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針刺し」(2010/01/26 (火) 23:22:53) の最新版変更点

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針刺し事故 (1)はじめに       医療現場における血液汚染事故の原因として、まず「針刺し事故」があげられる。その他、鋭利な器具による損傷、皮 膚・粘膜の血液付着等が問題となる。1997年の調査によると、針刺し事故を起こした医療従事者の内、66%は看護師で 26%が医師であったという。全血液汚染事故の内、針刺し事故が36%で、注射針が最も多く、次いで縫合針であった。 事故発生状況は、リキャップ時の事故が最も多かった。   針刺し事故による感染率は、B型肝炎ウィルス(HBV)が6~30%で最も高く、C型肝炎ウィルス(HCV)は      0.4~6% 、エイズウィルス(HIV)は 0.25~0.4% と最も低い。梅毒は問題にならない程低率である。 ※ 患者さんで、HBV・HBC感染者は、カルテ及びベットネームに印を付ける(赤色四角で表示する)。 (2)針刺し事故防止策     抜針した注射針は、リキャップせずにそのまま針廃棄専用容器に捨てる。点滴終了後、翼状針等は、ルートの途中で切 ったりせずに、そのまま専用容器に捨てる。ボトルにテープで留めたり、ボトルに刺したりしてはならない。      医療従事者個人の啓蒙と、安全器材の導入等、体制を整える必要がある。 (3)針刺し事故直後の対処     ① 受傷後直ちに血液を絞り出す(中枢側から圧迫する)。口で吸ってはならない。     ② 大量の流水(または石鹸併用)で傷口を十分洗浄する。     ③ 傷口をイソジンまたはアルコールで消毒する。    ④ 事故の報告    ⑤ 本人及び対象となった患者の血液検査を至急行う。あらかじめ検査結果の分かっている場合は、しなくてよい。 (4)B型肝炎(HBV)     HBVに感染しても、慢性化することはなく、急性肝炎で治癒する。しかし劇症肝炎に移行することもあるので注意を 要する。HBe抗原陽性の血液は感染の危険性が高い。HBe抗原陰性の場合は、感染の可能性は低いが、一旦感染する と劇症肝炎を発症することがある。     針刺し事故後の対策としては、本人がHBs抗原及びHBs抗体陰性の場合は、48時間以内に高力価HBs免疫グロ ブリンとHBワクチンを接種し、1年間経過観察を行う。 (5)C型肝炎(HCV)      HCVに感染すると急性肝炎を発症するが、その60~80%は慢性肝炎に移行し、さらに肝硬変・肝癌に移行する可 能性がある。現在ワクチンがないため、事故後は、経過観察しかない。1ヶ月毎6ヶ月までと1年後の合計7回血液検査 (HCV抗体・肝機能検査)を実施し、問題なければ、観察終了とする。経過中C型肝炎を発症した場合は、インターフェ ロンの投与を考慮する。  (6)後天性免疫不全症候群AIDS(HIV)     我が国では最近、HIV感染者及びAIDS患者が増加している。初感染の患者が不明熱として受診したり、処置後や 手術後にHIV感染が判明したりすることがある。ホモセクシャル男性・不特定多数のSEX partner がいる人・薬物乱用 者・性感染症患者・HIV高浸淫地域の出身者等のハイリスクグループ、カリニ肺炎やカポジ肉腫等特異な感染症や合併 症のある患者さんについては、HIV感染の可能性がある。     針刺し事故等、HIVに汚染された場合、抗HIV薬の予防内服が望ましい。なるべく早い時期に服用開始し、1ヶ月     間服用する 。予防内服で感染を完全に防止できる訳ではないが、感染のリスクを1/5に低下させる。  (7)梅毒(Syphilis)      梅毒は、Treponema pallidum によって引き起こされる代表的な性感染症である。感染経路は、第1期、2期の顕症梅毒     患者の皮膚・粘膜の発疹から直接感染する接触感染である。非常に希であるが患者の血液を介して感染することもある。     従って、針刺し事故による感染も非常にまれだが起こり得る。梅毒の潜伏期間は約3週間であり、事故4週後に採血し、 梅毒血清反応(STS,TPHA)を調べる。

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