Fruity Stereo Shaper


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Stereo Shaperは多目的なステレオ整形ツールです。
  • L/Rミキサーチャンネルを個々に取り扱うための手段を提供します。L/Rが内部的にどう混ぜ合わされるかをコントロールできます。
  • パン/バランスを操作できます(L/Rチャンネルの混ぜ方にかかわらず)。
  • 片方、もしくは両方のチャンネルの位相反転ができます。
  • 入力信号中のステレオ情報の出現量を増やしたり減らしたりできます。
  • L/Rチャンネルを分割し、二つのミキサーチャンネルにそれぞれ単独のモノラル信号を送ることもできます。
  • L/Rディレイを用いてモノラル入力を「ステレオ化」することもできます。

関連するエフェクトはStereo Enhancerと、それからミキサートラックのプロパティにあるステレオ分離()およびフィルタ&位相()スイッチです。出来上がったステレオ成果はWave CandyのVectorscopeでビジュアライズすることもできます。

プリセット - このプラグインの主な用途のほとんどはプリセットでカバーされています。従ってFruity Stereo Shaperを使うにあたってはプリセットをそのまま使うことをおすすめします(下のプリセットの項目を参照)。


パラメータ

もしmid/sideステレオ整形ツールを使うのが初めてなら、Stereo Shaperの性能を最大限に生かすためにまず下のチュートリアルセクションを読むことをおすすめします。手動でミキサーマトリクスを調整するよりはプリセットを使ったほうがいいかもしれません(標準的なmid/side処理のためのオプションはすべてカバーしてあります)。

ミキサーマトリクス

これらのスライダーはL/Rオーディオ入力のミキシング、レベル、位相をコントロールします。スライダーバンク左側には+と-のマークがついていますが、これは上(+)が入力信号の加算(正位相ミックス)、下(-)が減算(逆方向ミックス)であることを意味しています。たとえば、左端のスライダーを下に動かすと、そのぶんだけRチャンネルからLチャンネルを減算します(位相反転したRチャンネルをLチャンネルに混ぜる)。もっとも最終結果はその他全てのスライダの位置によっても変わりますが。細かい調節を行うためにはヒントバーを利用して下さい。 : 左の組と右の組のスライダーの合算がStereo ShaperのL/Rチャンネル出力となります。

スライダー(左から右の順)
  • Right into Left(RからLチャンネルへのボリューム) - 右チャンネルを左チャンネルにミックスする量です。+は加算合成、-は位相キャンセルミックスです。つまり-0dBの位置にあわせると左右共通の情報は全てキャンセルされることになります。
  • Left (Lチャンネルのボリューム) - 普通の左チャンネル用ボリュームスライダーです。位相を反転させるには-0dBの位置にあわせます。
  • Right(Rチャンネルのボリューム) - 普通の右チャンネル用ボリュームスライダーです。位相を反転させるには-0dBの位置にあわせます。
  • Left into Right(LからRチャンネルへのボリューム) - 左チャンネルを右チャンネルにミックスする量です。+は加算合成、-は位相キャンセルミックスです。つまり-0dBの位置にあわせると左右共通の情報は全てキャンセルされることになります。

「あわてるな!」深呼吸してプリセットをよく観察し、体系的に設定を探ってみて下さい。根気強くやればきっと理解できますよ。

エフェクト

  • Pre / Post - エフェクトがステレオミキサーマトリクスの前(pre)に適用されるか後(post)かを決定します。
  • Delay - 右に回すとRチャンネルに最大500msまでのディレイをかけます。左に回せばLチャンネルに最大500msのディレイをかけます。モノラル信号に疑似ステレオ効果をつけるときに使えます。20~40msぐらいの設定値を試してみて下さい。
  • Phase - L/Rチャンネルの位相を変更します。真ん中上向きの時は通常の位相(0度)となり、右に回すほどRチャンネルに位相オフセットがかかって行きます。左に回すとLチャンネルに位相オフセットがかかります。

