

パン、FXセンドおよび出力

このセクションでは、パニング、エフェクト・センドおよび各オペレータと3つのフィルター・セクションの出力量を決めます。
一列目は該当するモジュール(オペレータかフィルター)のパニングを設定します。デフォルトの位置はセンターです。
二列目はエフェクト・モジュールへ送られる信号の量を決めます。このノブが負の値に設定されると、反転した信号がエフェクト・モジュールへ送られます。デフォルトのニュートラル位置(中央)では、信号はエフェクト・モジュールへ送られません。
三列目は該当するモジュール(オペレータかフィルター)の出力量を決めます。負の値にすると反転した信号が出力されます。

重要:Sytrusではオペレータとフィルター・モジュールのどちらも自動的にはオーディオを生成しません。このマトリックスを使って以下のいずれかのように出力段へ送る必要があります。
1.マトリックス・セクションからモジュールに出力レベルを割り当てる。
2.モジュールにエフェクト・センド・レベルを割り当てる(エフェクト・モジュールは自動的に出力されます)。
3.(オペレータのみ)フィルター・センド・レベルのマトリックス・セクション(上記参照)からオペレータにフィルター・センド・レベルを割り当てる。送られたフィルターは出力へ到達するようにしなければなりません。
4.(フィルターのみ)Send to Nextノブを使用する(詳しくはフィルター・モジュールの項を参照してください)。

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