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<p>1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/08/24(日) 11:52:33 ID:T9Tk6IB4<br /> ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。<br /><br /> ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)<br /> ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。<br /><br /> ■ヤンデレとは?<br /> ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。<br /> →(別名:黒化、黒姫化など)<br /> ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。<br /><br /> ■関連サイト<br /> ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ<br /> http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/<br /><br /> ■前スレ<br /> ヤンデレの小説を書こう!Part17<br /> http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1215971239/<br /><br /> ■お約束<br /> ・sage進行でお願いします。<br /> ・荒らしはスルーしましょう。<br /> 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、<br /> 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。<br /> ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。<br /> ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。<br /><br /> ■投稿のお約束<br /> ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。<br /> ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。<br /> ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)<br /> ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。<br /> ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。<br /> ・版権モノは専用スレでお願いします。<br /> ・男のヤンデレは基本的にNGです。<br /><br /> 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 11:56:43 ID:OMBpQQEJ<br /> &gt;&gt;1<br /> 乙です。<br /><br /> 3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 11:58:58 ID:+LpHqxU9<br /> &gt;&gt;1<br /> これは乙じゃなくてあなたを縛るためのロープなんだから勘違いしないでよね!<br /><br /> 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 12:35:16 ID:nP/eTqrV<br /> &gt;&gt;1さんの穴という穴に私の髪の毛を挿しこんで・・・。<br /> うふふっ! まあそんな感じです。<br /><br /> 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 12:51:45 ID:FHrY/1a+<br /> &gt;&gt;1<br /> 乙<br /><br /><br /> 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 13:58:04 ID:ZoIIsnK0<br /> 由花子さん乙<br /><br /> 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 20:10:38 ID:RU1p3rEH<br /> いちょう2<br /><br /> 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 00:26:26 ID:1rpRdGGY<br /> &gt;&gt;1さんは私だけの物ですよ?皆さん勘違いしないでください<br /> だから&gt;&gt;1乙って言って良いのも私だけなんです<br /><br /> 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 20:34:00 ID:fTqC++eQ<br /> &gt;&gt;1<br /> 乙。<br /><br /> 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 23:51:37 ID:n+8zzsYy<br /> &gt;&gt;1<br /> よし、うちの姉を嫁に持って行っていいぞ<br /><br /> 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 00:22:27 ID:JXONKGWZ<br /> &gt;&gt;8<br /> 2getしてから言ってくれるかしら?<br /><br /> &gt;&gt;1乙<br /><br /> 12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 11:53:21 ID:LT/INwNh<br /> 嫉妬スレの住人立ち入り禁止<br /><br /> 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 00:11:56 ID:D0kZWc5Z<br /> 修羅場統合から来ました<br /><br /> 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 00:44:17 ID:7hwsBngm<br /> 監禁されてた廃屋から逃げてきました<br /><br /> 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 01:39:04 ID:lkxi6ra5<br /> &gt;&gt;14<br /> 帰れ<br /><br /><br /><br /><br /><br /> あの娘の下に<br /><br /> 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 12:48:41 ID:D0kZWc5Z<br /> VIPから来ますた<br /><br /> 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 12:56:07 ID:OArEmfUi<br /> まあ夏休みももうすぐ終わりですから<br /><br /> 18 名前: ◆QMmp63tnmg [sage] 投稿日:2008/08/27(水) 22:49:35 ID:o2brc7s7<br /> ヤンデレの娘の親父やお袋視点のネタ、誰か実験作として投下してくれんものか…<br /> 言い出しっぺネタ 親父の日記<br /> ●月二日 娘が一心不乱にノートに何か書いていた。<br /> 「雌豚死ね、■愛してる」雌なんて漢字が書けるようになったのか‥何してるんだ!<br /> ●月三日 娘が男の子を連れて来た。娘の笑顔の裏に狂気を見た気がした。<br /> 男の子は心なしかおびえている。<br /> ●月十日 保護者集会が開かれた。同級生の女の子が飛び降り自殺を図ったらしい。<br /> 不謹慎だが、何かが起こっているのかもしれない。<br /> ●月十二日、妻が携帯ばかりする娘を叱った。<br /> 送信文面は…男の子の動向を問い詰める物だった。三分毎に送ってる様だ…<br /> ■年▲月十七日 娘が男の子と結婚した。馴れ初めを聞いた震えだした。<br /> 初孫が楽しみ…ん?新郎席の妹さんに何殴り掛かろうとしてるんだ!<br /> 理由は、お互い気に食わなかったかららしい…両家の未来に不安を感じた  <br /><br /> 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 01:31:02 ID:plKMGiy/<br /> 死ね<br /><br /> 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 07:58:07 ID:fhc60ISV<br /> &gt;&gt;18おもしろいなw親父も心配性で笑えた<br /><br /><br /> 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 08:54:18 ID:9JqqVHVf<br /> 死ね<br /><br /> 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15:09:51 ID:1yrXvsLt<br /> 稚拙ですな。<br /> もっと紳士的にできないものか。<br /><br /> 23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15:40:21 ID:71AND8nq<br /> 紳士的……?<br /> し、死ぬがよい<br /><br /> 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15:58:28 ID:sr303+7a<br /> 某大往生なんてこのスレの住人が知ってるのか?<br /><br /> 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18:02:23 ID:30p4voz7<br /> &gt;&gt;18<br /> こういう視点もなかなか面白いな<br /><br /> 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18:21:14 ID:UVkSfNUx<br /> &gt;&gt;19,21<br /> &gt;&gt;12<br /><br /> 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 20:55:08 ID:15sGF9ct<br /> 死ね<br /><br /> 28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22:06:30 ID:1yrXvsLt<br /> 単発IDで嵐か。<br /> 胎児以下だな<br /><br /> 29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22:11:09 ID:tyJ/kUYH<br /> ヤンデレになる女の子の特徴は<br /><br /> 1・内気で暗い女の子(友達がおらず、いつも一人で孤独な時間を過ごしている)<br /> 2・好きになる人は自分を助けてくれた人又は自分に好きって言ってくれた人<br /> 3・恋人同士になるとだんだんと彼に依存してしまう。(そして、疑心暗鬼になってしまう)<br /><br /> ぐらいなもんか?<br /><br /> で、ヤンデレ化すると一騎当千の戦闘力で泥棒猫を撃破できる<br /><br /><br /> 30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22:21:50 ID:pnUVu04+<br /> &gt;&gt;29<br /> それただのメンヘラじゃん<br /><br /> 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23:03:55 ID:fP9L9f11<br /> ずっとROMしてたが今年は例年以上に夏厨がひどいな<br /> 何か住人は皆退散してるぽいし<br /><br /> 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23:28:21 ID:FjsqrJ0D<br /> 大丈夫夏休みもあと数日<br /> 一部のやつらは宿題に追われてるだろう<br /><br /> 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23:32:31 ID:lJQ4DXoB<br /> このスレに限って、(美しい)女性は誰しもがヤンデレになる可能性を秘めている。<br /><br /> 個人的には、しつけが厳しいor世話焼き女房っぽい女の子が黒化していくのが好き。<br /> 「この家の門限が7時までというのは知っていますよね。<br /> 守れないのはなぜなんです?」とか、<br /> 「せっかく夕食を作って待ってたのに……私の料理、嫌いになった?」<br /> とか言われたいね。<br /><br /><br /> 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23:38:30 ID:zTfP7GxX<br /> 夏休みが終わってから宿題を始める人種がいることをしらないようですね<br /><br /> 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23:52:33 ID:4qYeGI7W<br /> &gt;&gt;31&gt;&gt;32&gt;&gt;34<br /> 夏だなぁ厨 【なつだなぁちゅう】<br /> 夏厨が出没すると放置ができず「夏だなぁ」と言い出し<br /> 荒れの元となりスレ住民全体に迷惑をかける存在。<br /> 【特徴】<br /> ・とにかく文中に「夏だなぁ」を入れないと気がすまない<br /> ・スレの流れや空気を読めず、反応してしまう<br /> ・普通のスレ住人は夏厨を放置しているのに自分だけが過剰に反応してしまう<br /> ・夏厨に反応している時点で夏厨と同類であることに気づいていない<br /><br /> 一々構うんじゃありません、自重しなされ<br /><br /> 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00:07:48 ID:wNWDc9FV<br /> ふと思い出したけれど最近の小中高生って土日が休みなんだろ?<br /> その分部活につぎ込むならともかく、エロパロに出入りするような暇人なら<br /> 夏休みが始まる前に終わらせるのも楽勝じゃね?<br /><br /> 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00:10:09 ID:U3UWpS88<br /> 俺は捨てないで!系が好き<br /> んでそういう子をいじめたりたまに可愛がったりして弄びたい<br /><br /> 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00:40:48 ID:zXDZcY+j<br /> 個人的には捨てられたら、子犬のような目でストーカーになる展開が好きだな<br /><br /><br /> 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 21:16:25 ID:boUbB7i/<br /> &gt;&gt;38<br /> 子犬のような目でストーカーってものすごい矛盾だな。<br /><br /><br /><br /><br /> たまらんのぅ。<br /><br /> 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 14:44:46 ID:m4a1eZGH<br /> &gt;&gt;37<br /> おまえ「いたいけな彼女」とか好きだろ<br /><br /> 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 20:18:20 ID:0610wgei<br /> ひとーりでーいきてーゆーくーんだとー<br /><br /> 42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 20:53:41 ID:ob86vCJj<br /> 保存庫変わったな~<br /> 止マナイ雨ニ病ミナガラと雰囲気を合わせたのか<br /><br /> いつも管理人ありがとうGJ<br /><br /> 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 00:44:18 ID:BgycZvbI<br /> ヤンデレスレの女の子はキチガイばっかだな……<br /><br /> 44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 05:26:22 ID:zp4v3LgF<br /> 死んじゃえ<br /><br /> 45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 05:43:30 ID:kY2/2w86<br /> &gt;&gt;なにそれ?本スレ?<br /> 少なくともここでは無いな、うん<br /><br /> 46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22:09:35 ID:lIF5/uXW<br /> ヤンデレ家族石マダー?<br /><br /> 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22:23:29 ID:/C4focgQ<br /> 待てない奴は何なんだ?<br /> 何も言わずに正座してろ<br /><br /> 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22:37:18 ID:uQz/iSqq<br /> ちゃんと服脱いどけよ。<br /> 靴下は……趣味に任す<br /><br /> 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22:48:34 ID:JjbOncz7<br /> 上だけ一枚着て後は裸で座って待ってるよ<br /><br /> 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23:08:05 ID:ZsooHM7Y<br /> ネクタイは忘れるなよ。紳士の嗜みだ<br /><br /> 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23:38:55 ID:hucst2kT<br /> なんで・・・・・・なんで正座して待ってられないんですか?<br /> ちゃんと「正座して待っててくださいね」って言ったのに・・・・・・<br /><br /> 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23:56:48 ID:C9bx++Eb<br /> 新の紳士の嗜みは蝶ネクタイだと何度言えば<br /><br /> 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 00:01:02 ID:uQz/iSqq<br /> ニュータイプか<br /><br /> 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 00:39:13 ID:9AXaz80y<br /> ・・・あ。<br /> そっか、そうやって私から逃げたんだね。<br /> でもね、私だってそこへ行けるんだよ?<br /> 今から行くからね・・・うふふふふ<br /><br /> そう呟いて、彼女は飛んだ。<br /><br /><br /> -------<br /><br /><br /> もういやだ。<br /> あの女がずっと、ずっと、ずーっと付き纏う。<br /> 今までに何人があの女のせいで死んだだろう。<br /> はは、両手を使っても足りないな。<br /> これ以上生きていても周りに迷惑を掛けるだけだ。<br /><br /> ・・・飛び降りようか。<br /> あいつともこれでお別れだ。<br /> あいつのせいで死んだ友達には謝りに行かなきゃな。<br /> 誤解されて死んだあの子に、なんて謝ろうかな。<br /><br /> 飛びながら考えればいいか。<br /><br /><br /><br /> 男は飛び降りた。<br /><br /><br /> ---次回予告<br /> 女さん(仮名)と鬼とのバトル!<br /> 余裕で勝利した女さん(仮名)は愛する男のいる天国へと向かうのであった。<br /> 続かない。<br /><br /> 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 01:53:48 ID:4QKcpuF0<br /> 全裸で待っていたがそろそろ服を着るよ<br /> ところで、俺のちんこの亀頭にほくろがあるんだが。知らなかった。<br /> それも上から見た亀頭のちょうど真ん中。長年一緒のちんこにも知らないとこがあるんだな<br /><br /> 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 02:15:59 ID:NPWgEq7E<br /> そんな事言うとヤンデレがチンコにヤキモチ妬くぞ<br /><br /> 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 02:48:10 ID:DESX+vgc<br /> 俺なんてきんたまの後ろに2つだ<br /> 風呂なんて特に恥ずかしいから<br /> イッツも隠してた<br /><br /> 58 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/09/01(月) 10:05:12 ID:SlN+IDyI<br /> 週刊ヤンデレ家族と傍観者はどこ行った?<br /><br /> 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 14:04:45 ID:vXWpzvJZ<br /> &gt;&gt;58<br /> 合併号です<br /><br /> 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 14:31:51 ID:9zuMEmhN<br /> 妙に納得してしまった<br /><br /> 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 16:00:33 ID:A9t4Smy8<br /> じゃあ今週は赤丸が出てていいはず<br /><br /> 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 16:55:49 ID:YBT5ZqRz<br /> エロパロのヤンデレ二大スレはどこも最高だな。