粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm: MCN)
臨床病理学的特徴
粘液性膵嚢胞腫瘍(MCN)は厚い皮膜に覆われた球形の,隔壁を有する腫瘍で,中年女性(平均年齢約48歳)の膵体尾部に好発する(24)という特徴がある.組織学的には卵巣様間質を有することが多い(25).ほとんどが女性にみられるため,男性例でMCNの診断がなされたものは,慎重に見直し・再検討すべきである.MCNの頻度はこれまでの報告よりかなり少なくIPMNの10%程度ではないかと考えられている.

卵巣様間質は卵巣の間質に類似した細胞密度の高い間質(26)で,円形あるいは細長い核と,細胞質の乏しい紡錘形の細胞が密に集合したもの(27)とされる.免疫染色ではvimentin陽性,smooth muscle actin 陽性,progesteron receptor (PR)およびestrogen receptor (ER)にはときに陽性とされる.量的にはHematoxylin-eosin 染色の弱拡大で,卵巣様間質が青いゾーンとして認識されれば十分である.

MCNの切除成績
わが国におけるMCNの切除後の成績は,5年生存率は45%,10年生存率40%と決して良好ではない.またMCNは,腺腫と腺癌の鑑別が容易ではなく,嚢胞性腫瘍の経過観察中に浸潤開始時期を予想することや,早期の浸潤を画像でとらえることは困難である.周術期の合併症や死亡率は少ない。以上のことから,MCNと診断がつけば手術の適応となる.Mayo Clinic における切除84例のMCN(70例:女性,14例:男性)のうち54例が腺腫,23例が非浸潤性腫瘍,7例が癌であったが,癌のうち5例は死亡したことから,癌の予後は悪いとしている(28).同様にフランスにおけるMCNは78例の5年生存率は63%であった(29).

MCNの術後遠隔成績に関する主な報告(27,28,30-33)を(表3)にまとめた。腺腫・非浸潤癌例は切除後の予後はきわめて良好である。一方、浸潤癌では5年生存率は17~50%であった。
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最終更新:2009年08月28日 06:50