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+138 :Chains of pain :2009/04/11(土) 00:07:00 ID:8TBwVrSe 
+背中に激痛が走る…… 
+それは声すら出せない程の激痛だった。 
+確かに僕は七海の下敷きになった。だがその程度でこんなに大きな 
+痛みが生まれると思えない。 
+……ではなぜ? 理由……わからない。 
+けれども過去にもこのような事があった気がする。 
+あぁ……あれは忘れもしない…… 
 
+「ごめんなさい……ごめんなさい、お兄ちゃん……」 
+背中が熱い。 
+痛いという感覚はこんなにも苦しいものだったのか。 
+「ごめんね……本当にごめんね……だから、あたしを嫌いにならないで……」 
+「……大丈夫だよ。本当に大丈夫だから」 
+胸が痛い。 
+こんな所に怪我を負っていたのか? いや、そんなはずは無い。 
+これは熱くない。いや、僕にとってはもっと辛い。 
+……呼吸が出来ない。なんでだろ? 
+「ごめんなさい……背中……痛いんだよね? ごめんなさい……」 
+暗い顔をされると僕の胸は痛み出すのか? 
+「ねぇ、お兄ちゃん……お兄ちゃん! 何か言って! 嫌いにならないで!」 
+どうやらそうらしい。 
+「お兄ちゃん……」 
+泣かないでくれ……僕は優花の涙も暗い顔も嫌いだ…… 
+僕は優花に悲しみを与えたくなんて無い!  
+……だから、優花。 
+「…………お兄ちゃん!?」 
+……もう、泣かないでくれ。 
+「うん、大丈夫だから……優花は何も悪くないんだ」 
+優花の体温が服を通してでも伝わってくる。 
+……あれ? なんで泣き出すんだよ? 
+「もう……泣かないでよ……」 
+だんだん痛みが引いていく……そうだよ、笑ってよ……優花。 
+
+
+
+139 :Chains of pain [sage] :2009/04/11(土) 00:07:47 ID:8TBwVrSe 
+ほんの一秒未満の失神。 
+いや、そんなものを失神と呼ぶ方がおかしいかな? 
+「…………春斗君……大丈夫……?」 
+あぁ、一応大丈夫だよ。 
+それより泣いているのかな? 七海…… 
+痛かったのかな? それとも僕を気遣ってくれているの? 
+「……七海こそ大丈夫?」 
+「…………う、うん……」 
+そっか、なら良かった。本当によかった。 
+正直、誰も泣くのを見たくない。 
+……あの時に知った痛み。 
+それは恐らくどんな傷よりも深くて治りが遅いことを僕は知った。 
+優花の涙……七海の涙……人の涙……つまり、心の傷。 
+治療薬なんて存在しない。 
+あったとしたらそれは偉大で、どんな賞でも足りないぐらいだ。 
+僕は見たくない、人の悲しみを…… 
+頼む、だから泣かないで、笑顔でいてよ…… 
+「ねぇ、春斗君……このままでも良いかな?」 
+「このままって?」 
+七海の手が僕の頬をなぞる。 
+「七海? 何をして……」 
+反射的にその手を払ってしまう。 
+「……ははは……冗談だよ?」 
+なんで目がうつろなの? 
+「僕は起きたいな……」 
+「ごめん、ごめん……」 
+起き上がった七海が手を差し伸べてくれた。 
+
+
+140 :Chains of pain [sage] :2009/04/11(土) 00:08:12 ID:8TBwVrSe 
+遅い。 
+もう既に鈍間な針は九を指していた。 
+「……お兄ちゃん、あのメモは嘘だったの?」 
+最悪な展開が頭の中に次から次へと浮かんでくる。 
+
+「じゃあね、七海。また明日……」 
+扉を開けようとするお兄ちゃん。 
+「……帰らないで……」 
+あの女が後ろから抱きつく。 
+「な、七海!? ど、どうしたの? もしかして風邪に……」 
+「ばか、春斗君のバカ。本当にどうしようもない馬鹿」 
+状況のつかめないお兄ちゃん。 
+頬を赤く染めて瞳を閉じるあの女。 
+「……これが風邪に見えるの?」 
+「えっと……なんていうか」 
+「……スキ」 
+目を見開くお兄ちゃん。 
+「だから、大好きだって言ってんの!」 
+「……冗談だよむぐっ……」 
+唇が重なり合い……二人の時間は……止まる。 
+
+「……って、イヤーーーーーーーーーッ!」 
+思わず叫んでしまっている。 
+どうやら思っていたよりも想像力が豊かなようだ。 
+しかし、そんな事が起こる可能性は無きにしも非ず。 
+こうしている間にも春斗は…… 
+「ただいまーーーっ」 
+って、帰ってきた!! 
+「あっ……お兄ちゃんお帰りーーっ」 
+いつものように駆け出す。一秒でも早く春斗の顔が見たいから。 
+そして食べてもらうんだ、あたしの気持ちを。 
+
+……今日は春斗の大好物……カレーなのだから!!