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脳死 書籍について 印刷用画面 メールで紹介 脳死では,無意識,持続性自発呼吸の欠如,および脳幹反射の持続的消失が起こるが,深部腱反射,足底屈曲反射,引込め反射などの脊髄反射は残ることがある。 脳死の概念が生じたのは,脳機能の完全停止にもかかわらず,人工呼吸器や薬物により心肺機能を維持できるからである。それ故統合的な脳機能の完全停止(特に脳幹の機能停止)としての人の死の定義が,法的,社会的に広く受け入れられている。 診断と予後 医師が脳死を宣告するには,脳損傷の構造的な原因または既知の代謝的な原因が認められ,麻酔作用や麻痺作用を有する可能性がある薬物の使用(特に自己投与の場合)が除外されなければならない。32°C以下の低体温は是正されねばならず,てんかん重積状態は認められてはならない。6〜24時間かけた逐次試験が必要である( 昏迷と昏睡: 脳死判定のガイドライン(1歳を超える患者の場合)表 4: 参照)。検査は,瞳孔反応性の評価,眼球前庭反射および眼球回頭反射,角膜反射,無呼吸検査を含む。脳波検査を利用して活動消失を確認し,家族に新たな証拠を提供することもあるが,必要条件ではない。 表 4 脳死判定のガイドライン(1歳を超える患者の場合) 脳死の宣告には9項目全てが確認されなければならない: 1.患者の近親者や他の親しい人々への通知に相応の努力がなされている。 2.昏睡の原因がわかっており,それが全ての脳機能の非可逆的喪失の説明に十分である。 3.中枢抑制薬,低体温(32℃未満),低血圧(MAP55mmHg未満)が除外されている。神経筋遮断薬がその神経学的所見の一因ではない。 4.観察されるあらゆる運動の原因を,完全に脊髄機能に帰することができる。 5.咳嗽反射か咽頭反射,あるいはその両者がみられない。 6.角膜反応および瞳孔対光反応がみられない。 7.鼓膜に冷水を吸引した後にカロリック反応がみられない。 8.8分間以上の無呼吸検査で,検査前ベースライン値から20mmHgを超える炭酸ガスPaCO2値の上昇を記録する呼吸運動が認められない。 方法:無呼吸試験は気管内チューブと人工呼吸器の接続を断って実施する。酸素(6L /min)は,気管内チューブを介して設置されたカニューレから拡散によって供給される。自然上昇する炭酸ガス分圧による換気刺激にもかかわらず,自発呼吸が8〜12分間にわたってみられない。 注意:無呼吸検査は厳重に注意して実施し,低酸素症および低血圧のリスクを最小限にする。検査中,動脈血圧が著しく低下するなら,検査を中止し,動脈血標本を採取して,炭酸ガス分圧が55mmHgを超えているかどうか,あるいは20mmHg以上増加したかどうかを判定すべきである。本所見によって脳死臨床診断の確認がなされる。 9.以下の4つの基準のうち1つ以上が確定している: a.6時間以上間隔をあけた2回の検査によって項目2-8が確認されている。 b.項目2-8が確認されている。且つ 脳波検査が皮質の電気的静止を示す。 1回目の検査から少なくとも2時間後の2回目の検査で項目2-8が確認される。 c.項目2-8が確認されている。且つ 動脈造影で頭蓋内血流の消失が認められる。 1回目の検査から少なくとも2時間後の2回目の検査で項目2-8が確認される。 d.損傷または疾患が評価の妨げとなって項目2-8のいずれかが判定できないなら(例,広範な顔面損傷ではカロリックテストが不可能である),以下の基準を適用する: 評価可能な項目を確認する。 頭蓋内血流が認められない。 1回目の検査から6時間後の2回目の検査で全ての評価可能項目が確認される。 MAP=平均動脈圧;PaCO2=動脈二酸化炭素分圧 Adapted from American Academy of Neurology Guidelines (1995). 脳死と適切な診断が下された後の回復は報告されておらず,機械呼吸を使用しても典型的には数日以内に心停止が起こる。換気補助の停止により末期的な不整脈が生じる。末期的な無呼吸中に脊髄運動反射が起こることがある;これには背弯姿勢,頸部回転,下肢の硬化,上肢の屈曲(いわゆるラザロ徴候)が含まれる。人工呼吸器の遮断時に立ち会いを望む家族は,このような反射運動について説明を受ける必要がある。
