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550 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:10:29 ID:MyvGUxgz TIPS サッカーゲーム 映太から来訪OKの返事が来たので俺は赤坂家へと向かった。 赤坂家は白が基調の一軒家だった。それなりに広く、庭もある。俺の家より遥かにいい家だろう。 「いらっしゃい」 「はじめまして、杉下隆志です」 「映太から話は聞いているわ、どうぞ上がって」 迎えてくれたのは姉さんの方だった。 赤坂絵里。三年生。弓術部所属。仁衣高校三大美女の一人。 容姿端麗、頭脳明晰、活溌溌地。「女神様」という通称の通りのパーフェクトウーマン。 力強さ・可愛さ・美しさの全てを兼ね備えている。 そのため、俺のように惚れている男子は非常に多い。 しかし、より特筆すべきは女子からの人気の高さであろうか。女子全員の憧れであり永遠の目標。彼女を慕って弓術部に入った部員は数知れず。 本人は自覚してないみたいだが映太もかなりモテる。 ただ、これは純粋に、映太の顔が良いからというのもあるのだが、赤坂絵里の弟という理由もかなり大きかったりする。 赤坂絵里の影響力の高さはそれほどなのだ。 三大美女の一人という位置付けではあるが、生徒への影響力という意味では、彼女は間違いなく仁衣高校一だった。 「いらっしゃい。五分遅れだ」 居間に上がると映太がいた。 「人の家に来る時はそれが礼儀なんだよ」 まぁ純粋に遅れただけなんだが。 「って言っても、俺も菓子やら飲み物やらを買い忘れていたから今から買いに行くんだがな。まぁそこでゲームでもして待っていてくれ」 「了解」 これは、メールで打ち合わせした通りであった。絵里さんと二人の時間が欲しい。そう伝えておいたのだ。 「姉さん、ちょっと相手していてよ。サッカーゲームなら出来るだろう」 「OK、いいわよー。杉下君。私、結構ゲーム強いから覚悟してね」 「望む所です」 映太が外出していく。さて始めるか。 551 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:12:18 ID:MyvGUxgz 俺は、ゲームのセッティングをしながら絵里さんに話しかけた。 「さて、鋭い絵里さんなら気付いていると思うのですが」 「映太が私と杉下君を二人きりにしようとしたことかな?」 「御名答です」 流石、「女神様」と言われる事なだけはある。話が早い 「その目的の一つはもちろん、絵里さんのことを好きな僕が絵里さんと親交を深める、というものなんですが…」 話しながらゲームの電源をつける。 「随分と正直なのね」 「隠し事とか出来ない性格なので」 笑いながらコントローラーを絵里さんに渡した。受け取る絵里さんも笑顔だ。 「女神様」な面と、こういうお茶目な面のギャップもまたいい。 俺はやっぱりこの人が好きなんだと、改めて実感した。 「まぁ本当はそっちの目的のために絵里さんの趣味とか聞いていきたいところなんですが、時間に限りがあるので最優先の方の目的を済まします」 「最優先の方の目的?」 「映太のことです」 ロードが終了しゲームがつく。俺はマッチモードを始め、日本をセレクトする。 「映太が絵里さんと同じ仁衣高校三大美女の一人と付き合っているのはご存知ですよね?」 「もちろん、知っているわ。藤堂優奈ちゃん、だっけ?」 絵里さんもチームを選ぶ。アルゼンチンクラシックスだった。 「日本相手にアルゼンチンクラシックスとは容赦ないですね」 「勝つためには最善を尽くすというのが私の主義なの」 それぞれフォーメーションを微妙にいじった後、キックオフがされた。 「では藤堂優奈の顔はご存知ですか?」 「昨日、友達に見せてもらったわ」 「妹の唯ちゃんに似ていると感じませんでしたか?」 「あら、唯のことまで知っているの?驚いたわ」 「あいつの財布の中の写真を見ました。墓参りも一緒に行ったことがありますし」 「まぁ確かに少し似ているわね」 「あいつは今でも妹に罪悪感を持っている。今でも妹を求めている。僕はあいつが藤堂優奈に惹かれたのは唯ちゃんに似ていることが原因だと考えています」 「それを伝えたかったの?」 「いえ、それだけなら良いんです。藤堂優奈が唯ちゃんに似ていると言っても、あくまで似ているのレベルですから」 552 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:13:39 ID:MyvGUxgz また、パスをインターセプトされた。自分で強いというだけあって本当に手強い。チーム力の差も相まって俺は押されて行く。 「実は藤堂優奈は同学年の従姉妹と一緒に住んでいるんです。名前は吉岡瑠衣。この従姉妹も仁衣高校に通っていて、藤堂優奈に負けず劣らず可愛いので、仁衣高校三大美女の一人になっています」 「それで?」 きわどいシュートに襲われるがバーに助けられた。こぼれ球をクリアに行く。 「吉岡瑠衣の顔はご存知ですか?」 「いや、知らないわ」 アルゼンチンクラシックスのコーナーキックになって、一度プレーが切れる。 