注: ディレイと位相のいずれかもしくは両方をオートメーションすると、便利なフェイザーエフェクトを作り出すことができます。

In/Out Difference(サイドチェイン)セレクタ

このコントロールは「Difference」信号をサイドチェインしたトラックに送ります。つまりこのプラグインの出力信号と、オリジナルの入力信号との間の相違(残余remainderともいう)です。このコントロールはFruity Stereo Shaper自身のミキサートラックがサイドチェインされている のトラックを表示しています(右クリックして下さい)。

  • In / Out difference - ミキサーマトリクスの処理によって取り除かれた部分の信号を「サイドチェイン先の」ミキサートラックに送ります。「サイドチェイン」ルーティングを構築することが重要なので、「Difference」ミキサートラックには「Difference」出力だけが送られるようになっています。使い方は;
  1. サイドチェイントラックをセットする - Fruity Stereo Shaperのミキサートラックを選択し、対象先ミキサートラックのsendノブを右クリックして、ポップアップから「Sidechain to this track」を選びます。
  2. サイドチェイントラックを選ぶ - 「In / Out Difference」コントロールを右クリックすると、Stereo Shaper自身のミキサートラックがどこにルーティングされているかが表示されます。目標トラックが間違いなくサイドチェインとしてセットされている(言い換えると、sendボリュームが0になっている)ことを確認して下さい。
  • Off - difference sendコントロールが'---'にセットされている時は、プラグインはミキサーマトリクスの処理が終わった後に残る部分だけを出力します。

: セレクタの数はsend先として使用可能なトラックをカウントしたものですので、ミキサートラック番号ではありません(コントロールを右クリックするとミキサートラックの名前がわかります)。サイドチェイン出力パスはチュートリアルセクションで説明しているような「Mid/Side処理」などを行う際に重要です。

プリセット

Fruity Stereo Shaperはふつうプリセットを通して使うべきです。このプラグインの典型的な用法はすべてここに含まれています。

  • Effects:
    • Delay - L/Rチャンネル間を30ms遅らせるスタンダードなL/Rステレオディレイです(Rの方が遅れます)。モノラル音をステレオ化する時には20~40msの範囲で調整すると一般に最も良い結果が得られます。
    • Old / Old 2 / Phaser - ステレオ感ないしはstatic-phaseエフェクトを作り出す、位相+L/Rディレイのバリエーションです。PhaseもしくはDelayコントロールをオートメーションすると位相に動きが加わります。
    • Shrinked - チャンネルフィードバックとL/Rディレイを使ったもう一つの疑似ステレオエフェクトです。
    • Stereoize... - チャンネル間ミキシング、位相、L/Rディレイコントロールを組み合わせた各種の疑似ステレオエフェクトです。
  • Mixing:
    • aMid - Side splitter - 「調整済み」(下記参照)Mid信号をホストのミキサートラックに残し、Side信号をIN/OUT Differenceトラックに送ります.
    • aSide - 「調整済み」Side信号を両方のチャンネルに出力します。
    • aSide - Mid splitter - 「調整済み」Side信号をホストのミキサートラックに残し、Mid信号をIN/OUT Differenceトラックに送ります。
    • Invert Left - 左チャンネルの位相を反転します。
    • Invert Right - 右チャンネルの位相を反転します。
    • Left - Right splitter - 左チャンネルをホストのミキサートラックに残し、右チャンネルをIN/OUT Differenceトラックに送ります。
    • LR to LL - 左チャンネルの音がL/R両方に出力されます。
    • {LR to MS - ステレオ入力をM/Sジョイントステレオ信号に変換します。つまり、左がMID信号、右がSIDE信号になります。
    • LR to RL - 左右のチャンネルを入れ替えます。
    • LR to RR - 右チャンネルの音がL/R両方に出力されます。
    • Mid - MID信号を両方のチャンネルに出力します。MID=(L+R)/2です。
    • Mid - aSide splitter - Mid信号をこのプラグインのミキサートラックに残し、「調整済み」(下記参照)Side信号をIN/OUT Differenceトラックに送ります。
    • MS to LR - M/Sジョイントステレオ入力をステレオL/R信号に変換します。
    • Side - SIDE信号を両方のチャンネルに出力します。SIDE=(L-R)/2です。
    • Side - Residual splitter - Side信号 (L-R)/2 をこのプラグインのミキサートラックに残し、残りをIN/OUT Differenceトラックに送ります。

