Maximus

Maximusの紹介


Maximusは原始的な品質のマスタリング・マキシマイザー以上のものです。Maximusはコンプレッサーであり、リミッター、ノイズ・ゲート、エキスパンダー、ダッカー、ディエッサーでもあります。Maximusは最終段のマスタリング・プラグインとしてだけでなく、同様にトラック毎のエフェクトとしても、他のプラグインよりも優れています。本当に最高(Maximus)なのです!

Maximus機能一覧

  • ユーザー定義可能な三つの独立したHIGH MID LOW(HML)周波数バンド。
  • HML周波数バンドとMASTERのコンプレッション・エンベロープ用のカスタム先読み。
  • HML周波数バンドに各一つとMASTER広帯域に合計四つのリミッター/コンプレッサー。
  • 各コンプレッサーに無限に変更可能なコンプレッション・カーブ。どんな形のニーや特殊効果(リミッティング、コンプレッション、ゲーティング、エクスパンション)でも作成できる。
  • 完全に設定変更可能。HMLとMASTERのいずれのコンプレッサーもバイパスに設定可能で、どのようなリミッティング、コンプレッション、マキシマイゼーションにも適合する。
  • HMLとMASTER帯域にそれぞれ独立したゲインを持つ二つのサチュレーションタイプ。
  • 周波数に依存したコンプレッサーとマスターで位相フリーミックス可能。パラレル&NYスタイル・コンプレッションに最適。
  • オプションにIIR or 線形位相周波数分離フィルタリング。

マキシマイゼーション

Maximusはすぐにでもあなたのレコーディングとミキシング用兵器のなかでも最も価値のあるもののひとつになるでしょう。Maximusはコンプレッションとリミッティングを三つの周波数帯にわたってレベル・マキシマイゼーションを適用し、最終トラックの質を向上し改善します。控えめに使うと、Maximusは不要な歪みを生じさせることなくトラックのボリュームを上げ、ミックスのなかで失われてしまいがちな静かなパートをより聞こえやすく確保します。ベースは増し高周波は鋭くできます。楽器やボーカルのようなミックス中の選択した要素や全トラックにでもプロがマスタリングしたように存在感('presence')を与えます。

NOTE:マキシマイゼーション使用倫理学会から一言二言:完璧なミックスは数回のマウス・クリックでは得られない、だろ?もし本当にプロフェッショナル品質のトラックを得たいなら、YouTubeビデオ'Louder!'を観て、Wikipediaの'Loudness wars'を読むことをお勧めします。

ヒント・バー (VSTバージョンのみ)

Maximuxの下に位置しているHint Barはノブとスライドがプラグイン・インターフェースで変更されるとその値を表示します。また、マウス・ポインターがコントロールやインターフェース機能の上に置かれるとヒントを表示しますので、Maximusがどのように動くのかをすぐに知ることができます。他にヒント・バーの便利な機能として、プラグイン・オプション・メニューを開いてアクセスしたり、ヒント・エリアを右クリックしてプラグインのプリセットを選択することができます。
(訳注:現在はVSTバージョンしかないと思います)

シグナル・フロー


チュートリアル

シグナル・フロー・チャートはMaximusをどうやって使うのかはほとんど説明していません。そこでいくつかのチュートリアルを用意しましたので、Maximusの提供する多様な可能性を理解する手助けとしてください。
このセクションでは下記を説明します。
  • コンプレッション
  • リミッティング
  • パラレル/ニューヨーク・コンプレッション
  • ノイズ・ゲーティング
  • ダッキング
  • ディエッサー
  • デシベル(dB)

Note:ほとんどのコンプレッションの設定で重要なパラメータはプリゲインとポストゲイン、コンプレッション・エンベロープの形状、リリース・タイムで、これらのパラメータをマキシマイジングするサウンドのタイミングとダイナミクスに適合するように細かくチューンする必要があります。また、このチュートリアルはラーニングガイドであって、Maximusに絶対的に正しい使い方や間違った使い方というものはありませんので、音が素晴らしいならそれが素晴らしいんだということを心に留めておいてください。そこで'素晴らしい'音とはこういうものだと私たち皆が同意できるものがあれば良かったのでしょうが。

