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284 :ケン君、危機一髪 [sage] :2009/06/08(月) 19:29:44 ID:qYPOnSYP 身を清めた後、帯を締めなおす。 朝の道場で鍛錬をするためだ。 道場の戸開くと、僕よりも早く冷えた道場の木張りの床に正座して待つ人の影があった。 「遅かったわね」 静かな声が、床と同じくらいの冷たさで伝わる。 長い髪を後ろでまとめて、袴姿が栄えるほどの気品さを持ち合わせている美女。 この道場の師範代、和美さんだ。 「組み手、お願いできるかしら?」 「は、はい!」 「あ、でも……、まずは柔軟から始めないといけないね」 ニッコリと彼女は微笑んでから、正座を崩した。 そのままゆっくりと立ち上がり、僕の方へゆっくりと足取りで彼女は言った。 「さぁ、始めましょうか?賢君」 「押忍、お願いします、師範代」 そういうと、彼女は僕の額をピンッといった感じで指で弾いた。 「もう!二人の時は和美って呼んでって言ってるでしょ?」 「お、押忍、よろしくお願いします、か、和美さん」 「うん!よろしくね、賢君」 僕が身売りの人から、この道場の師範代に買われて、もう五年にもなる。 この道場の流派は怒獲棲流という流派で、本州にある病出冷流の基礎を汲んだ言わば末端の流派だ。 日々の鍛錬、そこからの基本の繰り返しにより基を技とし、更なる鍛錬により奥技に至る。というものでなにしろ基本を重んじる。 またその基本も厳しく、門下生は極めて少ない。 帯が黒になると、石段に突き百回、木刀で腹筋を何回も叩くなど、常軌を逸した鍛錬を要す。 まさしく身体を凶器に変えていくのだ。 そしてその過程で技を習得していく。 ある時は師から、ある時は書物から、基本を崩さず技を会得していく。 そして会得してきた技の数で段位を上げていく。 ちなみに僕はまだ技を二十八しか体得していない。 師範代になるのは大体百二十ほどらしい。 僕はまだまだ鍛錬中の雛っ子だ。 285 :ケン君、危機一髪 [sage] :2009/06/08(月) 19:31:40 ID:qYPOnSYP 「賢君、行くよ?」 「あ、あの」 「うん?」 「このぐらい一人で出来ますよ」 「駄目!こういうのは二人一組でやって意味があるの!」 「はぁ…」 「ホラ行くよ?」 「はい、お願いします」 息を吐いて、和美さんが僕の上半身を前に倒す。 耳元に荒い呼吸が当たる。 「か、和美さん?」 「ん?なあに?」 僕は背中に当たっているモノを口にした。 「そ、その胸が」 「ん?なぁに、聞こえないよ?」 耳元の和美さんの息がさらに乱れた。 「いえ、何でも無いです…」 後から聞いた話だけど、僕を買ったのは師範代ではなく、和美さんだったらしい。 五年前、和美さんがついに技の第二百五十を体得し、昇格祝いに僕が買われたらしい。 和美さんは女性初の怒獲棲流師範で、九歳の頃から才能を見込まれて道場に出入りしていた。 彼女が僕を買ったのは怒獲棲流を始めて五年目の事だった。 寒い、冬の半ばだったのを覚えている。 虚ろな眼で奴隷商に声を掛け、僕を指差して微笑む彼女はまるで雪を被った桜の花びらみたいだった。 「じゃあ、組み手でもしようか?」 袴に掛かった埃を払い、和美さんは道場の中央をまで歩いていって構えを取った。 シン、と道場の床越しに冷たいモノが走った。 僕は一度息を深く吐いてから、中央にまで歩み、構えを取った。 「フフッ、ピリピリする」 僕は答えない、隙は見せたくない。 「あらら、無視しちゃうんだ。寂しいなあ」 和美さんはそこまで言うと、左足を一歩前に踏み出した。 思わず浮かしていた踵が強張る。 「表情も、構えの隙の無さも、突き放す気迫も申し分無い」 また一歩、右足がジリジリと足を擦るように近付いて来る。 