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川崎病は、1967年に川崎富作博士によって発見された乳幼児に好発する原因不明の熱性疾患です。国内の川崎病発生数は年間8千例をこえて年々増加傾向にあり、全患者の約7%に冠動脈瘤という心臓血管の後遺症が残ります(厚生省川崎病研究班, 全国調査成績, 2002)。そして、一番の問題は、この冠動脈瘤はこどもの突然死の原因になることがあるということです。免疫グロブリン大量靜注療法が冠動脈瘤の予防に有効であることが証明されていますが、10~20%の患者はこの治療に反応しません。私たちは、川崎病の原因究明とともに、免疫グロブリン大量靜注療法の作用機序を明らかにしてより有効な治療法を確立することを目的として、DNAチップを使い川崎病患者の白血球(単球)の遺伝子発現解析を行いました。そして、発熱しているときにその発現量が増加し、免疫グロブリン大量靜注療法により減少する遺伝子として以下の6つを発見しました。

FCGR1A, FCGR3A, CCR2, ADM, S100A9, S100A12

最初の2つは免疫グロブリンのレセプターの遺伝子で、残りの4つは炎症をひきおこす作用に関係する分泌蛋白質です。川崎病では、未知の抗原とその抗原に対する免疫グロブリンの結合物(免疫複合体)が血液中に増えています。そして、それがレセプターに結合すると単球などの白血球が活性化され、発熱や全身血管の炎症をおこすと考えられています。今回の発見によると、大量投与された免疫グロブリンは、免疫複合体が白血球の免疫グロブリンレセプターに結合するのを邪魔するばかりではなく、「これ以上免疫グロブリンレセプターや分泌蛋白質をつくるな」というシグナルを白血球内部の遺伝子に伝えるのであろうと考えられます。そうすると白血球の遺伝子は以上の分泌蛋白質や免疫グロブリンレセプターをつくるのをやめるので、活性化されていた白血球はおとなしくなり、炎症が治まるのではないかと思われます。

免疫グロブリン大量靜注療法を行ったときにこれらの遺伝子発現量が低下しない場合は、この治療は有効ではないとすぐに判断されるので、新しい治療方針に変更することができるようになると期待されます。なお、この成果は5月号の米国免疫学会雑誌に掲載されています。国立成育医療センター研究所免疫療法研究室の阿部淳室長らをはじめとする国立成育医療センター、千葉大学医学部、千葉海浜病院、都立八王子小児病院のグループによる研究成果です。