Compression

コンプレッションはサウンドのダイナミック・レンジを減少させる自動ゲイン・コントロール方式のひとつです。入力信号が既定の閾値を超えるとゲインを減らします。コンプレッサーの設定の技巧は、コンプレッションの処理による副産物を生まないように、おもにマグニチュード、スピード、ゲインが自動で変化するタイミングを細かくチューニングすることにあります。どうして振幅のピークを減らすとサウンドの音量を上げることができるのでしょうか?これを理解するためにはサウンドの開始(アタック)と本体(サスティン)の部分がどのような解釈のされかたをして私たちに聞こえるのかを考えなければなりません。アタックはおもに清澄さ(clarity)、パリパリ感(crispness)、迫力(punch)などの音色の印象に用いられる一方で、サスティンは音の大きさ(loudness)の知覚のほとんどに寄与していることが知られています。サスティンが最も重要なのは、ラウドネスの知覚はある瞬間より以前の600から1000ミリ秒間の積分(平均)から決まるからです。極短いデュレーションのアタックのトランジェントは単純にサウンドのボディに大した重さがありません。ピーク・トランジェントの振幅を下げることにより、ヘッドルームを広げ信号のサスティンの部分(コンプレッション後)のゲインをあげる、これがラウドネスを増加させる手段です。しかし、先にすこし触れたように、コンプレッションはダイナミクスとラウドネスの間にトレードオフを生じさせます。ラウドネス戦争(loudness war)へようこそ!
MaximusはLOW、MID、HIGH周波数帯に各ひとつずつと、この三つの周波数帯の出力を合わせたMASTERに適用する、四つの独立したコンプレッション・エンベロープがあります。なぜ三つの周波数帯があるのでしょうか?全周波数スペクトラムにわたる単一のバンドにコンプレッションを適用すると、音量の大きい音(例えば低周波の重いキック・ドラム)がコンプレッサーをトリガーし、低周波を含む全周波数を減衰させます。これはキックに調子を合わせてトラックのブライトネスが変動して聞こえるようになる、ポンピング(pumping)として知られています。これはある特定のスタイルの音楽では望ましいのですが、一般的に最終ミックスには良いこととは考えられていません。周波数帯を低周波と高周波のように隔離し、それぞれを独立にコンプレッションすることで、ポンピング効果を避け副産物なしにコンプレッションのレベルをより大きくすることができます。
それではMaximusではどのようにしてコンプレッションのパラメータをコントロールするのでしょうか?伝統的なコンプレッサーを使った経験があるなら、Maximusにはスレッショルド・レベルやレシオのコントロールが無いことに気づくでしょう。代わりに、スレッショルドとコンプレッション・レシオは、ユーザー定義可能なエンベロープを使うことで完全にカスタマイズ可能です。グラフは入力(横軸)から出力(縦軸)への関係をあらわしています。下記でより詳しく説明します。
左の'No Compression'の例では入力レベルに関係なくレベルは変化せずに出力へ通り抜けます。中央と右のグラフでも、'Threshold'としるされたポイント以前の、コンプレッションが適用されない入力レンジがあることに注意してください。中央の'Heavy compression'のグラフでは-3dBより後から、このポイントで1:1(45度)の線から外れるような修正しています。ずれるポイントはコンプレッション・スレッショルドをあらわしており、つまりコンプレッションが開始するレベルを示しています。スレッショルド・ポイントより後では入力レベルが増すにつれ、徐々により多くのコンプレッションが入力信号に適用されることが分かります。このコンプレッション・カーブは通常パーカッション・サウンドに使われ、ピークをカットし、残りのパートの信号をクリッピングすることなしに増幅することができます。右のグラフ、'Hard limiting'では信号が0dBスレッショルドを一度超えると信号はそれ以上増えることができなくなるという特殊なケースを示しています。コンプレッション・リミッティングは次の'Limiting'セクションでより詳しく説明します。
可能性は無数です!ここではMaximusのコンプレッション・エンベロープのより創造的な使い方を考えてみることにしましょう。左のパネル'Gating'は-12dB以下のいかなる入力信号もカットします。'Boost & limit'のカーブは低入力信号を増幅し、それを0dBでリミットします。一方、'Inversion'のカーブはサウンドのボリュームを反転させ、音量の大きいものを小さくそして、小さいものは大きくします。本当に、Maximusの'創造性'を使うと何でも可能になるのです。Maximusの'Default'パッチのマスター・コンプレッション・エンベロープで実験をして、様々なコンプレッション・カーブがサウンドにどのように作用するのかを調べるのにいくらか時間を取ることは価値があるでしょう。

