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オピオイド オピオイド受容体に作用するもの。主に鎮痛薬として用いる。フェンタニルが有名である。 ベンゾジアゼピン系 γ-アミノ酪酸 (GABA) の特異的受容体に結合し、クロールチャネルを調節し、主に鎮静作用を示す。当初はマイナートランキライザーとして開発されたもので基本的に鎮静薬、睡眠薬であり鎮痛作用がない。基本的に経口剤が多く、静脈投与が可能な薬物としてはジアゼパム(セルシン)、フルニトラゼパム(サイレース)、ミタゾラム(ドルミカム)が有名である。抗痙攣薬として用いることもある薬であるので急性局所麻酔中毒で用いることがある。急性緑内障、重傷筋無力症、ショック、HIVプロテアーゼ阻害薬投与中の患者、また胎盤移行性が高いため妊婦でも使用は禁忌である。 ミタゾラム(ドルミカム) ジアゼパムの3倍ほどの鎮静効果をもち、特に健忘作用が強い。作用が発現するのに2分ほどかかるため鎮静薬としては作用発現は遅い方である。短期手術では他剤と併用で0.05~0.1mg/kgで十分な効果を得る。持続投与では0.6mg/kg/時間で導入し0.15mg/kg/時間で維持する方法がよく知られている。 フルマゼニル(アネキセート) ベンゾジアゼピン受容体の拮抗薬である。短時間作用型であるので、投与後2時間ほどの経過観察が必要である、拮抗薬の方が早く体内から排出しベンゾジアゼピンの効果が再出現するからである。 バルビツール酸系 上行性脳幹網様体に働き、中枢抑制作用を持つ薬物。細胞膜に作用しGABAがそのレセプターとの結合から離反するのを抑制し鎮静作用を示すと考えられている。超短時間作用型としてチオペンタール(ラボナール)、チアラミール(イソゾール)などが有名である。基本的に副交感神経刺激症状が出現する。 チオペンタール 主に鎮静薬として用いられる。超短時間作用型のバルビツール酸系である。通常は20秒位で意識が消失し、5~7分程度維持され、15分程度で覚醒する。鎮痛作用はなく、むしろ痛覚刺激に対して敏感になる。気管支喘息やアレルギー性疾患で用いることができない。そのため、現在チオペンタールは脳圧亢進患者の麻酔以外では用いられることはない。拮抗が必要な場合とは、呼吸抑制やParadoxical reaction、すなわち少量投与で逆に興奮状態になった場合である。0.2mg投与し必要に応じて0.1mgずつ増量する、0.5mgでも効果がないときは他の理由を考えるべきである。 プロポフォール バルビツール酸系に代わって現在主流になっている静脈麻酔薬である。短時間作用型のフェノール誘導体であり導入覚醒が極めて早いのが特徴である。商品名はディプリバンである。本剤はあくまでも鎮静薬であり鎮痛作用はないと考えられている。胎盤通過と乳汁移行が極めて高いため妊婦や授乳中の患者には禁忌である。混濁液であるため静脈投与の場合、血管痛が生じることが多い。そのため予めキシロカイン(静脈注射用、2%液で3mlほど)を投与する場合もある。通常は投与後、5~15分で覚醒する。他の麻酔薬とことなり突然覚醒するので注意が必要である。急速投与を行うと強い呼吸抑制が起こることが知られている。麻酔導入には約2~2.5mg/kgを用いる。鎮痛効果はないためオピオイドの併用が不可欠である。多くの手術では導入のときのみ用い、吸入麻酔薬によって維持をすることが多いがTCIを用いて持続投与し、麻酔維持を行うこともできる。導入後は素早く減量をしないと循環抑制が強く出ることが知られている。麻酔維持に用いる場合は3~10mg/kg/時間で持続投与する方法がよく知られている。プロポフォール自体には気管支拡張作用があるがディプリバンは溶媒の性質上気管支攣縮をおこすことが知られている。喘息、アレルギーの患者には注意が必要である。 化学的性質・作用機序 [編集] 無色~微黄色透明の液体で脂溶性であり、エタノール、ジエチルエーテル、ヘキサンなど有機溶媒にはよく溶けるが、水にはほとんど溶けない。 基本的にはGABAA受容体活性薬と考えられている。GABAA受容体作動薬にはこの他にバルビツール酸系やベンゾジアゼピンがある。 プロポフォールの主な用途は医療分野における鎮静薬としての使用である。プロポフォールの持つ中枢神経抑制作用を利用し全身麻酔の導入、維持に用いられる。また、集中治療における人工呼吸時の鎮静にも頻用される。プロポフォール自体は上記のように水に溶けづらいので販売されているプロポフォール製剤は脂肪製剤を乳化剤としたエマルションの形を取っている。