プリセット補足

「調整済み(adapted)」チャンネル
(a)がついているプリセットは、L/Rステレオの再構築を助けるために一方のチャンネルが位相反転されていることを意味します。たとえばプリセット「aSide」は右チャンネルを反転させているので、右のaSideチャンネルをいずれかのMidチャンネル(Midは左右どちらから取っても同一です)とミックスすると元の右チャンネルの信号が復元されます。言い換えると、Left = Mid+Side、Right = Mid-Sideなので、Side出力の右チャンネルは符号反転(もしくは「調整」=aSide)されていなければいけないのです。もし符号反転(「調整」)していなければ、右のミキサートラックにもう一個左チャンネルと同じものができてしまうことになります。詳しくはMid/Sideステレオマスタリングの項を参照して下さい。

Mixingプリセットの名称
splitterと名のつくプリセット名の最初の単語は、プラグインがこのミキサートラックに残す信号が何であるかを指しています。二つ目の単語は別のサイドチェイントラックに送る信号を指します。たとえば、「Left - Right splitter」は左チャンネルをプラグインのミキサートラックに残し、右チャンネルをサイドチェインミキサートラック(「In/Out Difference」セレクタで選択したもの)に送ります。

Stereo Shaper チュートリアル

このセクションではStereo Shaperが備える機能の一部と、どうすればその成果が得られるかについてを紹介します。始める前に、まず様々なステレオミックスを作り出すために使われる左右チャンネルの合成手法、および用語について確認しておきましょう。これらの用語はFruity Stereo Shaperのプリセット名にも使われています。下図はL/Rチャンネルが混ぜ合わされる様子を描いたものです。ミックスの結合部(丸)に書いてある記号は演算を意味しています(ゲインやチャンネルの加算、減算、除算)。ただし単語(チャンネル内容)の前に書いてある+記号はサウンドの位相の意味です。+が元の位相で、-は反転した位相です。

  • MID - Middle の略で、 両方のチャンネルの和をとったモノラル信号 のことです。「Middle = (L+R)/2」の計算式で表されます。MID(ミドル)と呼ばれてはいますが、必ずしもセンターパン(ミドル)の音だけとは限りません。左右にパンされた音の一部もMID信号に混入しているからです。単に両方のステレオチャンネルを加算して2で割っただけなので、レベルは2つのチャンネルの平均値に落ちます。残念ながらWeb上でMID信号という言葉が出るときは、しばしば単純にセンターパン(ミドル)情報のことを指して使われがちなのですが、もともとマイク録音の技術であったMid/Sideレコーディングの由来を誤解していると言わざるを得ません。もっともMID信号は大部分がセンターパン(ミドル)の音に占められています。MID信号は下図のような時に作り出されます;
  1. 1 (0 dB) は、右チャンネルが左チャンネルに+1(100%)ないしは0dBのレベル変化で(つまり全く変化せずに)ミックスされるということを意味しています。これはFruity Stereo Shaperのチャンネル間ミキシングスライダ(外側のペア)も準拠している計量法です。ここでMID信号を表現するには一つのチャンネルさえあればいいということ、また前述の通り、MID信号はオリジナルのステレオソースにおけるセンターパン(ミドル)情報でほぼ占められているということを確認して下さい。ミドル信号は完全に左/右に振られたチャンネル情報の倍の強さになります。

