ポケモン初心者講座

「ポケモン初心者講座」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ポケモン初心者講座」(2008/12/08 (月) 14:54:56) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ポケモン対戦入門 **~準備編~ ***1:「最初に言っておく!」 このコラムのコンセプトは、あくまで初心者向け。「DSの勢いにあてられてポケモンダイヤ&パールを買って、一通りクリアしてみたけど対戦はしたことないなあ。でもちょっとやってみようかな?」という人に、途中で嫌にならずに対戦を楽しんでもらうためのアドバイス…というものです。ですから、既にやり込んでいる人、廃人レベルに到達している人には物足りない内容かもしれません。その辺りは何卒ご容赦下さい。 さて、ポケモンは持っているしクリアしたけど対戦はしたことがない、したことがないけど興味はある方、もしくは対戦したけどボロボロに負けちゃった…という方。ようこそ!あなたのような方のためにこのコラムがあるのです。これを読めば廃人相手にも楽勝!…なんて都合の良いことはありませんが、少なくともいい勝負をするために必要なことは分かるのではないかと思います。 「ポケモンは買ったけど、まだクリアしてないなあ」という方。是非クリアを先にして下さい。ポケモンというゲームはよく出来ていて、クリアするまでが対戦のチュートリアル、練習にもなっているのです。このコラムは、相性、属性などの最低限は「一応知っている」という方を対象にしています。ですから、一度はクリアして、その基本的なところは知っておいてからこのコラムをお読み下さい。 ***2:「何勘違いしてやがる!」 ポケモンを一通りクリアしたあなたは、「ポケモンと言えば対戦だろ!」とばかりに対戦相手を探します。近くにポケモンをやっている人はいない…でもDSのWifi対戦ならそんなことを気にする必要はありません。ネット上を適当に探し、あなたは対戦相手を募集している掲示板まで辿り着きました。ともだちコードを交換していざ対戦、なあに四天王にも楽勝なんだから、いい勝負は出来るさ…と思ったのが間違いだったことに気付くのに時間はかかりませんでした。 こちらが先頭で出したポケモンはエンペルト。クリアまで、そして今でもお世話になってる主力中の主力です。対して相手の出してきたポケモンはゴウカザル。ゴウカザル…確かヒコザルの進化系だよな。だったら炎ポケモン、水ポケモンのこちらが有利だ!そう思ったあなたは、四天王をことごとく葬り去ってきた「なみのり」を選択します。パシーーーーーン!効果抜群の音がします。地面にひれ伏しているのは…あなたのエンペルトの方でした。呆然としたままあなたは残りの二匹であるレントラーもムクホークも何もしないまま戦闘不能にされ、あっという間に負けてしまいました。彼等はクリアするまであんなに活躍してくれていたのにあんなにあっさりと…。 「もうやらねえよ!」あまりのワケの分からなさに匙を投げてしまうあなた。でもこれ、順当な結果だったりするのです。「どうして?炎は水に弱いんでしょ?」はい、その通り。でも鋼は炎と格闘に弱いのです。この場合、炎は水で相殺されますから、鋼は格闘に弱い、ということが重要だったのです。そのことを重視しなかったことが敗因である、と言えるでしょう。 「でも何で?確かに鋼は格闘に弱いけど、炎は水に弱い。トントンなんじゃないの?」はい、戦い方によってはそのように持ち込むことも全くの無理というワケではありません。しかしそれにはあまりにも色々なモノが足りな過ぎました。能力の把握、選択した行動、技…ありとあらゆる物が間違っていた、と言えます。 では、間違っていない選択・正しい選択とは何だったのか?それをこの後紐解いて行きましょう。 ***3:「力こそ正義でごわす!」 まず、重要なのはポケモンの選択です。適当なポケモンを使っていては勝てるものも勝てません。 前段のたとえ話ではエンペルト、ムクホーク、レントラーというパーティーを使っていました。初心者の人でも揃えられるパーティーとして、実にありがちだったりします。序盤に手に入るポケモンの進化系ですし、個々の能力もレントラーは微妙なものの、他二匹はそれぞれ強い部類に入るものだったりします。 では何がダメだったのか?今回はあまり関係ありませんでしたが、組合せは致命的に悪いと言えます。エンペルトとムクホークは電気に弱く、エンペルトとレントラーは地面に弱いです。と、いうことは電気と地面を使う相手が出てきたら簡単に負けてしまうワケです。攻撃という意味では各種属性が揃えられて一見強そうに見えてしまうのですが、これが逆に困りモノだったりします。ついついそこに目が奪われて、自分が攻撃される側に回ることを考えるのを忘れてしまうものですからね。 それらを踏まえてパーティーの構成を再度考えてみましょう。まずはエンペルト。クリアに使っていたポケモンを流用すると、育ち方がいい加減になってしまったりしているものですが、取り敢えずそれは置いておいて、使える部類に入るのでそのまま使ってみましょう。次にレントラー。見た目は強そうなのですが、実は対戦で使おうとするとかなり工夫しないとなかなか役には立ってくれません。よってこの場は外れてもらいましょう。そしてムクホーク。弱点がエンペルトと被っている…とは言ったもののその強さは魅力的。何とか工夫して使うこととしてそのまま使ってみましょう。工夫については後段で詳述します。 レントラーが抜けた穴はどうするか?理想的なことをいえば、他の二匹と弱点が被らず、他の二匹が攻めきれない相手を攻める事が出来るポケモン、ということになります。つまり穴を埋めることが出来るポケモン、ということになります。比較的手軽に入手出来るポケモンの中ですと、アサナンを進化させたチャーレムや、ムウマを進化させたムウマージ辺りが良いでしょう。チャーレムの良い点は難しいことをせずとも属性の違う技が容易に手に入る点と、弱点である飛行とゴーストは、エンペルトに対して効果は今一つである点。ムウマージの良い点はゴースト属性で特性が浮遊なのでエンペルトの苦手な格闘技と地面技を同時に回避することが出来るという点、そしてこちらも幅広い属性の技を覚えることが出来るという点です。 入手自体はチャーレムの方が簡単ですし、技も比較的揃えやすいでしょう。ただ今回はエンペルトとムクホークが最初にいることが前提なのでムウマージを選ぶことにします。ムウマージの弱点であるゴースト属性と悪属性の技はエンペルトにとっては得意な相手なので、こちらも相互補完出来るので丁度良いのです。ただし、ムウマージは、そもそもムウマがパールでしか手に入らない、進化にアイテムが必要であるなど、ちょっと面倒なところはあります。その場合はゲンガーを使用しても良いでしょう。こちらも進化に通信を必要とするなどの面倒があったりしますが、ダイヤでも入手可能であるという点では便利と言えます。 さて、レントラーを外してムウマージを入れてみたワケですが、レントラーを外すことに少しためらいを覚えたりはしていませんか?ポケモンを楽しむ上でその気持ちは大切なものです。対戦に使うキャラクターがこうして動物的に表現されている以上、全く愛着を持ってプレイしないというのも寂しい気がしますよね。でも、時には非情になることも必要です。ここはあくまで対戦についてのコラムです。弱いとされてしまっているポケモンは敢えて外し、ある程度強いとされるポケモンを使うようにしましょう。「えー、弱いって言われてるポケモンで勝った方がカッコ良くね?」と思われるかもしれません。しかし、弱いとされるポケモンで実際勝つには色々な工夫と練りこまれた戦術とひらめき、そして運が必要になります。いきなりそれを目指そうと思っても中々難しいものです。負けが込んで対戦自体がイヤになる前に、ちょっとでも勝てる方を目指してみましょう。   ***4:「そして何より速さが足りない!」 これで戦うポケモンは揃えました。じゃあ再戦だ!…という前に考えなくてはならないこと、しなくてはならないことがあります。それは技とアイテムの調整です。熟練したポケモントレーナーの人は「あれ?努力値は?個体値は?性格は?使うポケモンと技だけ決まっていてもそれを決めないと話にならないんじゃないの?」と思われることでしょう。はい、実際極めていこうとするとその通りです。ただ、この場は適当に捕まえて、適当に育てたポケモン、または数匹程度捕まえた中で比較的使えるという程度のポケモンを対戦に出すということで話を進めさせていただきます。いきなり育成をどうこうしろと言われても難しいですからね。 さて、技です。