<br /><br /> 63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 00:50:48 ID:czuN4+Re<br /> ここと後一個どこだ?<br /><br /> 64 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 08:11:05 ID:kEB2+t88<br /> キモウトキモ姉スレだろうな<br /> あれも神だな確かに<br /><br /> 65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 11:54:34 ID:m2dFLfd2<br /> 他スレは他スレです<br /> 他所の話をここに持って来ないでね<br /><br /> 66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 18:53:44 ID:2Hs7cTqT<br /> &gt;&gt;63<br /> キモ姉キモウトスレに決まってるじゃん・・・。<br /> 半角二次元のほうにあるスレはエロパロじゃないし。<br /><br /> 67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 18:59:15 ID:WlepUYvj<br /> いいから(・∀・)デテイケ!<br /> キモスレ住人は巣に帰ってろ<br /><br /> 68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 19:14:36 ID:CxhdNLEx<br /> 他の人はいいが&gt;67お前だけはデテイケ!ピンポイントで<br /><br /> 69 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 19:23:30 ID:kEB2+t88<br /> たまには妹でも良いと思うんだ<br /><br /> 70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 20:01:40 ID:sT5sNnrE<br /> 他スレの話はそのスレで語った方がお互いのためだと思うんだ<br /> 妹や姉もいいものだけどね<br /><br /> 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 21:58:13 ID:oh+vkRP6<br /> こじきにレスが付かずに他スレの話をレスが付くのね<br /><br /> 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 22:20:41 ID:VgfQ7KqI<br /> 同族元素の続きが気になりはじめた今日この頃<br /><br /> 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/03(水) 16:00:15 ID:t6c+ax1p<br /> 東尉が前作では男らしくていいヤツというこのスレでは割と珍しいキャラだったな<br /> 再開を気長に待ってるが<br /><br /> 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:20:50 ID:LIgeAWI5<br /> 【ドラマ】“悪女”米倉涼子 夫の浮気相手に毒盛る…テレビ朝日開局50周年記念ドラマ「氷の華」完成披露試写会<br /> http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1220395793/<br /><br /> これは期待できそうなのか?<br /><br /><br /> 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:29:12 ID:Q99mUBz+<br /> ここSSスレだし3次とかスレチすぎだろ<br /><br /> 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:39:51 ID:LIgeAWI5<br /> >【この板の趣旨】<br /> >一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、<br /> >およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。<br /><br /> いや、確認してるんだが。<br /> どう見てもドラマの話題だろ。<br /><br /> 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:43:02 ID:Q99mUBz+<br /> &gt;&gt;76<br /> 板ちがいではなくスレチ<br /><br /> 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:47:49 ID:b45ZZuj3<br /> ここはヤンデレネタならなんでも愛でるスレだったぞ。<br /> この程度でスレ違いってわけわからん<br /><br /> 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01:53:05 ID:7CX8Ttqe<br /> 自治厨こそお帰りください<br /><br /> 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 02:52:05 ID:A38+j2IH<br /> ちょうどテレビつけたら宣伝がやっていた<br /> なんとタイムリーなんだろうか<br /><br /> 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 09:25:25 ID:Fo477Mq7<br /> ここはSSスレだから他のスレでやれ<br /> 住み分けもできないバカは死ね<br /><br /> 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 09:28:54 ID:b45ZZuj3<br /> >○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)<br /><br /> まあテンプレぐらい読もうな<br /><br /> 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 11:19:45 ID:CbRvp5dE<br /> おまえら、前スレ埋めようよ<br /><br /> 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 01:52:51 ID:R2MOU9+L<br /> ぶっちゃけ言うとさ、無限のリヴァイアスのキャラって、全員病んでねぇ?<br /><br /> 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 03:17:13 ID:ZbvmbPkX<br /> ぶっちゃけ言うとさ、死ねよ<br /><br /> 86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 12:01:02 ID:9wMe8Z7e<br /> 知らなかったからぐぐったらずいぶん古いアニメだな。<br /> 面白いのか、これ?<br /><br /> 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 12:49:10 ID:QGzrYv6h<br /> &gt;&gt;86<br /> http://changi.2ch.net/ranimeh/<br /><br /> 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13:00:45 ID:GK0rNIaq<br /> テンプレ嫁<br /> と言っても俺も知らないから&gt;&gt;86の期待には答えられないんだがw<br /> ヤンデレって意外と昔からあるんだよな、<br /> ジャンルが確立されたのは最近だが<br /><br /> 89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13:16:16 ID:Ngdl79Fj<br /> つーか平安時代にすでにヤンデレが物語に登場してるんだから当たり前だろjk<br /><br /> 90 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13:22:28 ID:9wMe8Z7e<br /> 知ってるよw<br /> ただそうなるとまだ知られてない過去作品とかもあるんだろうな、と思ったんだ<br /><br /> 91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13:24:16 ID:9wMe8Z7e<br /> 連レススマソ<br /> だから&gt;&gt;84とか興味湧いたんだが……そんなにマイナーなのか、これ<br /><br /> 92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 19:26:42 ID:QGzrYv6h<br /> 死ね<br /><br /> 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 21:47:49 ID:UZXw/h5b<br /> 生きろ<br /><br /> 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 22:41:22 ID:0nrGIili<br /> リヴァイアスはヤンデレとか関係なしに見ればいい<br /><br /> 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 22:54:43 ID:YXI4uei4<br /> こずえがレイプされたことよりも、タクミが実の姉と肉体関係を持っていた方がショックだわw<br /><br /><br /> ちなみに夕方の6時のアニメにレイプと近親ですよ<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 23:50:00 ID:iwjhtX26<br /> 深夜42時アニメだから仕方ない<br /><br /> 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 11:30:31 ID:6dUQxkzL<br /> ブラコンシスコンショタコンホモヤンデレ何でもござれだったな>リヴァイアス<br /> その後がビーストってのが救われたw<br /><br /> 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 18:27:28 ID:iWMcouTR<br /> なんど読んでもブラの後あたりが中々頭に入ってこないな<br /><br /> 99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 22:59:25 ID:EKcScYLZ<br /> ハハン鳥頭め<br /><br /> 100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:26:42 ID:uPDGxxI0<br /> 今週はヤンデレ家族くるかなー<br /> 焦らしプレイでもいいけどね!<br /><br /> 101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:39:48 ID:xcvji2dP<br /> &gt;&gt;100<br /> とりあえず全裸で正座をしながら待機だ・・・<br /><br /> 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:44:13 ID:iyxqpwdd<br /> &gt;&gt;97<br /> ビースト最終回のダイノボットの台詞はリヴァイアスに喧嘩売ってるとしか思えなかったなw<br /><br /><br /> 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:24:39 ID:eNrp8APr<br /> よしじゃあ裸ネクタイに正座で待機していよう<br /> 足が痺れても涙目で待ってる<br /><br /> 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:01:22 ID:wUR5E8qh<br /> 待てと言われて全裸にネクタイで待つヤンデレ淑女<br /><br /><br /> 105 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:40:30 ID:btGIRyZm<br /> こんばんは。<br /> とっくに日付が変わって月曜日ですね。<br /><br /> それは置いといて、清算編その二を投下します。<br /><br /> 106 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:41:28 ID:btGIRyZm<br /> ***<br /><br /> 妹の様子が少し変わっていることに気付いたのは、風邪で体調を崩した妹が久々に居間に下りてきたのを見た時だった。<br /> 妹は回復したのが嬉しいのか、朝の挨拶の声まで弾んでいた。<br /> でも、機嫌が良い理由は風邪が治ったからなのだろうか。<br /> 妹が普段と違う。<br /> 何か、こう……表情に余裕のようなものが感じられる。<br /> 以前はぴりぴりとしていたのに、今ではすっかりそれが和らいでいる。<br /> 妹が私から積極的に目を逸らそうとしないなんて、何かが変。<br /> そりゃまあ、今みたいな方が私は嬉しいんだけど。<br /> 弟は珍しく朝早くから出かけていて、姿を見せていない。<br /> できれば妹に何があったのか聞きたかったけど……一緒に下校する時にでも聞けばいいかな。<br /><br /> 妹と二人、肩を並べて学校に向かう。<br /> 実は二人っきりでこうやって歩くのは、五六年ぶりぐらいになる。いや、もっと前からだったかも。<br /> 私の記憶が曖昧だから思い出せないけど、妹は中学に上がった頃、弟と一緒に登下校するようになった。<br /> もちろん私もついていくんだけど、どうも二人の会話に割り込めない。<br /> 弟は相手してくれるんだけど、妹が生返事しかしてくれない。<br /> だから仕方なく、長女として身を引くことにした。<br /> 弟と妹が仲良くしている姿を見られれば私は充分満たされた気分になれた。<br /> でも、時々つまらなくなって、弟と示し合わせて妹を置いて学校に行ったりもした。<br /> それをすると妹が三日ぐらい家族の誰とも口を聞いてくれなくなるから、最近は自重している。<br /> うちの妹は可愛いわ。お兄ちゃんを独占できなかったからって拗ねるなんて。<br /> できるなら、こう…………抱きしめて、頬摺りして、体をこねくり回してやりたい。<br /> 添い寝させてくれなくなったのはいつからだったかしら。<br /> 昔は、お姉ちゃん一緒に寝よ、って枕を抱きながら言ってくれたのに。<br /> 今だって、一緒に歩いてくれても話しかけてはくれないし。<br /> 在りし日の妹はもう居ない、か。<br /> 冴子お姉ちゃん、悲しいわ。<br /><br /><br /><br /> 107 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:44:01 ID:btGIRyZm<br /> ***<br /><br /> 「ではみなさん、明日からは土日と休みが続きますが、不摂生をしないように」<br /> 篤子女史の締めの言葉が終わり、日直の号令に従ってクラスメイト全員が起立礼をしたら、教室内は次第に騒がしくなる。<br /> 明日から休みとはいえ、実際にはこの時から休日が始まると言っても過言ではない。<br /> かく言う俺も開放感に包まれている。<br /> そう、この感覚こそが喜び。<br /> 黙々と授業をこなし、甘美な睡魔の誘惑と胃袋の乾きに耐え、ようやく得られた休日である。<br /> こういう喜びは学校に通っていなければ味わえない。<br /> 何日もぶっ通しで自宅や病院に籠もっていたら、余暇の貴重さなど無に等しくなる。<br /> 明日と明後日は何をしようか――なんて考えるのが楽しい。<br /> だが、まずはやるべきことをやってからだ。<br /><br /> 鞄を置き去りにしたまま、クラスメイトの流れに乗り教室から出る。<br /> しかし向かう先は校舎の出口ではない。目的地は別にある。<br /> 二階から一階へ下り、いつもなら左へ行くところで右へ曲がる。<br /> 方向転換したところで、背後から話しかけられた。<br /> 「おや、どこに行くんだ?」<br /> 振り向けば、学校指定のコートを纏った高橋が居た。<br /> 「ちょいとした野暮用。一年の教室に用があるんだ」<br /> 「ふうん? 君の弟と何か約束でもしてたのか?」<br /> 「そういうわけじゃないが……そうだな、心配事を片づけに、ってところか」<br /> 高橋は数秒間無言で居続け、唐突に沈黙をため息でぶち破った。<br /> 「……なんだわざとらしい。今のはちょっとむかつくぞ」<br /> 「いや失敬。大したことじゃないんだ。<br /> 実は昨日、僕の家の冷凍庫から冷凍食品の炒飯が無くなっていてね」<br /> 「ほう」<br /> 「どうしてかと思って首を傾げていたら、突然海外に出かけているはずの姉から着信があったんだ」<br /> 「おい、何さりげなくカミングアウトをしてる。お前に姉が居るなんて初耳だぞ」<br /> 「故意に隠していたから、当然だ」<br /> なぜこいつは、あえてどうでもいい情報を隠しやがる。<br /> 普通、担任の女教師に恋してることを隠すだろ。<br /> 「……で、お前のお姉さんとさっきのため息がどう関係しているんだ」<br /> 「うむ。驚きつつ僕は携帯電話を手に取った。<br /> そして覚悟を決めて――――携帯電話の電源ボタンを一回、ポチッと押したんだ」<br /> 「……なんで?」<br /> 「考えてもみろ。国際電話や電子メールで連絡してくる姉が、いきなり僕の携帯電話に電話して来たんだぞ?<br /> 僕は携帯電話の番号なんて姉には教えていない。不審に思って当然だろう」<br /> 「すまんが、同意しかねる」<br /> 「そうか。まあそれはいい。<br /> 電話を取らなかったら、今度は家の方の電話に着信があってね。<br /> 相手はなんとなく予想したとおりに姉だった。<br /> 姉弟らしく手短に挨拶を交わした後、姉はこう言ったよ。<br /> ぷりぷりのエビが入った炒飯って美味しいわよね、って。<br /> そう言い残して、姉は電話を切ったんだ」<br /> 「あー……、なるほど。犯人はお姉さんだったわけか」<br /> 「さっきのため息は姉の行動を笑ってのことさ。<br /> あと二年は帰ってこないとか言っていたくせに、突然日本に帰ってきて、<br /> 気ままな一人暮らしを送る弟の部屋に勝手に上がり込み、炒飯を食べてから帰る。<br /> そしてそれからは何の連絡もよこさない。また海外に行ったのか、この町のどこかに居るのかもわからない。<br /> 勝手気まま過ぎる姉だよ。僕が君に話したがらないのも当然だろう?」<br /> 「うん、まあ……俺ではお前のお姉さんの行動を理解できないことはわかった」<br /> 「そうか。僕の姉がちょっと変わっているということがわかってもらえたならそれでいい。<br /> ではまた。来週会おう。怪我しているんだからあまり無茶するんじゃないぞ」<br /> 「ああ、またな……」<br /><br /><br /> 108 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:45:07 ID:btGIRyZm<br /> 高橋はそのまま振り返りもせず校舎の出口へ向かっていった。<br /> さっきの話の流れは、高橋お得意の話の焦点をずらして煙に巻く手法だ。<br /> 今まで内緒にしていた姉の存在を明らかにしたのは、奴なりに焦っていたからなのだろうか。<br /> それとも実は姉など存在せず、逃れるために即興で話を捏造したのか。<br /> なんだか、欠席理由におばあちゃんの三回忌だったんですって言うのに似てるな……。<br /> だが、俺にとっては高橋に姉が居ようと居まいとどうでもいいのだ。<br /> 上手い具合に乗せられている気がするが、それもどうでもいいと納得しておく。<br /> 今重要なのは、心配事を片づけることだ。<br /> 先週の事件の唯一人の首謀者にして実行犯、澄子ちゃんの様子を確かめること。<br /> 今日あえて学校をさぼらなかった理由の一つである。<br /> 自分でもおかしいと思う。なぜ、俺を短期間とはいえ監禁した澄子ちゃんに怒りを覚えないのか。<br /> 俺が花火に怒りを向けないのは、きっと頬に傷を負わせたからだ。<br /> 熱くなっても、花火の顔を脳裏に描く度に冷めてしまう。<br /> これは、精神的な負い目によるものだろう。<br /> しかし、澄子ちゃんに対しても同じというのは、どういうわけだ。<br /> 彼女の性格? すぐに解放してくれたから? 監禁する理由を説明したから?<br /> いや――どれでもない。<br /> そもそも、監禁されても怒りを覚えていないんだ。<br /> どうしてだ? 昔伯母に虐待されていたから、か? そういった痛みに対して鈍感なのか?<br /> だとしたら、我ながら……嫌な鈍感っぷりだな。<br /> 天性、いや後天性のマゾなのか。<br /> 一応、否定しておくとしよう。あまりにも悲しすぎる。<br /><br /><br /> 109 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:47:19 ID:btGIRyZm<br /> 一年の教室が並ぶ廊下に来ることは、二年に進級してからはなかなか無い。<br /> 自分の居場所が無い、違う言い方をすれば、すでに空気が変わっている。<br /> そんな空間へ文化祭の準備期間に飛び込んでいった去年の俺は少々浮かれすぎていた。<br /> こうして個人的な用件で訪ねていくと、そのことをひしひしと実感する。<br /> いや、衣装を作りたいからって手伝いに行くのも個人的意志からだけど。<br /><br /> ともあれ、俺は弟のクラスの前まで辿り着いた。<br /> 何やら入り口で女子二人がお喋りしている。ううむ、入りづらい。<br /> だがここで引き返すわけにも行かぬ。先輩に逃走は無いのだ。<br /> 話しやすい距離まで近づき、努めて明るい声で話しかける。