  • SIDE - 音がサイドに振られるということは、言い換えればオーディオ/信号のステレオ構成要素が各スピーカー毎に別々になるということです。「SIDE = (L-R)/2」の計算式で表されます。共通のモノラル信号をキャンセルするので、一緒にミックスされたサイド信号だけが残ります。正の「SIDE」信号は、左の信号の方が右よりも大きいことを示し、負の「SIDE」信号は右の方が左よりも大きいことを示します。SIDE信号は下図のような時に作り出されます;
MID信号と同様、SIDE信号を表現する時もチャンネルは一つしか要りません(下のMSステレオコーディングの項を参照)。MID信号と異なりSIDEは間違いなくステレオ情報だけを持ち、一切のモノラル成分を持ちません。つまり、この信号に対して適用された処理は完全にミックス中のステレオ(SIDE)成分にだけ影響を及ぼすということです。
  • 左ステレオチャンネル = (L+R)/2 + (L-R)/2。ここでL+R/2 = MID、(L-R)/2 = SIDEと考えると、この式はStereo Left = MID + SIDEとも書き直せます。
  • 右ステレオチャンネル = (L+R)/2 - (L-R)/2。もしくはStereo Right = MID - SIDE。
  • M/S ステレオコーディング - ジョイントステレオの一種で、L/RではなくMID/SIDEチャンネルの形に再処理されたステレオ信号のことです。MIDとSIDE信号はどちらも単独のチャンネルで表現できますので、2トラックのオーディオファイル(ステレオ)はL/RとM/Sのどちらでも含むことができます。

: Fruity Stereo Shaperのここまでの機能は、適切なルーティングと位相反転を施せばすべて標準のミキサートラックの中だけでも実現できることに気付きましたか?このチュートリアルを読み終わったら、ちょっとルーティングとミキサートラックコントロールだけでMID/SIDEトラックを作り出すことに挑戦してみるといいですよ。

サウンドミキシングの科学

Stereo Shaperのメイン機能の一つは左右のステレオチャンネルをクロスミックスすることです。ミックス時の位相とレベルを変えることにより、パン、ステレオエンハンスメント、Mid/Sideエンコード/デコードなどといった様々な役立つエフェクトが得られます。より複雑なミキシングプロセスを理解するためには、音の波形が位相に応じてどのようにミックスされるかに関して正しい理解を持つことが大事です。たとえば、二つの完全に同一の波形をミックスした場合には音は二倍の大きさになります。しかし、もし一方の波形の位相が反転していれば、まったく逆のことが起こって音はキャンセルされ無音になります。ステレオミックスにおいては、後で次のセクションにおいて説明するように、ミドル(センターパン)のオーディオを除去するためにこのテクニックを用います。

左右のステレオチャンネルをミックスする

ステレオトラックを、二個のスピーカーやヘッドホンから再生される時のようにL/Rチャンネルで考えるのはごく自然なことです。しかしながら我々はこれをステレオ信号とモノラル信号がミックスされたものであると考えることもできます。センターパンのサウンドはスピーカーの中心から(あたかもモノラル信号かのように)聞こえます。これをMID信号と混同しないようにして下さい!(上の方で説明した通り)MID信号にも若干のステレオ情報が含まれているからです。「モノラル」のサウンドは両方のスピーカーが完全に同じレベルで同じ音を出力した際に生成されます。ステレオオーディオは左右のスピーカーがそれぞれ異なる音を、もしくは同じ音を異なるレベルで再生した時に出力されます。次の例を考えてみましょう。

上の図には二つのトラックがあります。一つはセンターパン(Mono)で、もう一つは「Left-side」と「Right-side」からなる、完全にパンされたL/Rの「ステレオ」トラックです。この二つのトラックが一つのステレオトラックにミックスされます。

ステレオ信号 - 文字通りに取れば、「Left side」は完全に左にパンされたもので「Right side」は完全に右にパンされたものでしょう。左右のチャンネルが異なる音を出力しているので、これはステレオに聞こえます。

モノラル - 「Mono」とはパン位置が完全に中央にあることを意味します。これは左右のスピーカーが全く同じ「Mono」を同じ音量で出力するということです。もちろん中央から「モノラル」に聞こえます。

合成時 - 二つのトラックがミックス(+)され、左チャンネルは「Left side」+「Mono」に、右チャンネルは「Right side」+「Mono」になりました。「Left side」「Right side」は完全に左だけ/右だけから来て、「Mono」はステレオ音場の中心から来るわけですから、必然的にミックス結果はステレオの広がり全体をカバーすることになります(左、右、中心)。

