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PANSS (陽性・陰性症状評価尺度) (Positive and Negative Symptom Scale : PANSS)

 PANSS は、統合失調症の状態像を総合的に偏りなく把握するための評価尺度であり、統合失調症の臨床研究において、現在では最も頻用されている。
 30~40分の半構造化面接により、陽性尺度 7項目、陰性尺度 7項目 、総合精神病理尺度 16項目の合計 30項目を評価する。
 重症度評価は、各項目 7段階 (「1. なし」 「2. ごく軽度」 「3. 軽度」 「4. 中等度」 「5. やや重度」 「6. 重度」 「7. 最重度」) に分けられる。

==評価の利用==

① 類型学的評価 (陽性型、陰性型、混合型、分類不能型) :
   中等度障害 (評点 4) 以上の項目数の割合による分類や構成尺度を利用した症状プロフィールによる分類が可能である。

② 重症度評価 :
   経時的変化、介入効果判定が可能である。

□ 陽性尺度 (7項目)

01. 妄想 : Delusion
 根拠がなく、非現実的で風変わりな確信。
 面接中に表明された思考内容と、それが、社会関係や行動に及ぼす影響を評価する。
02. 概念の統合障害 : Conceptual disorganization
 目的指向性の障害として特徴づけられるような、思考過程の統合不全。
 例えば、でまかせ応答、支離滅裂、連合弛緩、不合理な推論、非論理性や思考途絶。
 面接中に観察された認知・言語的な処理過程を評価する。
03. 幻覚による行動 : Hallucinatory behavior
 外的刺激によらないで惹起された知覚を示すような行動や言語表出。
 聴覚、視覚、嗅覚、体性感覚の領域に起こる。
 面接中にみられた言語的、身体的表出と家族ないし看護職員の報告に基づいて評価する。
04. 興奮 : Excitement
 行動の増大、刺激反応性の亢進過剰警戒、気分易変性の増大に示されるような活動性亢進状態。
 面接中にみられる言語的表出と家族ないし看護職員の報告に基づいて評価する。
05. 誇大性 : Grandiosity
 過大な自己主張と優越性の非現実的な確信。
 常軌を逸した能力、富、知識、名声、権力、道徳的正当性などの妄想が認められる。
 面接中に表明される思考内容とそれが行動に及ぼす影響について評価する。
06. 猜疑心 : Suspiciousness
 迫害されるという非現実的で誇張された観念。
 用心深く疑い深い態度、過度の警戒心、他人が自分を傷つけるというあからさまな妄想に示される。
 面接中は表明される思考内容とそれが行動に及ぼす影響に基づいて評価する。
07. 敵意 : Hostility
 怒り、憤りの言語的ないし非言語的表明、皮肉、受動・攻撃行動、言語的暴力、攻撃性に示される。
 面接中にみられる対人行動と家族ないし看護職員の報告に基づいて評価する。

□陰性尺度 (7項目)

01. 情動の平板化 : Blunted affect
 情動反応性の減少をさす。
 表情、仕草、適切な感情表現や乏しさに表れる。
 感情基調や情動反応性の身体的表現を面接時の観察に基づいて評価する。
02. 情動的ひきこもり : Emotional withdrawal
 周囲の出来事に対して、興味や関心を示さないこと。
 面接時の対人行動の観察と家族ないし看護職員の報告に基づいて評価する。
03. 疎通性の障害 : Poor rapport
 会話の共感性と開放性に欠け、面接者への親近感や関心もないこと。
 言語的・非言語的コミュニケーションの減少と対人的距離によって明らかになる。
 面接時の対人行動に基づいて評価する。
04. 受動性/意欲低下による社会的ひきこもり : Passive Apathetic social withdrawal
 受動性、無欲性、欲動欠如、意志欠如のため、社会交流に対して関心や自主性が減少すること。
 そのため対人関係は減少し、日常生活にも無関心になる。
 社会性について家族ないし看護職員の報告に基づいて評価する。
05. 抽象的思考の困難 : Difficulty in abstruct thinking
 抽象的・象徴的形式で思考することが障害されていること。
 分類することや一般化することの困難さ、問題解決におけるかたくなさや自己中心的な考えが優位になっていることによって認められる。
 類似性とことわざ問題に対する反応および面接の中の具体的・抽象的思考を評価する。
06. 会話の自発性と流暢さの欠如 : Luck of spontaneity and flow of conversation
 無気力、意欲低下、防衛、あるいは認知面での欠陥と関連して会話の正常な流れが滞ること。
 これは言語的な交流の過程における流暢さや生産性の減少として現れる。
 面接中に観察される認知・言語過程を評価する。
07. 常同的思考 : Stereotyped thinking
 思考の流暢さ、自発性、柔軟さが減る。
 生硬で繰り返しが多く、貧弱な思考内容である。
 面接の際に観察される認知・言語過程を評価する。