「これが写真です」 俺は携帯の画像を見せた。 「嘘!?」 絵里さんの声が大きくなる。 「どう思います?」 「どう思うも何もこんなの…」 プレーはまだ再開されない。空白の時間がしばし流れた。 「僕がこの事を知ったのはあいつが藤堂優奈に告白した日の昼休み。丁度、告白をしていた時です。あいつが藤堂優奈に告白するようトリガーを引いたのは僕なんですが、今はそれを心底後悔しています」 「…」 「それだけ伝えたかったんです。絵里さんに謝っても仕方ないかもしれませんが謝罪をします、すみません」 「杉下君は悪くないわ。いや、誰も悪くない」 「すみません」 「ゲームの続き、やりましょう?」 二人は画面に向き直った。 553 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:15:31 ID:MyvGUxgz 「ねぇ、杉下君。サッカーゲームのクラシックチームが異常に強いのは何でだと思う?」 「分母が多いからですか?」 「それももちろんあるかもしれない。でも一番の理由は、人が過去を美化する生き物だからなのよ。偉人は世界を退いてから偉人になる」 アルゼンチンクラシックスに一点入る。マラドーナの左足からのボレーシュートだった。 「だから現代のサッカーにも美しい過去を追い求めて、マラドーナ2世とかペレ2世とか作り上げるのよ。今はメッシがマラドーナ2世でしたっけ?」 「メッシはマラドーナを超えますよ」 「あら、メッシのファンなのかしら?」 俺が強く反論したのを見て、絵里さんがクスクスと笑う。 「私もマラドーナ2世とかいう呼び名は好きじゃない。どんなにプレースタイルがそっくりでもそれは似ているだけ。似せ者でしかないのよ。  そう、杉下君が言う通り、メッシがマラドーナを超える可能性もある。もちろん、結局マラドーナには及ばない可能性もある。でもどんなに頑張っても、メッシがマラドーナになることは出来ないわ」 俺はまだアルゼンチンクラシックスの猛攻を受けている。 「あ、最後に僕の自己満足で、これだけは言わせてください」 「何かしら?」 「僕は現在生きている絵里さんが好きですよ」 「あら、私を狙うのは大変よ?」 「覚悟のうえです」 これで一応は二つ目標を達成出来たかな? 今日、俺なんかが出来る行動はここまでだろう。絵里さんのことも、映太のことも。 ここからは話しを止めて、逆転のため、ゲームの方に集中することにした。 なんとかボールを奪い、日本の良さを最大限生かすパス中心の早くて速い展開で攻め立てる。 結果は1―2でアルゼンチンクラシックスの勝利だった。
550 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:10:29 ID:MyvGUxgz TIPS サッカーゲーム 映太から来訪OKの返事が来たので俺は赤坂家へと向かった。 赤坂家は白が基調の一軒家だった。それなりに広く、庭もある。俺の家より遥かにいい家だろう。 「いらっしゃい」 「はじめまして、杉下隆志です」 「映太から話は聞いているわ、どうぞ上がって」 迎えてくれたのは姉さんの方だった。 赤坂絵里。三年生。弓術部所属。仁衣高校三大美女の一人。 容姿端麗、頭脳明晰、活溌溌地。「女神様」という通称の通りのパーフェクトウーマン。 力強さ・可愛さ・美しさの全てを兼ね備えている。 そのため、俺のように惚れている男子は非常に多い。 しかし、より特筆すべきは女子からの人気の高さであろうか。女子全員の憧れであり永遠の目標。彼女を慕って弓術部に入った部員は数知れず。 本人は自覚してないみたいだが映太もかなりモテる。 ただ、これは純粋に、映太の顔が良いからというのもあるのだが、赤坂絵里の弟という理由もかなり大きかったりする。 赤坂絵里の影響力の高さはそれほどなのだ。 三大美女の一人という位置付けではあるが、生徒への影響力という意味では、彼女は間違いなく仁衣高校一だった。 「いらっしゃい。五分遅れだ」 居間に上がると映太がいた。 「人の家に来る時はそれが礼儀なんだよ」 まぁ純粋に遅れただけなんだが。 「って言っても、俺も菓子やら飲み物やらを買い忘れていたから今から買いに行くんだがな。まぁそこでゲームでもして待っていてくれ」 「了解」 これは、メールで打ち合わせした通りであった。絵里さんと二人の時間が欲しい。そう伝えておいたのだ。 「姉さん、ちょっと相手していてよ。サッカーゲームなら出来るだろう」 「OK、いいわよー。杉下君。私、結構ゲーム強いから覚悟してね」 「望む所です」 映太が外出していく。さて始めるか。 551 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:12:18 ID:MyvGUxgz 俺は、ゲームのセッティングをしながら絵里さんに話しかけた。 「さて、鋭い絵里さんなら気付いていると思うのですが」 「映太が私と杉下君を二人きりにしようとしたことかな?」 「御名答です」 流石、「女神様」と言われる事なだけはある。話が早い 「その目的の一つはもちろん、絵里さんのことを好きな僕が絵里さんと親交を深める、というものなんですが…」 話しながらゲームの電源をつける。 