<br /> 「ねえ、ちょっといいかな」<br /> 「はい? ……誰、この人?」<br /> ぬう、やはり俺のことなど覚えていないか。<br /> あからさまに邪魔者に向けるような眼差しだ。<br /> 仕方ない。できるならば顔パスでいきたかったのだが、奥の手を出すとしよう。<br /> 「実は俺、このクラスの男子の兄貴なんだけどさ」<br /> 生徒手帳の名前欄を見せつつ言ってみる。<br /> 果たして、効果は即座に現れた。<br /> 「ああ、彼のお兄さん!」<br /> 「あー、思い出した! 去年は文化祭の準備手伝ってくれてありがとうございました!」<br /> 「いえいえ、どういたしまして」<br /> はっはっは。便利だな-、クラスの人気者の兄貴というポジションは。<br /> こうまで警戒心が解けてくれるとは思わなんだ。<br /> 別に顔を覚えられてないのが悲しいなんて思わないぞ。こちとらとっくに慣れっこだ。<br /> 「弟は居るかな?」<br /> 「いえ、もう帰っちゃいました。隣のクラスの、あの……金髪の人と一緒に」<br /> 「そう。まあ、あいつが居ても居なくてもいいんだけど。<br /> ちょっと聞きたいんだけど、このクラスに木之内澄子って子が居たよね。<br /> その子は今日学校に来てた?」<br /> 「えっ……澄子ちゃんですか?」<br /> 「そう」<br /> 女の子たちはお互いの顔を見合った。<br /> 「来てないよね?」<br /> 「うん、先週からずっと。なんで休んでるか知ってる?」<br /> 「ううん、聞いてない。ずっと無断欠席」<br /> ――ふうむ。<br /> 「じゃあ、その子と仲の良かった友達は居ないかな?」<br /> 「居ますよ。でも、たぶん知らないと思いますよ」<br /> 「それでもいいんだ。何か情報が掴めればいいし、なければないで構わない」<br /> 「そうなんですか。ん、あれ? 先輩ってもしかして――――」<br /> 右手にいる女の子が、もう一人の子に耳打ちしている。<br /> 右の子は面白そうな顔。左の子は目を拡げて口を押さえている。<br /> 「どうかした?」<br /> 「いえいえ、何でもないですよ。<br /> そうなんですかー。先輩が……まさかそうだったなんて。<br /> 心配ですよね。澄子ちゃんが学校に来ていないと」<br /> 「ん……どちらかと言えばそうかもね」<br /> 「へええええ。なるほどなるほど。<br /> そういうことなら協力しないわけにはいきませんね。<br /> 澄子ちゃんと仲の良かった子なら、窓際の席に居ますよ。<br /> それでは先輩、どうぞごゆっくりー」<br /> 二人してにこにこと笑顔を浮かべ、教室へと手で導いている。<br /> やけにノリがいい子たちだ。<br /> ちょっと不気味だが、警戒されるよりはマシと思おう。<br /><br /><br /> 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:47:43 ID:4DFh8iwT<br /> CYEN<br /><br /> 111 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:49:24 ID:btGIRyZm<br /> 教室に入ると、澄子ちゃんの友達はすぐに見つかった。<br /> 校庭側の窓際の席で話している女の子が二人いる。<br /> 一人は澄子ちゃんと似たセミロング。男の庇護欲をかき立てる、大人しそうな顔つきをしてる。<br /> もう一人は背中を向けているので顔はわからない。<br /> 乱れのない黒のロングから、しっかりした女の子だろうと推測する。<br /> どちらか、もしくは二人ともが澄子ちゃんの友達なのだろう。<br /> 俺が接近していることに最初に気付いたのはセミロングの子だった。<br /> 「あ、の……何か……?」<br /> 「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……って、あのさ」<br /> 「は、はい……?」<br /> 「何もしないから、そんなに逃げ腰にならなくてもいいよ?」<br /> そんな、俺が現れた途端に顔を強張らせて椅子をずりずり引いて後退しなくても。<br /> この子にとってはどうしようもない対人反応だったとしても、やられた方はいい気分がしない。<br /> 「は、はい。えっと、二年の先輩ですよね。私に、いったい何を……?」<br /> 「うん、君の友達の――」<br /> 突然の机を叩く轟音に台詞を遮られた。<br /> 教師が生徒を黙らせるために教卓を叩く音よりでかい。<br /> 天井から机に着地すればこんな音が出るかもしれない。<br /> 教室内には俺たち三人しか居ない。<br /> 必然、俺以外の女の子が立てた音ということになる。<br /> おそらく音の発生源は、二人の女の子の中間地点にある机。<br /> 見ると、そこには拳が一つ乗っていた。<br /> 固く握りしめられていて、わずかに震えている。<br /> ついでに言うと、セミロングの子の唇も震えている。というか全身が震えている。<br /> 無理もない。何せ、自分と向かい合って座っている女の子こそが、拳の主だったのだから。<br /> 「あ、あの……俺、何かしましたか?」<br /> 思わず拳を振るった女の子の背中に敬語で話しかけてしまった。<br /> 仕方あるまい。だって怖いんだから。<br /> 「いいえ、あなたは何も悪くない。ただ机の上に季節外れの蚊が止まっていたからつい、ね」<br /> 「そ、そうですか。はは、蚊なら仕方ありませんよね。刺された嫌ですもんね」<br /> 「ええ。放っておいて、大切なものを吸い取られちゃ、たまらないもの」<br /> 「ですよね。まったく蚊にも困ったもんですよ」<br /> 「そうよね。…………いっそのこと、害虫なんか全て消え去ってしまえばいいのに。<br /> いいえ、どこか一箇所に集中させて、私自らの手で一思いに葬ってあげたい。<br /> どうして捕まってくれないのかしら。抵抗しない限り、私は優しくしてあげるのに」<br /> これはまずい。何やら俺は最悪のタイミングで二人の会話に割り込んでしまったようだ。<br /> もう澄子ちゃんについて聞くなんて無理だ。<br /> それよりも無事にここから脱出する方が重要だ。<br /> 「話の邪魔してすいません。じゃあ俺はこれで……」<br /> 「ああ、ちょっと待ってくれないかしら」<br /> ……引き止められちゃいましたか。<br /> 勘弁してください。こちとら右腕がいかれてるだけで大変なんだから。<br /><br /><br /> 112 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:50:24 ID:btGIRyZm<br /> 「あなたはこの教室に来たら不幸になるわ。だからもう来ない方がいい」<br /> 「それは、何故?」<br /> 「あなたは去年の文化祭の準備期間、この教室の手伝いにやってきて、八面六臂の働きをした。<br /> 私も知っているわ。うふふ……格好良かったわよ、あなたは」<br /> 「それは、どうも、ありがとうございます」<br /> 「だから、ここにはあなたに好意を抱く人が一杯居るの。<br /> でもそれに比例して、あなたを嫌う人も居る。<br /> 世の中はバランスで成り立っているの。分かる?」<br /> 「ヒット商品の法則ですね。分かります」<br /> 「そうよ。でもあなたは一人しかいないの。<br /> あなたが仮に時計だったとしたら、大事にしてくれる持ち主の元へ行きたいでしょう?」<br /> 「それはもちろん」<br /> 「あなたにふさわしいのは、あなたのやりたいことを分かっていて、あなたの意志を汲んでくれる人よ。<br /> そんな人に出会えたら素敵でしょう?」<br /> 「夢じゃなくて現実で会えたら素敵ですね」<br /> 「いいえ、もうあなたは出会っている。これは予想じゃない。すでに実現している。<br /> 私は占い師じゃないけど、あなたの未来を言い当てることができる。<br /> ――あなたは世界最高のパートナーと結ばれるわ。他の誰にも負けない、頼りになる女性と」<br /> 「あの、その人と結ばれるには、どうすれば?」<br /> 「クーリングオフ、がキーワードよ」<br /> 「えっと、それって、一定期間のうちならタダで返品できるってシステムのことですよね」<br /> 「そう。騙された消費者を救済するためのもの。<br /> そのシステムがあるんだから、過剰に警戒するのはやめなさい。<br /> 使わない限りは、いつでもできるんだから。――――そう、一回も使わない限りは、ね。<br /> 私の話はこれで終わり。あなたに幸せが訪れることを祈っているわ。うふふふふ……」<br /><br /><br /> 113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:52:11 ID:4DFh8iwT<br /> しぇーんこねり<br /><br /> 114 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:02:03 ID:btGIRyZm<br /> スリルあふれる教室から脱出し、慣れた二年D組の教室に入り、俺はようやく安堵の息を吐き出した。<br /> 「こ、怖かった……」<br /> まさか弟のクラスにあんな怖くて不気味な子がいるとは知らなかった。<br /> 少なくとも去年は居なかったと思う。<br /> 転校生、なんだろうか。<br /> でもあんな子がいるなら弟が話してくれているだろうし。<br /> しかし……何だったんだ、さっきの忠告は。<br /> クーリングオフだと? それがあるんだから女の子と気軽に付き合え、と?<br /> それができれば苦労しない。<br /> そもそも、訪ねてくれる女の子が居ない。<br /> 俺は弟とは違う。ニヤニヤしながら見ていられる甘いラブコメの主人公にはなれない。<br /><br /> 「あ、まだ帰ってなかったんだ。よければ一緒に帰らない?」<br /> 「葉月さん? ……うん、いいよ。ちょっとだけ待っててね」<br /> 「ゆっくりでいいよ。怪我してるんだから」<br /> 「平気平気……っと。お待たせ、じゃあ帰ろうか」<br /> 「うん!」<br /> こうやって声をかけてくれるのが、俺が一度ならず二度までも振ってしまったせいで、<br /> 今ではただの友達になってしまった葉月さんだけなのだから。<br /> あの子の言うその最高のパートナーとやらが身近にいるのならぜひとも会ってみたいものだと、<br /> 腰まで伸びる葉月さんの黒髪を見ながら思った。<br /><br /><br /> 115 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:05:41 ID:btGIRyZm<br /> 終わりです。<br /><br /> &gt;&gt;101 &gt;&gt;103<br /> 夏風邪注意! 今年の風邪はしつこいんだぜ!<br /><br /> 116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:08:47 ID:OU7TFTZK<br /> GJ!<br /> また難解そーな新キャラが出てきたな<br /> そして相変わらずまるで話が進まない<br /><br /> 117 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:11:32 ID:4DFh8iwT<br /> ヤンデレ家族きた!これ!<br /> 兄貴無防備っていうかポジティブっていうか<br /> 全身全霊でヤンデレフラグを立てに言ってるぜさすがだ<br /><br /> 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:21:52 ID:G82YQL5z<br /> GJ!<br /><br /> 教室にいたの葉月さんじゃね?<br /> 顔見えてないし髪ロングだし。<br /><br /> あ、でも声でバレるかorz<br /><br /> 119 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02:23:20 ID:54rx6twT<br /> さすがにストーリーを把握するのはあきらめた。<br /> 兄の何の考えもない言動だけでも十分楽しめるけど。<br /><br /> 120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 03:20:05 ID:4tHgVlHn<br /> みんな、考えずジミーになりきって読むんだ<br /><br /> 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 04:16:39 ID:VamCCj5/<br /> よくわかんなかったけどGJ<br /> 若干、風呂敷を広げ過ぎてる気がするがちゃんとたためるのだろうか<br /><br /><br /> 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 04:41:02 ID:YMug5KE/<br /> &gt;&gt;121<br /> 一応、プログでは終らせる隙があると言ってたけど…<br /> それより兄に好意を持ってるのは葉月さんだけじゃなくて他にも居るって事か<br /><br /> 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 05:01:16 ID:QBN22nKO<br /> フツメン以上で優しいなら好意を抱く人が数人いても、おかしくはない<br /> てか、ジミーはもてる要素たっぷりだろ<br /> 周りのスペックが異常なだけだな、タイトル通りにw<br /><br /><br /> 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 05:20:22 ID:4VzdTKzn<br /> これは・・・葉月さん再フラグ、と考えていいんだな?<br /><br /> 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 08:29:05 ID:4tHgVlHn<br /> 何を言うか。葉月さんはあんなのでは挫けないぞ。<br /> それにしてもブログあったのか。<br /><br /> 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 09:58:09 ID:Imp5Muu2<br /> ニューキャラ登場かっ!!<br /> 今回もGJっすよ!<br /> ああっ!葉月さんに付きまとわれたいっ!<br /><br /> 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 11:55:35 ID:11ll33th<br /> クーリングオフをするには商品を持っていなければならない。<br /> さてジミーはどこに行けば持っている物を見つけられるのだろうか。<br /><br /> 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 15:27:37 ID:Xy7iN6Zz<br /> GJ!<br /> しかしお兄さんの場合はクーリングオフしようとしても<br /> 品物のほうにさせてもらえないだろうw<br /><br /> 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 18:32:11 ID:wUmISumg<br /> いいパンチ持ってる方は新キャラとしてもう1人の方は再登場、かな<br /> 死闘編3頁目からの<br /><br /> 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 20:02:13 ID:TYJtcVXh<br /> &gt;&gt;118<br /> ヤンデレは不可能すら可能に出来るんだから<br /> 声色変えるくらい簡単じゃないか<br /> あと、ジミーは超が数えきれない程の鈍感だし<br /><br /> 葉月さんがジミーを諦めてないようで良かった<br /><br /> 131 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 20:57:34 ID:zlaROVGP<br /> では投下致します<br /><br /> 132 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:00:30 ID:zlaROVGP<br /> 最終話 幽霊の日々へ<br /> 今、物凄く背筋から悪寒が走ったような気がする。藤寺さんと優雅なお昼を過ごした後、商店街辺りでショッピングを楽しんでいた。<br /> 夕方頃になると遊び疲れたので藤寺さんと俺は駅前で別れることになった。<br /> そして、藤寺さんは当たり前のように忘れた鋸(包装して隠してる)を持って、俺は自宅の帰路に着いている途中であった。<br /> 嫌な予感がする。<br /><br /> すでに陽が暮れて、周囲が薄暗くなっている。頭のおかしい人が現れる暖かな季節を迎えているせいか、<br /> 変質者が大量に出現している。男の変質者など鋸があるおかげで撃退することが容易に可能だが。<br /> 女の変質者ならそうはいかない。ヤンデレ症候群の影響のせいか、一般人の男性が凶器を持っていたとしても<br /> 簡単に女の変質者に拘束されるであろう。それ程に現代の女性による変質者の戦闘能力は飛躍的に上がっているのだ。<br /> 逮捕するならば、どこかの特殊部隊が出動しなければ事件は解決しない。<br /><br /> だが、この予感は変質者が潜んでいるというわけでもない。そう、これは自分にとって身近な人物が<br /> 些細なことで人を殺すまで憎悪に発展してしまったそんな感じ。<br /> アパートの前に辿り着くと、禍禍しい殺気に当てられる。<br /> その瞬間、俺の足は震え、恐怖という感情が体全体に行き渡っていることを体感する。<br /> 一体、俺が借りているボロいアパートの一室で何が起きているんだ。<br /> 浮気した男が妻に何かもバレている中で帰宅するのはこういう心境だろうか。<br /> 俺は恐る恐るとドアを開けた。<br /><br /><br /> 「お帰りなさい。光一さん」<br /> 「ああ、ただいま。由姫さん」<br /> ドアを開けると飛び出すように現れて、にこやかな笑顔で由姫さんは俺を迎えてくれた。<br /> ただ、その笑顔の裏には隠し切れない殺気など、目が全然笑ってない状態で来るとさすがに怖い。<br /> 幽霊というのは夏の怪談に欠かせないキャラであり、本来はこの存在に畏怖するはずだったのが、<br /> 彼女の穏やかな口調と人畜無害な人格のおかげでそういうことは感じることがなかったが。<br /><br /> 今は、由姫さんがとんでもなく怖い。<br /> これは幽霊というか、幽霊より怖い存在に彼女が進化していた場合。俺の命はある意味<br /> 失われる寸前に追い詰められた可能性すらもある。<br /> やばい。<br /> 「どうしたんですか?」<br /> 「あの、何か由姫さん怒っていますか?」<br /> 「お、怒ってないですよ。健気な幽霊を置いといて、他の女の子とデートしていたなんて。<br /> 全く、もう怒っていませんよ。ううん、むしろ、二人の将来を血の雨で祝福したいですよ」<br /> 「いや、待て、血の雨って……。やっぱり、怒っているだろ!!」<br /> 額に怒りマークが再現されている由姫さんが冷笑している。というか、怒りマークが再現されるって、幽霊ってなんでもありかよ。<br /><br /><br /> 133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:00:44 ID:/NmWyX6M<br /> wktk<br /><br /> 134 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:02:20 ID:zlaROVGP<br /> 「何度でも言いますが。怒っていません。二人の関係がどんな薄汚れた関係だったとしても<br /> 私は冷たいマフラーであなたたちの幸せを見守ってあげます」<br /> 「ありえないほどに怒っているでしょ」<br /> 「そうですね。光一さんの怯え方が1とすると、私の怒りは富士山大爆発です。<br /> 噴火したら、火砕流が下々の庶民を巻き込み大災害に発展します」<br /> 「富士山って」<br /> 「どうかしましたか?」<br /> 怒ってるじゃん!! 思い切り。<br /> 普段は穏やかで蟻も殺さないような優しい笑顔と頭にブルーベリージャムが詰まっているだろう<br /><br /> 由姫さんがこれまでもなく怒っているのだ。<br /> 恐らく、怒りの原因は幽霊を放っておいて藤寺さんと今まで遊んでいたせいだろうか。<br /><br /> 「あの愚かな自分に由姫さんが怒り狂っている原因を教えてくれないでしょうか?」<br /> 「光一さんの胸に聞いてみたらどうですか? <br /> 休日なのに幽霊の私を完全に放置して他の女の子とデートしていたら……殺されても文句ないですよね?」<br /><br /> 「殺すなんて物騒な」<br /> 「私は本気です。決めたんです」<br /> と、幽霊は俺が持って帰ってきた藤寺さんの忘れ物の鋸の包装を乱暴に破る。<br /><br /> 銀色に輝くギザギザな刃の光が眩しく映る。柄を震えた両手で強く握ると素人丸出しの太刀筋で襲ってきた。<br /> 俺は軽く避けるが、散らばっているヤンデレコミックに足を取られ、無様に尻餅をついていた。<br /><br /> 幽霊の最初の一撃をかわせたのは本当に運が良かったのか、彼女にその気がなかったのかわからないが、<br /> 現状は俺の命の危機に直面したことだけは事実である。<br /> 同居人である由姫さんが何の理由もなく襲ってくるとは。<br /> 全く、意味がわからない。<br /> 待て、親に生命保険をかけられているので、解約してから殺してくれ。って違う!!<br /><br /> 「ゆ、由姫さん。血迷ったか!!」<br /> 「血迷ってません。私とあなたは違うんです」<br /> 理由になってないし、意味不明で殺されるこっちの身になってみろ。<br /> 「私はすでに他界した死者。そして、光一さんは現代を懸命に生きる生者。<br /> 私たちは一緒に居ることができないだもん。だから、殺すしか道はないじゃないですか。<br /> 光一さんは私以外の女の子と一緒に居るだけで胸が痛むもん。痛いの。とっても。痛いんだから」<br /><br /> と、また由姫さんが鋸で襲ってきたが、尻餅をついている俺は避けることはできなかったが。<br /> 刃が自分の体に直撃する寸前に無我夢中に両手を前に出した。<br /><br /> 135 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:03:51 ID:zlaROVGP<br /> 「はうわー!!」 <br /> 鋸の刃は俺の顔の直前で止まっていた。<br /> 俺が必死にタイミング良く、刃を掴んでいた。俗に言う真剣白刃取りという火事場のバカ力が起こした奇跡がそこに実在していた。<br /> まだ、安心することはできない。体勢を取り戻していない俺が鋸の刃を受け止めるよりも幽霊が押し切る力の方が優勢なのだから。