Setting the Compressor

ここでの例ではマスター・コンプレッサーの設定に関して学び、Maximusを単一周波数バンドのコンプレッサーとして使う方法を学びます。
  1. 使いどころ - 基本的なコンプレッションはミックスの各サウンドやサブトラック(例えばパーカッションやベース・サウンドなど)に適当です。
  2. サウンド源 - 4/4のパーカッション・トラックにキック・サウンドとオフビートのベース・サウンドを置きます(1Kick,Bass,2Kick,Bass,3Kick,Bass,4Kick)。そう、テクノのようにです。テクノは嫌いですか?キックとベースのあるパーカッション・トラックなら何でも良いです。
  3. パッチ - 'Default'と名付けられたパッチから始めます。これは上で見たような'Hard-limiting'が全帯域で設定されています。次に、LOW、MID、HIGHを選択して、バンドセレクターの右にあるCOMP OFFスイッチを使ってオフにします(その周波数帯をミュートさせるOFFスイッチは使わないでください)。これでマスターのコンプレッサーだけがアクティブになりました。
  4. 周波数バンドの設定 - 今はマスターのバンドだけが作動しています。この後で、もし望むなら、LOW & HIGH FRQカットオフバンドを素材に合うように設定します。Analysis DisplayのBANDモードでスペクトログラム出力をONにすると、入力サウンドの周波数レンジや、使うバンドの数、カットオフの場所を確認するのに便利です。しかし、最終的な指針としては耳を使う(目ではなく)ことを忘れないでください。
  5. コンプレッション・カーブの設定 - サウンドを再生してコンプレッション・カーブを、上で示した'Boost & Limit'カーブと同じように調整します。
  6. プリゲイン - プリゲインは入力レベルをコンプレッション・エンベロープの望みのレンジ内に設定できる、重要なパラメータです。入力がコンプレッション・スレッショルドに届かなければコンプレッション・リミッティング・カーブを設定するポイントがありません。他の方法として入力信号に合うようにコンプレッション・カーブを編集しても良いです。
  7. ポストゲイン - ピーク・ボリュームが0dBに近くなるようにポストゲインを調整します。パーカッション・サウンドが(特にベースが)大幅に大きくなるのが分かるはずです。
  8. アタックとリリース - このパッチではデフォルトのアタックは2.0ミリ秒に設定されていてこれはこのままでOKです。しかしリリースにはより劇的な効果があります。リリース時間が増えるとベースは静かになるはずです。これはキックがコンプレッションをトリガーし、長いリリースによりベース・ノートの上にかぶさるまでコンプレッション・エンベロープが保たれたことを意味しています。言い換えると、ベースにもキックのコンプレッションが適用されたということです。一般的に言って、アタックとリリースの設定の原則は、'ポンピング'(ボリューム/ブライトネスが音量の大きい音に合わせて変化する)のような明らかな副産物を避けるようにし、ミックス内のサウンドの正しいバランスを得ることです。
  9. 視覚による分析 - Band input peaks()とBand gain envelope()以外のディスプレイ・オプションをOFFにすると入力ピークと適用されたコンプレッション・エンベロープが明確に見えるようになり、加えてリリース・エンベロープの調整の効果もよく分かります。
上の分析では、リリース時間は最小(トレースの左側)から高い値(トレースの右側)へ変化しています。この場合、より長いリリースはより滑らかなカーブになっており、高周波に影響されることなく入力信号についていっており、この方がおそらくより良い設定でしょう。分析表示をガイドに使うとしても、通常は、全ての設定の最終的なガイドは自分の耳であるべきです。

