平成15年7月に施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の基本理念に血液製剤の国内自給があげられており、国は平成20年を目途に国内自給を目指すこととされています。
 輸血用血液製剤は、昭和49年から献血により100%国内自給を達成していますが、血漿分画製剤は、国内献血の原料血漿から製造されたアルブミン製剤で55%、免疫グロブリン製剤で88%とまだまだ輸入に頼っているところです。日本赤十字社では、原料となる献血による血漿の確保だけでなく以前よりアルブミン製剤や凝固第Ⅷ因子製剤の製造を行って参りましたが、この度、日本赤十字社でも免疫グロブリン製の製造技術を導入し、国内自給100%達成を目指し製造・供給を開始しました。
 免疫グロブリン(=抗体)とは、血液の血漿に含まれるたんぱく質で、アルブミンの次に多い成分で、体内に侵入してきた病原体等から私たちを守ってくれます。また、いろいろな呼ばれ方をしていますが、免疫グロブリン=ガンマグロブリン=IgG、この3つは同じものを指しています。
 この免疫グロブリンを集めた製剤が、「日赤ポリグロビンN注5%」です。
この「日赤ポリグロビンN注5%」の名前の由来は、日赤(=日本赤十字社)ポリ(=多い)グロビン(globin=グロブリン)N(=native:自然のままに)注(=注射剤)5%(成分の含まれる濃度)を表しています。
 この製剤は、免疫グロブリンが常に不足している患者さんへの補充や、病気によって抗体が弱っている患者さんに使用します。また、抗生物質などがなかなか効かない場合やその他特発性血小板減少性紫斑病、川崎病にも使用されます。
(Y・T)
最終更新:2009年12月23日 18:56