<br /> 由姫さんは金切り声を上げながら、俺を殺すために鋸を引く。<br /> 「痛いのは一瞬だけです。お願いだから死んでください」<br /> 「死ねるかボケ」<br /> 「幽霊になって、ずっと、二人で一緒にいましょうよ。それが二人にとって幸せなんですよ」<br /> 「幸せだと……ふざけやがって」<br /> 自然と俺の胸の奥深くから怒りが沸いて来たようだ。理不尽な理由だけで人の命を奪う<br /> のは許してはいけない。許すわけにはいかなかった。<br /> 「由姫さんは誰でも良かったんでしょ!! ここに引っ越した相手がアパートを借りて、<br /> 幽霊の由姫さんを拒まなかったら、それで良かったんでしょ。『俺』じゃなければ理由はなかったんだろ?」<br /> 「違います。私にとって光一さんが必要なんです」<br /> 「必要なのは一緒に死んでくれる誰かだろうか!!」<br /> 「だから、違うんです。私は光一さんだから。<br /> こんな私に優しく接してくれた光一さんだから、死んで欲しかったんです。一緒にいるために」<br /> 「何で俺なんだよ……」<br /> 「光一さんは幽霊で誰もが恐がっていた私を恐れずに一緒に居てくれる。<br /> あなたの一緒に居るだけで私は幸せな気持ちになれる。<br /> 生前、あれだけ求めても手に入らなかった物がここにあるんです。<br /> だったら、好きになるしかないじゃないですか!!」<br /><br /> 「恋もしたこともなくて……<br /> まだまだ、たくさんやりたいことがあったのに<br /> 死んじゃって……。<br /> この世に未練を残して幽霊の日々を送っていても<br /> 私の心を満たすこともなく、孤独な日々ばかり。<br /><br /> もう嫌になっていたんですよ。本当は。<br /><br /> 光一さんと出会ってから、毎日、毎日が幸せで楽しくて。<br /><br /> だから、他の女に光一さんを渡したくないの。渡したくないんです。<br /> もう、独りぼっちなのは嫌っっっ!!!!!」<br /><br /> 由姫さんの瞼から涙が零れ落ちて、その雫が俺の頬に当たっていた。<br /> 溢れる気持ちが抑えきれずに彼女は声を抑えて泣き出してしまっていた。<br /> 殺そうとする彼女の泣き顔を呆然と俺は見上げていた。<br /><br /><br /> 136 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:05:16 ID:zlaROVGP<br /> 「人の命を奪っていい理由にはならないだろ」<br /> 「わかってます。自分が傲慢で卑劣で我侭なことぐらいは。<br /> でも、心があなたを求めているの。淀んだ心が光一さんを独占したくてたまらないんです。<br /> この気持ちを抑えることはできません」<br /> 「俺の気持ちを考えないのか」<br /> 「考えません。だって、光一さんは死んだ女の子よりも生身の女の子の方がいいんでしょう。<br /> そう、藤寺音梨沙みたいな女の子の方がお好みなんでしょ。幽霊の宮野由姫を好きになってくれないなら……」<br /> 「殺すのか?」<br /> 「はい」<br /> 「俺の気持ちを聞かないのか?」<br /> 「聞きたくないです。あの女に惚れていることを悠長に語る光一さんなんて見たくありませんから」<br /> 唇を尖らせて、すねるように由姫さんは言う。<br /> そろそろ、俺の両腕が痺れてきて、だんだんと力が抜けてくる。やばいかもしんない。<br /> 「いいから、聞け。年増幽霊。俺は別に藤寺さんが好きなわけじゃあない。<br /> ただ、お付き合いすればいいなってぐらいにしか思っていないんだ。<br /> 普通はそうだろ。<br /> 相手が運命の相手なんて考える奴はただの妄想壁だ。<br /> 出会いと別れがあり、そこに自分と相性のいい異性を選ぶんだ」<br /> 「で、肝心な私のことをどう想っているんですか?」<br /> 「嫌いじゃない。というか、年増は俺の好みじゃあない」<br /> 「うふふふ、そうですか。光一さんの気持ちはよーーーーくわかったので、キルします」<br /> 「待てっっ!!」<br /><br /> 由姫さんの人離れした強い力がすでに痺れていた俺の両手を崩した時に、偶然にも俺の頚動脈を切り裂いた。<br /> 声にならない悲鳴を上げるが、幽霊は躊躇せずに俺の腹部を鋸で切り裂いた。<br /> 鋭い痛みが体全体を襲うはずだが、脳内に耐えられる痛覚を軽く通り越しているせいか、全く痛みを感じることはなかった。<br /><br /><br /><br /> 松山光一が最後に見た姿は自分の血で汚れている幸せそうな由姫さんの笑顔だった。<br /><br /> 137 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:06:31 ID:zlaROVGP<br /> ボロアパート浪人生殺人事件ファイルA<br /> 松山光一 享年××(ソフ倫指定なら18才以上は確実)<br /> 死因   メッタ刺し(かなり怨恨がありそうな殺し方だ)<br /> 犯人  <br /> 最重要容疑者 藤寺 音梨沙<br /> 被害者を殺した凶器にはべったりと藤寺音梨沙の指紋が発見。<br /> ついでに被害者の指紋も付着されているが、その件には警部的にはどうでもいい。<br /> 問題は1週間前以上にホームセンターで藤寺音梨沙が鋸を購入している。<br /> 動機はなんとなく恋愛沙汰。<br /> 被害者が通っている予備校では親密な関係だったと予備校教師や予備校生徒が証言している。<br /> ただし、死亡推定時刻に藤寺音梨沙には駅内をうろついている所を防犯カメラで録画されているので<br /> 事実上は無罪確定というか、起訴出来ません。逮捕されることなく、事情を聞いてあっさりと釈放された。<br /><br /> 無残な死体を見る限りでは上記の最重要容疑者以外の人物の犯人がいるとするならば、<br /> 捜査本部はヤンデレ症候群感染者の犯行以外はありえない。<br /><br /> だが、犯人の有力の情報は見つからずにこの事件は何の進展もなく時効を迎えることになる。<br /> 余談だが、浪人生が住んでいる部屋には幽霊が住み着いているという噂があるが、<br /> 大家は今回の事件を境に古くなったアパートを売り払い、<br /> 他の不動産会社が土地と建物の権利を持つが、その場所はすでに取り壊されたために噂を確かめることはできない。<br /> 今、そのアパートだった土地は今でも空地になっていると言う<br /><br /> 138 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:09:08 ID:zlaROVGP<br /> 見慣れた自分の姿を見下ろしていた。酷い表情をしている。<br /> いかにも、恐ろしい目に遭ったかのように口から情けなく血が吐き出しており、鼻水を垂らしている。<br /> 腹部から容赦ない血液が出血しており、水平に凶器であろう鋸が勝利の証と言わんばかりに突き刺さっていた。<br /> これが生前の松山光一の哀れな姿であった。<br /><br /> 自分が死んだ事実が全く受け止めることが出来る人間は大人しく病院に行け。<br /> 俺は殺害した犯人を横目で睨んでいた。<br /><br /> 「ううっ、私は悪くないもん。光一さんが女の子のタブーの年齢のことを言うから悪いんですよ。<br /> 年頃の女の子の求愛に年増だから好みじゃないなんて絶対に言ったらダメですからね。<br /> 来世の課題です。言えば、こんな風に殺されるんです」<br /> 「殺した犯人が笑顔でサラリと言うな。このボケ幽霊!!」<br /> 「ふふふ。光一さんも立派な幽霊の仲間なんですよ。<br /> そう、私と一緒でこの世に彷徨う幽霊さん。きゃは……光一さんとずっと一緒。てれりこてれりこ」<br /><br /> そう、年増幽霊が言った通りに俺は死んでしまったせいか、幽霊になっていた。<br /> 幽霊になるとこの世の物理法則の枷が外れるのか、自分の体は浮遊しちゃったり、<br /> 自分が着ていた洋服が由姫さんとお揃いの白い着物を着てしまっていたり、<br /> だんだんと幽霊になったという現実を受け入れるしかないようだ。<br /> 特に人を殺したくせに由姫さんは蔓延なる笑顔を浮かべて、何だか幸せそうであった。<br /> ああ、幽霊同士の物理干渉が出来るんだったら、頬を引っ張ってやりたい。<br /><br /> 「で、他に何か言いたいことは?」<br /> 「あの世で結婚式をやりましょう!! 幽霊同士でも婚姻届を提出できるんですよ」<br /> 「結婚できると思っているのか? 人を殺しておいて」<br /> 「てへっ。ごめんなさい!!」<br /> 「ごめんですむなら、警察も鑑識も名探偵も葬式もいらねぇ!! <br /> 返せ人の青春!! というか、大学に受かれば数多なる出会いの日々を!!」<br /> と、俺は由姫さんの襟首を掴んで思い切り揺らした。彼女は声にならない悲鳴をあげるが、<br /> そんなもんは俺の知ったことじゃあない。青春の日々、ヤンデレゲーの最新作を遊ぶ機会を永遠に失ったのだから、<br /> これぐらいのことは当然である。<br /><br /> 「そんなに幽霊になることは嫌なんですか?」<br /> 「嫌に決まってるだろ」<br /> 「幽霊になれば、夜は毎日墓場で運動会が出来ます。それに学校も試験も何にもありません」<br /> 「それ、妖怪の話ですから!!!!」<br /> 「むぅ、幽霊の特権は他にありますよ。え、えっと、とりあえず、死なない?」<br /> 「すでに死んでるじゃん」<br /> 「そういえば、そうですね。だったら、特権として光一さんは私の恋人になれます。それで何とか納得してください」<br /> 「納得ね……」<br /> 生きている時は結ばれるはずがなかった運命が死ぬことによって、新たな可能性を導き出した。<br /> 多くの大切な物を失ったが。失ったが。失ったが。ってか、失いすぎだ!!<br /> 「由姫さんの事は今まで家賃が安くなるための年増幽霊程度にしか思っていなかったけど、<br /> これからは一人の異性として見るよ」<br /> 「と、と、年増ね……」<br /> と、由姫さんは額に青筋を立てて、不機嫌そうに言った。<br /> 「でも、光一さんも見た目は少年でも、中身はおっさんのようになるんだからね」<br /> 「おっさん幽霊と呼ばれるのは物凄く嫌だな」<br /><br /> まだ、気分は大人になっていない浪人生気分なので年数が経つと心が中年のおっさんに老けていく運命なんだろうか。<br /> 仮に15年ぐらいの月日が経てば、、由姫さんみたくおっさん幽霊と呼ばれるんだろうな。<br /><br /> 139 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:11:54 ID:zlaROVGP<br /> 「これから、どうするの? 幽霊になって自縛霊としてボロいアパートに縛り付けられるのは嫌だぜ」<br /> 「大丈夫です。光一さんという恋人が出来た以上は私も自由ですし、<br /> 光一さんは特にこの世に強い未練を残して死んだわけではないので、二人揃ってあの世に行けます」<br /> 「あの世って、死んだ人間が行くとこか?」<br /> 「そうです。死者が成仏できる場所で閻魔様の審判を受けて、天国行きのパスポートを貰うんですよ。<br /> ちなみに地獄行きになると針山地獄や浄化の炎に焼かれたりと恐ろしいらしいですよ」<br /><br /> 「何で、そんなに詳しいんだ」<br /> 「これです。自縛霊のための天国と地獄の観光ツアーガイドブックです。<br /> あの世に行けない人のために無料で送ってくるんです。配達してくるあの世の人に聞いてみると親切に教えてくれますよ」<br /><br /> 「色んな意味であの世も現実とそう変わらないよな」<br /> 渡されたガイドブックの内容を見ると、天国の内容は翼を生えやした天使のような人間が楽しそうに鋸を持った女性たちに<br /> 追われている姿がある。地獄の方は鬼女どもが金棒を持って、縞々のパンツに縞々のブラだけで<br /> 露出度が多い奴らが暴れているような描写がある。<br /> 針山地獄や血の池と言った有名な観光地は人気が高く、100年程の予約がいるなど、<br /> 殆ど想像していたあの世とは当たり前だが全然違っていた。<br /><br /> 「天国の方は鋸を持った女の人たちに追われているのは……一体」<br /> 「多分、未来永劫の愛を誓った人が他の女の人と浮気したとかで、神聖なるアイテムである<br /> 『聖剣コトノハガリバー』で穢れを払っているかもしれませんね。<br /> とはいえ、すでに死人ですので、鋸で100等分切断しても死ぬことはありませんし、思う存分に好きな人を独占できますね」<br /><br /> 「いや、待て。この天国というのは」<br /><br /><br /><br /> 140 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:12:38 ID:zlaROVGP<br /> 「そうです。朽ちることがない愛しい人を永遠に監禁できる場所なんですよね。<br /> 生前は100年程度ぐらいしか愛しい人と一緒に居られませんけど、<br /> あの世に行き、天国のパスポートさえ貰えば、光一さんを永遠に独占できます。<br /> 例え、五体満足じゃなくても、顔や足や腕を胴体さえ切り裂かれたとしても一緒に無限の時を過ごすことができるんです」<br /><br /> 「なんて、恐ろしい場所だ。天国。というわけで、地獄の方に行こう」<br /> 「地獄の方はもっと悲惨です。想いを届かずに散った女の怨念が想い人と誤認して、鬼女たちが襲ってきます。<br /> 彼女たちは生前に愛しい人の争いが敗れて、殺されたり自殺した人ばかりで構成されていますので、<br /> その恐怖と不安のあまりに金棒で光一さんの頭を軽く砕きますよ。砕いて砕いて砕いて、砕ききった骨を飲み干します。<br /> でも、死ぬことができませんから、無限に鬼女のトラウマによる監禁されますよ」<br /><br /> 「恐るべし、鬼女の執念。天国と地獄……どちらも地雷だな」<br /> 「そうですか。どちらも私にとっては幸せですよ。ずっと、これからは光一さんと一緒にいられるもん」<br /> 「そうですか」<br /><br /> と、俺はどちらを選んだとしても幽霊になった自分のこれからの日々は暗雲の日々が待っているような気がして、嘆息する。<br /> 果たして、好きな人と無限の時を一緒にいることが幸せであろうか。<br /> 毎日毎日、コロッケを食べていると飽きてくることと同じで、最愛の人と無限に居られることが幸福なのであろうか。<br /> 男という生き物は同じ女性ばかりだと息が詰まるのだ。<br /> ガイドブックのように鋸を持った女性に追われるのは日常的なことかもしれない。<br /> だけど。<br /><br /> 由姫さんの場合は天国と地獄をどちらかを選んだとしても、<br /> 俺を狭い籠に押し込めて、一生懸命に愛情たっぷりの監禁をするので、<br /> 俺が他の女の人に目を奪われることがないかもしれない。そんな気がするのだ。人の生存本能がそう訴えているのだ。<br /><br /> 「では。そろそろ、行きましょうか?」<br /> 「ああ。どこでもいい。俺を連れて行ってくれ」<br /><br /> 「あの世に無事に辿り着いたら、光一さんを、光一さんを、光一さんを。きゃあ、これ以上考えたら鼻血が出そうになります」<br /> 「下手な妄想しないでください。ってか、鼻血出てるー!!」<br /><br /><br /> こうして、俺と由姫さんの幽霊の日々は始まったばかり。<br /> 閻魔様、どうか、理解のある審判をよろしく。<br /><br /><br /> 幽霊の日々  完<br /><br /><br /> 141 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:13:32 ID:zlaROVGP<br /> 以上で投下終了です。<br /> 今回も短い間でしたが、お世話になりました。<br /> また、機会があれば投稿をしたいと思います。<br /><br /> 藤寺さんのヤンデレ化は残念ながら没になりました。いや、本来のENDのネタは<br /> 畜生道に転生した光一と由姫さんが犬として仲良く暮らしている最中に<br /> ヤンデレ化した藤寺さんの輪廻転生の力で転生した光一の居場所を探し出して、<br /> 自分から光一を奪い取った由姫さんを絞殺して焼却するというような残虐な描写ありで<br /> 「これからは松山くんは私と一緒に暮らすんだよ」<br /> という感じで光一を飼うENDで終わりの予定でした。<br /> それだと後味が悪かったので無限の監禁ENDに変更。<br /> やっぱり、最後はHAPPYENDじゃなきゃね。<br /><br /> それでは。<br /><br /><br /> 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:16:18 ID:p67QEolx<br /> リアルタイムGJ!<br /> やべえほのぼのしたwヤンデレなのにw<br /><br /> 超個人的には&gt;&gt;141の展開も見てみ…ゲフンゲフン<br /><br /> 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21:23:34 ID:4IOdXtmf<br /> &gt;&gt;115 &gt;&gt;141<br /> どっちもGJ!<br /><br /> 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 23:12:53 ID:VmdwBO3z<br /> &gt;&gt;115<br /> &gt;&gt;141<br /> お二方、乙! そしてGJ!<br /> 今日は二本投下。いい日だったなー。<br /><br /> 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 12:38:29 ID:mMrUDRBA<br /> トライデント氏、超GJ!<br /><br /><br /> しかし、彼がこのスレに投下するSSと、あのしょっちゅう荒れるスレに投下するSSでは<br /> 明らかにこのスレに投下してるSSの方が読みやすい気がするんだけどナゼだろうか<br /><br /> 作風が変わってるわけじゃないと思うんだけど…<br /> やっぱ、ついて行けないテンションと、なんか寒いギャグが少ないからかな<br /><br /> 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 13:37:49 ID:QfcZfnUT<br /> ついて行けないテンションと、なんか寒いギャグ<br /><br /> って遠回りで言うと嫌味だろそれw<br /><br /> 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 13:38:26 ID:mPRO17SK<br /> 嫉妬スレに帰れ<br /><br /> 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 14:16:20 ID:mMrUDRBA<br /> なんか荒れそうなこと言ってスマソ<br /><br /> 保管庫にある「黒の領域」とか、かなり好きだったからトライデント氏はギャグ分を少し薄めれば<br /> もっと万人受けするんだろうなと思ったんだ<br /><br /> 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 14:56:59 ID:Bi3l1+3x<br /> ちょっと同意できるけど、作者が書きやすい様に書いた方が綺麗だから良いんだよ<br /><br /> 150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 15:34:35 ID:nKG8ZxXy<br /> ヤンデレを万人受けにしたいのですね、わかります。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 穴掘るのつかれた。<br /> 「死ねばいいのに」連呼しながらほるのも限界<br /><br /> 151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 16:04:29 ID:PIxn7c7v<br /> 死ね<br /><br /> 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 19:14:21 ID:Ab4FRI82<br /> &gt;&gt;150の話がどういう意味かわからない。<br /> だれか俺にわかりやすく説明してくれ。<br /><br /><br /> 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 22:54:07 ID:JRu4Axo6<br /> あまりにも長すぎるチンポなので<br /> 一部尻の穴の中に収納したらなんか気持ちよくなって<br /> そのままフィニッシュ<br /><br /> あまりの情けなさに<br /> 「死ねばいいのに」を連呼しながらチンポ出し入れしてるらしいよ<br /><br /> 154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23:16:08 ID:iht3KMXV<br /> &gt;&gt;153<br /> 貴様このスレの住人じゃないな? どこの回し者だ<br /> このスレの住人なら確実にヤンデレの娘があの人にまとわりつく薄汚い雌豚を埋めるための穴を掘ってるんだなあ、と思うはずだからな<br /><br /> 155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23:17:32 ID:+GSS4Jj3<br /> 思いません<br /><br /> 156 名前: ◆QMmp63tnmg [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23:51:43 ID:N+xJ5yGs<br /> …思わずピンクの髪のアノお嬢を思い出した俺はエース読者<br /><br /><br /> 157 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 00:03:08 ID:mSOrNjQT<br /> 何故鳥<br /><br /> 158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 01:14:44 ID:917weD3Y<br /> 保管庫にあるぽけもん黒ってもう投下無いのかな<br /><br /> 159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 01:23:19 ID:vZvamScs<br /> うわあ…なんて露骨な催促<br /><br /> 160 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03:51:51 ID:puacegMt<br /> 眠たアアアアアイ<br /> 久々に二つ投下<br /><br /> 161 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03:52:45 ID:puacegMt<br /> 「WARZONE」<br /> 小高い丘に登り地に伏せスコープを除く。