「随分と正直なのね」 「隠し事とか出来ない性格なので」 笑いながらコントローラーを絵里さんに渡した。受け取る絵里さんも笑顔だ。 「女神様」な面と、こういうお茶目な面のギャップもまたいい。 俺はこの人が好きなんだと、改めて実感させられた。 「まぁ本当はそっちの目的のために絵里さんの趣味とか聞いていきたいところなんですが、時間に限りがあるので最優先の方の目的を済まします」 「最優先の方の目的?」 「映太のことです」 ロードが終了しゲームがつく。俺はマッチモードを始め、日本をセレクトする。 「映太が絵里さんと同じ仁衣高校三大美女の一人と付き合っているのはご存知ですよね?」 「もちろん、知っているわ。藤堂優奈ちゃん、だっけ?」 絵里さんもチームを選ぶ。アルゼンチンクラシックスだった。 「日本相手にアルゼンチンクラシックスとは容赦ないですね」 「勝つためには最善を尽くすというのが私の主義なの」 それぞれフォーメーションを微妙にいじった後、キックオフがされた。 「では藤堂優奈の顔はご存知ですか?」 「昨日、友達に見せてもらったわ」 「妹の唯ちゃんに似ていると感じませんでしたか?」 「あら、唯のことまで知っているの?驚いたわ」 「あいつの財布の中の写真を見ました。墓参りも一緒に行ったことがありますし」 「まぁ確かに少し似ているわね」 「あいつは今でも妹に罪悪感を持っている。今でも妹を求めている。僕はあいつが藤堂優奈に惹かれたのは唯ちゃんに似ていることが原因だと考えています」 「それを伝えたかったの?」 「いえ、それだけなら良いんです。藤堂優奈が唯ちゃんに似ていると言っても、あくまで似ているのレベルですから」 552 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:13:39 ID:MyvGUxgz また、パスをインターセプトされた。自分で強いというだけあって本当に手強い。チーム力の差も相まって俺は押されて行く。 「実は藤堂優奈は同学年の従姉妹と一緒に住んでいるんです。名前は吉岡瑠衣。この従姉妹も仁衣高校に通っていて、藤堂優奈に負けず劣らず可愛いので、仁衣高校三大美女の一人になっています」 「それで?」 きわどいシュートに襲われるがバーに助けられた。こぼれ球をクリアに行く。 「吉岡瑠衣の顔はご存知ですか?」 「いや、知らないわ」 アルゼンチンクラシックスのコーナーキックになって、一度プレーが切れる。 「これが写真です」 俺は携帯の画像を見せた。 「嘘!?」 絵里さんの声が大きくなる。 「どう思います?」 「どう思うも何もこんなの…」 プレーはまだ再開されない。空白の時間がしばし流れた。 「僕がこの事を知ったのはあいつが藤堂優奈に告白した日の昼休み。丁度、告白をしていた時です。あいつが藤堂優奈に告白するようトリガーを引いたのは僕なんですが、今はそれを心底後悔しています」 「…」 「それだけ伝えたかったんです。絵里さんに謝っても仕方ないかもしれませんが謝罪をします、すみません」 「杉下君は悪くないわ。いや、誰も悪くない」 「すみません」 「ゲームの続き、やりましょう?」 二人は画面に向き直った。 553 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/03(火) 01:15:31 ID:MyvGUxgz 「ねぇ、杉下君。サッカーゲームのクラシックチームが異常に強いのは何でだと思う?」 「分母が多いからですか?」 「それももちろんあるかもしれない。でも一番の理由は、人が過去を美化する生き物だからなのよ。偉人は世界を退いてから偉人になる」 アルゼンチンクラシックスに一点入る。マラドーナの左足からのボレーシュートだった。 「だから現代のサッカーにも美しい過去を追い求めて、マラドーナ2世とかペレ2世とか作り上げるのよ。今はメッシがマラドーナ2世でしたっけ?」 「メッシはマラドーナを超えますよ」 「あら、メッシのファンなのかしら?」 俺が強く反論したのを見て、絵里さんがクスクスと笑う。 「私もマラドーナ2世とかいう呼び名は好きじゃない。どんなにプレースタイルがそっくりでもそれは似ているだけ。似せ者でしかないのよ。 そう、杉下君が言う通り、メッシがマラドーナを超える可能性もある。もちろん、結局マラドーナには及ばない可能性もある。でもどんなに頑張っても、メッシがマラドーナになることは出来ないわ」 俺はまだアルゼンチンクラシックスの猛攻を受けている。 「あ、最後に僕の自己満足で、これだけは言わせてください」 「何かしら?」 「僕は現在生きている絵里さんが好きですよ」 「あら、私を狙うのは大変よ?」 「覚悟のうえです」 これで一応は二つ目標を達成出来たかな? 今日、俺なんかが出来る行動はここまでだろう。絵里さんのことも、映太のことも。 ここからは話しを止めて、逆転のため、ゲームの方に集中することにした。 なんとかボールを奪い、日本の良さを最大限生かすパス中心の早くて速い展開で攻め立てる。 結果は1―2でアルゼンチンクラシックスの勝利だった。

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