投与経路は点滴からの静脈内注入である。投与開始後速やかに作用が発現し、投与された患者は数十秒で意識を失う。また、投与を中止した場合、それまでの投与速度、投与時間にもよるが通常10分前後で患者の意識が回復し刺激に応じて開眼する。 心臓および血管系に対して抑制効果を有するため過剰に投与した場合心拍数、血圧の低下を招く。呼吸抑制作用があり呼吸が不十分に、あるいは停止することがあり、十分な監視下で使用されなければならない。注入時の血管痛が報告されている。注入に伴い注入部位周辺に疼痛を覚えることがある。 小児に対する使用法は確立していない。胎盤移行性があり、妊婦には使用してはいけない。母乳移行性があり、授乳婦へ投与する場合は授乳を中止する必要がある。プラスチック製品中の化学物質の溶出が指摘されている。三方活栓や点滴の器具にはプロポフォールに対応した物を使用する。脂肪製剤は栄養価が高く細菌が繁殖しやすいため、保存する際は冷蔵保存するなど製剤の汚染には十分注意しなければならない。 ケタミン NMDAレセプターに結合しアンタゴニストとして作用する。視床皮質系を抑制、大脳辺縁系を賦活化することから解離性麻酔薬ともいう。交感神経を賦活すること、静脈麻酔薬でありながら鎮静と鎮痛の両方の作用をもつことから注目されている。商品名はケタラールである。 プロポフォールを用いた喘息合併患者での子宮内容除去術の麻酔 子宮内容除去術(D&C)は、バルビツレート系の薬剤を用いた静脈麻酔で行われる事が多い。しかし、喘息合併患者に対しては喘息発作誘発の危険性があるため別の麻酔法が必要となる。プロポフォールは、気管支平滑筋弛緩作用を認め気道内圧に影響を及ぼさない事から喘息患者の麻酔導入にも用いられている。またセボフルランは気道刺激性か少なく気管支拡張作用をもつ事から、喘息患者の麻酔導入や維持に用いられている。そこで今回、喘息合併のD&C患者に対し酸素・プロポフォールによる静脈麻酔を行ない笑気・酸素・セボフルラン(GOS)による全身麻酔と比較検討した 【結語】プロポフ才一ルを用いた喘息合併患者に対するD&Cの麻酔は安全に行うことができた。さらに、GOS麻酔と比較して覚醒及び術後合併症の点からも十分適応があると考えられた。
オピオイド オピオイド受容体に作用するもの。主に鎮痛薬として用いる。フェンタニルが有名である。 ベンゾジアゼピン系 γ-アミノ酪酸 (GABA) の特異的受容体に結合し、クロールチャネルを調節し、主に鎮静作用を示す。当初はマイナートランキライザーとして開発されたもので基本的に鎮静薬、睡眠薬であり鎮痛作用がない。基本的に経口剤が多く、静脈投与が可能な薬物としてはジアゼパム(セルシン)、フルニトラゼパム(サイレース)、ミタゾラム(ドルミカム)が有名である。抗痙攣薬として用いることもある薬であるので急性局所麻酔中毒で用いることがある。急性緑内障、重傷筋無力症、ショック、HIVプロテアーゼ阻害薬投与中の患者、また胎盤移行性が高いため妊婦でも使用は禁忌である。 ミタゾラム(ドルミカム) ジアゼパムの3倍ほどの鎮静効果をもち、特に健忘作用が強い。作用が発現するのに2分ほどかかるため鎮静薬としては作用発現は遅い方である。短期手術では他剤と併用で0.05~0.1mg/kgで十分な効果を得る。持続投与では0.6mg/kg/時間で導入し0.15mg/kg/時間で維持する方法がよく知られている。 フルマゼニル(アネキセート) ベンゾジアゼピン受容体の拮抗薬である。短時間作用型であるので、投与後2時間ほどの経過観察が必要である、拮抗薬の方が早く体内から排出しベンゾジアゼピンの効果が再出現するからである。 バルビツール酸系 上行性脳幹網様体に働き、中枢抑制作用を持つ薬物。細胞膜に作用しGABAがそのレセプターとの結合から離反するのを抑制し鎮静作用を示すと考えられている。超短時間作用型としてチオペンタール(ラボナール)、チアラミール(イソゾール)などが有名である。基本的に副交感神経刺激症状が出現する。 チオペンタール 主に鎮静薬として用いられる。超短時間作用型のバルビツール酸系である。通常は20秒位で意識が消失し、5~7分程度維持され、15分程度で覚醒する。鎮痛作用はなく、むしろ痛覚刺激に対して敏感になる。気管支喘息やアレルギー性疾患で用いることができない。そのため、現在チオペンタールは脳圧亢進患者の麻酔以外では用いられることはない。拮抗が必要な場合とは、呼吸抑制やParadoxical reaction、すなわち少量投与で逆に興奮状態になった場合である。0.2mg投与し必要に応じて0.1mgずつ増量する、0.5mgでも効果がないときは他の理由を考えるべきである。 