<br /> スコープ越しに広がる廃墟、今は戦場となったビル群。<br /> 大通りに視線を移し、私はあるものを探す。……発見。<br /> 朽ちて色あせたコンクリを背に一人の男が立っていた。<br /> M4カービンを手に息を殺し壁の向こうを伺う味方の兵士。<br /> 近くには誰もいないよ、まったくもう、怖がりなんだから。<br /> その行動があんまりに可愛らしくて、つい口元が緩む。<br /> もっと、もっとかわいい姿が見たい……!<br /> 引き金を引く。1発の銃弾がコンクリの壁に突き刺さる。<br /> 敵襲と勘違いした男は、パニックを起こし大通りへ駆け出してしまった。<br /> ……ふへへ、慌ててる慌ててる。漏らさなかったみたい、えらいえらい。<br /> でも……その行動、バッドネイチャー……だよー。<br /> 大通りに面したビルのひとつ、その屋上に敵のスナイパーを一人確認。<br /> 銃口の先にいるのはもちろん、彼。<br /> 敵よりも、早く、引き金を、引く。<br /> 脳漿を撒き散らし、彼はその場に崩れ落ちた。<br /> 撃ったのはもちろん、わたし。<br /> 獲物が突然死んで呆然とする敵兵も、ついでに殺しておく。<br /> 弱いとこ見せちゃ死ぬの、残酷だけどそれが戦闘なの……。<br /> とぉるるるるるる!<br /> こんなときに電話だ誰からか想像がつく。相手はどうやら怒っているようで。<br /> 「おい……お前いま撃ったろ?」<br /> TVモニターを見るといつの間にか彼が目の前に立っていた。<br /> ショットガンの銃口を突きつけて。<br /> 「クラス変えたんだぁー、でもショットガン苦手でしょー?」<br /> 「質問に質問で返すな。言ったろ!味方を撃つなって!」<br /> 「撃たなきゃ殺られちゃってたよー」<br /> 「殺ったのはお前だろ!」<br /> 「クスクス、だってぇ、クスクス、あなたが他の人に殺されるなんてぇ、我慢できなかったから……」<br /> 「……」<br /> 相手が電話を切ると同時にショットガンが火を噴く……ことはなかった。<br /> 私がBボタンを押してナイフで斬り付けるほうが早かった。<br /> これくらいで死んでしまう……ゲームはゲーム。<br /> さあ、このラウンドは後5分。十分逆転できる。<br /> 勝てば褒めてくれるかな……?<br /><br /> 162 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03:55:51 ID:puacegMt<br /> 『ふたり』<br /><br /> 「ねぇー、呪いって信じるー?」<br /> 「なんだよ突然、んなもんねえよ、ないない」<br /> 「クスクス、ほんとにほんとに、そうい言い切れるぅ?」<br /> 「また新しいゲームでも買ったのか?」<br /> 「ニヤニヤ、違うよー、最近二人っきりになれないからー」<br /> 「最近も何も一度もんなシチェーションはねえよ、幸運にな」<br /> 「クスクス、ほんとにぃ?」<br /> 「二人っきりになりたいから皆呪えばいいと?」<br /> 「ニヤニヤ、みんな呪っちゃおうかなぁ……クスクス」<br /> 「キメェ!ったく今日はギアーズな。ああそれと教室で話しかけるなよな!」<br /> 「ばいばーい、クスクス」<br /> 翌日<br /> 「おっはー……って誰もいねぇ!?」<br /> 「いるよー、ニヤニヤ」<br /> 「うわッ! 急にニヤケ顔で話しかけんな!キメェ!」<br /> 「クスクス、おはよぉ、ニヤニヤ」<br /> 「……後5分で授業始まるってのに、何で誰もいねぇんだ?」<br /> 「私がいるよぉ、ニヤニヤ」<br /> 「隣は……いる。うちのクラスだけ居ない」<br /> 「ニヤニヤ」<br /> 「……まさか、いやそんなはずは」<br /> 「クスクス」<br /> 「まさかお前、呪ったのか!?」<br /> 「…………」<br /> 「二人っきりになりたいからって!?」<br /> 「……なに言ってるの?呪いなんてあるわけないじゃない」<br /> 「だって昨日お前……」<br /> 「のろいなんてそんなもの、あるわけないよ」<br /> 「……そ、そっか、そうだよな、当たりまえだよな、は、ははは」<br /> 「クスクス、たぶんきっと食中毒か何かだよ、ニヤニヤ」<br /> 「…………」<br /> 「今日はサボっちゃおー、誰も来ないんだし、ねぇー、ニヤニヤ」<br /> 「ああ、そうだな……」<br /> 「クスクス、じゃ、じゃあウチ来て一緒にギアーズしよっ、チェンソー楽しいよ?ね?」<br /> 「いや……帰るわ」<br /> 「……ニヤニヤ……ニヤニヤ…………」<br /> 「わかったよ!いきゃあいいんだろ!」<br /> 「クスクス、うん、いこ、すぐいこ、はやくやろ!」<br /> 「ったく、のろい、ねぇ……」<br /> 「わーい、ふたりっきりだぁ、二人っきり、クスクス」<br /><br /> 163 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 04:00:54 ID:puacegMt<br /> 以上<br /> 呪田さんはヤンデレに入るのだろうか超知りたい超ユンファ<br /><br /> 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15:28:07 ID:v7RePtK6<br /> ヤンデレは男のためなら、鼻から蟻を吸い込めるのか?<br /> 吸い込めるのだ<br /><br /> 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15:29:53 ID:/t6ALpph<br /> そこは<br /> 吸い込める、吸い込めるのだ<br /> だろ<br /><br /> 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15:56:24 ID:d8INvi+c<br /> 出来る<br /> 出来るのだ<br /><br /> 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 18:44:11 ID:v7RePtK6<br /> 男がヤンデレに鼻から蟻を吸い込ませたことがある。<br /> 蟻酸の匂いが嗅覚を衝いたが<br /> ヤンデレは手を休めることなく、鼻に蟻を運んでいた。<br /><br /><br /><br /><br /> マリリン・マンソン「彼女だけには敵わない」<br /><br /> 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 19:31:46 ID:dycK1c4g<br /> ギアーズやんのかww<br /> 箱○ユーザーの女さもいいな<br /><br /> 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 23:37:17 ID:LTxNDjdx<br /> チェーンソーは楽しいwww<br /> 一つめのはCOD?<br /> まあGJ!<br /><br /> 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:16:06 ID:FIUo3y9l<br /> ttp://ascii.jp/elem/000/000/167/167075/<br /><br /> 興味深い感じの記事が<br /> まあ部分的には釈然としないけど<br /><br /> 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23:31:56 ID:iniRfEf3<br /> タイプCだけ例えが具体的でなんか吹いたw<br /><br /> 前者が言葉で後者が冬子か<br /><br /> 172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23:38:22 ID:TaL7HXDM<br /> ヤンデレの見本としてひぐらしを扱ってる時点でなにもわかっちゃない<br /><br /> 173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23:48:11 ID:Zd5y+sMG<br /> &gt;&gt;4.雪輝とその友達が野犬に襲われたとき、友達を囮にして、雪輝と一緒に逃げる。<br /><br /> # ヤンデレ度 ゼロ<br /> これはアリでしょう。正常です。<br /><br /> 糞フイタwww<br /><br /> 174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 00:25:04 ID:SORsvI7z<br /> &gt;&gt;172<br /> 落ち着け、あくまで「猟奇的なヒロイン」の代表としてしか扱っていないはず。全体的には言葉様と由乃っちメイン。<br /> ねーちんを出すあたり分かっている……のかも知れないが、悪く言えばヤンデレ大全から進歩してないな。<br /><br /> 175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 11:13:54 ID:x85bFpTH<br /> &gt;&gt;173<br /> それがユノにとってはただの他人だからな<br /> 囮がユノの家族や友人としたらまた違ってくるんじゃないか?<br /><br /> そういえば今週からチャンピオンでヤンデレ漫画が集中連載してるな<br /> これはヤンデレ好きには見逃せない漫画だ<br /><br /> 176 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 12:51:11 ID:LCQtyGbg<br /> チャンピオンはバキしか読まないゲソ<br /><br /> 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 13:02:08 ID:bsLTL1v0<br /> &gt;&gt;176<br /> じゃあその語尾はなんなんだー!<br /><br /> 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 15:19:27 ID:XPcRsVXW<br /> &gt;&gt;175<br /> kwsk<br /><br /> 179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 17:00:39 ID:x85bFpTH<br /> &gt;&gt;178<br /> スクール人魚とい題名で<br /> 真夜中の学校である儀式をするとスクール水着を着た人魚が出てきて<br /> 夜が明ける前にその人魚の肉を食べると好きな人と結ばれるという<br /> ただし、人魚にイニシャルが書かれて同じイニシャルを持った人しか効果はない<br /> 二人以上で儀式を行うと一人しかその効果はない<br /> 現在、人魚の肉をめぐって女生徒二人が金属バットと刃物で対決中<br /><br /> 少しわかりにくいがこんな感じ<br /> わかりにくかったら直接、チャンピオンを見た方が速い<br /><br /><br /><br /> 180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 18:42:16 ID:x2nqVSXh<br /> &gt;&gt;179<br /> 前回の読み切りも読んだ俺としてはアレはヤンデレじゃないと思う<br /> アレをヤンデレとして扱ったらなんでもかんでもヤンデレになっちまう<br /> 恋を成就させるための手段として人間にしか見えない人魚の肉を食べるって部分と<br /> ライバルより先に食べなければいけないって状況なだけで、そこにヤンデレとしての『病み』は感じない<br /> 『病み』がないヤンデレってどうよ?モツの入ってないモツ鍋みたいなもんだろうが<br /> 恋を成就させるための内容と手段がスプラッターなだけで本人もライバルも病んでいないぞ<br /> しかしヤンデレではないが内容は面白い。それとチャンピオンで連載中のマイティなんちゃらって<br /> 漫画に最近出てきた女郎蜘蛛の女怪人がちょいヤンデレ気味。俺としてはそっちのほうも勧めたい<br /> だが先々週と先週と…っつーか最初から読んでないと意味不明だから結局お勧めはできないな<br /><br /> まあそんなことはどうでもいいから誰かヤンデレのおっぱいを揉ませてくれ<br /><br /> 181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 19:59:57 ID:rmdvK3pU<br /> うむ、あれをどう見たらヤンデレと認識できたんだろう?<br /> 謎すぎる<br /><br /> 182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 20:19:40 ID:x85bFpTH<br /> いや、俺はあれはヤンデレと思う<br /> 病みがないと言うが<br /> あの弱そうな女の子は強そうな女の子に普段から虐められてそうで<br /> 病み要素がある<br /> それに凶器は刃物一つで足りるのに<br /> 大量にを隠し持って<br /> 「あんな女にわたさない」といってるので俺は十分病みポイント思うぞ<br /><br /> 183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 20:45:26 ID:lWxZIFgj<br /> それ読んでないけどデレはあるの?<br /><br /> 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 21:13:28 ID:x2nqVSXh<br /> &gt;&gt;183<br /> 読み切りの短期連載でまだデレ描写はない。ただ好きな人がいるって描写はある<br /> 好きな人がいて両想いになりたいと言うのが人魚を食う理由<br /> デレ描写がどうとかって内容じゃないと思う<br /> これ以上ここで語っても読んでない人には分からないしスレも荒れそうだから止めるけど<br /> 知りたい人は立ち読みでもしてヤンデレかどうか判断してくれ。立ち読みなら10分で済むからさ<br /><br /> ただ俺としてはアレをヤンデレとは認められないって話だ。ひぐらしのレナがヤンデレか<br /> ヤンデレじゃないかって話よりも全否定だね。まだ舞HiMEの静流のほうがヤンデレだとry<br /> そんなことより誰かおっぱい揉ませてくれよ<br /><br /> 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 21:22:24 ID:LCQtyGbg<br /> 俺の胸を貸そう<br /><br /> 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 22:04:51 ID:x2nqVSXh<br /> (´・ω・`)<br /><br /> ┃ω・`)<br /><br /> ┃ミ サッ<br /><br /><br /> 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 22:40:35 ID:gcvggTHK<br /> 死ね<br /><br /> 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 01:57:34 ID:dpGGtiv5<br /> &gt;&gt;184<br /> あれ、静留がヤンデレかは微妙なとこなのか?<br /> 系統樹の方は一途な百合っ娘って感じだけど、アニメの方は結構キテた気がする…もううろ覚えだけど<br /><br /> 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 02:07:42 ID:dvDF7NcV<br /> 「病んでる人がデレる」じゃなくて<br /> 「病むほどデレる」だと何度言えば<br /><br /> 190 名前: ◆AZUNJTAzwE [] 投稿日:2008/09/13(土) 03:12:51 ID:TLvbeUqe<br /> 投下します。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 191 名前:??? 1/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:14:25 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /> マガジン編集部。<br /> ここにはある特殊な使命を帯びた者達がいる。<br /> それがマガジンミステリー調査班、通称MMRだ。<br /> 彼らは少年マガジン編集者で作られた組織であり、その活動目的は人類滅亡の可能性を調査し、<br /> それをマガジンに載せることで読者に警告することにある。<br /> しかし、そんな彼らの活動を良く思わない連中も居たことも事実である。<br /> 宇宙人に誘拐されたこともあった。<br /> 秘密結社の妨害にも遭い、隊員の命を狙われたこともあった。<br /> 1999年には、人類が滅亡しなかったじゃないかという、抗議の電話が来たこともあった。<br /> 裁判に掛けられ、サイバンチョに有罪にされそうになったこともあった。<br /> しかし、そんな様々な妨害にも屈せず、今日も彼らはあきらめない。<br /> それが唯一の戦い方なのだから。<br /><br /><br /><br /><br /> 192 名前:??? 2/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:15:21 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /> 人類滅亡の恐怖は未だに終わっていない――――。<br /><br /> にもかかわらずヨネムラ率いる新MMRの発足に伴い、闇に消えてしまった旧MMR。<br /><br /> キバヤシ達に何があったのか、今こそ真相を伝えなければならない!!<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 緊急報告<br /><br /><br /> 「MMR マガジンミステリー調査班」<br /><br /><br /> 『14.マガジンデイズ  ~~ヤンデレブームの裏に潜む陰謀を暴け!!!~~ 』<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 193 名前:マガジンデイズ 3/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:19:10 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /> ――  2008年2月 講談社本社ビル内 マガジン編集部  ――<br /><br /><br /> とある昼下がり。<br /> ここが職場であろうと、世間がいかに忙しかろうと、今日もマガジン編集部には暇人が集う。<br /> しかし、その中でもこの男は格別であった。<br /><br /> 「やはり、由乃はかわいいな。僕の担当の漫画家に無理矢理ヤンデレキャラを書かせてみるか」<br /> 彼は一心不乱に漫画を読んでいる。<br /> よほどその漫画のキャラクターに心の底まで骨抜きにされているらしい。<br /> 緩みきった顔で、漫画を読みながら独り言を呟いている。<br /> 周囲には、まるでイチャイチャしている新婚のカップルのような、<br /> シロップより甘い空気が漂っていた。<br /><br /> 彼の名はイケダ。<br /> MMRの隊員の一人である。<br /><br /> そんなイケダの呟きを聞いた、ある眼鏡の男が居た。<br /> 彼はイケダの様子に興味を持ち、声を掛ける。<br /> 「なんだ、その漫画は?」<br /> 「ん、ああ。キバヤシさん。」<br /><br /> イケダに声をかけたのが、MMRのリーダー、キバヤシだ。<br /> 身長182cm、体重は77kg、血液型O型。<br /> 眼鏡を掛け聡明な印象を与える姿をしているが、それに負けないだけの知性を備えている。<br /> IQ170の超天才であるばかりでなく、日本語・英語・フランス語の三ヶ国語を扱える。<br /> しかし彼が何よりも得意としているのは、超常現象・ノストラダムス解釈などの知識を生かし、<br /> 人類滅亡の可能性を探ることである。<br /><br /> キバヤシの質問にイケダが答える。<br /> 「これ、角川書店の月刊エースに連載している、未来日記ですよ。<br /> 今はやりのヤンデレヒロインが登場する漫画なんです。」<br /> 「ヤンデレ?ああ、確かひぐらしのレナとかの刃物持って暴れるような、病んでるヒロインだったか?」<br /> 「違います!」<br /> 突然、イケダが大声で怒鳴り散らす。<br /> その反応に、キバヤシは驚愕した。<br /> 「レナなんて全然違いますよ!何言ってるんですか!デレの部分がないじゃないですか!<br /> いいですか!?病んだ愛情表現を行うヒロインのことです!<br /> 最近は2ちゃんのヤンデレ関係のスレでも、レナがヤンデレとか言う奴が現れてスレが荒れるし、<br /> これだから素人は」<br /> 「病んだ愛情表現?」<br /> キバヤシは、なんでイケダ如きに怒鳴られなきゃいけないんだと内心思いつつも、<br /> イケダの迫力に屈して、ただ聞き返すしか出来なかった。<br /><br /> ここで、キバヤシに声をかけるものが現れた。<br /><br /><br /> 194 名前:マガジンデイズ 4/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:21:29 ID:TLvbeUqe<br /><br /> 「そうだって、キバヤシ。」<br /><br /> 敬語ではなくタメ口でキバヤシに声を掛けたのは、<br /> 同じくマガジン編集部員で、女好きのナワヤだ。<br /> 彼もまたMMRの隊員であり、MMRの副リーダー格である。<br /><br /> ナワヤはキバヤシに問い掛ける。<br /> 「スクールデイズって知ってるか?」<br /> 「いや、知らん。俺はヤンデレなんかに興味はないからな。」<br /> 「一応俺達は漫画編集者ってことになってるんだぞ。そんな最近の有名作品も知らないのか?<br /> 一昔前のマガジンはDQN向け漫画の掲載誌だったが、今はオタク向けの作品が増えてるし、<br /> そういう所も勉強しとけよ。」<br /> 「俺は人類滅亡の調査で忙しいんだよ…………。」<br /><br /> ナワヤにも馬鹿にされたと、キバヤシが落胆していると、<br /> ここでまたキバヤシに声をかける者が現れた。<br /><br /> 「キバヤシさん。今、みんなヤンデレにハマッているんですよ。」<br /> もう一人のMMR隊員、タナカだ。<br /><br /> 「スクールデイズっていうのはですね。