Notes & Tips:
コンプレッサーが動作するためには、出力信号を変化させるコンプレッション・カーブの箇所に、入力信号が働きかけるようにしなければなりません。なぜコンプレッサーが思ったように動作しないのか、私は不思議な思いで数分間過ごしたことが一度のみではないと白状します。入力レベルがコンプレッション・スレッショルドを超えていないということを発見しただけでした(Doh!)。
  1. コンプレッサーをはたらかせる - 'Heavy compression'の例(上記の右上)では、信号のピークが'Threshold'ポイントを過ぎるまでにはコンプレッションはありません。これを達成するには2通りの方法があります
  • プリゲインを望みの量修正して、信号がコンプレッション・ゾーンをまたいでスイープするようにします。プリゲインを変えたデシベル数を逆転させて、反対方向にポストゲインを修正します。これにより信号のコンプレッションされない部分を元のレベルに戻します。
  • カーブが信号の望みの部分をまたぐように書き直します。
  1. カーブのスケールを変える - 関心のある信号がコンプレッサー・カーブの入力まで上がらないことがあるかもしれません。最下部のラベルで-18dBを示しています。プリゲインを12dB増やすと12dBスケールが変わり、カーブは-30dBから始まるようになり、ポストゲインを12dB減らしてコンプレッションされない信号のレベルが変化しないようにします。
  2. バレット・タイム(Bullet time) - コンプレッサーの効果が聞こえない場合は、リリース・エンベロープを500ミリ秒程度まで増やします。オーディオ・ベリフィケーション(audio verification)に便利です。

Limiting

リミッティングは単にきついコンプレッション(一般に10:1より大きいコンプレッション・レシオをいう)です。出力ボリュームを特定の最大レベル、通常は0dB、に制限する目的は、最終トラックでクリッピングを避けるためです。ここでの例ではリミッティング・スレッショルドより上では無限のコンプレッションを使うことにします。つまり、入力ボリュームに関係なく出力は増えません。リミッティングは信号トランジェント(速いピークの)が最終ミックスをクリッピングさせるのを防ぎます。リミッティングはMaximusのどのチャンネル(LOW、MID、HIGH)にも適用できますが、ここでは完成したミックスにだけを考え、リミット・カーブをMASTERのコンプレッション・エンベロープへ適用し最大出力を0 dBに制限することにします。
上の例のMASTERコンプレッション・カーブでは信号が0 dBのレベルを超えると出力が0 dBにハード・リミットするよう設定されています。オーディオの分析には有限の時間しか取る事ができませんから、最も速いトランジェント・ピークはシステムが反応できる前にコンプレッサーをするすると抜けていく可能性があります。この問題を解決するために、速いアタックと先読み('look-ahed')が使われます。先読みはプラグインに小さな遅延を与えることにより、プラグインが信号を先読みして速いトランジェントを検出し、コンプレッションをジャスト・イン・タイムで適用できるようにします。完成したミックスのリミッティングでは、MASTERのリミッティングがクリッピングを防ぎますでの、LOW、MID、HIGHバンドを0dB以下に保つことはとくに不可欠ではありません。

Setting a Limiter

  1. 使いどころ - リミッターは通常マスター・ミキサー・トラックに最終マスタリング・エフェクトとして適用します。
  2. チュートリアル音源 - 完成した曲をホストに読み出してMaximusをマスター・ミキサー・トラックに置きます。
  3. パッチ - 'Default'のパッチから始めます。
  4. コンプレッション・エンベロープの設定 - 'Default'パッチは全てのバンドが上で示したような'Hard limiting'に設定されています。LOW、MID、HIGHバンドを選択してバンド・セレクターの右にあるCOMP OFFスイッチを使ってOFFにします(バンドをミュートするOFFスイッチは使わないでください)。これでMASTERバンド・エンベロープだけがアクティブになっています。0dBポイントより前のコンプレッション・カーブを確かめましょう。入力と出力のレシオは1:1に設定されています。これは、0dBより低い入力信号は変化することなく出力されることになります。
  5. コンプレッション・カーブの設定 - 'Default'パッチはすでに0dBに'ブリック・ウォール'リミッターが設定されています。
  6. プリゲイン - ホストでトラックの最も音量の大きいところを再生させ、入力レベルがところどころでリミット・レンジ(0dB以上)まで届くようにプリゲインを設定します。上の今回の例では最終ミックスとしては多少過激に、信号のほとんどがこのレベルを超えています。常になにがベストなのか、最終的な判断は目ではなく、耳でしてください。色々な入力レベルを試してその結果を聞いてみて、オーバー・リミッティングがどのような音になるのか身につけてください。
  7. アタックとリリース - MASTERバンドのアタックは'先読み'遅延でもあります。リミッティングの本分として、速いトランジェントがすり抜けてしまわないように、この遅延が設定されていることが不可欠です。デフォルトでは2.0ミリ秒に設定されていて、この値をゼロに減らすとリミッターがどの程度効果がなくなるか、注目してください。リリースは耳で設定しなければなりません。デフォルトでもそこそこ妥当なはずです。ここでもう一度いいますが、試行することが重要です。一般的に言って、アタックとリリース・タイムの設定の原則は、'ポンピング'(ボリューム/ブライトネスが大きな音に合わせて変化する)のような明らかな副産物を避け、最終ミックスに紛れも無く偏りのないサウンドを達成することです。
  8. 視覚での分析 - ディスプレイでは紫の線がバンドのアナリシス・エンベロープを表しています(この例の場合、入力ピークレベルとほぼ同じことを表します)。出力(緑のピーク)が0dBを越えていなことが分かります。

