サクラチトシオー3

サクラチトシオーは早くも2戦目にして勝負のトライアルを迎えた。

2着までは皐月賞の優先出走権が与えられるとあって、ここ一番に賭ける粒ぞろいメンバーとなった。

中でも一番の注目はトゥシヴィクトシーの子、トゥシグトーシーだ。

あの安藤勝乙をして「ダービーで走る姿が見えた」と言わしめた逸材。

2着狙いにはトゥシメンテやペトシアンナイトと言った強力なライバルが顔を揃えていた。

一方のサクラチトシオー陣営。

ポンコツ「一応前の方で競馬をしてくれればチャンスはあると思うから」

淑之「命令するな。俺の気分と馬の気分でレースをする」

予想外にもゲートにすんなりと収まったサクラチトシオー。

スタートが切られるやいなや絶好のスタート。

これに気を良くしたのか、淑之が押していくとすぐにサクラチトシオーは掛かってしまう。

実況「強引にハナに立ったのはサクラチトシオー!これは意外です」

杉本清も思わず驚いた。

どんどん「完全に掛かってるな」

ポンコツ「だから言ったんだ、あの馬は頭が悪いから競馬が下手だと。競走馬に向いてないんだよ」

ノブン「終わった」

落胆するサクラチトシオー陣営を尻目に、この男だけは違った。

淑之だ。

淑之「うぉっ…」

ゲボを必死に我慢し、サクラチトシオーと折り合おうとしていたのだ。

淑之「俺だってジョッキーだ。G1に出たいに決まってる。さあ来い!真っ向勝負だ!」

コーナーを曲がるとムチを振りかざす。

当然後続も黙ってはいない。トゥシグトーシーを筆頭に、それをマークする有力馬が襲いかかる。

しかしサクラチトシオーの脚色はなかなか衰えない。

余力はないはずだが、根性で必死に抵抗していた。

実況「内の方ではサクラチトシオーが頑張っている!参加賞のサクラ!」

杉本清に参加賞扱いされていた馬の予想外の頑張りに場内が沸く。

どんどん「これ行けるんじゃないか?」

しかし残り1ハロン。流石に脚が止まってしまった。

淑之「おせぇぞ!おいまだゴールじゃねえんだよ」

実況「外からトゥシグトーシーが物凄い脚で迫る!並んで交わしてゴールイン!」

あわやの場面を見せながらも、逃げて粘って健闘の2着。まさかの皐月賞の優先出走権を獲得した。

どんどん「…」

ポンコツ「…」

ノブン「…」

人気はもちろん最下位人気。しかも気性が災いして掛かってしまったものの驚異的なスタミナで粘るという奇策。陣営は唖然としていた。

淑之「お前ら褒めろよ!2着だぞ!トゥシメンテとペトシアンナイトに勝ったぞ!」

ポンコツ「あ、ああ…」

デムーロ(トゥシメンテ)「トゥシメンテもいい足を使ったのに、なんで2着を交わせなかったのかわからない」

戸崎(ペトシアンナイト)「勝ち馬はともかく、2着の変な馬は交わせると思ったんだけど」

レース後の勝ち馬トゥシグトーシーの鞍上、安藤勝乙の「本番の相手はトシマサルだけだと思っていたけど、もう一頭いた。その馬とここで戦えたことが何よりの収穫」というコメントが全てを物語っていた。

乾坤一擲の逃げで皐月賞の権利を掴んだサクラチトシオー。

これに悪ノリしたポンコツが「どうせ本番は勝ち目がないから相手が薄めのスプリングSに出して賞金でも稼ごう」と提案したが厩舎スタッフ全員に反対されそのまま直行することとなった。

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