□ 総合精神病理評価尺度 (16項目)

01. 心気症 : Somatic concern
 病気であるとかあるいは調子が悪いという、身体に関する訴えや確信。
 これは、調子が悪いという漠然とした感覚から不治の身体疾患であるという明らかな妄想まで範囲が広い。
 面接で表明される思考内容を評価する。
02. 不安 : Anxiety
 神経過敏、心配、憂慮、焦燥感という主観的経験をいう。
 現在あるいは将来についての過度の心配から恐慌感までの範囲がある。
 面接中に表明された内容とそれに相応する身体症状を評価する。
03. 罪責感 : Guilt feeling
 過去に実際にあった、あるいは想像上の悪行に対する自責感や自己嫌悪、面接では表明される自責感とそれが行動や思考に及ぼしている影響を評価する。
04. 緊張 : Tension
 硬直、振戦、多量の発汗、落ち着きのなさのように、恐怖感、不安感、焦燥感が明らかに身体に表されていること。
 不安であることを証拠だてる言語的表明と面接中に観察される緊張の身体的表現の重篤性を評価する。
05. 衒奇症と不自然な姿勢 : Mannerisms and posturing
 ぎこちない、大袈裟、混乱した、あるいは奇妙な外見により特徴づけられる不自然な姿勢。
 面接時の身体による表現の観察と看護職員ないし家族からの報告に基づいて評価する。
06. 抑うつ : Depression
 悲哀、落胆、無力、虚無などの感情。
 面接中に表明される抑うつ気分と態度や行動への影響を観察して評価する。
07. 運動減退 : Motor retardaion
 動作や会話が停滞したり少なくなったり、刺激に対する反応が減少したり、体の張りがなくなることに示される運動活性の減退。
 面接中に観察される症状と看護職員ないし家族の報告に基づいて評価する。
08. 非協調性 : Uncooperativeness
 面接者、病院職員、家族など重要な他者の意向に同調することを積極的に拒否すること。
 不信感、防衛、頑固さ、拒絶、権威に対する反発、敵意あるいは闘争性などを伴うこともある。
 面接中に観察される対人行動と看護職員ないし家族の報告に基づいて評価する。
09. 不自然な思考内容 : Unusual thought content
 風変わり、夢想的あるいは奇異な考えに特徴づけられる思考。
 その内容は的外れや典型的でないものから、歪んだ、不合理な、そしてまったく突飛なものまで含まれる。
 面接中に表明された思考内容を評価する。
10. 失見当識 : Disorientaion
 人物、場所、そして時間を含む環境と自分との関係に対する認識の欠如。
 さくらんや自閉が原因として考えられる。
 見当識に関した質問に対する反応を評価する。
11. 注意の障害 : Poor attention
 注意の集中困難をいう。
 内的・外的な刺激により注意散漫となり、新しい刺激に対して注意を移したり、保持したり、構えたりすることに困難を示す。
 面接中の所見に基づいて評価する。
12. 判断力と病識の欠如 : Luck of judgement and insight
 自分自身の精神状態、生活状況に対する自覚または理解の障害。
 この障害は過去あるいは現在の精神疾患や精神症状を理解できないこと。
 精神科への入院あるいは治療に対する拒否、結果に対する見通しのまずさが目立つ決断や、非現実的な長期ないし短期的計画などによって示される。
 面接中に表明される思考内容を評価する。
13. 意志の障害 : Disturbance of volition
 思考、動作、行動、会話における自主的な開始、持続、および維持の障害。
 面接中に認められる思考内容および行動を評価する。
14. 衝動性の調節障害 : Poor impulse control
 突発的で抑制を欠いた気分の変動や、後先を考えない緊張や情動の爆発をもたらすような、内的な促迫に対する行動の抑制や調節の障害。
 面接中の行動と看護職員ないし家族の報告に基づいて評価する。
15. 没入性 : Preoccupation
 内的に生じた思考と勘定に気をとられ、自閉的な体験に埋没して、現実的な見当識、適切な行動が失われる。
 面接中に認められた対人行動を評価する。
16. 自主的な社会回避 : Active social avoidance
 理由のない恐怖感や敵意あるいは不信感を伴い、社会との関わりが制限されていること。
 看護職員ないし家族の報告に基づいて評価する。