NOTES:
ピーク表示から決めることは難しいかもしれませんが、ここで使用した例は、入力信号のほとんどがリミット・スレッショルドを越えてしまっているので、最終ミックスとしてはリミッティングしすぎである可能性があります。これは、トラックのダイナミクス(ボリュームの)情報が'押しつぶされている'ために、問題かもしれません。さらに、過激なリミッティングは'サチュレーション'のような最終ミックスには望ましくない効果を生むことがあります。解決法としては、入力のプリゲインを下げ、ほとんどのピークではなくてところどころのピークでリミットされるようにします。最後に、この先トラックを処理するであろう他の人のことも考えておいてください。レコーディング・エンジニアやマスタリング・ハウスに渡すのでしょうか?もしその場合は最終ミックスへのきついリミッティングやコンプレッションを避けるようにすると、彼らのマキシマイゼーションの'技巧'が適用できる多少の余地を残しておけます。

Parallel or NY Compression

パラレルまたはニューヨーク・コンプレッションとは、ドライ(コンプレスされない)信号と同じ信号を強くコンプレスしたものとをミックスするコンプレッションのテクニックのことを言います。このようなコンプレッションの目的は、きついコンプレッションを適用するとつぶされてしまうようなトランジェントを保持しつつ、信号の静かな部分の平均ボリュームを増すことにあります。ニューヨーク・コンプレッションには特有のサウンドがあり、次のように達することができます。

パラレル・コンプレッションの設定

  1. 使いどころ - パラレル・コンプレッションはパーカッション・トラックを'太くする'ためによく使われます。
  2. チュートリアル音源 - Maximusをパーカッション・トラックのあるミキサー・チャンネルへロードします。キックとスネア・サウンドがあるのが理想的です。
  3. デフォルト・パッチ - 'Default'パッチから始めます。
  4. バンド - LOWとHIGHのバンドをOFFにし、MIDとMASTERのコンプレッション・エンベロープをアクティブにしたままにします。MIDバンドが全周波数帯を自動的にカバーしたことが分かるでしょう(BANDSディスプレイを見てください)。
  5. コンプレッション・エンベロープの設定 - MIDバンドにソフト・ニーのカーブできつくコンプレッションを設定します。これは、長いリリース・タイムと共に使うと、低いレベルの信号を持続させます。MASTERはデフォルトの設定のままにします(0dBでハード・リミット)。
  6. アタックとリリース - 短いアタック(2-10ms)と長いリリース(100-300ms)に設定します。サスティンしてビート間の隙間を埋めるようなリリースタイムにすることが特に重要です。
  7. プリゲインとポストゲイン - MIDバンドのプリゲインを増やし、入力がコンプレッション・カーブ全体まで上がるようにします。ポストゲインはデフォルトの設定のままにします。
  8. パラレル・ミックス - LMH MIXコントロールを最大まで反時計回り(左)へ回してコンプレスされない信号が通り抜けられるようにします。LMH MIXを右に回し、ポンピングしているMIDバンドと、ドライ入力の間で良いバランスが見つかるまで回します。
設定が正しくできれば、LMH MIXコントロールを右に回すにつれ、パーカッション・トラックは巨大なポンピングしている音の壁に変身するはずです。