ポケモンプレイ中に説明が有ったかどうかは忘れてしまいましたが、ポケモンの技には「物理系」と「特殊系」があります。技の能力を見る画面で赤とオレンジのギザギザ模様のアイコンが描かれた技が物理系、紫色の波紋のような絵柄のアイコンが描かれた技が特殊系です。この二つの違いはというと、物理系は「こうげき」と「ぼうぎょ」で威力を計算し、特殊系は「とくこう」と「とくぼう」で威力を計算するというだけのことです。ただそれだけのことですが、それを忘れると無駄な技を覚えさせてしまったりすることになります。ポケモンは一匹に対して4つまでしか技を覚えさせられません。ですから無駄な技は一つとして覚えさせてはおけない、と考えなければなりません。これは初心者であっても上級者であっても同じこと、基本だと言えます。 物理系と特殊系が分かったところでポケモンのステータスを見てみましょう。具体的に数字を比べてみると、エンペルトとムウマージは「こうげき」より「とくこう」が高く、ムクホークは「こうげき」の方が高い傾向が有るハズです。細かい説明は避けますが、これはポケモン毎に傾向が決まっています。ですから誰が使うエンペルトも「とくこう」の方が「こうげき」よりも高い傾向にあることに違いはありません。で、それが分かったところで何を考えるかと言えば、それぞれに物理系と特殊系、どちらの技を覚えさせた方が良いか?ということです。 エンペルトは「とくこう」が高い傾向があるので特殊系の攻撃技を中心に覚えさせます。属性が一致する技を覚えさせた方が威力が高くなる、ということはご存知だと思いますので、水と鋼をまず候補にします。水技は「なみのり」、鋼技は「ラスターカノン」が良いでしょう。「ラスターカノン」の技マシンは基本的に一つしか手に入りません。そのため温存しておいた方が良い…場合もありますが、今回は気前良く使ってしまったことにします。「なみのり」の方は秘伝マシンですからそんな心配はいりませんけどね。 ここで一つ問題が発生した、という人も多いでしょう。クリアするために使っているポケモンの場合、対戦では使い道の無い秘伝技を覚えさせていることが多々あります。初期にポッチャマとしてもらえるエンペルトは特に秘伝技を覚えていることも多いかと思います。秘伝技にしても「なみのり」はともかく、うっかり「ロッククライム」やら「かいりき」やらを覚えさせているとどうにもなりません。忘れさせてから他の技を覚えさせて下さい。ミオシティにいる「わすれさせオヤジ」に言えば秘伝技でも忘れさせてくれます。 エンペルトの技の話に戻りましょう。「なみのり」と「ラスターカノン」までは決まりました。もう一つは「れいとうビーム」をお勧めします。氷系の技を苦手とする相手は多くて使い道は幅広い上、運が良ければ相手が凍って行動不能になることもあります。ひねったことをしないのならばこれ以外の選択肢は無い、と言えます。そして残った最後一つの枠はどうするか?ここは「アクアジェット」を覚えさせておきましょう。「え?それって物理系の技じゃないの?しかも水技を二つも覚えさせるの?」こう思われたかもしれません。ごもっともな指摘ですが、これはこれで良いのです。何故かはこの後詳しく解説します。 次はムクホーク。レベルアップで覚える「インファイト」「ブレイブバード」の二つはそのまま使うことが出来ます。と、言うかこの二つがあれば他は意外とどうでも良かったりします。後述するアイテムの話に関係して、他の技を使う機会がない可能性が高いからです。強いて言えば「とんぼがえり」と「おんがえし」が比較的オススメできるかと思います。 最後にムウマージ。ここでオススメする技の構成は一般的に使われているムウマージのそれと少し異なりますが、準備にあまり無理を強いないというコンセプトから以下の通りの技をオススメしておきます。「シャドーボール」「サイコキネシス」「10まんボルト」「マジカルリーフ」この4つです。幅広いタイプの相手と渡り合いたい、というのがこのムウマージの狙いですので、捻らずに技を組み合わせています。もし、交換でゴーストをゲンガーにして使う場合、「サイコキネシス」や「マジカルリーフ」ではなく、「ヘドロばくだん」や「エナジーボール」を覚えさせると良いでしょう。   技は決まりました。次はアイテムです。 エンペルトは、効果抜群半減の実を持たせてあげたいところです。弱点である地面を半減する「シュカ」、または格闘を半減する「ヨプ」。このどちらかが良いでしょう。この場では「ヨプのみ」を持たせておくことにします。ちなみに、効果半減の実は大湿原のあるノモセシティの入り口近辺の家にいるお姉さんからもらえます。日替わりで一日一個もらえるので、目的の実がもらえるまで粘りましょう。目の前でセーブしてリセットすればいずれもらえます(笑)。 ムクホークは「こだわりスカーフ」を持たせてください。一回技を使うと交代して再度出てくるまで技を変更出来なくなるアイテムですが、その代わり素早さが1.5倍になります。破壊力と素早さが命のムクホークには合っているアイテムです。「こだわりスカーフ」はバトルタワーの景品です。なかなか勝てないからポイント貯まらないよ…と思われるかもしれませんが、ダブルバトルの序盤だけやっていればいずれ貯まる程度のポイントです。バトルタワーは負けても悔しいこと以外にデメリットは無いので、挑戦してみて下さい。 ムウマージ、またはゲンガーは「きあいのタスキ」を持たせて下さい。HP満タンからの即死を、残りHP1で踏みとどまらせることで一回だけ防いでくれるアイテムです。どちらもさほど防御が強くないのでそれを逆手に取る形になります。一回で倒されるはずのところを確実に二回にしてくれるので、相手より遅くても一回、速ければ二回は攻撃するチャンスが保証されるということになります。(もちろん例外はありますが、この場では考えないこととします) さて、ここで二つほど解説を入れたいと思います。それはエンペルトに覚えさせた「アクアジェット」とムクホークに持たせた「こだわりスカーフ」についてです。 エンペルトには特殊系の技を覚えさせると良い、と上で書きました。しかし「アクアジェット」は物理系の技。なんでそんなものを覚えさせるのでしょう?それは「アクアジェット」の特別な効果に理由があります。「アクアジェット」は、素早さに関係なく先制攻撃をすることが出来るという効果を持っています。それは他に変えがたい価値のある効果なのです。「でも物理系じゃ威力は無いし意味がないのでは?」そう思われるかもしれません。思い出してください「きあいのタスキ」というアイテムの効果を。HPが1だけ残るのです。ポケモンは、どんなに攻撃力が低くても、命中さえすれば最低1はダメージを与えることが出来るようになっています。ですから、「アクアジェット」さえあれば「きあいのタスキ」で踏みとどまった相手でも、次のターンで確実に倒すことが出来るのです。(これにももちろん例外はありますが、この場では考えないこととします) 次に「こだわりスカーフ」について。ムクホークは「インファイト」「ブレイブバード」など、威力が高い技を使います。これは大変大きな武器で、相手を一撃で倒せる場合もあります。一方で防御が低いという欠点もあり、こちらが相手に一撃で倒されてしまう場合もあるのです。と、いうことは「相手に攻撃されずにこちらの攻撃を当てれば勝てる可能性が上がる」ということになります。攻撃を当てるには素早くなくてはいけません。しかし、ムクホークの素早さは平均以上ではあるもののとても速いというほどでもありません。しかし、「こだわりスカーフ」を使うことで一気にとても速いポケモンとも渡り合えるスピードを手に入れることが出来るのです。もちろん、「こだわりスカーフ」の副作用で技を容易には使い分けられなくなりますが、「先に攻撃出来る」というのはそれを押してでも得るべき効果なのです。先にも書きましたとおり、攻撃を喰らえば何もせずに落ちることになる可能性があります。ムクホークのような比較的脆いポケモンは尚更です。ですから確実に先手を取ることが重要となってくるのです。これは、初心者向けと言うことではなく、上級者であっても同じことです。相手に何かをさせる前にこちらが先手を撃つ、ということは、時として他のどの要素よりも重要となるのです。エンペルトの「アクアジェット」にしてもそうです。両者のHPが残り少ない場合、先手さえ取れれば勝てるという状況は往々にしてあるものです。そういう場合、先制攻撃出来る技や、速いことが勝負を決定するのです。 ちなみに「きあいのタスキ」はムクホークに向いていません。何故なら「ブレイブバード」は攻撃した時に反動を受けてこちらもダメージを食らってしまうからです。HPが1しか残っていない状態では絶対に耐えられません。いくら相手を倒しても、共倒れでは意味が無いですからね。 