パン

Our stereo track can be later panned Left or Right by one of two methods:
こうしてできたステレオトラックは後からいずれかの方法で左右にパンすることができます。

  1. 独立に左右のボリュームを変化させる L/Rチャンネルのボリュームを上げ下げすると、「Mono」の音が大きい側の方に動いて聞こえます。「Right side」「Left side」は元の位置に留まったままですが、若干静かになります。独立にチャンネル音量を操作する方法では左右の情報の独立性が保たれますが、激しいパンを行った場合、下げた方のチャンネルにしか含まれないオーディオ情報は犠牲になります。この問題を解決するにはもう一つの方法を使います↓
  2. クロスチャンネルミキシング 一方のチャンネルの信号をもう一方にミックス(加算)し、同量だけ元のチャンネルのボリュームを下げることです。これはグラスの水を移す時のごとく、一方のチャンネルの音をもう一方に「流し込む」ようなものです。例として完全に左にパンした場合、左チャンネルが「Left」「Mono」「Right」の全ての音を再生します。失われる音はありません。 注: これはFL Studioのミキサーのパンコントロールが採用している手法です。

Stereo Shaperは上記のパン方法のどちらも使うことができます。しかし、Stereo Shaperが備えるステレオ処理機能のもっともおもしろい部分と言ったら以下に挙げるものでしょう。

ステレオ感の拡大

  1. 新しいプロジェクトで始めることにしましょう。十分ステレオの広がりを持っているオーディオクリップをロードします。このチュートリアルはモノラルサウンドに対しては働きませんので、もし音がステレオになっていなければ、それ以上拡大することはできません。
  2. Stereo Shaperをマスターのミキサートラックにロードします。片方のチャンネルの位相を反転させそれをもう一方の対に加算することで、減算クロスミキシングを行います。位相はスライダの方向で操作します。上記のミキサーマトリクス図を見てわかる通り上半分は普通のミックスですが、下半分は負の位相です(もし信号が全て共通であれば減算ミックスとなります)。
  3. Stereo Shaperの「Default」パッチを開いて下さい。つまり「Left into Right」「Right into Left」を中央の位置(ミキシングなし)に、左と右のチャンネルのボリュームを100%(+0dB)に合わせた状態です。ちなみにdBは元の信号と比較した相対的な値を意味しています。0dBというのはボリュームを全く変えないということですが、-0dBはボリュームはオリジナルのまま変えないけれども位相を反転させる(鏡像にする)という意味です。
  4. プロジェクトの再生ボタンを押してから、「Left into Right」「Right into Left」スライダを-6dB(-50%)の位置までドラッグしてみましょう。マジカルなことが起こったのに気付きましたか?ステレオイメージが広がったように聞こえたはずです。

ここで説明した方法はミキサーのStereo separationノブを左にめいっぱい回した時と同じ手法です。上の図は数式的に何が行われたのかを説明したもので、Leftチャンネル=[(Mono + Left) - (0.5 Mono + 0.5 Right)]=[Left - 0.5 Right - 0.5 Mono]、Rightチャンネル=[(Mono + Right) - (0.5 Mono + 0.5 Left)]=[Right - 0.5Left - 0.5Mono]となります。「Mono」(センターパン)のサウンドは原音の0.5(50%)のボリュームであり、一方もっと重要な点ですが、L/R(サイド)の信号は依然100%でありながら、今やMono(センター)の二倍のボリュームとなっていることを確認して下さい。言い換えると、我々はサイド成分を強化した(ステレオエフェクトをかけた)ということです。

ステレオ感の削減

拡大する場合に比べると、ステレオ感を削減するのは比較的簡単です。極端な話、左右のチャンネルを単にお互いクロスミックスしてしまえば、左と右のチャンネルは同一になります。

  1. デフォルトパッチで始めます。
  2. 全てのスライダを-6dBにセットします。つまり左端から「Right into Left 50%」「Leftレベル 50%」「Rightレベル 50%」「Left into Right 50%」です。L/Rチャンネルを50%に下げてあるのは全体のレベルを保つためです。