Sidechain Compression

サイドチェイン・コンプレッションはコンプレスされるサウンドとは関係のないサウンドによってコンプレッサー・エンベロープを動作させる手法のことを言います。'サイドチェイン'という言葉は、信号回路に分離されミックスされない別のオーディオ入力を受け付けられるアナログ・コンプレッサーからきています。これは言い換えると'サイドチェイン信号'のことです。サイドチェインは制御信号(例えばキック・ドラム)として使用され、このサウンドに応じて信号がコンプレスされます、サイドチェイニングは、上の'Parallel/NY Compression'チュートリアルに使われたような、ポンピング、ダッキング、ゲーティングなどの効果を生みます。
厳密に言うと、Maximusはサイドチェイン入力がありませんが、これは必要ではありません。なぜなら、Maximusはコンプレッサーをコントロールさせたい信号に注目した周波数スペクトラムの狭いスライスを選択できるからです。このチュートリアルではMID Masterモードに設定し、MIDバンドを単一広帯域コンプレッサーとして動作させ、MIDバンドのLOWとHIGHカット・コントロールを利用してミックス内からトリガーに使う周波数を選び出します。

Setting sidechain compression

  1. 使いどころ - パーカッション・トラックにリズムや'バウンス'を加えるエフェクトとしてよく使われます。
  2. チュートリアル音源 - Maximusをパーカッション・トラックのあるミキサー・チャンネルにロードします。キックとスネア・サウンドが含まれていれば理想的です。
  3. MID Masterモード - general options menu()からMaster mid modeを選択します。Master mid modeにするとLOWとHIGHのコンプレッサーを無効になり、MIDバンドはMASTER出力のコントロールをするようになります。
  4. MID周波数帯の設定 - スペクトラム出力をONにしAnalysis DisplayでBANDSモードを選択します。キック・サウンドの周波数レンジを調べて、MID周波数帯をだいたいこのレンジになるように狭くします。
  5. コンプレッション・エンベロープの設定 - カーブを'Heavy compression'(上の例での右上のカーブ)のように設定しますが、最後のポイントを0dBの線まで下げます。
  6. プリゲインとポストゲイン - MIDバンドの入力がだいたい+9dBまであがることが重要です(プリゲインを使ってください)。
  7. アタックとリリース - 速いアタック(2ms)と比較的遅いリリース(~300ms)から始めます。リリース・パラメータはトラックのテンポに合わせてチューンする必要があります。だいたいキックとキックの真ん中でコンプレッサーがリリースされるところあたりが狙いです。

Noise Gating

ノイズ・ゲーティングは信号があるレベル以下に落ちたときにサウンドをミュートさせる手法です。ノイズ・ゲーティングは、低レベルのハムやヒスなどライブ・ギグのレコーディングでよく見られる、これらをミュートさせるのに便利です。ここでの例ではMASTERバンドのコンプレッサー・カーブを、一旦入力信号があるレベル以下に落ちたときにミュートするように設定します。サウンドをLOW、MID、HIGHバンドに分離させ、問題のあるバンドだけゲートすることもできるということを、チュートリアルを進める間、覚えておいてください。

Setting a noise gate

  1. 使いどころ - ノイジーな録音や生入力に使います。
  2. チュートリアル音源 - ノイジーなレコーディングしたなんて白状する人はいないでしょう。そこであなたに恥ずかしい思いをさせないよう、このチュートリアルのために'Maximus NoiseGate Tutorial 44kHz.wav'を作りました。これは短いボーカルが電源ハムとミックスされています。このファイルをダウンロードするには'freesound'でlogonを作る必要があります。freesoundプロジェクトはMusic Technology Group of Pompeu Fabra UniversityのイニシアチブのもとでCreative Commonsライセンスのサウンド・ライブラリーを構築しています。
  3. パッチ - 'Gate'を選びます。このプリセットはMASTERコンプレッサー・エンベロープをゲートとして使っています。
  4. コンプレッション・エンベロープ - ゲーティングの要点はコンプレッションとは逆で、信号があるレベルより下がったときにボリュームをゼロに落としたいということです。MASTERのコンプレッサー・エンベロープは-18dBあたりで早めにゼロに落としています。'Maximus NoiseGate Tutorial 44kHz.wav'を読み込んでこのデフォルトのGateプリセットを通して再生すると、ゲーティング・スレッショルドが高く設定されすぎていて、ボーカルのテールがチョッピングされてしまうのが分かるでしょう。解決法のひとつを示します
  • エンベロープの下にある'SNAP'スイッチをOFFにします。
    • 12dB付近のポイントを削除します。
  • カーブが下辺にあたるところのポイントを右クリックしてメニューからholdを選択します。これによりステップ関数を作ります。
  • ポイントを1:1の線までドラッグし、この線にそって良いロー・カットオフ・ポイントが見つかるまで左に下げていきます。ボーカルがストップするとハムがゲートされ、しかし、ボーカルのテールの大部が消えないポイントを探してください。
  • これでもおそらくまだ問題が残っているでしょう?
  1. アタックとリリース - 早めのゲーティングの問題に対するひとつの解決法は、リリースを上げ、一時的にカットオフ・ポイントを下回るような偏移では出力をゲートしないようにすることです。アタックとリリースはゲートにとってとても重要なパラメータで、アタックは信号を受信するとすぐにゲートをオープンするように速く、しかし、リリースはサウンドのテールが通り抜けられるようゲートをオープンしておくために遅く設定する必要があります。