また、「こだわりスカーフ」を持たせることで技を再選択出来なくなると書きましたが、最初に少し書いた通り一回他のポケモンと交代すればもう一度選びなおせます。ムクホークの特性「いかく」は出てくる時に相手の攻撃力を一段階下げる効果を持っているので、交代のついでに相手の攻撃力を下げることも出来ます。交代しなくてはならないのはデメリットばかり…というわけではないということです。   ポケモンと、技、そしてアイテムが決まりました。いよいよ対人戦に再チャレンジです!と、言った所で準備編は終了です。 ***おさらい エンペルト(ヨプのみ) なみのり ラスターカノン れいとうビーム アクアジェット ムクホーク(こだわりスカーフ) インファイト ブレイブバード とんぼがえり おんがえし ムウマージ(きあいのタスキ) シャドーボール サイコキネシス 10まんボルト マジカルリーフ **~対戦編~ ***1:「俺に前フリは無ぇ!」 ちなみに、この攻略はダイヤモンド&パールの時点でのものとなっています。プラチナでは若干状況が違う部分があるかもしれませんがご容赦ください。 さて、前回あなたはポケモンクリアに使用したポケモンで他のプレイヤーに対戦を挑み、あっさり負けました。悔しいと思ったあなたは準備をすることにしました。使うポケモン、覚えさせる技、持たせるアイテム。これらを上の【おさらい】のように厳選し、ついに雪辱を果たすべく再び対戦に挑むことになりました。   ***2:「相手が勝ち誇ったとき そいつはすでに敗北している」 あなたは前回敗北した相手と再び対戦することになりました。相手はあなたを甘く見て前回と同じポケモンで対戦してやる、と言っています。なるほどそれは好都合です。「え?前回は先発のゴウカザルしか見てないよ?後ろの二匹が分からないのに意味はあるの?」そう思うかもしれません。しかし、最初の一匹が確定するというのは、それだけで大きなアドバンテージなのです。詳しくは追って説明していきましょう。   使用するポケモンは前回決めましたので、ここではどのポケモンを先頭に持ってくるかを考えてみましょう。 相手が前回と同じということは、最初にゴウカザルが出てくる、ということになります。ゴウカザルの属性は格闘・炎です。これらに強いのは飛行を持つムクホークか、格闘を無効化出来るムウマージ。そのどちらかということになりますが、今回はムクホークを先頭にしましょう。 前回の対戦時、特に書きませんでしたがゴウカザルが使ってきた技は全部物理系、「インファイト」と「ストーンエッジ」の2つでした。ゴウカザルは物理も特殊も全く同じ数値を持っているため、実際戦ってみないと物理中心か特殊中心か分からないことが多いですが、今回は既に物理型だと判明しています。ムクホークの特性「いかく」を生かしましょう(効果については前回を参照のこと)。物理型であるゴウカザルにとってこれほどイヤな特性はありません。 また、前回の対戦から、ゴウカザルが持っている道具もある程度推測出来ます。まず「こだわりスカーフ」や「こだわりハチマキ」はありません。「こだわり~」系のアイテムを付けていると技を使い分けることが出来ないからです。攻撃するたびにHPが減る…といったこともなかったことから、攻撃力を約1.3倍にする代わりにダメージを受ける「いのちのたま」でもないことがわかります。それ以外となると「きあいのタスキ」である可能性が高いと言えます。「きあいのタスキ」は速さと破壊力が高く防御が薄いゴウカザルの道具としては最も効果的だからです。そしてそれは同時に「こだわりスカーフ」を持ったムクホークならば確実に先制出来る、ということなのです。前回書いたように、「先に攻撃出来る」というのは大変重要なことです。 ムクホークを先頭にするにはこの他にももう一つ重要な意味があります。それについては次で説明します。   ***3:「どうする どうする どうする 君なら どうする!?」 いよいよ対戦開始です。まずは初手をどうするか考えましょう。 単純に相性だけ考えたら「ブレイブバード」ですが、相手の道具が「きあいのタスキ」だったとすると、HPが必ず1残ってしまいます。その後にストーンエッジを喰らってしまったらムクホークは撃沈、早々に手持ちを使い捨ててしまうことになります。それはなるべく避けたいところです。 逆の立場から考えてみましょう。相手のゴウカザルはどんな攻撃をしてくるでしょうか。交代以外では、前回一撃でムクホークを倒した「ストーンエッジ」でしょう。効果抜群の技で少しでも多くのダメージを与えたい、と考えるハズ。一方でこちらの手持ち。「ストーンエッジ」に強いポケモンはというと…いました。エンペルトです。では交代すれば良い?しかしそれでは「きあいのタスキ」の問題は解決しません。それを解決するのが「とんぼがえり」です。え?前回「インファイト」と「ブレイブバード」だけで良いと言ったのに…と思われるかもしれませんが、この場はこれがベストなのです。 「とんぼがえり」の利点、それは「通常の交代と違って相手にダメージを与えられる」という点。虫系の技はゴウカザルに対しては「こうかはいまひとつ」とですが、前回も言った通りにポケモンというゲームは「当たりさえすれば最低でも1ポイントはダメージを与えられる」のです。1ポイントでもダメージを与えてやれば「きあいのタスキ」を無効化出来るのです。これは破壊力の割りに防御が薄いゴウカザルには脅威となるのです。 「とんぼがえり」で先制し、エンペルトに交代したあなた。相手の「ストーンエッジ」は「こうかはいまひとつ」で、ほぼノーダメージです。これで安全にゴウカザルにダメージを与えてエンペルトを場に出せました。「ムクホークを先頭に出すもう一つの重要な意味」とはこの「相手の道具を無効化しつつダメージを与え、安全に交代する手段を持っている」ことです。 対戦では相手にダメージを与えるのは大事です。しかしそのためには自分の有利な状況に持っていく、という根回しも大変重要なのです。 ***4:「全部読めていた」 さて、今のターンの裏で流れていた思考を少し解説してみましょう。 ゴウカザルを相手にした時に困るのは、高い攻撃力と素早さの他に「きあいのタスキを持っていると一回では倒せない」というところ。だから倒すためには二回攻撃を当てなくてはならず、それはつまり最低でも一回は攻撃に耐えなくてはならないということでもあります。それに対してここではムクホークとエンペルトを使い、一回目の攻撃であまりダメージを受けないようにすることで対処しました。 まず、ムクホークを使うことで相手の使う可能性のある技を制限しました。それはどういうことか?「インファイト」はムクホークには普通の効果、他に持っていることが予想「フレアドライブ」「マッハパンチ」はそれぞれ反動ダメージや威力の点から確率は低い…だから必然的に「ストーンエッジ」を使うだろうということになるのです。それならば「ストーンエッジ」が「こうかはいまひとつ」のエンペルトを出してあげれば良いのです。「いかく」も効いているので大したダメージを食らう恐れはありません。 その作戦を支えたのが「とんぼがえり」と「こだわりスカーフ」の組み合わせ。先制しつつダメージを与え、ムクホーク自身は安全に逃げる事が出来ます。防御の薄いムクホークにとって一回の攻撃が致命傷となります。なるべくダメージを負わせずに交代させるに越したことはありません。 そして更に次のターンでもゴウカザルの動きを誘導しています。 エンペルトが相手では、一発で倒さないとゴウカザルの方がやられてしまいます。頼みの綱の「きあいのタスキ」はもう使えません。しかし、その一方で「インファイト」ならばエンペルトを一撃で倒す事が出来ますし、エンペルトの「アクアジェット」ならば一発は耐える事が出来る範囲です。ここは交代しない限り「インファイト」を撃たざるを得ない状態なのです。 そしてこちらは「ヨプのみ」と「いかく」の組合せで「インファイト」対策は出来ています。ここまででダメージを受けているゴウカザルに攻撃をさせてこちらが「なみのり」を当てるという作戦の下準備は整いました。 次のターン、「ヨプのみ」のお陰で相手の「インファイト」を耐えたエンペルトの「なみのり」が炸裂します。防御の下がったゴウカザルが弱点の一撃を耐えられるはずもなく、戦闘不能となりました。相手はこちらの周到な罠に落ちてゴウカザルを倒されてしまったのです。 ***5:「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけ」 次に相手が出しきたのはサーナイト。エスパー系サーナイトは多彩な技を覚えるのが売り。そのため何を覚えているのか見極めるの難しい部類に入ります。こちらには属性的に有利なムウマージがいます。