おなじみ延髄外側症候群は1895年、ポーランド出身、ダンチヒのワレンベルグ(Adolf Wallenberg, 1862-1948)が報告、それまでの症候学と脳の血管支配の研究から、後下小脳動脈閉塞による延髄外側梗塞と推定し(Arch Psychiatr Nervenkr)、1901年に同症例の剖検で同血管の起始部の閉塞が証明されます(同上誌)。
 彼も1938年に、ナチスドイツがダンチヒを占領したときにオックスフォードへ亡命、1943年アメリカのシカゴに行き、1948年そこで死にました。

 デジュリーヌの延髄内側症候群は1914年に彼が書いた「神経疾患の症候学」に記載されています。

 頸静脈口付近の病巣で、9,10,11,12番脳神経を組み合わせたいろんな症候群がたくさんありますが、こんなものは全部無視しましょう。


 いやあ、脳幹の症候学はややこしいですよね。
 でも我々が診療していて時々まちがえる重要な問題は、微妙な指鼻試験の異常を診たときに、それが小脳症状なのか、錐体路症状なのか、どっちだろ?という判断だったりします。
 それをまちがえると、そもそも病巣が左か右かを、間違えますから。
 (たとえば右手の症状があるとき、それが「麻痺」なら左脳だし、小脳性失調だったら右の小脳か脳幹ですよね。)
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図2:延髄を通る断面の模式図(主な神経線維束の経過と方向を示す)。

01:後正中溝、 02:薄束、 03:孤束、 04:薄束核、 05:薄束核結節、 06:後中間溝、 07:楔状束、 08:楔状束核、 09:楔状束核結節、 10:外楔状束核、 11:後外側溝、 12:三叉神経脊髄路、 13:三叉神経脊髄路核、 14:下小脳脚、 15:背側脊髄路小脳路、 16:腹側脊髄路小脳路、 17:疑核、 18:網様体、 19:脊髄視床路、 20:オリーブ後溝、 21:腹側外弓状線維、 22:下オリーブ主核、 23:オリーブ、 24:オリーブ外套、 25:前外側溝、 26:舌下神経、 27:内側副オリーブ核、 28:弓状核、 29:錐体、 30:皮質脊髄路、 31:前正中裂、 32:内側毛帯、 33:縫線、 34:視蓋脊髄路、 35:内側縦束、 36:舌下神経核、 37:迷走神経背側核、 38:中心管、 39:(延髄の)中心灰白質、 40:交連核、41:孤束核、42:内弓状線維、43:迷走神経の感覚線維、44:中心被蓋路、45:オリーブ核小脳路、46:下小脳脚、47:外側楔状束核、48:網様体小脳路、49:網様体脊髄路、50:迷走神経の運動線維、51:前外束、52:錐体路
最終更新:2009年09月01日 06:40