Ducking

ダッキングは上のチュートリアルのサイドチェイン・コンプレッションで使ったのと同じ原理で、他の信号の存在で、ボリュームを一時的に下げる手法です。ダッキングは一般的にとくに音声がのったときにミュージック・トラックを下げ、喋りのパートがクリアーに聞こえるようにする必要がある場合に使われます。ラジオのアナウンサー、DJ、PA、映画制作もダッキングの恩恵を利用しています。

Setting Maximus to duck

  1. 使いどころ - 音声がのったチュートリアル音源 - ミュージック・トラックと別に喋るボーカルパートが必要です。もし持っていないなら'I Am Female.mp3'は面白いボーカルです(DAWがMP3をサポートしていなかったらWAVに変換する必要があります)。このファイルをダウンロードするには'freesound'でlogonを作る必要があります。freesoundプロジェクトはMusic Technology Group of Pompeu Fabra UniversityのイニシアチブのもとでCreative Commonsライセンスのサウンド・ライブラリーを構築しています。
  2. パッチ - 'Ducking music behind voice'を選択します。
  3. バンド・コンプレッサー - この機能にはマスターのバンドだけをアクティブにしておきます。
  4. コンプレッション・エンベロープ - 入力が0dBに届くと0dBにハード・リミットされるよう設定されていることに注目してください。信号がこのポイントを過ぎるとコンプレッションがスタートします。このことを頭において次のステップへ進んでください。
  5. アタックとリリース - アタックは、ボーカルの開始直後にコンプレッサーが開始できるようにしなければなりませんが、リリースは比較的遅くして音楽がフェードインして戻るようにし、喋りのパートに若干ドラマを加えることができます。おそらくほとんどの素材では最大リリースが合うと分かるでしょう。
  6. プリゲインとポストゲイン - コンプレッションは0dBで開始されることに注意します。プリゲインを音楽の音量の大きいパートが0dBよりちょっと下に届くように設定します。ボーカルが足されるとコンプレッサーは+6dBから+9dB入りコンプレッサーを動作させるようにします。これによりコンプレッサーはミュージック・トラックをダックさせます。Maximusの出力は0dBで制限されているのでポストゲインは減らす方向だけができます。

De-essing

ディエッシングはサウンド(通常はボーカル)から許容できる最大を超える高周波成分を選択的に制限します。ボーカリストのレコーディングではしばしば's'や't'の音が過度にブライトでレコーディングの品質を下げることがあります。歯擦音(sibilance)と専門用語で言いますが、これはレコーディングを'ディエッシング'ですることで抑えることができます('s'の音に最も顕著に影響するのでこのように呼ばれます)。初心者は単純にEQで高周波成分を下げるかもしれませんが、これはボーカルから輝き(brightness)と清澄さ(clarity)を失わせることになります。ここでは、問題となる周波数が生じたときのみ、選択的にコンプレスするという方法に基づいたアプローチの概要を述べます。