ここは何とかしてムウマージを安全に登場させる方法を考えましょう。 まず、エンペルトはどうすれば良いでしょう?サーナイト相手に先手を取るのは無理です。そのため普通は攻撃を一発必ず食らってしまいます。もし「10まんボルト」を放ってきた場合、エンペルトは確実に戦闘不能になります。だからと言って素直に交代させればムウマージが攻撃されてしまいます。サーナイトは「さいみんじゅつ」や「おにび」などの厄介な技を多数覚えます。ムウマージがそれらの技を喰らったらこちらが不利になることは間違いありません。 ここで判断すべきはエンペルトとムウマージどちらを生かすかということ。エンペルトをこのまま捨て駒にするか、ムウマージがダメージを受けるのを止む無しとするか。 相手のここまでの手持ちはゴウカザルとサーナイト。そして残りの一匹はまだ分かりません。が、弱点の被ったポケモンを出してくる確率は低いと考えられます。もちろん確実ではありませんが、相手もリスクを回避する戦術を取ってくるのですから当然です。 と、するとゴウカザルの弱点であった水系を犠牲にしてもリスクは低い、と考えられます。万が一水が弱点のポケモンがいても炎系以外ならムウマージの「マジカルリーフ」で代用できます。逆に、サーナイトがまだいる状態でムウマージが動けなくなる方がより危険です。ここはエンペルトにもう一働きしてもらいましょう。 素早さではサーナイトに勝てないエンペルトですが、幸い一矢報いる手段があります。「アクアジェット」です。必ず先手を取れるこの技をここで使わない手はありません。 エンペルトが放った「アクアジェット」はサーナイトのHPをわずかに削っただけに過ぎませんでした。サーナイトが放った「10まんボルト」で戦闘不能となるエンペルト。「今のアクアジェット、意味有ったの?」と思われるかもしれません。しかし、「万が一」に備えて少しでも相手にダメージを与えておくことも重要です。ポケモンの対戦を続けていると「きあいのタスキもないのにHPが1だけ残って助かった」ということが往々にしてあります。そうしたこともあるので、1ポイントでも多くダメージを与えておくべきなのです。 ***6:「ところがぎっちょん!」 満を持して三匹目の手持ち、ムウマージの登場です。ここでサーナイトとムウマージの力関係について考えてみましょう。ゴースト系とエスパー系で属性としてはムウマージが有利。ただし、サーナイトもゴースト系の技を覚えることを考えるとムウマージが一方的に有利な状況とはいえません。能力の数値としては、ムウマージの方が素早い分、破壊力と耐久力ではサーナイトに劣る傾向があります。これらはそこまで大きな差ではありませんので、育て方によっては引っくり返る範囲のものです。 ムウマージには「シャドーボール」を覚えさせています。素早さはムウマージの方が早い傾向があることを考慮するならば、ここは何も考えずに「シャドーボール」を撃てばよいと言うことになります。 ムウマージの「シャドーボール」でHPを半分程度まで減らされたサーナイトも「シャドーボール」を撃ってきました。こちらのHPは3分の1ほど減らされました。「きあいのタスキ」は無効になってしまいましたが、素早さで勝っているので次で倒せば問題ありません。二発目の「シャドーボール」でサーナイトは戦闘不能になりました。エンペルトの「アクアジェット」で与えておいたダメージがないと際どいところでした。先ほどの一撃は無駄にはならなかったようです。 そして出て来た相手の三匹目は…ドサイドンです。読みが外れて見事に水系が弱点…しかしこれは大変有利な状況です。ムウマージには「マジカルリーフ」がありますし、倒し損ねてもムクホークが覚えている「インファイト」もドサイドンの弱点です。ムウマージに「マジカルリーフ」を撃たせ、倒しきれなかったらムクホークで「インファイト」…考える余地は有りません。弱点を的確に突いて倒してしまいましょう。もう初勝利は目前です。 ムウマージの「マジカルリーフ」をギリギリで耐えたドサイドン。ムウマージはストーンエッジで戦闘不能にされてしまいました。しかしこれでは「インファイト」を耐える事は出来ません。ドサイドンは先制技を覚えませんので攻撃を喰らう心配もありません。こちらは悠々と技を決定して勝利が決まる瞬間を待てばいいのです。 ***「ドサイドンのストーンエッジ!」 あれ? ***7:「いつもいつでも上手くいくなんて保証はどこにも無いけど」 何故か放たれるドサイドンの「ストーンエッジ」。運良く命中はしませんでしたが、当たったらムクホークが戦闘不能になるところでした。ドサイドンは「せんせいのつめ」を持っていたようです。この道具は数%の確率で相手の先手を取ることが出来ます。その数%がたまたま最後の瞬間に当たってしまったのです。しかし攻撃は外れてしまいました。威力が高い技でも当たらなければ何もしないのと同じです。 「インファイト」でドサイドンを倒すムクホーク。最後はかなり際どいところでしたが何とか初勝利を手にすることが出来ました。そこまで準備に手間をかけたポケモンでなくても、やりようと組み合わせによってはこれだけ戦えるということが分かってもらえたと思います。   さて、ここでおさらいをしてみましょう。重要なのは以下の3点。 ***1・自分と相手の手持ちについて充分な知識を持っておくこと ***2・相手の動きから能力や道具、次の手持ちなどを予測すること ***3・予測に基づいて相手の動きに先手を打ち、有利な状況に持ち込むこと   つまり「事前に充分に下調べをし、対戦がはじまったら相手が有利にならないようにしつつこちらが有利になるようにする」という勝負ごとならば当たり前のことがポケモンの対戦でも当てはまる、ということです。 そのためにはまずは知識をつけること。今回の解説でゴウカザルについて色々と予測を立てて対処法を考えました。これは「ゴウカザルがどういう戦い方をするポケモンか」ということを良く知っているからこそ出来たことなのです。また、前回手持ちポケモンを決める時も「このポケモンはこういう戦い方が出来る」と知っているから選ぶ事が出来たのです。 「知識をつける」いうと「面倒だなあ」と思われるかもしれませんが、とりあえずは「こいつはこういう強い技を使ってくる」とか「こいつはすげー速い」とかそういうところを何となく感じ取れば良いかと思います。対戦の中で負けたり苦戦したりした相手を「何か凄い奴」としてマークしておくだけでも少しは違うと思います。詳しく調べたい、ということでしたらポケモンのデータを紹介している攻略サイトさんを参考にすると良いでしょう。有名なところでPOKeDEX 250さん、ポケットモンスター情報センターさんなどがあります。 そして知識をつけたら実戦を多くこなすことが大事です。実戦経験が豊富ならば少しくらい知識が曖昧でもカンで何とかなることもありますし、「相手は次にこうしてくるに違いない」というのは実戦経験から来る事も多いのです。 それからいかに自分が有利な状況に持ち込むか。相手も頭を使ってくるわけですから何のリスクも背負わずに一方的に有利になるのはほとんど無理です。ムウマージを無傷で登場させるためにエンペルトを犠牲にしたように、今必要なのは何で、そのためには何をどこまで犠牲にして良いかを計算しなくてはなりません。ここでも実戦経験が豊富なほどカンが働くと思います。 何をするにしても実戦経験は多い方が良いのです。   ***8:「新しい世界への扉の鍵は知らないうちにゲットしていたよ」 対戦が終わったら次に向けて作戦の練り直しです。今回は相手の先発を教えてもらっていたとはいえいい勝負でした。次は相手の先発がわからない状態でも自分が有利に運べる戦略と手持ちを考えると良いでしょう。新しいポケモンの育成、既存のポケモンの技の練り直し等々…。出来ることは山のようにありますが、まずは出来ることからコツコツとやっていきましょう。 まずは道具を変えてみる、技を変えてみるというところから始めてみると手間も掛からず効果も見えやすいと思います。下に参考サイトをご紹介しておきましたので、そこを眺めていろいろ考えてみるのも良いでしょう。最近ではニコニコ動画やYouTubeで対戦動画を見ることが出来ます。人の対戦を見て戦法を学ぶ、というのはお手軽かつ効果的ですのでオススメします。「ポケモン」や「バトレボ」で検索すると色々な動画が出てくると思います。まずは片っ端から見ていくのも良いでしょう。   これでこの対戦入門は終了です。上手い事対戦の面白さ、スリリングさが伝わったなら幸いです。もし何か質問などがあったら答えられる限りお答えしますので、こちらでお気軽に聞いてやってください。 ではまたの機会に。これから対戦をはじめる方と、いずれ対戦出来ることを夢見つつ…。 ※この解説記事は当スレッド常連の長岡氏の個人サイトより 許可を得て転載させていただきました
