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205 :桜の幹 [sage] :2009/06/03(水) 18:19:39 ID:3LREFAZM 信じられない。幹也に友達が出来てしまった。 しかも二人も。 その友達とやらのせいで私はこの二週間まともに幹也と夏休み中の午後の余暇を幹也と過ごしていない。 今日だってそうだ。幹也はお昼ご飯をすぐさま片付けると、私に断りもせずに出掛けてしまった。 「じゃあ、幹也をよろしくね」 「はい、分かりました。おばさま」 幹也のいなくなった後に私は入れ替わりの様な形で幹也の家に来てしまった。 おばさんを見送った後、思わず爪を噛んでしまう。 「熊原・・・・・武士、か」 これは私にとって呪いの言葉だ。 私から幹也を奪おうとする奴。 何年も、何回も、私が守ってきた幹也。 私がいる限り、幹也には私しかいない。 許せないのか、許さないのか。どちらでも同じ事だけど、私はふいにそんな事考えてしまう。 幹也も幹也だ。幹也には私しかいないはずなのに、私がいるのに幹也は・・・・・。 許せないのは幹也か、ゴミか、私は混沌を極めつつある私の中にホトホト呆れていた。 今、私はなぜ幹也を責めたのか。ついに我慢も限界なのか。 なら、私はそろそろ幹也に認めさせようと思う。幹也にも、私にも互いしか必要がない事を。 幹也もきっと分かってくれる。だってこんなにも素敵な事なのだから。 206 :桜の幹 [sage] :2009/06/03(水) 18:20:11 ID:3LREFAZM ◇◇◇ 「なぁ、菅野。お前とよく一緒にいる女子ってさ、お前の彼女?」 武士はつまらなさそうにポテチを一つ摘んで僕に問いかける。 小町先輩も「あ、私もその話興味あるー」などと会話に参加してきた。 「えっと、女子ってさくらの事だよね?」 「他にお前喋ってる奴いないだろ?」 たしかに。 「大体ミッキー顔はいいのにさ、なんで嫌われてんのさ?」 僕は曖昧な笑みを表情に貼り付けて、分からない様子を首を横に振るだけで伝える。 実際、あの事件で変わってしまったのは周りではなく僕の人を見る角度なのかも知れない。 何度も小突く教師を睨み、土下座して頭を上げた時に僕を突き刺していた視線たちに一瞥をくれた時、さくらが汚れた机を必死に拭いているのを見た時。あの時に、僕は少し厄介な事に気が付いてしまったのかも知れない。 残酷な事に要領を上手く得ないそれは、あの時から僕の心の隅を犯し続けていた。 「僕の事はともかく、さくらはとってもいい奴です。なんで僕なんかを好いてくれているのか、僕自身、分からないぐらいで・・・・・」 困った風に言うと、武士が僕の肩を弱くパンチした。 「馬鹿、俺が聞いてるのは彼女かどうかだよ」 僕はパンチされた肩を軽く摩りながら有耶無耶に頷いた。 なんであれ、さくらは僕との関係を未だに続けてくれているのだから。 ◇◇◇ 遅い、遅すぎる。 私がご飯を作り終えてもう一時間も経つのに幹也はまだ帰ってこない。 ご飯をいつ作り始めるか電話で聞いたのは丁度一時間半前。 幹也はあと三十分で帰ると言っていたのに、幹也はそう言ったはずなのに。 幹也が私との約束を蔑ろにした?本当に? 時計を何度も何度もイラつきながら睨む。 心配だ。もしかして事故にでも遭ってしまったのか? もう少し待ってから、もう少し待ってから。 そう心の中で祈りみたいなモノを心の中で何度も描き、玄関を監視し続けている。 時計を見た。 人生で一番長いに時間が経過しようとしていた。 携帯のリダイヤルからすぐに幹也を呼び出した。 prrr、prrr、ガチャ。出た、呼び出し二回。 「もしもし、幹也?」 「あっ!石田さん?」 電話に出たのは幹也の声では無かった。委員会で何度か聞いた事のある声だった。 少しの逡巡の後、名前を思い出した。 「熊原先輩ですか?」 「うん、ミッキーさ携帯忘れて行っちゃったみたいでね、ん?あれ石田さーん?」 全身から血の気が引いていった。 いつの間にか私は拳を作っている。 聞こえないように受話器の向こうに気付かれないように、息を吐いて、吸った。 「幹也が、そちらのお宅を出たのは何時頃ですか?」 「え?ああ、ついさっきだよ。いやぁ、スマブラで盛り上がっちゃってさー」 「失礼します」 私は用件を聞いてすぐに電話を切った。 幹也は私との約束を、約束を・・・・・。 207 :桜の幹 [sage] :2009/06/03(水) 18:20:38 ID:3LREFAZM ◇◇◇ 「ただいまー」 玄関を開くと仄暗い廊下に白い靴下を履いた両足が見えた。 膝ぐらいまでしか見えないけど、僕はすぐにそれがさくらだって分かった。 「おかえり」 消えそうなか弱い声でそう聞こえた。 「さ・・・、さくら?どうしたの?