これはミキサーのステレオセパレーションのノブを右に12時の位置に合わせた時に行われることそのものです。Stereo Shaperで行う場合は全てのスライダを50%(+6dB)の位置にするか、もしくは「Mono」プリセットを選びます。

ミドルパンサウンド除去

  1. 「ステレオ感の拡大」のチュートリアルと同じように始めます。ここで「Left into Right」と「Right into Left」のスライダを-6dBから-0dB(つまり-100%クロスミックス)に動かせば、左右で共通な全ての成分は完全にキャンセルされることになります。
  2. これにより左右チャンネルにはそれぞれ固有の情報だけがプラスで残り、そこに反対側のチャンネルの持つ固有情報を反転させたコピーが重なる形になります。
  3. 数式的には、Leftチャンネル=(M+L)-(M+R)=L-R、Rightチャンネル=(M+R)-(M+L)=R-Lとなります。このクロスミキシングは中央に向かって圧縮した「モノラル」のように聞こえるかもしれませんが、元から両チャンネルに共通だった成分(ミドルにミックスされたサウンド)は取り除かれています。

ここで音が少し変に聞こえることに気付いたかもしれません。これはクロスチャンネルにより位相の違いが発生するせいです。あなたが聞いているのは実質、かつては極端なステレオ音場に置かれていたもののセンターパンミックスです。左右どちらかのチャンネルの位相を反転させると「変さ」は若干薄れます(両チャンネルが完全に一致するので)が、おそらく出力レベルの低い散漫な音になり、あまりおもしろくないでしょう。片方のチャンネルの 位相を反転させる には、すぐ次のスロットにStereo Shaperをもう一つロードし、Defaultパッチを選んでLeftかRightのチャンネルボリュームを-0dBにします。

: 「ミドルパンサウンド除去」は一般には「ボーカル抽出」という売り文句で知られています。ボーカルがスピーカーのど真ん中に配置されていて一切のステレオエフェクト(リバーブ、ピンポンディレイetc...)を持たず、その他の楽器はほとんどステレオであってステレオ音場を囲むようにパンされているものと仮定すれば、理論的にはMid(ヴォーカル)をSide(楽器)から分離することができます。理論は素晴らしいのですが、この仮定が100%満足されることはまずありません(ボーカル抽出ツールを買ったお客が満足しないのと同じで)。Fruity Stereo ShaperはMid/Side成分を別々のチャンネルにサイドチェインで送ることができるので、Mid(主にヴォーカル。L/Rに振られた楽器成分も、元の音がどの程度パンされているかに応じて依然50~100%ほど残るけれども)とSide(主に楽器)のどちらかを保存することができます。

MID/SIDEステレオマスタリング

MID/SIDE処理のテクニックはマスタリングをはじめ様々な応用ができます。たとえば、ギターのような楽器をステレオレコーディングしたなら、そのステレオ成分だけをより明るくイコライズしたり、ステレオ音場を広げたりできます。一方ベースサウンド(普通はセンターに置く)には独立したコンプッションをかけて音を大きくしたりできます。こういった処理の助けとなるよう、Stereo Shaperは出力相違にサイドチェインをかける機能を持っています。つまり、処理を通したプラグイン出力とオリジナルの入力信号との間の相違に対して、ということです。もしプラグインがMID(ミドル)信号を送るように設定すれば、difference(サイドチェインセレクタで指定した先)にはSIDE(ステレオ)信号が送られます。このアプローチを用いれば、MIDとSIDE信号を分離してそれぞれに異なる処理をかけることができます。なおこのテクニックを使うためには 二つのミキサートラックが必要 であり、また 入力オーディオがステレオ成分を持っている必要 があります。でないとMIDから分離すべき「SIDE」信号がどこにもないことになってしまいますから。