*ポケモン対戦入門 **~準備編~ ***1:「最初に言っておく!」 このコラムのコンセプトは、あくまで初心者向け。「DSの勢いにあてられてポケモンダイヤ&パールを買って、一通りクリアしてみたけど対戦はしたことないなあ。でもちょっとやってみようかな?」という人に、途中で嫌にならずに対戦を楽しんでもらうためのアドバイス…というものです。ですから、既にやり込んでいる人、廃人レベルに到達している人には物足りない内容かもしれません。その辺りは何卒ご容赦下さい。 さて、ポケモンは持っているしクリアしたけど対戦はしたことがない、したことがないけど興味はある方、もしくは対戦したけどボロボロに負けちゃった…という方。ようこそ!あなたのような方のためにこのコラムがあるのです。これを読めば廃人相手にも楽勝!…なんて都合の良いことはありませんが、少なくともいい勝負をするために必要なことは分かるのではないかと思います。 「ポケモンは買ったけど、まだクリアしてないなあ」という方。是非クリアを先にして下さい。ポケモンというゲームはよく出来ていて、クリアするまでが対戦のチュートリアル、練習にもなっているのです。このコラムは、相性、属性などの最低限は「一応知っている」という方を対象にしています。ですから、一度はクリアして、その基本的なところは知っておいてからこのコラムをお読み下さい。 ***2:「何勘違いしてやがる!」 ポケモンを一通りクリアしたあなたは、「ポケモンと言えば対戦だろ!」とばかりに対戦相手を探します。近くにポケモンをやっている人はいない…でもDSのWifi対戦ならそんなことを気にする必要はありません。ネット上を適当に探し、あなたは対戦相手を募集している掲示板まで辿り着きました。ともだちコードを交換していざ対戦、なあに四天王にも楽勝なんだから、いい勝負は出来るさ…と思ったのが間違いだったことに気付くのに時間はかかりませんでした。 こちらが先頭で出したポケモンはエンペルト。クリアまで、そして今でもお世話になってる主力中の主力です。対して相手の出してきたポケモンはゴウカザル。ゴウカザル…確かヒコザルの進化系だよな。だったら炎ポケモン、水ポケモンのこちらが有利だ!そう思ったあなたは、四天王をことごとく葬り去ってきた「なみのり」を選択します。パシーーーーーン!効果抜群の音がします。地面にひれ伏しているのは…あなたのエンペルトの方でした。呆然としたままあなたは残りの二匹であるレントラーもムクホークも何もしないまま戦闘不能にされ、あっという間に負けてしまいました。彼等はクリアするまであんなに活躍してくれていたのにあんなにあっさりと…。 「もうやらねえよ!」あまりのワケの分からなさに匙を投げてしまうあなた。でもこれ、順当な結果だったりするのです。「どうして?炎は水に弱いんでしょ?」はい、その通り。でも鋼は炎と格闘に弱いのです。この場合、炎は水で相殺されますから、鋼は格闘に弱い、ということが重要だったのです。そのことを重視しなかったことが敗因である、と言えるでしょう。 「でも何で?確かに鋼は格闘に弱いけど、炎は水に弱い。トントンなんじゃないの?」はい、戦い方によってはそのように持ち込むことも全くの無理というワケではありません。しかしそれにはあまりにも色々なモノが足りな過ぎました。能力の把握、選択した行動、技…ありとあらゆる物が間違っていた、と言えます。 では、間違っていない選択・正しい選択とは何だったのか?それをこの後紐解いて行きましょう。 ***3:「力こそ正義でごわす!」 まず、重要なのはポケモンの選択です。適当なポケモンを使っていては勝てるものも勝てません。 前段のたとえ話ではエンペルト、ムクホーク、レントラーというパーティーを使っていました。初心者の人でも揃えられるパーティーとして、実にありがちだったりします。序盤に手に入るポケモンの進化系ですし、個々の能力もレントラーは微妙なものの、他二匹はそれぞれ強い部類に入るものだったりします。 では何がダメだったのか?今回はあまり関係ありませんでしたが、組合せは致命的に悪いと言えます。エンペルトとムクホークは電気に弱く、エンペルトとレントラーは地面に弱いです。と、いうことは電気と地面を使う相手が出てきたら簡単に負けてしまうワケです。攻撃という意味では各種属性が揃えられて一見強そうに見えてしまうのですが、これが逆に困りモノだったりします。ついついそこに目が奪われて、自分が攻撃される側に回ることを考えるのを忘れてしまうものですからね。 それらを踏まえてパーティーの構成を再度考えてみましょう。まずはエンペルト。クリアに使っていたポケモンを流用すると、育ち方がいい加減になってしまったりしているものですが、取り敢えずそれは置いておいて、使える部類に入るのでそのまま使ってみましょう。次にレントラー。見た目は強そうなのですが、実は対戦で使おうとするとかなり工夫しないとなかなか役には立ってくれません。よってこの場は外れてもらいましょう。そしてムクホーク。弱点がエンペルトと被っている…とは言ったもののその強さは魅力的。何とか工夫して使うこととしてそのまま使ってみましょう。工夫については後段で詳述します。 レントラーが抜けた穴はどうするか?理想的なことをいえば、他の二匹と弱点が被らず、他の二匹が攻めきれない相手を攻める事が出来るポケモン、ということになります。つまり穴を埋めることが出来るポケモン、ということになります。比較的手軽に入手出来るポケモンの中ですと、アサナンを進化させたチャーレムや、ムウマを進化させたムウマージ辺りが良いでしょう。チャーレムの良い点は難しいことをせずとも属性の違う技が容易に手に入る点と、弱点である飛行とゴーストは、エンペルトに対して効果は今一つである点。ムウマージの良い点はゴースト属性で特性が浮遊なのでエンペルトの苦手な格闘技と地面技を同時に回避することが出来るという点、そしてこちらも幅広い属性の技を覚えることが出来るという点です。 入手自体はチャーレムの方が簡単ですし、技も比較的揃えやすいでしょう。ただ今回はエンペルトとムクホークが最初にいることが前提なのでムウマージを選ぶことにします。ムウマージの弱点であるゴースト属性と悪属性の技はエンペルトにとっては得意な相手なので、こちらも相互補完出来るので丁度良いのです。ただし、ムウマージは、そもそもムウマがパールでしか手に入らない、進化にアイテムが必要であるなど、ちょっと面倒なところはあります。その場合はゲンガーを使用しても良いでしょう。こちらも進化に通信を必要とするなどの面倒があったりしますが、ダイヤでも入手可能であるという点では便利と言えます。 さて、レントラーを外してムウマージを入れてみたワケですが、レントラーを外すことに少しためらいを覚えたりはしていませんか?ポケモンを楽しむ上でその気持ちは大切なものです。対戦に使うキャラクターがこうして動物的に表現されている以上、全く愛着を持ってプレイしないというのも寂しい気がしますよね。でも、時には非情になることも必要です。ここはあくまで対戦についてのコラムです。弱いとされてしまっているポケモンは敢えて外し、ある程度強いとされるポケモンを使うようにしましょう。「えー、弱いって言われてるポケモンで勝った方がカッコ良くね?」と思われるかもしれません。しかし、弱いとされるポケモンで実際勝つには色々な工夫と練りこまれた戦術とひらめき、そして運が必要になります。いきなりそれを目指そうと思っても中々難しいものです。負けが込んで対戦自体がイヤになる前に、ちょっとでも勝てる方を目指してみましょう。   ***4:「そして何より速さが足りない!」 これで戦うポケモンは揃えました。じゃあ再戦だ!…という前に考えなくてはならないこと、しなくてはならないことがあります。それは技とアイテムの調整です。熟練したポケモントレーナーの人は「あれ?努力値は?個体値は?性格は?使うポケモンと技だけ決まっていてもそれを決めないと話にならないんじゃないの?」と思われることでしょう。はい、実際極めていこうとするとその通りです。ただ、この場は適当に捕まえて、適当に育てたポケモン、または数匹程度捕まえた中で比較的使えるという程度のポケモンを対戦に出すということで話を進めさせていただきます。いきなり育成をどうこうしろと言われても難しいですからね。 さて、技です。ポケモンプレイ中に説明が有ったかどうかは忘れてしまいましたが、ポケモンの技には「物理系」と「特殊系」があります。技の能力を見る画面で赤とオレンジのギザギザ模様のアイコンが描かれた技が物理系、紫色の波紋のような絵柄のアイコンが描かれた技が特殊系です。