明かりも付けないで」 「幹也・・・・・」 ひたりと白い足が僅かに前進する。 ゆっくりと全身が見えてきた。 白いワンピースに、シャツを羽織っているみたいだ。 でも白いワンピースだけが仄暗い背景に映えて少し不気味だ。 「・・・・・ッ!」 思わず立ち竦んでいると、いきなり襟を掴まれ引き寄せられた。 「幹也、私が電話した時何時ごろ帰るって言ったっけ?」 僕をすごむ眼がギラギラしていた。 「・・・・・幹也、答えて」 「あっ、う」 首が締まり始めた。 さくらの震える手が、僕を責める眼が今までの何よりも怖かった。 「私、言ったよね?六時半には帰ってきてね、って」 僕は声ではなく、首の動作だけで答える。 「そう。言ってたよね?じゃあね幹也、今は何時か分かる?」 僕はやっとの事で八時半だと答える。 そこでやっと、僕の襟を閉めていた手が解かれた。 同時に肺に今までの分の酸素が入ってきた。思わず咳き込む。 「が、っは」 荒い息遣いをしながら僕はその場に蹲る。 さくらの方を見上げると、さくらは薄い笑みを浮かべながら僕を見下げていた。 「幹也ぁ・・・・・」 さくらはしゃがみ込んで、僕の顔を覗き込んできた。 「さ、さくら?どうしたの?」 さくらは何も言わずに、僕をただ見つめるだけ。 さくらの黒い瞳が、僕だけを閉じ込めている。 「幹也は・・・・・」 ふいに声が掛かった。同時にさくらの両手が僕の顔を包む。 「どれだけ私が待ってたか、知ってる?」 「え?」 「私が、夏休みに入ってからどれだけ我慢してきたか。ねぇ、知ってる?」 未だに僕は黒い宝石に閉じ込められていて怯むばかりだ。 「答えてよ。幹也」 「・・・・・っ」 何か言おうとしたけど、それはすぐに奪われてしまった。 「んっ、ちゅ・・・・・」 さくらが僕の口を塞いでいたからだ。 さくらの舌が、僕の舌と絡められる。 それでも、黒い瞳は、宝石は僕を捕まえたままだった。 208 :桜の幹 [sage] :2009/06/03(水) 18:22:25 ID:3LREFAZM ◇◇◇ 長い、とても長い口付けが終わり、さくらは満足そうな笑みを浮かべて、言った。 「幹也、今日はいつもより気持ちよくしてあげる。明日も明後日も、ずっと、ずっと」 さくらがおかしくなっている。それには気付いた。 でも僕はさくらの得体も知れない圧迫感に閉口するばかりでどうする事も出来なかった。 ただただ、さくらの言う事に頷くばかりで、宝石から逃げる事も出来なかった。 「部屋に、行きましょう?」 何だか艶かしい口調でさくらは言う。 僕は頷くだけ。 さくらは僕を立たせて、手を引きながら、僕と一緒に部屋に入った。 それから僕はさくらにベッドへと押し倒された。 「あは、幹也。今日も素敵だね」 さくらは僕のシャツをめくり、臍から舐め始めた。 徐々に上へ、上へ、と這い上がってくるそれに僕の背筋は敏感に反応した。 不気味な痺れが気持ち悪い。 「うっ、」 「えへへ、みきやぁ、みきやぁ」 首筋まで来ると、さくらは荒い息遣いで僕の耳を口に含んだ。 「さくら?」 「もう、もう我慢出来ない」 さくらはそう言ってワンピースを捲って、ショーツを脱ぎ捨てた。 それから僕のズボンのチャックを下げる。 「幹也、私のアソコ、もうグチョグチョだよぉ」 さくらは少し腰を浮かして、僕の性器にを自らゴムを付けて、挿入した。 「あっ!あっ!」 さくらは挿入したあと、僕の方に倒れてきて何度か身体を震わせた。 それでもまるで呪文の様に僕の名前を唱えているさくらに僕はまた竦んでしまった。 さくらはゆっくりと身体を起こして、騎乗の体制に戻る。 揺れる黒い瞳はただ僕だけしか映していない。 「えへへ、幹也ぁ?もっと気持ち良くして上げるね?」 妙なアクセントを含みながらさくらは自分の右手の指を舐めて、繋がっている場所へとその手を回した。直後。 「ッッッ!」 電撃が走った。感じたことも無い痛みだ。 「幹也、痛いよそんなに締め付けちゃあ」 さくらが僕のお尻に指を入れていた。 痛い。思わず視界が滲む。 「さ、くら・・・やめ、うっ!」 さくらが中で指を動かしたのがまた鮮烈な痛みを走らせる。 ◇◇◇ 「幹也?そんなに力入れたら、んっ、切れちゃうよ?」 「あ、がっ!」 ぬるりと、穴が広がった。 「二本も入っちゃったよ、幹也」 「いたい、よ、さくら」 さくらは二本の指を上下に動かしてさらに奥に指を突っ込んできた。 「幹也、気持ちいいでしょ?」 また指が動いた。 「あぅ!」 次の瞬間、今までに無い射精感が、一気に噴出した。 ドクン、ドクン。と脈を打っているのが分かる。 「あはは、幹也ぁ、ゴムを通しても分かるよ?すっごい量だねぇ」 僕はその満足そうなさくらの呂律が回っていない口調を最後にその日の幕を下した。

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