<br /> まあ簡単に説明しますと、ゲロ以下のクズ、伊藤誠が<br /> ヤンデレさせる、ヒロインの桂言葉が有名なんですよ。<br /> 18禁のゲーム版のみならずアニメ版まで容赦がない展開で、<br /> 特に最後あたりが凄かったですよ。」<br /> 「最後?」<br /> 「ええ、生首抱えて、夕陽に向かって船を進める。正気とは思えない展開でしたね。」<br /> タナカは軽く笑いを浮かべながら話した。<br /> しかしタナカのこの言葉を聞いた途端、何故か突然キバヤシの顔色が変わった。<br /> 先程までの興味なさそうに弛緩しきった顔が、みるみるうちに思いつめた真剣な表情に変わってゆく。<br /> 「あれ?キバヤシさん、どうかしましたか?」<br /> 「船に乗って夕陽へ…………。<br /> なあ、そのアニメを見てみたいんだが、ここにあるか?<br /> 「ああ、キバヤシさんも見ますか?ちょっと待って下さい。」<br /><br /> タナカは自分の机の所まで行くと、一番下の引き出しからアニメのDVDボックスと、ゲームの箱を持ってきた。<br /><br /> 「じゃあこのDVDを貸しますね。あと、こっちのゲーム版の方はキバヤシさんにあげますからやってみて下さい。」<br /><br /><br /> 195 名前:マガジンデイズ 前編 5/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:25:48 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /><br /> ―― 数日後 マガジン編集部 ―― <br /><br /> 「ああ、もう!また、2ちゃんのヤンデレ関連のスレでレナはヤンデレとか、<br /> 朝倉涼子はヤンデレとか抜かしている奴が居る!<br /> お前らみたいな、勘違いがスレを荒らすんじゃない!」<br /> イケダはモニターに対して罵詈雑言をがなり立てている。その横の机で、ふとナワヤが呟いた。<br /> 「ここんとこ、キバヤシが出社しねえな。何かあったのか?」<br /> ふと漏らしたボヤキに、タナカが答える。<br /> 「そうですね。もしかしてこないだ、僕が貸したスクールデイズに嵌ったのかも。」<br /> 続いて先程からモニターに当たり散らしていたイケダも、自身の苛つきをぶつけるように口を開いた。<br /> 「そもそも、キバヤシさんはとっくの昔に講談社をやめてフリーライター…………おっと。」<br /> イケダは悪気も無さそうに口を押さえる。<br /> この行動につられるかのようにナワヤもキバヤシをからかう発言を始める。<br /> 「まあ、あいつなら嵌るだろ。<br /> ほら。ひぐらしの竜騎士が、何もわかって無い記者にレナはヤンデレですかと聞かれた時、こう答えていたろ。<br /> プライドの下がりきった男性が、自分無しでは生きていけない「恋愛依存症の女の子」<br /> を求めた結果がヤンデレであるってさ。<br /> キバヤシの奴、さんざん1999年に人類滅亡すると煽っといてあの有様だからな。<br /> 抗議の電話が来た時なんか『何も起こらなくて良かったですね』と堂々と答えたり、<br /> 動揺してないように見えたけど、<br /> 内心は凄く堪えてたんだろ。で、誰かに認めてもらいたいって<br /> 願望がついにヤンデレ好きという性癖になったわけだ。」<br /> 「…………い。」<br /> 「プライドの下がりきったキバヤシはヤンデレに愛されるのが嬉しくてたまらなかったってことだな。」<br /> 「……おい。」<br /> 「これで自信をつけたら、また滅茶苦茶な事を言い出すんじゃねーの、ははは。」<br /> ん? お前らどうかしたのか?」<br /> 気が付けば、何故かイケダとタナカは気まずそうに頬を引きつらせていた。<br /> ナワヤは少しの間彼らを見続けて、ようやく彼らが自分の後ろを見ていることに気付き、<br /> ゆっくりと振り返った。<br /><br /> 196 名前:マガジンデイズ 前編 6/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:27:43 ID:TLvbeUqe<br /><br /> 「………………うおっ!!!!」<br /> 「おい、ナワヤ。」<br /><br /> キバヤシだ。<br /> 鬼気迫る表情のキバヤシが、そこに居た。<br /> 何日も徹夜したのか、充血しきった目の下には大きな隈が出来ている。<br /><br /> 「な、なんだ、来てたのか!?急に現れるなよ!」<br /> ナワヤは、自分が言った事を聞かれた為にキバヤシが怒っていると思い、気が気ではない。<br /> しかし次にキバヤシの口から出たのは、予想していた咎めの言葉ではなかった。<br /><br /> 「ナワヤ、タナカ、イケダ。今から取材に行くぞ。既にアポは取ってある。MMR出動だ!」<br /> 「え、MMR出動って…………取材ってどこに?」<br /> 「スクールデイズの制作会社、オーバーフローだ。」<br /><br /><br /> 197 名前:マガジンデイズ 前編 7/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:30:33 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /> ―― 数時間後 オーバーフロー本社前 ――<br /><br /><br /> 「全く、キバヤシさんは何でこんな所に取材する気になったんだろ?<br /> 人類滅亡にでもなんか関係があるんですかね?」<br /> オーバーフローの社屋を見ながら、イケダが愚痴をこぼす。<br /> するとナワヤが、手を叩いた。<br /> 「あっ、そうか。あいつもヤンデレにハマッたんだよ。<br /> だから取材って名目で、色々聞いてみたくなったんだよ。」<br /><br /> 少し遠くで、オーバーフロー本社を見上げているキバヤシを指差して、<br /> ナワヤはほくそ笑む。<br /> しかし、そんなナワヤに意義を唱える者があった。<br /><br /> 「それは違うと思います。」<br /> タナカだ。<br /><br /> 「思い出して下さい。キバヤシさんはMMR出動だって言ってました。<br /> つまり今回の取材は人類滅亡に関することでしょう。それに」<br /> タナカがオーバーフロー本社へ向き直り、ビルを見上げた。<br /> この新宿の高層ビル群にそびえたつ威風堂々した数十階立てのビルは、<br /> 天高くそびえ立ち、威圧するようにこちらを見下ろしている。<br /> 「以前、アニメ放送中止の危機の時にオーバーフローの建物で試写会やりましたよね?<br /> スクールデイズの新品をまた買わせようって言うのかと、さんざん叩かれた奴です。<br /> 実はその時、僕は試写会に行ったんです。しかし」<br /> 「試写会って、お前まさか、わざわざ新品のスクールデイズ買ったのか?<br /> って、もしかしてキバヤシにあげたのがそれか?」<br /> ナワヤの指摘に、タナカは少し恥ずかしそうに笑った。<br /> 「ええ、実は。で、その時オーバーフローの会社に行ったんですが、<br /> ここじゃなくてもっと普通のアダルトゲームの会社と同様で、小さい建物でしたよ。<br /> それなのにほら。」<br /> ビルの前の、トマルが指差した場所には看板がある。そこにはオーバーフロー本社ビルと書かれていた。<br /> 「数日前にこのビルに引っ越したらしいですが、<br /> 今じゃこの巨大なビルが、全て丸ごとオーバーフローの本社ですよ。<br /> なにかアダルトゲーム以外の巨額な収入があるとしか思えません。」<br /> 「まあ、確かにな。」<br /> ナワヤが呟くと、他のMMRメンバーもただ黙ってビルをじっと見上げた。<br /><br /><br /> 198 名前:マガジンデイズ 前編 8/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:33:36 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /><br /> ―― 数分後 オーバーフロー本社 応接室 ――<br /><br /> 「どうもこんにちわ。メイザーズぬまきちです。」<br /> 「マガジン編集部のキバヤシです、取材にご協力頂き、ありがとうございます。」<br /> 「なんでも、ヤンデレについての話をお聞きしたいとか。」<br /> 「はい。それなら昨今のヤンデレブームの発端であるスクールデイズのシナリオを書いた、<br /> あなたに聞くのが最善と思いまして。」<br /> 「なるほど。では何から話しましょうかね…………。」<br /><br /> 通された部屋は、こじんまりとした応接室だった。<br /> MMRの5人のメンバーと取材相手のぬまきちが丁度入れるぐらいの大きさである。<br /> しかし、ここに通されるまでに見た会社の様子は想像以上だった。<br /> 引っ越し直後のためか、社内には未開封のダンボールが置いてあったりと雑多であるものの、<br /> まるで大企業にすら思える程の数の社員が働いており、とてもアダルトゲーム会社とは思えない活気である。<br /> 普通アダルトゲームの会社など、社員がせいぜい10人居ればいい方であるのにだ。<br /><br /> インタビューは長い間、続いた。<br /> ぬまきちの応対は丁寧で、好感が持てるものだった。<br /> MMRのメンバーも取材とは名ばかりで、各自聞きたい事を質問している。<br /> この場にいる誰もが笑みを絶やさず、和やかな雰囲気がこの場に満ちていた。<br /> ただ一人、浮かない顔をしているキバヤシを除いては。<br /><br /> そのキバヤシが、ふと言葉を発した。<br /> 「あの。質問させてもらっても構いませんか?」<br /> 「ああ、キバヤシさん、でしたね。なんですか?」<br /> キバヤシは詰問するような眼差しで、ぬまきちを見据えた。<br /> 「あなたの考えをお聞きしたいんですが、<br /> 昨今のヤンデレブームって、もしかして誰かが仕組んだものだとは思いませんか?」<br /> 「な、何を言ってるんですか。」<br /> それまでの和やかな談笑の場に、唐突に放たれた疑念の篭ったキバヤシの声。<br /> 気圧されたのか、ぬまきちの顔に若干の焦りが浮かぶ。<br /> 「それにもう一つ聞きたいんですが、この会社の事業、本当にアダルトゲームだけなんですか?<br /> 最近になって、急にこんな大きなビルに引っ越して従業員を大量に増やしたりしてますよね。<br /> もしかして、この会社は他に何か巨額の収入が得られる事業でも始めるんじゃないですか?」<br /> 「……っ!!」<br /><br /> ぬまきちは顔を暗くしたまま、沈黙する。<br /> 居たたまれなくなるような重い空気が場に満ちていく。<br /> それがしばらく続いた後、ぬまきちは顔を背けたままポツリと呟いた。<br /><br /><br /> 199 名前:マガジンデイズ 前編 9/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:35:31 ID:TLvbeUqe<br /><br /> 「…………帰ってくれ。あんたらに話すことはもう無い。」<br /> 「しかし――」<br /> 「この後に用事があるんだ。これ以上話す時間は無い!!!」<br /><br /> ぬまきちは大声で怒鳴ると、力任せに扉を閉め、出て行った。<br /><br /> その場に居る誰もが沈黙し続け、しばらく経った後、ようやく各々が口を開き始めた。<br /> 「キバヤシさん。さっきの発言で怒らせちゃいましたかね。」<br /> 「キバヤシ!お前のせいだぞ!もっと聞きたいことあったのに!」<br /> 「それにしたって、急にあんなに怒ったりして…………妙ですね。<br /> キバヤシさん。ぬまきちさんって、もしかしてなにか隠しているんですかね。」<br /> MMRの面々は口々にキバヤシに対して言いたい事を口にする。<br /> しかしキバヤシはそのどれも意に介さずに言った。<br /><br /> 「確か、さっきのインタビューの最中にぬまきちはこう言っていたな。<br /> このビルに移ってからは、開発室の自分の机の他に、自分専用の仮眠室があると。」<br /> 「ああ、さっき確かに言ってたが。どうかしたのか、キバヤシ?」<br /><br /> 200 名前:マガジンデイズ 前編 10/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:38:21 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /> ―― 十数分後 ぬまきちの仮眠室 ――<br /><br /><br /> 「まずくないか、キバヤシ!?<br /> 勝手に入っちゃって…………。」<br /> 怯えた声でナワヤが言った。<br /><br /> 先程のインタビューの後キバヤシが、ぬまきちの部屋を調べてみようと言い出したのだ。<br /> そして勝手に社内を歩き回り、ぬまきちの仮眠室を見つけ出したキバヤシ達は、<br /> ぬまきちが居ないのを確認したのち、室内に入った。<br /> 小ざっぱりとした室内を見渡すと、そこにあるのは仮眠用らしきベッドとパソコンの置かれたデスクだけ。<br /> タナカが言う。<br /> 「ここにあるのはパソコンくらいのようですね。キバヤシさん、ちょっと調べてみましょうか?」<br /> 「ああ。」<br /> キバヤシの同意を聞くと、タナカは椅子に座り、パソコンの電源を入れた。<br /> セキュリティ意識が甘いのかパスワードも設定されていなかったために、<br /> あっけなくデスクトップの画面が映る。<br /> 「随分あっけないな。」<br /> 「外側からのハッキング等は警戒しても、こうやって直接進入されるのを警戒しない人間は多いですからね。<br /> じゃあ、とりあえず…………メールから調べてみましょうか。」<br /> タナカはマウスを動かすと、メールソフトを立ち上げた。<br /> 「まずは、送信済みトレイから…………お。今日送ったメールがあるな。<br /> じゃあこれから開いて…………ん、なんだこれは?<br /> 最新のメールには件名が書かれておらず、送信者が『RS』とだけ書かれていた。<br /> 本文にはこう書かれている。<br /><br /> 『明日、言葉の会議には出席する。5時にはそちらに着く。』<br /><br /> 「『言葉の会議』? なんですかね、この予定。この『言葉』ってやっぱり言葉様のことですかね?<br /> もしかして言葉様ファンの集会に招かれたとか?」<br /><br /> タナカの指摘にMMRの面々はその意味を考え込む。<br /> そのため、メンバーの中に気付いた者は一人もいなかった。<br /><br /> 彼らの後ろで、画面を食い入るように見つめながら青ざめているキバヤシの様子に。<br /><br /><br /> 201 名前:マガジンデイズ 前編 11/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:42:09 ID:TLvbeUqe<br /> 「まあそれはそれとして、まずメールの宛先を調べてみましょう。<br /> えーっと、宛先は……あれ? アドレスの末尾が .go.jpになってますよ。<br /> 宛先は日本の政府機関ですね。」<br /> 「政府機関?」<br /> ナワヤが聞き返す。<br /> 「ええ。メールアドレスの末尾で属性がわかるんです。例えば .coなら通常の株式会社<br /> .acなら学校等の教育機関。で、.goなら国の機関です。<br /> まあ、とりあえずググってみましょう。」<br /><br /> イケダはマウスを握ると、グーグルを開き、メールアドレスの@マークから後ろ、<br /> ドメインの部分を検索にかける。<br /> 一瞬の後に検索結果が表示された。<br /> 一番上のサイトをキャッシュで開く。<br /> Webサイトの画面に切り替わり、徐々に全体が表示されていく。<br /> 病院等のWebサイトに主によくみられる、白を基調とした清潔感を感じさせるページだ。<br /> 一番上には、こう書かれていた。<br /><br /> 国立遺伝子研究所、と。<br /><br /> 「国立遺伝子研究所?」<br /><br /> タナカはマウスを動かし、画面を下の方にスクロールさせる。<br /> 検索したドメインと一致した部分が、色が変わって表示されていた。<br /> 問い合わせ用と書かれた、メールアドレスの部分だ。<br /> 「ここの問い合わせ用のメールアドレスと、ぬまきちさんのメールの宛先のアドレスは<br /> ドメインの部分が一緒ですね……。<br /> つまりあのメールは、この研究所の人間に向けて送ったものでしょうね。<br /> まあ、誰に宛てて送ったのかはわかりませんがね。」<br /> 「ますます、『言葉の会議』の意味がわからねえな。<br /> 理系の研究者とかってオタが多いとはいえ、<br /> まさかここでファンの集会なんかやるわけないよな。」<br /> 「まあ、考えても埒があきませんし、他のメールもありますから、そっちを読んでみましょうよ。」<br /> タナカはナワヤとの会話を打ち切り、別のメールを開いてみようとする。<br /> だが、そうされることは無かった。<br /> 彼の後ろに居るキバヤシの携帯電話が、突然鳴ったからだ。<br /><br /> キバヤシは誰からの電話なのか、確認もせずにすぐに電話に出た。<br /> 「イケダか?」<br /> 「キバヤシさん、ぬまきちさんが戻ってきました!」<br /> 「わかった!」<br /> ぬまきちが戻ってくることを警戒して、エレベーターの見える所で見張りをさせていたイケダ<br /> からの連絡だった。<br /> キバヤシはすぐに電話の内容をメンバー全員に告げる。<br /><br /> 「ぬまきちが来た! 気づかれる前に非常階段から逃げるぞ!」<br /><br /><br /> 202 名前:マガジンデイズ 前編 12/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:49:56 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /><br /> ビルの合間の路地裏で、全員が大きく呼吸し、必死に酸素を取り込んでいる。<br /> どこをどう走ったのかは、分からない。<br /> 気がつけば全員がオーバーフロー本社から遠く離れた場所の、この路地裏に居た。<br /> 追っ手の姿は無い。<br /> どうやら無事に逃げ切れたようだ。<br /> タナカが口を開く。<br /><br /> 「はぁ……なんとか逃げられたみたいですね。<br /> あれ、キバヤシさん?」<br /> 不審な様子のキバヤシにタナカが声を掛けたが、<br /> 地面を見つめたまま全く意に介そうともしない。<br /> そのままの姿勢で、言った。<br /> 「そうか……そういうことだったのか。」<br /> 「え? どうしたんだ、キバヤシ?」<br /><br /> キバヤシは顔を上げ、メンバーの方を見据る。<br /> そしてありったけの大声を言い放ち、断言した。<br /><br /> 「やはり間違いない!人類滅亡の危機はまだ終わっていなかったんだ!<br /> 昨今ヤンデレという言葉が生み出されたのは、ただの偶然じゃない!<br /> 影で恐ろしい陰謀が進められていたんだよ!」<br /><br /> 恐ろしい陰謀!?<br /> MMRのメンバー全員の頭の中で、キバヤシの言葉がこだまする。<br /><br /> そんな彼らの姿を、頭上のビルの監視カメラは、ただひたすらに凝視していた。<br /><br /><br /> 203 名前:マガジンデイズ 前編 13/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:51:03 ID:TLvbeUqe<br /><br /><br /><br /> ヤンデレブームの陰で暗躍する、恐るべき者達――――。<br /><br /> 真相に辿り着いた我らMMRに、戦慄の結末が訪れる!<br /><br /><br /><br /><br /> ★次号(後編)に続く★<br /><br /><br /><br /><br /> 204 名前: ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:55:21 ID:TLvbeUqe<br /> 投下終了。<br /><br /> この作品はフィクションです。 実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。<br /> 仮に抗議が来たら、キバヤシ隊長の如く「何も起こらなくてよかったですね」と答えます。<br /><br /><br /> これを書くに当たって資料としてMMRが欲しかったんですが、<br /> 新品もどこの書店に行っても無いし、通販でも扱ってないし、<br /> しかもどこのブックオフに行ってもやはり置いてなくて困りました。<br /> よって自分の記憶と、後はググって書き上げました。<br /> それでも、多分MMRのお約束は守れていると思います。<br /><br /> 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:56:21 ID:3bf2SBFn<br /> ・版権モノは専用スレでお願いします。<br /><br /><br /> 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 04:26:43 ID:XdsmM4t6<br /> 投下するとこ間違えてますよ<br /><br /> 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 04:27:29 ID:Y3StGh6J<br /> 噴いたwwww<br /> 続き期待して待ってます<br /><br /> 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 08:59:41 ID:3Mfp/wfL<br /> GJ<br /> しかしこの作品はどのスレ担当になるんだw<br /><br /> 専用スレがないスレ辺りに続きを投下して誘導という形がいいんじゃないかなぁと<br /><br /> 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:00:00 ID:yg8bGxMO<br /> 面白いからここで良いよ。前編と後編で違うとこに書くのもナンだし。<br /><br /> 210 名前:( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:07:59 ID:UzyiGj37<br /> 「話は聞いたわ! お姉ちゃんのおっぱいなら死ぬほど揉んでいいわよ!」<br /> 俺の部屋のドアをバーンと開け放ちながら姉ちゃんが入ってきた。その発言の異常さもさることながら、彼女の目はその発言以上に異常な熱を帯びているから困る。<br /> 理由は単純だ。俺がとある掲示板に『そんなことより誰かおっぱい揉ませてくれよ』なんて書き込んだからだろう。あれほど人のパソコンを勝手に同期するなと言っているのに。<br /> 「はいはい、分かったから帰ってね。