問題点のまとめ
1、調査対象に問題がある。
・高校三年生が大半である(3年生が125名、2年生が46名)
高校三年生の11月といえば、一般的には進路に関して大きなストレスがかかる時期であり、結果に影響がでると考えられる。
(受験生や就職活動をしている人には負担だが、推薦やNEETするつもり満々では精神状態に違いが出るのでは???)
・「ごく普通に学校生活を営んでいる比較的健康な高校生」(p.74)とあるが、「ごく普通」「比較的健康」の定義があいまいな上、
調査対象を選ぶ段階で、きちんと調査されていない。
2、「適応援助は親の他人や外的環境との共存志向を表している」(p.71)とあるが、谷井・上地が1993年にPRASを作成した際には、
適応援助を”「子供が新しい経験や状況に出会った時親がそれを援助する傾向を示」す因子(p20)”と定義しており、この解釈がどのように導き出されたのかわからない。
3、本来5件法として構成された学校環境適応感尺度を、PRASの回答方法とあわせるため3件法に変更して使用しているが、
信頼性を検証することなく変更を加えるのは問題である。