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チアゾリジン薬」(2009/08/21 (金) 13:58:08) の最新版変更点

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チアゾリジン誘導体  経口血糖降下薬のチアゾリジン誘導体(チアゾリジン薬)は、インスリン抵抗性を改善する。    アディポネクチン(脂肪細胞から分泌されるホルモン)は、血管の障害部位を修復し、また、肝臓や筋肉へのグルコース取り込みを増加させ、脂肪燃焼を促進させる(肝臓、骨格筋に、作用し、蓄積した中性脂肪を燃焼させる)。  1.薬理作用  チアゾリジン(thiazolidine)誘導体は、脂肪細胞の核内受容体型転写因子PPARγに結合し、試験管内(in vitro)で、(グルコールの消費を促進させ、)脂肪細胞の分化を促進する(肝臓や筋肉で中性脂肪の蓄積が促進する)。  PPARγは、脂肪細胞に特異的に発現している、分化のマスター転写因子で、aP2遺伝子の上流プロモーター領域に結合する(注1)。  チアゾリジン誘導体(一般名:塩酸ピオグリタゾン、商品名:アクトス錠)は、インスリン抵抗性のある糖尿病患者に投与すると、高インスリン血症、高中性脂肪血症、低HDL血症、インスリン抵抗性を、改善する。    チアゾリジン誘導体は、肥満・インスリン抵抗性の動物を用いた実験結果では、「小さな脂肪細胞」の新たな分化を促進させ、「小さな脂肪細胞」の数を増加させる。  チアゾリジン誘導体は、TNF-αの発現を抑制し、インスリン抵抗性を改善する。  しかし、 チアゾリジン誘導体は、脂肪細胞の分化を促進するPPARγに結合し、脂肪細胞を分裂増殖させ、脂肪細胞数を著明に増加させる、肥満を来たす恐れがある。  チアゾリジン誘導体は、アディポネクチンを増加させ、インスリン感受性を高める。  チアゾリジン誘導体は、炎症系(CRP)、凝固系(PAI-1)の、改善作用がある。  チアゾリジン誘導体(アクトス錠15/アクトス錠30)は、通常、成人には、ピオグリタゾンとして15~30mgを、1日1回、朝食前、又は、朝食後に、服用(経口投与)する。  チアゾリジン誘導体は、肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害のある患者では、蓄積するおそれがある。副作用をチェックする為に、血液検査で、肝機能検査(AST、ALT、AL-P、γ-GTP)を、少なくとも、投与開始後12カ月までは、1カ月に1回、それ以降は、定期的(3カ月に1回程度)に、行う。  チアゾリジン誘導体は、副作用として、循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が、短期間に発現し、また、心不全が、増悪、あるいは、発症することがあるので、心不全の患者、及び、心不全の既往歴のある患者には、投与しないことが、添付文書に記されている。チアゾリジン誘導体(医薬品名:アクトスなど)は、うっ血性心不全を引き起こしたり、悪化させるおそれがある。チアゾリジン誘導体の服用中は、急激な過度の体重増加、呼吸困難、浮腫など、心不全の症状が現れないか、注意が必要。心不全の症状が現れたなら、投与を中止するか、投与量削減を検討する。  チアゾリジン誘導体は、女性では、浮腫の副作用を来たすことが、比較的多い。  チアゾリジン誘導体は、他の経口血糖降下薬(スルホニル尿素系薬剤、スルホニルアミド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド系薬剤)や、インスリン製剤と併用する際には、低血糖症状の発現に注意を要する。  チアゾリジン誘導体などの経口血糖降下薬(糖尿病薬)は、サリチル酸剤、フィブラート系の高脂血症治療剤、ワルファリン(ワーファリン)などにより、血糖降下作用が増強され、副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)により、血糖降下作用が減弱される。  チアゾリジン誘導体は、妊婦や、妊娠している可能性のある婦人には、投与しない。また、授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は、授乳を中止させることが、添付文書に記されている。  チアゾリジン誘導体(アクトス錠15/アクトス錠30)などの経口血糖降下薬の、作用等を、下表に示す。  表 経口血糖降下薬 作用分類  作用臓器  主な作用  種類  薬品名  商品名  副作用  インスリン分泌促進  膵臓  (膵島)  インスリン分泌促進  スルホニル尿素薬  グリメピリド  アマリール  低血糖  グリペンクラミド  オイグルコン  グリクラシド  グリミクロン  トルブタミド  ラスチノン  速やかなインスリン分泌・食後高血糖の改善  グリニド系薬(速効型インスリン分泌促進薬)  ナテグリニド  スターシス   ミチグリニド  グルファスト  食後高血糖改善  小腸  炭水化物の吸収遅延  α-グルコシダーゼ阻害薬  ボグリボース  ベイスン  肝障害、消化器症状(放屁、下痢、腹痛、便秘)  インスリン抵抗性改善  肝臓  インスリン抵抗性の改善   ビグアナイド薬  メトホルミン  メルビン  乳酸アシドーシス、胃腸障害、低血糖増強    ブホルミン  ジベトスB  脂肪組織  チアゾリジン薬  ピオグリタゾン  アクトス  浮腫・心不全、肝障害、低血糖増強  チアゾリジン誘導体(チアゾリジン系薬)は、インスリンとの併用は、保険上、承認されていない(インスリン皮下注射療法をしている患者には、チアゾリジン系薬剤を、保険扱いで処方出来ない)。  チアゾリジン誘導体(アクトス)は、2009年3月24日より、インスリン皮下注射との併用を認められた。  チアゾリジン誘導体(アクトス)は、Sulfonylureas、Metiglinides、Biguanidesとも、併用が可能。

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