俺忙しいから」<br /> 俺はそういいながら追い払うように手を振る。しかし姉ちゃんはまるで聞く耳を持たない。持つような人間だったら最初から苦労してないが。<br /> 「そうよね! お姉ちゃんのおっぱい揉むのに忙しくなるのよね! 好きなだけお姉ちゃんのおっぱい揉ませてあげるから、だからこの網外して!」<br /> 姉ちゃんはフローリングの床の上をじたばたとのた打ち回りながら相変わらず気の狂った台詞をはいてくる。ちなみに彼女は今ワイヤーの編みこまれた網に絡まっている。<br /> こんなことが日常茶飯事だから、俺は自分の身を守るために常にいろんなトラップを自分の部屋から学校の自分の机の中まで張り巡らしているわけだ。<br /> んでもって彼女はそのトラップに見事にかかってくれたわけだ。姉ちゃんの行動は俺一直線だから実に読みやすい。<br /> ちなみにこの間までワイヤー無しのただの網だったが、「愛の力よ!」なって言いながら引きちぎられてしまったために現在はワイヤー入りになっている。どんな腕力だ。<br /> 「お姉ちゃんはか弱き乙女なの……。でも恋する乙女はか弱いだけじゃだめなのよ。愛する人を抱きしめる力強さが必要なの!」<br /> これは姉ちゃんの弁だ。ちなみに、もし俺だったら網を引きちぎるほど力強く抱きしめられたら即別れを切り出すと思う。<br /> でもそんなことを言ったら、<br /> 「もう、私が抱きしめるのは弟くんだけよ。焼き餅焼いちゃってー」<br /> なんて返されるのだろう。まるで話が通じない。餅なんて焼いてない。というかお前を焼いてやろうか。<br /><br /><br /> 「俺、巨乳より貧乳が好みなんだよね」<br /> 俺はもがく姉ちゃんにそう言ってやった。<br /> 「もーう、弟くんったらお姉ちゃんをからかってー。お姉ちゃんは知ってるんですからねー。弟くんは大きな胸が好きだってこと。だからお姉ちゃん頑張ったんだからね。<br /> 牛乳飲んで、運動して、弟くんのことを想いながらたーくさんオナニーして……もう、恥ずかしいこと言わせないでよっ」<br /> 姉ちゃんは頬を赤く染めながらくねくねしている。言わせてねえよ馬鹿。<br /> 「でも、この胸はあなた専用なんだからね、好きなだけ揉んでいいのよ。……キャー、言っちゃったー! 恥ずかしー!!」<br /> そう言って網に絡まったまま器用に胸を寄せてアピールする。<br /> 確かに姉ちゃんの胸は大きい。スイカ、姉の胸、スイカ、と並べられたら、姉ちゃんの胸が分裂したかと誤解するほどだ。<br /> …………ごめん、それはさすがに嘘だ。だが、かなり大きいことは紛れも無い事実である。<br /> 「姉ちゃん、人の嗜好ってのは変わるもんなんだよ。確かに俺は昔は巨乳が好きだったさ。しかしそれは母性を求める幼児性の表れだよ。少年は男へと成長し、母性の象徴である豊かな胸よりも、若さの象徴であるちっぱいを求めるようになるんだよ」<br /><br /> 211 名前:( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:08:33 ID:UzyiGj37<br /> 俺のその言葉で、先ほどまでじたばたしていた姉ちゃんの動きがぱったりと止まった。うつぶせなので表情は見えないが、おそらくこの世の終わりを告げられたかのような表情をしていることだろう。いつものことだ。<br /> 「……嘘……。そんなの嘘よっ!」<br /> 姉ちゃんは感情的に大声を上げた。俺はそんな姉に止めを刺すべく、耳元でささやく。<br /> 「ちっぱいには無限の可能性が詰まっているのさ。脂肪の詰まった巨乳とは大違い。無駄な努力、ご苦労様」<br /> 姉ちゃんの体がビクンと跳ねた。<br /> 「あぁああぁあああああああぁあああああああああああああああああ!!」<br /> おおよそ姉ちゃんの風体からは想像もつかないような絶叫が俺の部屋に木霊する。網の糸がブチブチとちぎれ、ワイヤーさえも悲鳴を上げる。<br /> 「弟くん間違ってるよちっぱいは犯罪なんだよ弟くんが犯罪者になっちゃうそんなのダメだよお姉ちゃんのおっぱいで弟くんを正気に戻してあげなくちゃそうそうだよまったく弟くんはお姉ちゃんがいなきゃホントにダメなんだから……」<br /> 姉ちゃんは肺の空気一杯叫び終えた後、深く息を吸い込むと今度は支離滅裂なことをノンストップで口走り始めた。<br /> やりすぎた。<br /> 俺は慌てて改造スタンガンを姉に押し当てた。姉ちゃんの体がビクビクと痙攣し、あっさりと停止した。姉ちゃんは「あ……」とか「う……」とか言葉にならない言葉を漏らしている。<br /> 俺は姉ちゃんを網から出すと姉ちゃんを抱え上げた。<br /> そして姉ちゃんの部屋に入る。姉ちゃんの部屋はぱっと見は女の子らしいとても可愛らしい感じの部屋だが、それは俺の嗜好にを意識しての工作だ。<br /> 実際には本棚から一冊本を引き抜けばそこには無数の俺の写真が挟まっているし、ぬいぐるみの背中を開けてみれば俺の髪の毛やらなんやらが入っていたりするというとても恐ろしい仕様になっている。<br /> まあそんなことは今更なのでほうっておいて、姉ちゃんをベッドに寝かせると、姉ちゃんの机の引き出しからおそらく俺を拘束するために用意したと思われるロープを取り出して姉ちゃんの両手両足を縛っておいた。<br /> まあ姉ちゃんは「私たちの愛はどんなものでも縛ることなんてできないのよ!」なんて言ってあっさりと抜けてしまうから意味はあまりないんだが、気休めにはなる。<br /> 「弟……くん」<br /> 俺が部屋を後にしようとすると、姉ちゃんから声をかけられた。熊でも一撃昏倒、人間だったらこれ死ぬんじゃね? クラスの電流を喰らっておいてまだ意識があるとは。今更ながら恐ろしい姉だ。<br /> 「何? 姉ちゃん」<br /> 「ちっぱいが好きだなんて……嘘だよね?」<br /> 姉ちゃんは半ばうわごとのように俺に尋ねる。よっぽどショックだったのか。<br /> 「もちろん、ただの冗談さ。俺が好きなのはあくまで巨乳だよ」<br /> 「ホントに!? よかった……」<br /> 俺のその言葉を聞くと、姉ちゃんは満面の笑みを浮かべながら気絶した。ま、数時間もしたらケロッとしてまた俺の部屋に突撃してくることだろう。<br /><br /><br /> 「あー、おっぱい揉みてえ……」<br /> 俺は自分の部屋で一人、そう呟いた。<br /><br /> 212 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:09:52 ID:UzyiGj37<br /> 上のほうの書きこみを見てついやってしまった。もう言わなくても分かると思うけど続かない<br /> 今回はいろいろとやっちゃった感があるけど、まあセーフだよね。……だよね?<br /><br /> 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:17:48 ID:OPFAypqc<br /> &gt;&gt;212<br /> 姉ちゃん可愛いよ姉ちゃんw<br /> 姉スキーにはたまらないのでもっとや……続かないのかw<br /> でもGJ<br /><br /> 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 13:50:22 ID:rXVw1V3Z<br /> つまりあれだな、ID:x2nqVSXhがうらやまけしからんということだな<br /><br /> 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 14:16:05 ID:H3IZlOS0<br /> &gt;&gt;211<br /> これにスパーハッカーな幼馴染もいたらいいな<br /><br /> 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 14:43:22 ID:EF/3wNzJ<br /> ┃<br /><br /> ┃ω・`) ……<br /><br /> ┃ω・`) &gt;&gt;212ありがとうGJ!<br /><br /> ┃ω・`) でも俺まだおっぱい揉んでなくて手が寂しいんだ……<br /><br /> ┃ω・`) ……自分の尻でも揉んで我慢するか……<br /><br /> ┃ω・`) ………<br /><br /> ┃ミ サッ<br /><br /> 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 18:11:35 ID:prCPEsXs<br /> &gt;&gt;216<br /> 次は妹が突撃してくるぞ。<br /><br /> 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:48:06 ID:yVjDf/Fz<br /> &gt;&gt;204 ↓こちらへどうぞ<br /> ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208076450/<br /><br /> 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 01:50:39 ID:76Ol/BaA<br /> 弟は結局巨乳が好きなのか?<br /><br /> 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 02:58:37 ID:79Zh4Ude<br /> 巨乳が好きとかそういう次元じゃなくおっぱいのことごとくを愛してるんだよ<br /><br /> 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 10:57:42 ID:qA86AwDW<br /> 大きいおっぱい、 小さいおっぱい、そんなの人の勝手。<br /> 本当におっぱい好きな男なら、どんなおっぱいでもイけるよう頑張るべき。<br /><br /> 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 19:20:31 ID:y+z487IM<br /> 貴方の様な紳士になりたい<br /><br /> 223 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23:21:47 ID:xu8KrL31<br /> そのおっぱいへの情熱はすばらしいが<br /> 我々はヤンデレのおっぱいでしか興奮してはならない事を忘れてはいけない<br /><br /> 224 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23:22:56 ID:TyLsae3V<br /> だがあえて泥棒猫のおっぱいで興奮してみる<br /><br /> 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23:48:23 ID:5ExV2EJi<br /> そろそろ半裸になって座って待つか<br /><br /> 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 00:51:04 ID:CZOjpQV0<br /> おっと私としたことが相棒のティッシュを忘れてしまった<br /><br /> 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:03:06 ID:UF4cmeCh<br /> いったい貴様はそれをなんに使うつもりだ<br /><br /> 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:08:27 ID:SxTjEsq0<br /> 兄に同情して泣くんだよ<br /><br /> 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:17:42 ID:nFWLKRhi<br /> ジミーカワイソスジミー<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ふぅ…<br /><br /> 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 05:24:34 ID:GI7En7iG<br /> &gt;&gt;229 お前、まさかジミーで!?<br /> ヤンデレではなくジミーで!?<br /> う、裏切り者!!<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ふぅ<br /><br /> 231 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:15:02 ID:9MUG/176<br /> おはようございます。<br /> 清算編第三話(累計で二十六話)を投下します。<br /><br /> 232 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:17:19 ID:9MUG/176<br /> ***<br /><br /> 「え、もう帰った?」<br /> 放課後になって、一年の妹のクラスへすぐに向かったら妹の姿は無かった。<br /> それならばと弟のクラスへ行ったら、妹と同じく弟も居なかった。<br /> で、クラスメイトの子に聞いたら、もう帰った、ですって。……何よそれ。<br /> 詳しく聞いたら、帰りの教師からの連絡を聞いた後、誰よりも早く教室から出て行ったらしい。<br /> ちなみに、今日の弟は日直だったわけでも、何かの当番だったわけでもないという。<br /> おかしいわね。それじゃあ、なんで朝食も食べずに一人で登校したのかしら。<br /> これじゃ、まるで避けられてるみたいじゃない。<br /> ……けど、まさか。<br /> 弟が私を嫌いになるとかそんなこと…………ある訳無いわよ、ね?<br /><br /> 「ふあぁ………………たーいくつぅ……」<br /> はしたないぐらい大口を開けてあくびしてしまう。<br /> こうして一人で歩いて帰るって言うのも久しぶりだわ。<br /> いつもなら弟と妹が一緒に居るところ、もしくは弟を掴まえて一緒に帰っていたから。<br /> ちなみに妹はあえて探さない。弟を掴まえてしまえば後で追いかけてくるんだもの。<br /> 二人が居ない時は、クラスに残っている友達と一緒に帰ってたし。<br /> 下校途中、妹はよく言ってたわね。<br /> 姉さんもそろそろ彼氏でも作ったらどう? とか。<br /> おおかた、弟と二人きりで帰りたいからそんなこと言ったんでしょうけど。<br /> 簡単に言わないで欲しいわよ。できそうにないのよ、恋人なんて。<br /> 誤解しないでね、妹。これでも私、結構告白されたりするんだから。<br /> ラブレター渡されたりとか、修学旅行とか文化祭の最中に呼び出されて。<br /> いい返事をしたことは一度も無いけど。<br /> 女友達には、弟君よりもむしろあんたに彼氏ができないことの方が問題よ、ガード固すぎ、なんて言われてる。<br /> そう言われてもね……付き合おうって気分にならないんだからしょうがないじゃないの。<br /> 深い関係になろうと思えない。遊ぶだけなら友達でもできるし。<br /> 友達のままじゃできないことをするために付き合うのかもしれないけど、そういうの、私にはまだ早い。<br /> だって、自分の体を男の人に全て委ねるなんて考えられないわ。<br /> キスされたりとか、おっぱい揉まれたり、お尻を撫でられたり……クラスの男の子にそんなことされたら、まず叫んで、次に殴るわね。<br /> そういうことされても許せる男の人って、見たことがない。<br /> 顔のつくりなら弟、男らしさならお父さん、っていう基準があるから、そこを超えないと特別に見られない。<br /> テレビに映る人ならそんな人も居るけど、身近には居ない。<br /> それはつまり、男の人に恋したことが無いってことなんでしょうね。<br /> ああ、これじゃあ恋人ができないのも当たり前か……。<br /><br /> ぼんやり考え事をしているうちに、自宅の前まで辿り着いていたらしい。<br /> 腕時計で時刻を確認すると、いつもより少しだけ早い時間に帰宅していたことがわかった。<br /> 一人で帰ると会話をする相手が居ない分、早く歩いてしまうらしい。<br /> 玄関を開ける。<br /> まっさきに見えたのは投げ出された二つの鞄と、ひっくりかえった二足の靴。<br /> きっかり二つずつということは、弟と妹の物ね。<br /> あの子達、私を置いて二人きりで帰っていたわけ。<br /> はあ……親離れならぬ姉離れ、ってやつかしら。お姉ちゃん寂しいわ。<br /> でも、そろそろそんな時期なのかもね。<br /> 高校を卒業したら私はこの家から離れた大学に通うから、一人暮らししないといけない。<br /> そうしたらもちろん家族とは毎日会えなくなる。<br /> 勉強を真剣にする気になれないのは、たぶんどこかで今の生活を手放したくないと思っているからなんでしょうね。<br /> 友達の言うとおり、やっぱり私はブラコンでシスコンだわ。<br /> ま、悪いとは思ってないから、今更性格を変えるつもりなんかないけど。<br /><br /><br /> 233 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:19:32 ID:9MUG/176<br /> 二人の靴を揃えてから、鞄を二つとも抱えて二人の部屋へ向かう。<br /> ……姉離れ、か。<br /> じゃあ部屋に入るのも自重しなきゃいけないのね。<br /> しょうがない。こっそりドアを開けて鞄を中に置いておこう。<br /> ノックせずにドアノブをゆっくり回して、音を立てないよう開く。<br /> そのまま隙間から鞄を入れようとしたところで、異変を耳が捉えた。<br /> ――泣き声?<br /> この声、妹よね。<br /> ということは、今の妹は泣いているの?<br /> ……ここは引いて放っておく? それともあえて踏み込んで慰める?<br /> 逡巡する時間、呼吸一回分。<br /> 慰めることを決断して、ドアを開き部屋へと足を踏み入れる。<br /><br /> ――そして、私は凍り付いた。<br /><br /> 予想だにしなかった光景を目にして、自分が果てしなく遠い世界に立っているような感覚に囚われた。<br /> 「え? ……な、何? いきなり、何なの、これ……?」 <br /> 制服のシャツ一枚の弟と、制服をはだけさせた妹が、ベッドの上で絡み合ってた。<br /> 妹はうつぶせのまま腰を上げてた。スカートをめくれ上がらせたままで、ショーツを穿かず。<br /> ふとももとお尻をさらけだした、半裸の状態。<br /> 妹のお尻に弟の腰がくっついてる。<br /> 二人の下半身がくっついて、離れて、くっついて、離れて、くっついて、離れて……それがずっと続く。<br /> パンパンっていう、ぶつかる音が聞こえる。<br /> 弟は妹の腰を掴んで離さない。引き寄せて、乱暴に、執拗に、妹を下半身で突き続ける。<br /> 妹は弟の名前を呼びながら、切ない声で鳴いてる。<br /> 気持ちいいとか、もっと突いてとか、卑猥な叫び。<br /> 今まで聞いたこともない、妹の――女の部分が上げる声だった。<br /> 二人とも私に背中を向けていて、私が居ることに気付いていない。<br /> 誰だか知らない人間二人が忍び込んで行為に浸っているなら、まだ良かった。その方が救いがあった。<br /> でも、泣き声は妹のもので、荒い息づかいは弟のものだった。<br /> 何より、その背中が――ずっと見続けていた二人の背中とそっくりだった。<br /><br /> 何をやっているの……兄妹で、家族同士で。<br /> 違うでしょう?<br /> 二人ともそんな子じゃなかったはずでしょう?<br /> どうして、どうしてどうして、どうして、なのよっ!<br /><br /><br /> 234 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:20:09 ID:9MUG/176<br /> 「何やっているのよ、あんたたちはっ!」<br /> 叫ばずにいられなかった。<br /> 叫ばないと、痴態をとる弟と妹に何もしないまま、言いたいことも言えないまま、その場から逃げてしまいそうだった。<br /> 自分の口から吐き出された言葉は、もはや思考のフィルターを介していなかった。<br /> 振り向いた二人の顔が見えない。<br /> 黒く塗りつぶされて、ぐにゃぐにゃに歪んでいて、私には理解できない。<br /> 「兄妹で! 弟と、妹なのに! こんな、おかしい……絶対に、しちゃいけないこと!<br /> こんなの! 嘘でしょう?! 冗談でしょう?!<br /> 嘘って言いなさい、全部が、嘘だって! <br /> ただの、悪ふざけだって……言ってよ!<br /> …………お願いだから、お姉ちゃんの、お願い、聞いて…………」<br /> 膝から力が抜けた。壁にしがみついて、倒れないようこらえる。<br /> 吼えても、怒鳴っても、泣いても、乱れた感情が治まらない。<br /> 涙が勝手にあふれ出てくる。併せて情けない嗚咽の声が漏れ出でる。<br /> 一体、何がいけなかったっていうの?<br /> 私はただ、仲の良い姉弟で居たかったのに。……たった、それだけなのに。<br /> そんな単純な願いさえ、私は願うことが許されないの?<br /><br /> 「…………たすけ、て……」<br /> 誰か、助けて。<br /> 喉がせき止められて呼吸ができない。<br /> 鼓動がどんどん早まっていく。<br /> 目眩がして、視界が歪み、霞んでいく。<br /> 体が床にぶつかった。<br /> 立ち上がる気力が無い。<br /> 何もする気が起きない。<br /><br /> 私はもう、二人を止められない。<br /><br /><br /><br /> 235 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:21:23 ID:9MUG/176<br /> ***<br /><br /> 「髪が黒のロングの、後輩の女の子?」<br /> 「そう。たぶん葉月さんと同じぐらいの長さなんだけど、見たことない?」<br /> 約一週間ぶりとなるごくありふれた下校風景の中に俺は居た。<br /> しかし同時に、あまりにも以前と変わらないこの状況に、違和感も覚えていた。<br /> 下校時間、一緒に帰る人は葉月さん、二人とも制服姿。<br /> 違うところがあるとすれば俺の腕にギプスががっちりと装着されているぐらい。<br /> それ以外は、全く何ら変わりない。<br /> そう――――不気味なぐらいに。<br /> 「んーー……知らないなあ。一年生って言っても全員知ってるわけじゃないし。<br /> それ、葵紋って子が髪を黒く染めただけじゃないの?」<br /> 「まあ、あいつの髪の色は元々黒だけど。<br /> 朝にあいつを見た時は紛れもなく金髪だったから、放課後までに染め直すとは、ちょっとね」<br /> 「へー、そうなんだ……」<br /> 葉月さんはそこで唇に指を当て斜め上に視線を向けた。<br /> これは葉月さんが何か考えている時の仕草である。<br /> 「ねえ、一つ聞いていいかな?」<br /> 「いいよ。答えられないことじゃなければ」<br /> 「どうしてその子と話をしたの?」<br /> ……どうして、と言われましても。<br /> 俺が後輩と会話しちゃまずいのか?<br /> 「後輩の女の子と話すために、放課後になったらすぐに教室を飛び出していったの?