脳死 脳死では,無意識,持続性自発呼吸の欠如,および脳幹反射の持続的消失が起こるが,深部腱反射,足底屈曲反射,引込め反射などの脊髄反射は残ることがある。 脳死の概念が生じたのは,脳機能の完全停止にもかかわらず,人工呼吸器や薬物により心肺機能を維持できるからである。それ故統合的な脳機能の完全停止(特に脳幹の機能停止)としての人の死の定義が,法的,社会的に広く受け入れられている。 診断と予後 医師が脳死を宣告するには,脳損傷の構造的な原因または既知の代謝的な原因が認められ,麻酔作用や麻痺作用を有する可能性がある薬物の使用(特に自己投与の場合)が除外されなければならない。32°C以下の低体温は是正されねばならず,てんかん重積状態は認められてはならない。6〜24時間かけた逐次試験が必要である( 昏迷と昏睡: 脳死判定のガイドライン(1歳を超える患者の場合)表 4: 参照)。検査は,瞳孔反応性の評価,眼球前庭反射および眼球回頭反射,角膜反射,無呼吸検査を含む。脳波検査を利用して活動消失を確認し,家族に新たな証拠を提供することもあるが,必要条件ではない。 表 4 脳死判定のガイドライン(1歳を超える患者の場合) 脳死の宣告には9項目全てが確認されなければならない: 1.患者の近親者や他の親しい人々への通知に相応の努力がなされている。 2.昏睡の原因がわかっており,それが全ての脳機能の非可逆的喪失の説明に十分である。 3.中枢抑制薬,低体温(32℃未満),低血圧(MAP55mmHg未満)が除外されている。神経筋遮断薬がその神経学的所見の一因ではない。 4.観察されるあらゆる運動の原因を,完全に脊髄機能に帰することができる。 5.咳嗽反射か咽頭反射,あるいはその両者がみられない。 6.角膜反応および瞳孔対光反応がみられない。 7.鼓膜に冷水を吸引した後にカロリック反応がみられない。 8.8分間以上の無呼吸検査で,検査前ベースライン値から20mmHgを超える炭酸ガスPaCO2値の上昇を記録する呼吸運動が認められない。 方法:無呼吸試験は気管内チューブと人工呼吸器の接続を断って実施する。酸素(6L /min)は,気管内チューブを介して設置されたカニューレから拡散によって供給される。自然上昇する炭酸ガス分圧による換気刺激にもかかわらず,自発呼吸が8〜12分間にわたってみられない。 注意:無呼吸検査は厳重に注意して実施し,低酸素症および低血圧のリスクを最小限にする。検査中,動脈血圧が著しく低下するなら,検査を中止し,動脈血標本を採取して,炭酸ガス分圧が55mmHgを超えているかどうか,あるいは20mmHg以上増加したかどうかを判定すべきである。本所見によって脳死臨床診断の確認がなされる。 9.以下の4つの基準のうち1つ以上が確定している: a.6時間以上間隔をあけた2回の検査によって項目2-8が確認されている。 b.項目2-8が確認されている。且つ 脳波検査が皮質の電気的静止を示す。 1回目の検査から少なくとも2時間後の2回目の検査で項目2-8が確認される。 c.項目2-8が確認されている。且つ 動脈造影で頭蓋内血流の消失が認められる。 1回目の検査から少なくとも2時間後の2回目の検査で項目2-8が確認される。 d.損傷または疾患が評価の妨げとなって項目2-8のいずれかが判定できないなら(例,広範な顔面損傷ではカロリックテストが不可能である),以下の基準を適用する: 評価可能な項目を確認する。 頭蓋内血流が認められない。 1回目の検査から6時間後の2回目の検査で全ての評価可能項目が確認される。 MAP=平均動脈圧;PaCO2=動脈二酸化炭素分圧 Adapted from American Academy of Neurology Guidelines (1995). 脳死と適切な診断が下された後の回復は報告されておらず,機械呼吸を使用しても典型的には数日以内に心停止が起こる。換気補助の停止により末期的な不整脈が生じる。末期的な無呼吸中に脊髄運動反射が起こることがある;これには背弯姿勢,頸部回転,下肢の硬化,上肢の屈曲(いわゆるラザロ徴候)が含まれる。人工呼吸器の遮断時に立ち会いを望む家族は,このような反射運動について説明を受ける必要がある。

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