プロポフォール バルビツール酸系に代わって現在主流になっている静脈麻酔薬である。短時間作用型のフェノール誘導体であり導入覚醒が極めて早いのが特徴である。商品名はディプリバンである。本剤はあくまでも鎮静薬であり鎮痛作用はないと考えられている。胎盤通過と乳汁移行が極めて高いため妊婦や授乳中の患者には禁忌である。混濁液であるため静脈投与の場合、血管痛が生じることが多い。そのため予めキシロカイン(静脈注射用、2%液で3mlほど)を投与する場合もある。通常は投与後、5~15分で覚醒する。他の麻酔薬とことなり突然覚醒するので注意が必要である。急速投与を行うと強い呼吸抑制が起こることが知られている。麻酔導入には約2~2.5mg/kgを用いる。鎮痛効果はないためオピオイドの併用が不可欠である。多くの手術では導入のときのみ用い、吸入麻酔薬によって維持をすることが多いがTCIを用いて持続投与し、麻酔維持を行うこともできる。導入後は素早く減量をしないと循環抑制が強く出ることが知られている。麻酔維持に用いる場合は3~10mg/kg/時間で持続投与する方法がよく知られている。プロポフォール自体には気管支拡張作用があるがディプリバンは溶媒の性質上気管支攣縮をおこすことが知られている。喘息、アレルギーの患者には注意が必要である。 化学的性質・作用機序 [編集] 無色~微黄色透明の液体で脂溶性であり、エタノール、ジエチルエーテル、ヘキサンなど有機溶媒にはよく溶けるが、水にはほとんど溶けない。 基本的にはGABAA受容体活性薬と考えられている。GABAA受容体作動薬にはこの他にバルビツール酸系やベンゾジアゼピンがある。 プロポフォールの主な用途は医療分野における鎮静薬としての使用である。プロポフォールの持つ中枢神経抑制作用を利用し全身麻酔の導入、維持に用いられる。また、集中治療における人工呼吸時の鎮静にも頻用される。プロポフォール自体は上記のように水に溶けづらいので販売されているプロポフォール製剤は脂肪製剤を乳化剤としたエマルションの形を取っている。投与経路は点滴からの静脈内注入である。投与開始後速やかに作用が発現し、投与された患者は数十秒で意識を失う。また、投与を中止した場合、それまでの投与速度、投与時間にもよるが通常10分前後で患者の意識が回復し刺激に応じて開眼する。 心臓および血管系に対して抑制効果を有するため過剰に投与した場合心拍数、血圧の低下を招く。呼吸抑制作用があり呼吸が不十分に、あるいは停止することがあり、十分な監視下で使用されなければならない。注入時の血管痛が報告されている。注入に伴い注入部位周辺に疼痛を覚えることがある。 小児に対する使用法は確立していない。胎盤移行性があり、妊婦には使用してはいけない。母乳移行性があり、授乳婦へ投与する場合は授乳を中止する必要がある。プラスチック製品中の化学物質の溶出が指摘されている。三方活栓や点滴の器具にはプロポフォールに対応した物を使用する。脂肪製剤は栄養価が高く細菌が繁殖しやすいため、保存する際は冷蔵保存するなど製剤の汚染には十分注意しなければならない。 ケタミン NMDAレセプターに結合しアンタゴニストとして作用する。視床皮質系を抑制、大脳辺縁系を賦活化することから解離性麻酔薬ともいう。交感神経を賦活すること、静脈麻酔薬でありながら鎮静と鎮痛の両方の作用をもつことから注目されている。商品名はケタラールである。 プロポフォールを用いた喘息合併患者での子宮内容除去術の麻酔 子宮内容除去術(D&C)は、バルビツレート系の薬剤を用いた静脈麻酔で行われる事が多い。しかし、喘息合併患者に対しては喘息発作誘発の危険性があるため別の麻酔法が必要となる。プロポフォールは、気管支平滑筋弛緩作用を認め気道内圧に影響を及ぼさない事から喘息患者の麻酔導入にも用いられている。またセボフルランは気道刺激性か少なく気管支拡張作用をもつ事から、喘息患者の麻酔導入や維持に用いられている。そこで今回、喘息合併のD&C患者に対し酸素・プロポフォールによる静脈麻酔を行ない笑気・酸素・セボフルラン(GOS)による全身麻酔と比較検討した プロポフォール2mg/kgにて導入し、Prys-Robertrらの方式に従い10、8、6mg/kg/hrへと減量しながら維持 【結語】プロポフ才一ルを用いた喘息合併患者に対するD&Cの麻酔は安全に行うことができた。さらに、GOS麻酔と比較して覚醒及び術後合併症の点からも十分適応があると考えられた。

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