<br /> いつからその子と知り合ってたの? どれぐらい仲を深めたの?」<br /> 質問が増えている気がするが、そんなつっこみも入れにくい。<br /> というか、葉月さんは何か勘違いしているみたいだ。<br /> 「俺がその子と会ったのは今日が初めてだよ。<br /> だって去年の文化祭から一度も一年の教室なんか行ってないんだから」<br /> 「……本当に?」<br /> 「本当だって。そんなことで嘘吐いて俺に何の得があるのさ?」<br /> 「得はないかもしれないけど、ごまかすことはできるじゃない。<br /> 私だってあなたのこと全部把握しているわけじゃないんだから」<br /> まあ、そりゃそうでしょう。<br /> というか、全部把握してもらっちゃ困る。<br /> 俺が家で何をしてるかなんて、絶対に知られたくない。<br /> 変なことしてるから、じゃない。<br /> 例えば、俺が風呂で体を洗う時どんな動きをしているかとか、改めて考えると恥ずかしくなってしまうことを知られたくないだけだ。<br /> 「だいたい、今日会ったのも偶然だし。<br /> それに話をしたって言っても、なんだかよくわからないこと言われただけで終わったし」<br /> 「よくわからないことって? 例えば?」<br /> 「ん……俺の運命の相手とか、その人とすでに会っているとか、そういう話」<br /><br /><br /> 236 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:25:07 ID:9MUG/176<br /> 突然、左を歩いていた葉月さんの姿が消えた。<br /> 振り返る。葉月さんは右足を踏み出した姿勢のまま一時停止していた。<br /> これは――振りか?<br /> 「…………だるまさんが転んだ」<br /> 「いえ、別にそういう遊びをしてるつもりはないんだけど。<br /> ちょっと待ってよ…………私にその女の子のことを聞いてきたってことは、<br /> 正体も何もさっぱりわからないからなの?」<br /> 「そうだよ。じゃなきゃ、わざわざこんなこと聞いたりしないって」<br /> 「えっと、あれ、あれ?<br /> 待って待って。そこで止まってて。考え直すから」<br /> 眉間を揉みながら考える仕草をする葉月さん。<br /> わけがわからない。<br /> なぜ俺でなく葉月さんが考え込んでいるのだろう。<br /> 俺はそんなに難しい話や、的外れなことを言ったりしたのか?<br /> 思い返す。<br /> …………しかし、思い返してもわからない。<br /><br /> 「私が放課後あなたに話しかけるまで何をしていたか、知ってる?」<br /> 「さあ? 何か用事でもあったの? 図書室で担任に本の整理させられたりとか」<br /> 「いえ、そうじゃないの。実は、一年生のクラスに行ってたの。<br /> そこで私は…………さすがにここまで言えば、わかるよね?」<br /> 「そうだったんだ。でも何してたのかはわからないよ。<br /> 弟でも探してた? 弟なら今日は花火と帰ってたみたいだよ」<br /> 「違うわよ! えっと、私、私は…………」<br /> そんな何か言いたげな顔をしなくても、言ってしまえばいいのに。<br /> 俺が正答することを期待してもらっても、生憎葉月さんの行動などわからないのだから答えられない。<br /> 俺だって葉月さんのことを全て把握しているわけではないのだ。<br /> 「あう、あー、あああああ……………………まさかここまで鈍いだなんて思わなかった。<br /> てっきり気付いてると、ノッてくれてるんだとばかり……」<br /> ため息をつかれてしまった。肩までがっくりと下がっている。<br /> どうやら俺は葉月さんの期待に応えられなかったようだ。<br /> だからって、ここまで落ち込まなくても。<br /> 「ごめんなさい。今日はここで」<br /> 「いや、どうせだから葉月さんの家まで送っていくよ」<br /> 「ううん、いいの。予定が狂っちゃ……変わっちゃったから。<br /> …………今日はちょうど良い日だから、別の日は駄目だし」<br /> 「ん? 何か言った?」<br /> 「ううん、なんでもない。また今度送ってね。それじゃあ、バイバイ」<br /> 俺を置き去りにして葉月さんは駆け出した。<br /> 路地を曲がり、姿が見えなくなるまで、俺の足は動かなかった。<br /> そういえば、俺って葉月さんを傷つけてたんだっけ。<br /> それなら、家まで送ってもらいたくなくなるのも無理はない。<br /> 下校時は送るのが習慣になってたから、すっかり忘れてしまっていた。<br /> いかんな、こんなことじゃ。早く今の環境に溶け込まないと。<br /><br /> それにしても、ネタばれとはなんのことだったんだろう?<br /><br /><br /><br /> 237 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:27:14 ID:9MUG/176<br /> 家に到着し、真っ先に向かうはマイルーム。<br /> 制服を脱ぎ、左手を使ってハンガーにかける。<br /> ここまでは概ねいつも通り。<br /> さて、この次は…………何をしよう?<br /> 考えてみると、今の俺は何もすることがない、いや何もできない。<br /> だって、右腕が使えないのだ。<br /> 学校から家に帰って最初にやることと言えば、俺の場合はその日の授業の復習と課せられた宿題をこなすこと。<br /> が、筆記用具を持てなくてはそのどちらもできない。<br /> 俺の左手ができることと言えば、せいぜい本のページをめくるぐらいのもの。<br /> 試しに左手で文字を書いてみたら、いつのまにかこの世の誰にも読めないような図形が二行にわたって記されていた。<br /> 何せアラビア数字の一が三角形になってしまうのだ。<br /> それを消そうとして消しゴムで擦ると、上手く消せないときたもんだ。<br /> ノートなどとらなくても勉強できる人はできるのだろう。<br /> だが俺は違う。<br /> 自慢にならないが、むしろ隠すべきことだが、メモやノートをとらないと勉強できないのである。<br /> ノートに書き写すのだって、自分がわかりやすいように書いているだけで黒板を丸写ししているわけではない。<br /> 家で復習する時、ああこんな内容だったなと思い出せるように書いている。<br /> 先生のコメントがページの隅っこに書かれていたり、自分なりの解釈が書かれていたり。<br /> よって、俺のノートは俺以外の人間が見てもほぼ理解できない。高橋すら例外ではない。<br /> そんな高橋のノートはというと、黒板丸写しだった。<br /> しかもあの男、黒板に合わせてノートを横書きしている。<br /> これはこれで、本人にしか理解できないノートだ。<br /> しかし、借りてきた以上は有効活用せねば。昼休み時間にジュースを奢る約束もしているわけだし。<br /><br /> 高橋ノートと格闘しつつ、今日受けた教科の復習を終えた頃には、外の景色は夕方を通り過ぎていた。<br /> 二月中旬の日の暮れは早い。<br /> さて、せっかくノートを借りたのだ。お次はこいつをコピーしよう。<br /> コピーするとなれば、我が家ではコンビニを活用せねばならない。<br /> そのコンビニは歩いて二十分以上かかる距離にある。<br /> とてもではないが、行く気分ではない。<br /> ここは兄の強権を発動するとしよう。弟の出番だ。<br /> 玄関に弟の靴があったから、きっと花火とアレやコレをすることなく帰宅しているはずだ。<br /> そういえば……あの二人、今はどういう関係なんだろう。<br /> 今朝の様子を見る限りでは、ちょっとだけ仲を深めているように見えた。<br /> でもあの時は人目があったからお互いに遠慮していたはず。<br /> 澄子ちゃんの件を機に何らかの変化が生まれたのは間違いない。<br /> 今日二人一緒に帰ったのだって無関係ではあるまい。<br /> 弟が身の回りに警戒して花火と一緒に帰るようになった。<br /> そして、花火は弟を守るために他の人間を近づけないようにしている。<br /> 少なくとも何の変化もないというのはありえない。<br /> せっかくだから、付き合っているのか聞いてみようか。<br /> 弟は前々から花火のことが好きだと言っていたのだから、隠したりはしないだろう。<br /> 嬉々として交際している事実を話されたら、もしかしたらジャブをお見舞いするかもしれんが。<br /> 言葉ではなく、拳的な意味で。<br /> 決してお前が羨ましいからではない。これは俺なりの祝砲だ。<br /> その辺を誤解するなよ、弟。<br /><br /><br /> 238 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:28:35 ID:9MUG/176<br /> 弟と妹の部屋のドアをノックしても返事は無かった。<br /> 部屋を覗いてみる。やけに内装がすっきりしていた。<br /> 忘れていた。弟を捜しに花火の奴が来て、部屋をひっくり返していったんだった。<br /> 二人分の机はそのまま。床に置きっぱなしの本はかつて本棚に収まっていたものだろう。<br /> それ以外にはテレビの配置が変わっていたり――おや、ベッドの代わりに布団が二組ある。<br /> さすがに二段ベッドの手配まではしていないか。<br /> あるいはこれからは布団を敷いて寝なさいと両親が言ったか。<br /> まあ、その辺は弟と妹の意志次第。<br /> ベッドの方がいいと意志を通すなら、両親との交渉をするだろう。<br /> 布団派の俺は味方などしない。<br /> むしろ布団にしろ。天井から布団が落ちてきてもせいぜい床に倒れるぐらい。安全だ。<br /><br /> 次に向かうはリビング。<br /> リビングのドアから漏れる光が、暗い廊下を部分的に照らしている。<br /> おそらくは二人ともリビングでくつろぎモードに入っているはずだ。<br /> しかし――――何かがおかしい。<br /> 静かすぎる。<br /> 弟と妹が一緒に居て、ここまで静かになることなどありえない。<br /> とすると、今朝の一件で機嫌を損ねた妹が弟を責めている、ってのも無いな。<br /> ……ただごとではない予感がする。<br /> 先の事件で俺が物事を深刻に考えすぎているなら、それでいい。<br /> しかし、もしも勘が的中していたら、どうする?<br /> 今の俺にできるのは説得か、通報ぐらい。<br /> 決してとっ組みあいをしてはならない。<br /> この右腕は問題ないレベルまで回復する。ただし、無茶をしなければ。<br /> ちくしょうめ。どうして安息の場のはずの我が家でこんな緊張感に包まれなければならんのだ。<br /> あー、前にも似たようなことあったよな。<br /> 葉月さんが家に来て、妹が逆上して、俺が投げられた去年の出来事。<br /> せめて、あの時よりはまともでありますように。<br /> そんな願いを込めて、床に膝を着き、ドアに嵌っているガラスからリビングを覗き込む。<br /><br /> 最初に見えたのは、俺の居る方――入り口へと伸ばされた弟の手だった。<br /><br /><br /> 239 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:32:41 ID:9MUG/176<br /> 息を呑む程度の反応で済んだのは、あらかじめ覚悟をしていたからだろう。<br /> のほほんと部屋に入ろうとしていたら間違いなく駆け寄っていた。<br /> 弟の手は、ドアまであと五十センチというところまで達していた。<br /> 見た限りでは部屋が荒れている様子はない。<br /> 弟の顔色も普通だ。ただ寝ているだけにも見える。<br /> 異常な点をあげるなら、上半身に半袖シャツ一枚しか身につけていないところ。<br /> 弟は手の届く距離に居る。じゃあ――妹はどこに居る?<br /> リビングの窓際に動きがあることに気付いた。<br /> 窓が開いたままだ。カーテンが風に煽られて、時折なびき、鎮まる。<br /> 弟も妹も、この季節に窓を開けっぱなしにしたりしない。<br /> つまり、何者かが侵入した形跡。もしくはすでに脱出した形跡か。<br /> 座ったままではよく見えない。立ち上がって、再度覗き込む。<br /> 「い――――!」<br /> 妹が居た。ソファの上に。<br /> さっきは死角になっていて見えなかったのだ。<br /> 弟とは違い、目隠しと猿ぐつわをされている。両手両足は細い紐で何重にも縛られている。<br /> 倒れた弟、縛られた妹。<br /> 誰かがやった。俺の家に、俺の生活の中に、土足で入り込んで荒らしていった。<br /> 左の拳が震える。右腕が熱くなる。痛みを脳に訴えてくる。<br /> 肘の痛みが、己の無力さを思い出させる。<br /> 分かってる。ここで飛び込んでいくのは間違いだ。何よりも先に通報すべきだ。<br /> でも、冷静に行動できない。<br /> 怒りが全身の血を滾らせ、頭に上らせてくる。<br /> 歯を食いしばって壁伝いに下がる。<br /> 携帯電話は部屋に置いてある。部屋に着くまで十歩も必要ない。<br /> 落ち着け。落ち着いてこのまま警察に電話をするんだ。<br /> 自分の部屋のドアノブに手をかけた、その瞬間だった。<br /> 「あら、ここに居たの」<br /> 「……あ…………」<br /> リビングのドアが開き、弟でも妹でもない、別の人物が現れた。<br /> 顔を何か黒いもので覆い、長い黒髪をさらけだし、群青の服を体に纏っている。<br /> 弟と妹が倒れているリビングから出てきた。加えて、怪しい格好をしている。<br /> もう考える必要はない。<br /> こいつは、このクズは、紛れもなく――俺の敵だ!<br /><br /><br /> 240 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:35:15 ID:9MUG/176<br /> 「ようやく見つけたわ。<br /> 私はあなたを探してた。さっきは危ないところだったのよ。あなたの妹さんが」<br /> 「……見つけたのは」<br /> 「弟さんを眠らせて、体にのし掛かって服を脱がせ……って、え?」<br /> 「見つけたのはこっちだ。この――」<br /> 右足、踏み込む。左足、跳ぶ。<br /> 右足で床を踏み締める。左足と左拳を思い切り伸ばす。<br /> そして、叫ぶ。<br /> 「こんの腐れ外道があっ!」<br /> 拳から、肘、肩、背中に突き抜ける確かな手応え。<br /> 突如現れたそいつは、顔面のど真ん中に拳を受けて後ろに倒れた。<br /> 拳の表面に残る痛みからして、顔に防具らしきものをつけているらしい。<br /> ぐるりと後転し、そいつが言う。<br /> 「ちょ、あなた、いきなり何を」<br /> 「黙れ阿呆!」<br /> 「なっ、阿呆ですって?!」<br /> 「人の家に勝手に上がり込んで、俺の弟妹に好き勝手して!<br /> 阿呆じゃなきゃなんだ! 大馬鹿野郎か!」<br /> 「何よ! 大馬鹿野郎はあなたじゃない!<br /> 人の気持ちは無視するわ、人並み外れて鈍いわ、弟妹の異変には気付かないわ!<br /> さっきは弟さんの貞操の危機だったのよ!」<br /> 「誰がそんなこと信じるか!」<br /> 左足を踏み出し、右足で蹴りを放つ。<br /> 仮面の女の頭部を刈るつもりで放った蹴りは、いとも容易く避けられた。<br /> 勢い余って背中を向けた隙を逃さず、そいつは左足を払い、軸を折った。<br /> 尻を床に強かに打ち付けた。<br /> あっという間に俺は右肩と左腕を押さえられ、床に押し倒された。<br /> 「くっそ、てめえ……」<br /> 「形勢逆転ね。さっきの一撃は良かったわ。でも……あれで倒せなかったのは失敗ね」<br /> もがいても仮面の女のホールドは解けない。<br /> むしろ動く度に四肢を床に縫い付けられている感じがする。<br /> こいつの着ている服、道着か。<br /> そして被っているのは……なんだこれ。ヘッドギアとか言うのか、こういうの。<br /> 顔全体が黒で覆われていて、目だけしか露出してない。<br /> 「……何の真似だよその格好。馬鹿っぽくてお似合いだけど」<br /> 「う、うるさいわね! 顔を隠すものがこれしかなかったんだからしょうがないじゃない!<br /> これだって本当はあなたに被せるつもりで持ってきたんだから!」<br /> 「じゃあ、その格好は?」<br /> 「勝負服よ!」<br /> ……うん、たしかに勝負服だ。実戦的な意味で。<br /> 「住居不法侵入の犯罪者で、その上ファッションセンス無しか。<br /> 可哀想な女なんだな、お前」<br /> 「色々迷った末にこうなっちゃっただけよ! 他にも普通の服はあるわ!」<br /> 「いや、見栄張らなくてもいいぞ?」<br /> なんだか、話してるうちに可哀想になってきた。<br /> そうか。きっと実家の道場を継ぐために毎日毎日修行に明け暮れて、女らしさを磨く暇が無かったんだな。<br /> これまでは一家で力を合わせて頑張ってきたけど、他の道場に門下生をとられてにっちもさっちもいかなくなった。<br /> そしてとうとう門下生は自分一人になり、心労で師範の父が倒れ、道場の看板を下ろすことになった。<br /> でもこいつはそれをよしとせず、道場再建のために活動を開始する。<br /> お金が無いから食事は自給自足。休日は山菜採りで午前中を潰す。<br /> 時々出会う中年夫婦とは仲良しで、会う度に昼食を恵んでもらっている。<br /> 家に帰ったら、父の看病をして、山菜料理を作って、道場で一人稽古に励む。<br /> たった一人で、涙を堪えるために空手で汗を流す。<br /> どうしよう。こいつの目を見ていたら……そんな想像が湧いてきた。<br /><br /><br /> 241 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:36:22 ID:9MUG/176<br /> 「え? なんで涙目になってるの? そんなに痛い? 緩めようか?」<br /> 首を横に振る。<br /> 「そうじゃない……お前の、事情がわかってしまったんだ。そしたら、なんだか悲しくなった」<br /> 「嘘?! ちょっと、今ばれたら私、あわわわわ、まず、やば、どうしよ!」<br /> 「お前、今日一年の教室で俺に話しかけてきた女の子、だろ?」<br /> 「………………………………は?」<br /> 「とぼけなくてもいい。そんな綺麗な長い髪の人はお前以外には一人しか心当たりがない。<br /> その人は間違いなく人の家に無断で上がり込んだりしない。消去法でいって、お前しかいない」<br /> 「無断で上がり込まないって…………あう、あう、あう」<br /> 「ストレス溜まってたんだろ。だから机を叩いた。俺に八つ当たりしたくなった。<br /> 気にするな。俺は怒ってない。事情を理解した今の俺は、お前の友達だ。<br /> 怖くなんかないぞ? なんならこれから一緒に晩ご飯を食べよう。<br /> 弟と妹のことは水に流してやるからさ」<br /> 「そんな目で見つめないで! やめて!<br /> 私がここに来たのは、あなたを、あなたを…………好きにしようと……して!<br /> 罪悪感が、罪悪感が…………うわあああああ!」<br /> 突然叫ぶと、仮面の女は俺から離れた。<br /> 開けっ放しのリビングへ一目散に駆け込んだ。<br /> しかし何を思ったか、再び廊下に仮面に包まれた顔を出した。<br /> 「ごめんなさい! 今日のことは忘れて! 私のことも忘れて……忘れてください!<br /> もう二度としません! さよなら、すいません、さようなら!」<br /> そう言い残し、仮面の女は姿を消した。<br /> リビングを覗き込んだら、窓もすっかり閉めきられていた。<br /> 「うっ……んん、あれ、兄さん?<br /> お帰り、ってどうして僕、上に肌着しか着てないの?!」<br /> 「んんー! んん、んんんんんんんーー!」<br /> あの子はこの寒さの中、無事に家まで帰り着けただろうか。<br /> 午後七時、いつもなら夕食をとるこの時間。<br /> 半袖の弟と、拘束された妹の声に気付くまで、俺は可哀想な仮面の女の子に思いを馳せた。<br /><br /><br /> 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:40:50 ID:9MUG/176<br /> 今回はここで終了です。<br /> それでは、また。<br /><br /> 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07:13:14 ID:q82sb8Fq<br /> 一番槍GJ!<br /><br /> 仮面の女の正体は一体誰だ!!!<br /><br /> 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07:19:36 ID:sVb74MS+<br /> 面白くなってきたじゃねーかww<br /> 葉月さんカワイソス...<br /> GJ!!<br /><br /> 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07:20:02 ID:RRpZzR38<br /> 一番槍GJ!<br /> 逆レイプフラグを華麗にスルーwwwさすがジミーwww<br /><br /> それにしても葉月さんは一年生になったり仮面になったりと本当に忙しい女の子だなw<br /><br /> 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07:36:37 ID:Mqstk9Aq<br /> &gt;&gt;245<br /> あえてハッキリと言わないもんだろ?やぼ天だなあ。<br /><br /> 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07:58:51 ID:ARH+kSWc<br /> あにき は フラグクラッシャー の 称号 を て に いれた !<br /><br /> 葉月「間違っているのは私じゃない!あの人(ジミー)の方よ!!!」<br /><br /> 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 08:01:34 ID:jZon9FGQ<br /> ジミーきてたー!<br /> 惜しみないGJをあなたに。葉月さん可愛いよ葉月さん。<br /><br /> ……にしても仮面の女、か。一体誰なんだ……?もしかして謎の一年と関係が……?<br /><br /> 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 08:12:03 ID:eYopINQh<br /> 俺とした事が兄さんの日を忘れてたぜ・・<br /> GJ!葉月さん報われないなぁw<br /><br /> 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 09:31:57 ID:nFWLKRhi<br /> 待っていたらガチで寝てた。ジミー可愛いよジミー。冒頭のあれは、<br /> 冴子さんじゃなくジミーの父、母世代って事かな?<br /> ていうかジミーモテてきたなw</p>

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