この二つの違いはというと、物理系は「こうげき」と「ぼうぎょ」で威力を計算し、特殊系は「とくこう」と「とくぼう」で威力を計算するというだけのことです。ただそれだけのことですが、それを忘れると無駄な技を覚えさせてしまったりすることになります。ポケモンは一匹に対して4つまでしか技を覚えさせられません。ですから無駄な技は一つとして覚えさせてはおけない、と考えなければなりません。これは初心者であっても上級者であっても同じこと、基本だと言えます。 物理系と特殊系が分かったところでポケモンのステータスを見てみましょう。具体的に数字を比べてみると、エンペルトとムウマージは「こうげき」より「とくこう」が高く、ムクホークは「こうげき」の方が高い傾向が有るハズです。細かい説明は避けますが、これはポケモン毎に傾向が決まっています。ですから誰が使うエンペルトも「とくこう」の方が「こうげき」よりも高い傾向にあることに違いはありません。で、それが分かったところで何を考えるかと言えば、それぞれに物理系と特殊系、どちらの技を覚えさせた方が良いか?ということです。 エンペルトは「とくこう」が高い傾向があるので特殊系の攻撃技を中心に覚えさせます。属性が一致する技を覚えさせた方が威力が高くなる、ということはご存知だと思いますので、水と鋼をまず候補にします。水技は「なみのり」、鋼技は「ラスターカノン」が良いでしょう。「ラスターカノン」の技マシンは基本的に一つしか手に入りません。そのため温存しておいた方が良い…場合もありますが、今回は気前良く使ってしまったことにします。「なみのり」の方は秘伝マシンですからそんな心配はいりませんけどね。 ここで一つ問題が発生した、という人も多いでしょう。クリアするために使っているポケモンの場合、対戦では使い道の無い秘伝技を覚えさせていることが多々あります。初期にポッチャマとしてもらえるエンペルトは特に秘伝技を覚えていることも多いかと思います。秘伝技にしても「なみのり」はともかく、うっかり「ロッククライム」やら「かいりき」やらを覚えさせているとどうにもなりません。忘れさせてから他の技を覚えさせて下さい。ミオシティにいる「わすれさせオヤジ」に言えば秘伝技でも忘れさせてくれます。 エンペルトの技の話に戻りましょう。「なみのり」と「ラスターカノン」までは決まりました。もう一つは「れいとうビーム」をお勧めします。氷系の技を苦手とする相手は多くて使い道は幅広い上、運が良ければ相手が凍って行動不能になることもあります。ひねったことをしないのならばこれ以外の選択肢は無い、と言えます。そして残った最後一つの枠はどうするか?ここは「アクアジェット」を覚えさせておきましょう。「え?それって物理系の技じゃないの?しかも水技を二つも覚えさせるの?」こう思われたかもしれません。ごもっともな指摘ですが、これはこれで良いのです。何故かはこの後詳しく解説します。 次はムクホーク。レベルアップで覚える「インファイト」「ブレイブバード」の二つはそのまま使うことが出来ます。と、言うかこの二つがあれば他は意外とどうでも良かったりします。後述するアイテムの話に関係して、他の技を使う機会がない可能性が高いからです。強いて言えば「とんぼがえり」と「おんがえし」が比較的オススメできるかと思います。 最後にムウマージ。ここでオススメする技の構成は一般的に使われているムウマージのそれと少し異なりますが、準備にあまり無理を強いないというコンセプトから以下の通りの技をオススメしておきます。「シャドーボール」「サイコキネシス」「10まんボルト」「マジカルリーフ」この4つです。幅広いタイプの相手と渡り合いたい、というのがこのムウマージの狙いですので、捻らずに技を組み合わせています。もし、交換でゴーストをゲンガーにして使う場合、「サイコキネシス」や「マジカルリーフ」ではなく、「ヘドロばくだん」や「エナジーボール」を覚えさせると良いでしょう。   技は決まりました。次はアイテムです。 エンペルトは、効果抜群半減の実を持たせてあげたいところです。弱点である地面を半減する「シュカ」、または格闘を半減する「ヨプ」。このどちらかが良いでしょう。この場では「ヨプのみ」を持たせておくことにします。ちなみに、効果半減の実は大湿原のあるノモセシティの入り口近辺の家にいるお姉さんからもらえます。日替わりで一日一個もらえるので、目的の実がもらえるまで粘りましょう。目の前でセーブしてリセットすればいずれもらえます(笑)。 ムクホークは「こだわりスカーフ」を持たせてください。一回技を使うと交代して再度出てくるまで技を変更出来なくなるアイテムですが、その代わり素早さが1.5倍になります。破壊力と素早さが命のムクホークには合っているアイテムです。「こだわりスカーフ」はバトルタワーの景品です。なかなか勝てないからポイント貯まらないよ…と思われるかもしれませんが、ダブルバトルの序盤だけやっていればいずれ貯まる程度のポイントです。バトルタワーは負けても悔しいこと以外にデメリットは無いので、挑戦してみて下さい。 ムウマージ、またはゲンガーは「きあいのタスキ」を持たせて下さい。HP満タンからの即死を、残りHP1で踏みとどまらせることで一回だけ防いでくれるアイテムです。どちらもさほど防御が強くないのでそれを逆手に取る形になります。一回で倒されるはずのところを確実に二回にしてくれるので、相手より遅くても一回、速ければ二回は攻撃するチャンスが保証されるということになります。(もちろん例外はありますが、この場では考えないこととします) さて、ここで二つほど解説を入れたいと思います。それはエンペルトに覚えさせた「アクアジェット」とムクホークに持たせた「こだわりスカーフ」についてです。 エンペルトには特殊系の技を覚えさせると良い、と上で書きました。しかし「アクアジェット」は物理系の技。なんでそんなものを覚えさせるのでしょう?それは「アクアジェット」の特別な効果に理由があります。「アクアジェット」は、素早さに関係なく先制攻撃をすることが出来るという効果を持っています。それは他に変えがたい価値のある効果なのです。「でも物理系じゃ威力は無いし意味がないのでは?」そう思われるかもしれません。思い出してください「きあいのタスキ」というアイテムの効果を。HPが1だけ残るのです。ポケモンは、どんなに攻撃力が低くても、命中さえすれば最低1はダメージを与えることが出来るようになっています。ですから、「アクアジェット」さえあれば「きあいのタスキ」で踏みとどまった相手でも、次のターンで確実に倒すことが出来るのです。(これにももちろん例外はありますが、この場では考えないこととします) 次に「こだわりスカーフ」について。ムクホークは「インファイト」「ブレイブバード」など、威力が高い技を使います。これは大変大きな武器で、相手を一撃で倒せる場合もあります。一方で防御が低いという欠点もあり、こちらが相手に一撃で倒されてしまう場合もあるのです。と、いうことは「相手に攻撃されずにこちらの攻撃を当てれば勝てる可能性が上がる」ということになります。攻撃を当てるには素早くなくてはいけません。しかし、ムクホークの素早さは平均以上ではあるもののとても速いというほどでもありません。しかし、「こだわりスカーフ」を使うことで一気にとても速いポケモンとも渡り合えるスピードを手に入れることが出来るのです。もちろん、「こだわりスカーフ」の副作用で技を容易には使い分けられなくなりますが、「先に攻撃出来る」というのはそれを押してでも得るべき効果なのです。先にも書きましたとおり、攻撃を喰らえば何もせずに落ちることになる可能性があります。ムクホークのような比較的脆いポケモンは尚更です。ですから確実に先手を取ることが重要となってくるのです。これは、初心者向けと言うことではなく、上級者であっても同じことです。相手に何かをさせる前にこちらが先手を撃つ、ということは、時として他のどの要素よりも重要となるのです。エンペルトの「アクアジェット」にしてもそうです。両者のHPが残り少ない場合、先手さえ取れれば勝てるという状況は往々にしてあるものです。そういう場合、先制攻撃出来る技や、速いことが勝負を決定するのです。 ちなみに「きあいのタスキ」はムクホークに向いていません。何故なら「ブレイブバード」は攻撃した時に反動を受けてこちらもダメージを食らってしまうからです。HPが1しか残っていない状態では絶対に耐えられません。いくら相手を倒しても、共倒れでは意味が無いですからね。 また、「こだわりスカーフ」を持たせることで技を再選択出来なくなると書きましたが、最初に少し書いた通り一回他のポケモンと交代すればもう一度選びなおせます。