  1. 新しいFL Studioプロジェクトを開きましょう。
  2. 処理したいオーディオクリップをロードしてプレイリストに置きます。
  3. ミキサートラックにStereo Shaperをロードします。
  4. Stereo Shaperのあるミキサートラックを「MID」とリネームします。このトラックがマスタートラックにMID信号を出力することになります。
  5. 先程のオーディオクリップをMIDミキサートラックにルーティングします。
  6. 一つ右隣のミキサートラックを「SIDE」とリネームします。こちらはマスタートラックにSIDE信号をフォワードします。
  7. サイドチェインルーティング - MIDミキサートラックを選び、SIDEトラックのsendスイッチの上で右クリックし、「Sidechain to this track」を選びます。これでMIDトラックがSIDEトラックにサイドチェインされました。
  8. IN / OUT Differenceセレクタ の上で右クリックし、リストからSIDEミキサートラックを選びます。これでStereo ShaperはSIDE信号をSIDEトラックに送るようになります。あらかじめサイドチェインしておかないとリストには出現しません(前項を参照)。
  9. Stero Shaperプラグインで「Mid - aSide splitter」プリセットを選びます。これでオーディオクリップのMID/SIDE信号が「MID」「SIDE」ミキサートラックにそれぞれ送られるようになりました(プリセットの名称を理解するにはプリセットセクションを参照)。
  10. playボタンを押してオーディオクリップを聴いてみましょう。聴く限りでは何も変わらないはずですが、ミキサートラックの「MID」と「SIDE」に両方音が流れていることは見てわかるはずです。一般にSIDE信号はMIDに比べて若干低めのボリュームになるので、ピークメーターもそうなるはずです。
  11. ステレオエンハンス - SIDEミキサートラックを+6dB以内の範囲で上げるか、MIDミキサートラックを-6dBまで下げるかすると(あるいはSIDE +3dB、MID -3dBくらいの範囲でもよい)ステレオエフェクトをマキシマイズすることができます。もし±6dB以上の調整をしてしまうと、ステレオエフェクトはだんだん減衰してしまいます(なぜ6dBがマジックナンバーなのかはステレオ感の拡大のセクションを見て下さい)。いじくりすぎてしまった時はもう一度「Mid - aSide splitter」プリセットを選び直して下さい。
  12. MID/SIDE成分をソロで聴く - MIDトラックをソロで聞いた場合はモノラルに聞こえます(これはあたりまえ)。ですが、SIDEトラックをソロで聞いてもステレオには聞こえません。お聞きの通り、「かなり妙な」モノラルに聞こえるはずです。サイド信号というものはミドル信号と組み合わせてからでないとステレオにはならないのです。サイド信号をソロで聞いた場合の結果についてはミドルパンサウンド除去のセクションでも述べています。でもご安心下さい、この信号に適用したエフェクトはちゃんと入力信号中のSIDE成分にだけかかります。これらの音が単独とステレオの両方で使われてしまうようなことはありません。
  13. MID/SIDEマスタリング (やっと!) - コンプレッサやパラメトリックEQなどのエフェクトをStereo Shaperの後と、それからSIDEミキサートラックに置けば、信号中のMID/SIDE成分に対して独立にリバーブ/コンプレッション/EQをかけることができます。
    レベルに注意 - MID/SIDE信号にコンプレッサやEQをかける時は、MID/SIDEミキサートラックの最終出力レベルに十分注意を払いましょう。もしいずれかのトラックの出力レベルが処理前のレベルと異なっているようなら(「マスタリング」エフェクトを外してチェックして下さい)、(望む望まざるにかかわらず)エフェクトによって引き起こされたレベル変化に基づいてステレオの広がりを調整してしまうことになります。たとえば、もしSIDE信号をコンプレスした結果としてトラック出力が+4dB上がったなら、それを相殺して(普通は)元のステレオバランスを維持するために、トラックのボリュームスライダーを数dB下げるべきでしょう。

: もしミックス段階でプロジェクトのすべての構成要素にアクセスすることができるのならば、各トラックの段階でそれぞれに独立のコンプレッション、EQ、パンをかけた方がはるかに効果的です。この場合MID/SIDEマスタリングについて考える必要は実質ありません。このテクニックは主にステレオトラックだけ与えられてミックス中の個々のトラック(トラック「ステム」と呼ばれます)にはアクセスできないような、マスタリングエンジニアのためにあるものです。

Plugin Credits: Didier Dambrin
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