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3) 植え込み術の実際
ICDの植え込み術は基本的にペースメーカーと同じです。しかし、ICDの本体はペースメーカーよりも数倍大きいため、切開の傷や皮下につくるポケットも大きくならざるを得ません<図3>。

また、ICD植え込み術のペースメーカーと大きく異なる点は「除細動効果の確認」です。最も重症で止まりにくい心室細動がICDによってきちんと停止させられるかどうかを手術中に確かめる作業(誘発テスト)が必須となります。時にICDからのショックでは心室細動が止まらないことがありますので、これに備えてICDの10倍近いエネルギーが出力できる「外付けの除細動器」をあらかじめ装着しておきます。無論、この誘発テストは全身麻酔下で行われますから、患者さんの苦痛はありません。

植え込みに伴う合併症のほとんどはペースメーカーに共通していますが、心室細動を誘発することに伴うリスクが若干高くなります。

4) ICD植え込み後


退院後、ICD患者さんの約半数で頻拍が発生し、ICDによる治療が行われます。また、治療が必要でない状況でICDが作動してしまうこと(誤作動)も10~20%程度で生じると言われています。もし意識がある状態で電気ショックが発生しますと、患者さんは痛みを感じます。特に誤作動時のショックによる症状は強いと言われています。ショック時の痛みの程度には、かなりの個人差がありますが、多くの患者さんは胸をけられたようだとおっしゃいます。

電気ショックは、速い心室頻拍や心室細動など特に危険な不整脈を止め、患者さんの命を救うためには避けられない治療法です。ショックは苦痛を伴うかも知れませんが、これは言い換えると「ICDが命を救ってくれた」ということです<図8>。

患者さんにとってこの治療法を受け入れるのは、大変勇気のいることだと思います。私たち医療従事者は病気を克服しようとしている患者さんにできる限りのサポートをし、植え込み後の生活が少しでも快適になるよう、細心の治療を心がけております。

外来では3~6か月ごとにICDの作動状況をチェックする必要があります。寿命はショックなどの頻度によってかなり影響を受けますが、おおむね4~5年といったところです。原則として、2回目以降の手術では本体のみの交換ですみますが、心室細動の誘発テストは必須です。

生活上の注意は、ペースメーカーと同様、強い電磁波環境を避けることが大切です。また、ICDを入れていても、車やバイクの運転などにはある程度の制限がつくことはやむを得ません。状況によっては運転が許可される場合もありますので、主治医によく相談してください。しかし、タクシー、バス、トラックなどの運転を生業とすることは残念ながら不可能です。運転中に万一発作が生じた場合、多くの人を巻き込む重大な事故に発展する恐れがあるからです。