ムクホークの特性「いかく」は出てくる時に相手の攻撃力を一段階下げる効果を持っているので、交代のついでに相手の攻撃力を下げることも出来ます。交代しなくてはならないのはデメリットばかり…というわけではないということです。   ポケモンと、技、そしてアイテムが決まりました。いよいよ対人戦に再チャレンジです!と、言った所で準備編は終了です。 ***おさらい エンペルト(ヨプのみ) なみのり ラスターカノン れいとうビーム アクアジェット ムクホーク(こだわりスカーフ) インファイト ブレイブバード とんぼがえり おんがえし ムウマージ(きあいのタスキ) シャドーボール サイコキネシス 10まんボルト マジカルリーフ **~対戦編~ ***1:「俺に前フリは無ぇ!」 ちなみに、この攻略はダイヤモンド&パールの時点でのものとなっています。プラチナでは若干状況が違う部分があるかもしれませんがご容赦ください。 さて、前回あなたはポケモンクリアに使用したポケモンで他のプレイヤーに対戦を挑み、あっさり負けました。悔しいと思ったあなたは準備をすることにしました。使うポケモン、覚えさせる技、持たせるアイテム。これらを上の【おさらい】のように厳選し、ついに雪辱を果たすべく再び対戦に挑むことになりました。   ***2:「相手が勝ち誇ったとき そいつはすでに敗北している」 あなたは前回敗北した相手と再び対戦することになりました。相手はあなたを甘く見て前回と同じポケモンで対戦してやる、と言っています。なるほどそれは好都合です。「え?前回は先発のゴウカザルしか見てないよ?後ろの二匹が分からないのに意味はあるの?」そう思うかもしれません。しかし、最初の一匹が確定するというのは、それだけで大きなアドバンテージなのです。詳しくは追って説明していきましょう。   使用するポケモンは前回決めましたので、ここではどのポケモンを先頭に持ってくるかを考えてみましょう。 相手が前回と同じということは、最初にゴウカザルが出てくる、ということになります。ゴウカザルの属性は格闘・炎です。これらに強いのは飛行を持つムクホークか、格闘を無効化出来るムウマージ。そのどちらかということになりますが、今回はムクホークを先頭にしましょう。 前回の対戦時、特に書きませんでしたがゴウカザルが使ってきた技は全部物理系、「インファイト」と「ストーンエッジ」の2つでした。ゴウカザルは物理も特殊も全く同じ数値を持っているため、実際戦ってみないと物理中心か特殊中心か分からないことが多いですが、今回は既に物理型だと判明しています。ムクホークの特性「いかく」を生かしましょう(効果については前回を参照のこと)。物理型であるゴウカザルにとってこれほどイヤな特性はありません。 また、前回の対戦から、ゴウカザルが持っている道具もある程度推測出来ます。まず「こだわりスカーフ」や「こだわりハチマキ」はありません。「こだわり~」系のアイテムを付けていると技を使い分けることが出来ないからです。攻撃するたびにHPが減る…といったこともなかったことから、攻撃力を約1.3倍にする代わりにダメージを受ける「いのちのたま」でもないことがわかります。それ以外となると「きあいのタスキ」である可能性が高いと言えます。「きあいのタスキ」は速さと破壊力が高く防御が薄いゴウカザルの道具としては最も効果的だからです。そしてそれは同時に「こだわりスカーフ」を持ったムクホークならば確実に先制出来る、ということなのです。前回書いたように、「先に攻撃出来る」というのは大変重要なことです。 ムクホークを先頭にするにはこの他にももう一つ重要な意味があります。それについては次で説明します。   ***3:「どうする どうする どうする 君なら どうする!?」 いよいよ対戦開始です。まずは初手をどうするか考えましょう。 単純に相性だけ考えたら「ブレイブバード」ですが、相手の道具が「きあいのタスキ」だったとすると、HPが必ず1残ってしまいます。その後にストーンエッジを喰らってしまったらムクホークは撃沈、早々に手持ちを使い捨ててしまうことになります。それはなるべく避けたいところです。 逆の立場から考えてみましょう。相手のゴウカザルはどんな攻撃をしてくるでしょうか。交代以外では、前回一撃でムクホークを倒した「ストーンエッジ」でしょう。効果抜群の技で少しでも多くのダメージを与えたい、と考えるハズ。一方でこちらの手持ち。「ストーンエッジ」に強いポケモンはというと…いました。エンペルトです。では交代すれば良い?しかしそれでは「きあいのタスキ」の問題は解決しません。それを解決するのが「とんぼがえり」です。え?前回「インファイト」と「ブレイブバード」だけで良いと言ったのに…と思われるかもしれませんが、この場はこれがベストなのです。 「とんぼがえり」の利点、それは「通常の交代と違って相手にダメージを与えられる」という点。虫系の技はゴウカザルに対しては「こうかはいまひとつ」とですが、前回も言った通りにポケモンというゲームは「当たりさえすれば最低でも1ポイントはダメージを与えられる」のです。1ポイントでもダメージを与えてやれば「きあいのタスキ」を無効化出来るのです。これは破壊力の割りに防御が薄いゴウカザルには脅威となるのです。 「とんぼがえり」で先制し、エンペルトに交代したあなた。相手の「ストーンエッジ」は「こうかはいまひとつ」で、ほぼノーダメージです。これで安全にゴウカザルにダメージを与えてエンペルトを場に出せました。「ムクホークを先頭に出すもう一つの重要な意味」とはこの「相手の道具を無効化しつつダメージを与え、安全に交代する手段を持っている」ことです。 対戦では相手にダメージを与えるのは大事です。しかしそのためには自分の有利な状況に持っていく、という根回しも大変重要なのです。 ***4:「全部読めていた」 さて、今のターンの裏で流れていた思考を少し解説してみましょう。 ゴウカザルを相手にした時に困るのは、高い攻撃力と素早さの他に「きあいのタスキを持っていると一回では倒せない」というところ。だから倒すためには二回攻撃を当てなくてはならず、それはつまり最低でも一回は攻撃に耐えなくてはならないということでもあります。それに対してここではムクホークとエンペルトを使い、一回目の攻撃であまりダメージを受けないようにすることで対処しました。 まず、ムクホークを使うことで相手の使う可能性のある技を制限しました。それはどういうことか?「インファイト」はムクホークには普通の効果、他に持っていることが予想「フレアドライブ」「マッハパンチ」はそれぞれ反動ダメージや威力の点から確率は低い…だから必然的に「ストーンエッジ」を使うだろうということになるのです。それならば「ストーンエッジ」が「こうかはいまひとつ」のエンペルトを出してあげれば良いのです。「いかく」も効いているので大したダメージを食らう恐れはありません。 その作戦を支えたのが「とんぼがえり」と「こだわりスカーフ」の組み合わせ。先制しつつダメージを与え、ムクホーク自身は安全に逃げる事が出来ます。防御の薄いムクホークにとって一回の攻撃が致命傷となります。なるべくダメージを負わせずに交代させるに越したことはありません。 そして更に次のターンでもゴウカザルの動きを誘導しています。 エンペルトが相手では、一発で倒さないとゴウカザルの方がやられてしまいます。頼みの綱の「きあいのタスキ」はもう使えません。しかし、その一方で「インファイト」ならばエンペルトを一撃で倒す事が出来ますし、エンペルトの「アクアジェット」ならば一発は耐える事が出来る範囲です。ここは交代しない限り「インファイト」を撃たざるを得ない状態なのです。 そしてこちらは「ヨプのみ」と「いかく」の組合せで「インファイト」対策は出来ています。ここまででダメージを受けているゴウカザルに攻撃をさせてこちらが「なみのり」を当てるという作戦の下準備は整いました。 次のターン、「ヨプのみ」のお陰で相手の「インファイト」を耐えたエンペルトの「なみのり」が炸裂します。防御の下がったゴウカザルが弱点の一撃を耐えられるはずもなく、戦闘不能となりました。相手はこちらの周到な罠に落ちてゴウカザルを倒されてしまったのです。 ***5:「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけ」 次に相手が出しきたのはサーナイト。エスパー系サーナイトは多彩な技を覚えるのが売り。そのため何を覚えているのか見極めるの難しい部類に入ります。こちらには属性的に有利なムウマージがいます。ここは何とかしてムウマージを安全に登場させる方法を考えましょう。 まず、エンペルトはどうすれば良いでしょう?サーナイト相手に先手を取るのは無理です。そのため普通は攻撃を一発必ず食らってしまいます。