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47 :嵩田部直人の愚痴 [sage] :2009/02/10(火) 13:02:39 ID:LcrQ6Hoc  部屋を見渡せば生活感が全く無いな、と常々思う。物が少なすぎる。 「中途半端に物を置いてると、どうしても汚しちゃうでしょ? だから、きっちりし過ぎればその部屋の景観を潰してしまわないように誰だって注意するわ」 と、僕の十年来の友人、相坂友恵は言うのだ。 それにしても少なすぎる。教室ぐらい広いリビングに、指を折ってでも数えられるぐらいにしか家財道具がないのだ。 ちなみに内訳はこんな感じ、テレビ・テーブル・ソファー。他の調度品はと聞かれたら、無数にある収納ダンスを指で指しざるをえない。 大型スーパーから大量に仕入れてきたプラスチックのケースに小まめに分類分けがされている。 「ちょっとぐらい汚れていた方がいいんじゃないの」と僕は言うのだが、彼女の価値観は違うらしい。 汚れは敵、平和を乱す象徴。だ、そうだ。まあ、どうでもいいポリシー。 なぜかって? 別に僕の家に生活感が無いということではないのだから。 じゃあ、誰の家がって? そりゃ二つに一つが一つになったんだから。わかるでしょ。相坂友恵の家だ。 だから、僕は半分どうでもいい気分で一杯なのだ。 48 :嵩田部直人の愚痴 [sage] :2009/02/10(火) 13:03:31 ID:LcrQ6Hoc  さて、半分が無駄なもので出来ているのならもう半分は本物で出来ているのが世の常というヤツだ。 バファリンだってそうだ。優しさなんてものは病気には効かないわけで。でも、半分はちゃんとした薬剤で出来ているわけで。 そんな前振りは要らないという声が大きいと思うので本題に入ろうかと思う。が、先ずは事の発端から説明したいと思う。 49 :嵩田部直人の愚痴 [sage] :2009/02/10(火) 13:04:49 ID:LcrQ6Hoc  最初に彼女の家からやけに高い破損音が聞こえたのは、かれこれ10年まで遡る事になる。ようするに、あったその日からなんだが。 引越しの挨拶をしてから13時間後の午前4時。ぐっすりと睡眠を取っていた我が家にとって予想外のアラーム。だけど、その真理を探ろうとは誰も思わない。 あらかた予想がついている言うか、喧嘩と言うか。まあ、ご両親の仲が悪いんです。あんなにニコニコしていたのに。営業スマイル見せ付けられたんだな。 親からは早速、「極力お隣さんと関係を持たないように」と戦力外通告がなされたわけで。  それでも、子供の好奇心とやらは猫をも殺す勢いで樹立していくわけです。要するに、相坂友恵と仲良しになってしまうわけだ。 それに、美少女だったというのも少なからず動機の中に含まれているのかも。いや、少ないという言葉は語弊を招きそうだな。 幸薄美少女というか。  彼女と仲良くなっていくのと並列して、親同士の間は一向に縮まりを見せない。というより、どちらもその気がないといってもいい。 俺の家の両親はごく普通の共働き。対してお隣さんはバリバリエリートの共働き。親父さん、官僚とか。 文化レベルからして大きな差。それなのに、友恵と仲良くなった僕はギャップを跳ね除けた偉人であるからして、平民の中のヒーロ。 何言ってんだろうね。どうでもいい虚言だ、シカト対象で。 50 :嵩田部直人の愚痴 [sage] :2009/02/10(火) 13:06:13 ID:LcrQ6Hoc  さて、並列して彼女の癖もわかってくるのだ。潔癖症という悪癖が。 別に、石鹸で手が血に染まるぐらいゴシゴシと擦るわけでもなく、外の空気がばっちぃだのという理由でガスマスクを被るわけでもなく。とにかく片付けたがる。 僕の部屋に呼んだときは必ず大掃除をやらされる。だから、それ以降彼女を僕の家には呼ばないようにしていたり。と、言うのは嘘で極力彼女を家の中に引き込んでいるのだ。 理由は、ちょっとでも汚れの良さを知ってもらおうと異文化コミュニケーションするのだが、鎖国されちまう。 まあ、出島を用意することぐらいはありなんじゃないかと思う。彼女、呼んだら来てくれるし。  無駄には本当があると先ほど言ったが、俺は本当にそうだと信じている。 51 :嵩田部直人の愚痴 [sage] :2009/02/10(火) 13:08:32 ID:LcrQ6Hoc  彼女は両親の喧嘩を恨んでいる。両親の不仲を恨んでいる。 だから、彼女にとって部屋の汚れイコール喧嘩し終わった後の残骸たちが非常に許せないのだ。 だから、彼女は潔癖症になったんだと思う。でも、それは逆効果なのだ。  普通、部屋の壁の色は基本的にクリーム色だの水色だのなるべく白に近い色にしている。これは、純白という色が清潔感が逆に生活感を遠のかせているからだとか。 ほかにも、生物にとって白は骨の色だとかで、死のイメージやら絶望のイメージやらが宿っているんだとか。 今日では、病院の壁の色をクリーム色にした利とか改善策がなされているらしい。要するに、清潔すぎることは人間にとって毒だと。  でも、彼女にとって汚れは宿敵なわけで。許すことの出来ないもの。でも、清潔にしていけばいくほど、生活感がなくなり、彼女の両親の仲は断裂していく。 離婚にたどり着かないのは多分、彼女が大切なんだろうな。勝手な想像だけど。  循環する彼女の苦悩は彼女によって回されている。そして、世界が回る。僕はただ、それに対して傍観しか出来ないわけで。でも、助けたいという二律背反が存在するわけで。  ほんと、どうしたらいいんだろうねぇ。  彼女に頼まれた洗剤一式をエコバックに詰めながら答えのみつからなそうな問いを考えてみる。結局、出るのは愚痴だけだ。禅問答チック。

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