第1話

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第1話 近年圧倒的な成績を残し、「歴代最強牝馬」との呼び声も出始めた馬がいる。 をっかだ。 ~2歳時~ おやっさん「この馬はあなたの厩舎に預けたいと思います。名前はをっかにしました」 雹豪「任せてください。うちの厩舎でビシビシ鍛えていきます」 おやっさん「うちの娘もこの馬を気に入っていてね」 みさき「おじちゃんおじちゃん」 新馬戦、そして重賞と難なく勝ち上がったをっかは ジュベナイルひりーずへの挑戦を決めた。 圧倒的一番人気の強敵アストントシチャンに挑む形になった。 ~戦前インタビューにて~ ゴッド「激突スポーツのゴッドです。今回2番人気と言うことですが、仕上げの方はいかがでしょうか?」 雹豪「うん。まあ状態もいいですし、追い切りもよく走ってくれてたんでね。結果は出してくれると思いますよ」 ゴッド「調教で乗った感触は?」 ポンコツ「この馬のことは自分が一番よくわかっていますし、一番調子がいいと思います」 ゴッド「一番わかっていると言うくだりは必要ないと思いますが」 雹豪「この馬は人気があるんでね、やっぱり答えたいですよ」 淑之「うるせぇよおい。できる限り馬の力を引き出します。追い込みで行きます」 レース当日 をっかは、直線早めに先頭に立つと そのまま後続を引き離し5馬身差の圧勝で初タイトルを飾った。 勝利ジョッキーインタビューで淑之は号泣した。 アナウンサー「勝利ジョッキーインタビューです。強かったですね」 淑之「はい。馬が勝手に動いてくれました」 アナウンサー「淑之さんもこれで初のG1。感想はいかがです?」 淑之「イケメン調教師がずっとサポートしてくれて、馬主も自分を信じてくれて…馬が強かったです」 アナウンサー「この馬の未来もずいぶん広がってきたと思いますが」 淑之「そうですね…うぅ(下を向いて涙を流す)」 アナウンサー「それでは、ファンの皆様へ一言!」 淑之「これからも…うっ…うぉぇぇぇぇ」 アナウンサー「ゲボを吐くな」 ノブン「をっかちゃん最高!一生ついていくよー!!」 馬主観戦席 おやっさん「をっか最高!!家内の次にいい女だ!」 みさき「をっかー!」 をっかは最優秀2歳牝馬に選出され、次の年へ期待をされた。 ~3歳時~ をっかは放牧でリフレッシュし、春からレースに向かうことになった。 ところが、ステップレース、パンジーカップではまさかの4着に敗れた。 雹豪「おかしいなぁ。ちょっと後ろすぎたかな。前がいい流れで行けてたから、もうちょっとだけ早めに動いてほしかったな」 淑之「もっと直線で伸びてほしかった。自分は悪くない」 敗因はほぼすべての人間が「淑之の騎乗ミス」だと認定していた。 おやっさん「先生、ちょっとお話が」 雹豪「オーナー。どうされました。珍しいですね厩舎までお越しになられるなんて」 おやっさん「実は…をっかのことなんですが」 雹豪「はい。あの馬は今こそ充実の時を送っていると思います。桜花賞へ向けてきっちり仕上げますよ」 おやっさん「路線のことではなく、ジョッキーのことなんです」 雹豪「ジョッキーを変更したい、そうおっしゃられるわけですか」 おやっさん「うむ…先日のパンジーカップ…あれはどう見てもうちの馬が勝てたレース。いや、勝たなければならないレースだったのです」 雹豪「確かに。しかし競馬に絶対はありません」 おやっさん「ファンの支持も厚いこの馬。絶対に落とせないレースでジョッキーの騎乗ミス。これで本番へは臨めません」 雹豪「おっしゃられることはわかります。しかし現時点であの馬をうまく乗りこなせるのは彼しかいないと思います」 おやっさん「それで本番で勝てるんでしょうか?次はないんです。次は絶対に勝たなければ…」 雹豪「淑之くんはうちの厩舎の所属騎手です。私としては彼を下すことはできません」 おやっさん「あのパンジーカップの騎乗を見てもそう言えますか?」 雹豪「彼にミスがあったのは確かです。どうか本番でもう一度彼にチャンスを与えてやってはくれませんか」 おやっさん「…」 雹豪「どうか、もう一度だけ!お願いします」 おやっさん「うちの娘が、いつも家でをっかのレースをビデオで繰り返し見てるんです。これ以上負けるレースを娘に見せるわけにはいかない」 雹豪「必ず、万全の状態に仕上げていきます」 おやっさん「わかった。桜花賞は彼を乗せよう」 雹豪「ありがとうございます」 こうして、淑之が下される危機は免れた。 ~桜花賞~ 雹豪「前哨戦で負けはしたが、十分今回も戦えると思ってます」 ポンコツ「調教で乗りましたが、問題ないです。この馬を一番近くで見ていたのは僕です」 雹豪「いやあの馬を一番近くで見ていたのは調教師のわしや」 淑之「あの馬と一番近くで触れ合っているのはジョッキーのこの俺だ」 ゴッド「いやずっと彼女を取材し続けている新聞記者の私ですが?」 ノブン「デビューからファンの俺だろ」 桜花賞。 直線で追い込みを見せたをっかだが そのはるか前にタイヤスカーレットがいた。 ノブン「をっかちゃーーーん!!」 最後までをっかはタイヤスカーレットをとらえきれず 2着に終わった。 タイヤスカーレットのジョッキー、アンカツは勝利ジョッキーインタビューで アンカツ「をっかは大したことないね。足音すら聞こえてこなかった」 と余裕のコメントを残した。 レース後の陣営は 雹豪「勝てなかったか。勝った馬が強かったもんな」 淑之「すいません…また同じミスを…」 雹豪「いやお前はようやったし、馬もがんばってくれたよ。勝った馬が強いんや」 おやっさん「淑之くん」 淑之「オーナー」 おやっさん「また勝てなかったね、君は」 淑之「…」 おやっさん「しかし、よく頑張ってくれた。私は娘と一緒に馬主観戦席で見ていたが、とてもエキサイトなレースを見せてくれたね」 みさき「としえおじちゃん顔きもい」 雹豪「オーナー、少しお話が」 そしてをっかはダービーへと進むのであった。 [[第2話]]

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