もし「10まんボルト」を放ってきた場合、エンペルトは確実に戦闘不能になります。だからと言って素直に交代させればムウマージが攻撃されてしまいます。サーナイトは「さいみんじゅつ」や「おにび」などの厄介な技を多数覚えます。ムウマージがそれらの技を喰らったらこちらが不利になることは間違いありません。 ここで判断すべきはエンペルトとムウマージどちらを生かすかということ。エンペルトをこのまま捨て駒にするか、ムウマージがダメージを受けるのを止む無しとするか。 相手のここまでの手持ちはゴウカザルとサーナイト。そして残りの一匹はまだ分かりません。が、弱点の被ったポケモンを出してくる確率は低いと考えられます。もちろん確実ではありませんが、相手もリスクを回避する戦術を取ってくるのですから当然です。 と、するとゴウカザルの弱点であった水系を犠牲にしてもリスクは低い、と考えられます。万が一水が弱点のポケモンがいても炎系以外ならムウマージの「マジカルリーフ」で代用できます。逆に、サーナイトがまだいる状態でムウマージが動けなくなる方がより危険です。ここはエンペルトにもう一働きしてもらいましょう。 素早さではサーナイトに勝てないエンペルトですが、幸い一矢報いる手段があります。「アクアジェット」です。必ず先手を取れるこの技をここで使わない手はありません。 エンペルトが放った「アクアジェット」はサーナイトのHPをわずかに削っただけに過ぎませんでした。サーナイトが放った「10まんボルト」で戦闘不能となるエンペルト。「今のアクアジェット、意味有ったの?」と思われるかもしれません。しかし、「万が一」に備えて少しでも相手にダメージを与えておくことも重要です。ポケモンの対戦を続けていると「きあいのタスキもないのにHPが1だけ残って助かった」ということが往々にしてあります。そうしたこともあるので、1ポイントでも多くダメージを与えておくべきなのです。 ***6:「ところがぎっちょん!」 満を持して三匹目の手持ち、ムウマージの登場です。ここでサーナイトとムウマージの力関係について考えてみましょう。ゴースト系とエスパー系で属性としてはムウマージが有利。ただし、サーナイトもゴースト系の技を覚えることを考えるとムウマージが一方的に有利な状況とはいえません。能力の数値としては、ムウマージの方が素早い分、破壊力と耐久力ではサーナイトに劣る傾向があります。これらはそこまで大きな差ではありませんので、育て方によっては引っくり返る範囲のものです。 ムウマージには「シャドーボール」を覚えさせています。素早さはムウマージの方が早い傾向があることを考慮するならば、ここは何も考えずに「シャドーボール」を撃てばよいと言うことになります。 ムウマージの「シャドーボール」でHPを半分程度まで減らされたサーナイトも「シャドーボール」を撃ってきました。こちらのHPは3分の1ほど減らされました。「きあいのタスキ」は無効になってしまいましたが、素早さで勝っているので次で倒せば問題ありません。二発目の「シャドーボール」でサーナイトは戦闘不能になりました。エンペルトの「アクアジェット」で与えておいたダメージがないと際どいところでした。先ほどの一撃は無駄にはならなかったようです。 そして出て来た相手の三匹目は…ドサイドンです。読みが外れて見事に水系が弱点…しかしこれは大変有利な状況です。ムウマージには「マジカルリーフ」がありますし、倒し損ねてもムクホークが覚えている「インファイト」もドサイドンの弱点です。ムウマージに「マジカルリーフ」を撃たせ、倒しきれなかったらムクホークで「インファイト」…考える余地は有りません。弱点を的確に突いて倒してしまいましょう。もう初勝利は目前です。 ムウマージの「マジカルリーフ」をギリギリで耐えたドサイドン。ムウマージはストーンエッジで戦闘不能にされてしまいました。しかしこれでは「インファイト」を耐える事は出来ません。ドサイドンは先制技を覚えませんので攻撃を喰らう心配もありません。こちらは悠々と技を決定して勝利が決まる瞬間を待てばいいのです。 ***「ドサイドンのストーンエッジ!」 あれ? ***7:「いつもいつでも上手くいくなんて保証はどこにも無いけど」 何故か放たれるドサイドンの「ストーンエッジ」。運良く命中はしませんでしたが、当たったらムクホークが戦闘不能になるところでした。ドサイドンは「せんせいのつめ」を持っていたようです。この道具は数%の確率で相手の先手を取ることが出来ます。その数%がたまたま最後の瞬間に当たってしまったのです。しかし攻撃は外れてしまいました。威力が高い技でも当たらなければ何もしないのと同じです。 「インファイト」でドサイドンを倒すムクホーク。最後はかなり際どいところでしたが何とか初勝利を手にすることが出来ました。そこまで準備に手間をかけたポケモンでなくても、やりようと組み合わせによってはこれだけ戦えるということが分かってもらえたと思います。   さて、ここでおさらいをしてみましょう。重要なのは以下の3点。 ***1・自分と相手の手持ちについて充分な知識を持っておくこと ***2・相手の動きから能力や道具、次の手持ちなどを予測すること ***3・予測に基づいて相手の動きに先手を打ち、有利な状況に持ち込むこと   つまり「事前に充分に下調べをし、対戦がはじまったら相手が有利にならないようにしつつこちらが有利になるようにする」という勝負ごとならば当たり前のことがポケモンの対戦でも当てはまる、ということです。 そのためにはまずは知識をつけること。今回の解説でゴウカザルについて色々と予測を立てて対処法を考えました。これは「ゴウカザルがどういう戦い方をするポケモンか」ということを良く知っているからこそ出来たことなのです。また、前回手持ちポケモンを決める時も「このポケモンはこういう戦い方が出来る」と知っているから選ぶ事が出来たのです。 「知識をつける」いうと「面倒だなあ」と思われるかもしれませんが、とりあえずは「こいつはこういう強い技を使ってくる」とか「こいつはすげー速い」とかそういうところを何となく感じ取れば良いかと思います。対戦の中で負けたり苦戦したりした相手を「何か凄い奴」としてマークしておくだけでも少しは違うと思います。詳しく調べたい、ということでしたらポケモンのデータを紹介している攻略サイトさんを参考にすると良いでしょう。有名なところでPOKeDEX 250さん、ポケットモンスター情報センターさんなどがあります。 そして知識をつけたら実戦を多くこなすことが大事です。実戦経験が豊富ならば少しくらい知識が曖昧でもカンで何とかなることもありますし、「相手は次にこうしてくるに違いない」というのは実戦経験から来る事も多いのです。 それからいかに自分が有利な状況に持ち込むか。相手も頭を使ってくるわけですから何のリスクも背負わずに一方的に有利になるのはほとんど無理です。ムウマージを無傷で登場させるためにエンペルトを犠牲にしたように、今必要なのは何で、そのためには何をどこまで犠牲にして良いかを計算しなくてはなりません。ここでも実戦経験が豊富なほどカンが働くと思います。 何をするにしても実戦経験は多い方が良いのです。   ***8:「新しい世界への扉の鍵は知らないうちにゲットしていたよ」 対戦が終わったら次に向けて作戦の練り直しです。今回は相手の先発を教えてもらっていたとはいえいい勝負でした。次は相手の先発がわからない状態でも自分が有利に運べる戦略と手持ちを考えると良いでしょう。新しいポケモンの育成、既存のポケモンの技の練り直し等々…。出来ることは山のようにありますが、まずは出来ることからコツコツとやっていきましょう。 まずは道具を変えてみる、技を変えてみるというところから始めてみると手間も掛からず効果も見えやすいと思います。下に参考サイトをご紹介しておきましたので、そこを眺めていろいろ考えてみるのも良いでしょう。最近ではニコニコ動画やYouTubeで対戦動画を見ることが出来ます。人の対戦を見て戦法を学ぶ、というのはお手軽かつ効果的ですのでオススメします。「ポケモン」や「バトレボ」で検索すると色々な動画が出てくると思います。まずは片っ端から見ていくのも良いでしょう。   これでこの対戦入門は終了です。上手い事対戦の面白さ、スリリングさが伝わったなら幸いです。もし何か質問などがあったら答えられる限りお答えしますので、こちらでお気軽に聞いてやってください。 ではまたの機会に。これから対戦をはじめる方と、いずれ対戦出来ることを夢見つつ…。 ※この解説記事は当スレッド常連の長岡氏の個人サイトより 許可を得て転載させていただきました

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。