Setting Maximus for de-essing

  1. 使いどころ - 単一の楽器のトラック(通常はボーカル)に使います。
  2. チュートリアル音源 - ノイジーなレコーディングをしたなんて白状する人はいないでしょう。そこであなたに恥ずかしい思いをさせないよう、このチュートリアルのために'Maximus NoiseGate Tutorial 44kHz.wav'を作りました。これは短いボーカルが電源ハムとミックスされています。ダウンロードするには'freesound'でlogonを作る必要があります。freesoundプロジェクトはMusic Technology Group of Pompeu Fabra Universityのイニシアチブのもとで[[Creative Commons>http://creativecommons.org/]ライセンスのサウンド・ライブラリーを構築しています。
  3. プリセット - Maximusには素晴らしいディエッサーのプリセットがありますので、その'De-esser Split Band'プリセットを開きます。良いディエッサーのセットアップはサウンドに対してほんの若干しか効果がないことに注意してください。パッチが問題の周波数に調節された後で、ディエッシングありとなしのサウンドで比較する必要があるかもしれません。ディエッシングは必要な分のみを適用してください。
  4. バンド・コンプレッサー - LOWバンドが'COMP OFF'、MIDバンドは'ON'になっているのが分かるでしょう。MIDバンドはsibilanceをコントロールしますが、その周波数はHIGHバンドがOFFになっているので20KHzまで広がっています。MASTERもOFFになっています。OFFとCOMP OFFの違いは、OFFは完全にそのバンドをバイパスしますが、COMP OFFは処理すること無しにそのバンドを通過させることです。まとめると、このパッチではMIDバンドは単にコンプレッサーをアクティブにするだけです。sibilanceは高周波に影響があるので、MIDバンドのLOW周波数設定を、抑えるsibilanceの下限にあたるように設定します。
  5. コンプレッション・エンベロープ - MID(sibilance)バンドは-6dBあたりへ入力信号を保つようきつくコンプレスします。このバンドを通る高周波は-6dBに届くまでは変形なしに通り抜けますが、このレベルを超えるものはきつく制限されます。チュートリアルの音源で色々なカーブを試行してみてください。
  6. プリゲインとポストゲイン - 考え方は高周波を制限するということなので、プリゲインはsibilanceがコンプレッション・レンジに入るように調整する必要があります。さもなければ、修正無しに通ってしまいます。プリゲインを増やしたのと同じだけポストゲインを減らし、コンプレスされないパートが元々のボリュームを保つようにします。
  7. アタックとリリース - 2種類の最も良く見られるsibilantサウンドはそのデュレーションがかなり異なります。T音は瞬間的ですがS音は1秒続いたりもします。T音を捕まえるようにアタックを調整し、S音にはそのブライトネス全体を抑えられる効果が十分長いようにリリースを設定します。試行が重要です。

NOTE:ディエッサーによる事後処理に頼るよりも、元々のレコーディングでsibilanceを避けるようにしてください。


What is 0 dB?

Maximusの入力/出力はdB(デシベル,decibels)で計られていて、それがどんな意味なのか不思議に感じていませんか?変化することなしにMaximusを通り抜ける1:1の入出力比をもった信号を考えます。私たちはエンジニアであり、よって相当オタク(nerdy)であるので、全てのレベルはこのように1(変化無し)との相対値によって計ると決めました。また、1より小さい値は負で、1より大きい値は正にすると私たちの間で合意しました。この時点で私たちは、分数も排除にあたらないとしました(私たちの母親に私たちが元のレベルの0.5倍などと言っているのは理解できてしまうとしても)。つぎに何をすべきか?対数目盛を使うことを選び、そして全ての値は相対値であるので、'相対'対数目盛を使うことにしましょう。―これがデシベルです!ここで私たちは(エンジニアとして)周りを見渡すと、私たちが何を喋っているのか知っているものは誰もいないというという状態が実現でき、0 dB = 変化していない信号、として合意しお互いに勢い良くうなづきあったのでした。まだ混乱していますか?十進小数であらわすと0 dB = 1.0となります。
1 dBのボリュームの変化はだいたい人間が違いを認識できる差(just noticeable difference)に近いことが分っています。よって、音のレベルはdBの小数で示されることはめったになく、気にする必要は無いのです。相対値(十進小数)をデシベルに変換したいときはlogの計算をします。十進小数のlogをとるとその答えはベルです。例えば、0.5 = 50%ではlog0.5 = -0.3またはベルの10分の1(デシベル)で-3dBです。間違いなく「ボーカルを半分に下げる」よりは「ボーカルを3dB下げる」といったほうがかっこよく聞こえます。まだ混乱してますか?出力をwaveフォーマットにレンダリングする場合には、ボリューム・レベルの設定には耳を使い、MASTERバンドが0 dBを超えないようにしてください。私の仕事はこれで終わりです。

(訳注:デシベルは電力の比に使うもので、電圧など2乗がパワーに比例するものの場合は係数が10から20になります。上の文章中で50%が-3dBというのはパワーのことです。このときの音の振幅は1/sqrt(2)≒70%です。振幅が50%だと-6dBになります。)

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