息を吐く。いた白い息が凍りつきそうな緊張感。 「随分と強くなった、ね。賢君」 右足の指先が間合いの端に入った。 「ああ、ここが賢君の間合いね。いいわ、ゾクゾクしてきた」 和美さんの左足が踏み出した瞬間、拳を突き出した。 和美さんは信じられない様な反射で左腕で僕の拳を逸らすと、そのまま右足を上段に放ってきた。 僕も右腕で受けた。ガンっと硬い者同士がぶつかる音が骨を通して聞こえる。 「コレも防ぐ、いい反射よ」 一歩、僕が後退する。 間合いギリギリ入らないように離れる。 「駄目駄目、せっかく賢君が撃ってきてくれてたんだから」 ユルリと、和美さんは腰を落として一気に僕が突き放した間合いを詰めてきた。 下段からの攻撃。 微かに見えた合掌に勘が働き、顎下と水月を固める。 ドン。 木刀で殴られた時と同じ音が水月を固めていた右腕を撃った。 「コレも防ぐの?」 なんとかやり返そうと、睨んだ直後、何か重い物が肋骨に刺さった。 重い息が、腹の底から出る。手刀が両腕の隙間から肋骨に突き刺さっていた。 「次、太股」 シュっと空気を切る音の後、右の太股が熱く、重くなった。 286 :ケン君、危機一髪 [sage] :2009/06/08(月) 19:32:57 ID:qYPOnSYP 蹴りが入ったと思った頃には構えが崩れていた。 そのまままだ下段に構えていた和美さんの突き出そうとしていた掌が見えた後、視界が天井に変わった。 顎に、決められた。 そのまま吹き飛ぶと、長い間宙にいた。 やっとの事で着地した刹那、胃袋の辺りに衝撃と爆発が起きた。 「ガッ、ハ」 「あは!」 和美さんの膝が重く、水月にめり込んでいた。 そのまま一秒もしない間に、鼻に何かがぶつかった。 和美さんの拳だ。 僕は頭を支配していた痺れを払うと、思い切り和美さんを突き飛ばした。 鼻からの呼吸は鼻血で儘ならない。 腹の底からは何かが這い上がってくるみたいな錯角を覚える。 咳き込みながら、離れた和美さんを睨む。 和美さんは何故か息を荒くしながら、ギラギラといった視線で僕を見つめていた。 深呼吸三回で、一気に感覚が戻ってきた。 腹の痛み、鼻血が滴る感触、太股の熱。 一歩踏み出して構えを治すと、肋骨の軋みが響いてきて、口元を歪ませてしまった。 和美さんはそれが嬉しいのか、口元に薄い笑みが広がっていく。 「行くよ?」 聞こえた時にはもう目の前にいる和美さんに僕は左手を突き出した。 和美さんはそれを避けて、左の脇で挟むと、右の掌を僕の上腕に思い切り突き出した。 鈍い音の後、鮮烈な痛みが走る。 「肩、外しちゃった」 思わず、右足を和美さんの上段に放つ。 和美さんはそれを難なくしゃがんで避けると、軸足を払った。 僕はすぐさま無様な受身を取ったが、すぐに和美さんは踏みつけてきた。 一度踏み付けを受けて、二度目を転げて避けて立つと、和美さんは宙に跳ねて、背中を見せていた。 そのまま腰の回転と共に後ろ回し蹴りを僕に放った。 受けは間に合わず、放たれた踵が水月を突き刺した。 知ってる。技の二十八、踵割りだ。 また吹き飛んだ。 今度は着地と共に身体がピクリとも動かなくなって、すぐに距離を詰めてきた和美さんの追撃で意識が消えた。 287 :ケン君、危機一髪 [sage] :2009/06/08(月) 19:35:25 ID:qYPOnSYP 「け…く…けん…ん」 声が聞こえた。 身体は言う事を聞かない。 目蓋を開けるのがやっとだ。 視界に広がっていったのは天井と、心配そうに僕の顔を覗き込んでいる和美さんの綺麗な小顔だった。 「和美…さん?」 そこまで言うと咳き込んだ。 和美さんは僕の顔を濡れた手拭いで拭うと、ニコリと微笑んだ。 後頭部の柔らかい感触に、僕は何度目か分からない敗北を悟った。 和美さんの膝枕だ。 和美さんと組み手をして僕が負けると決まって和美さんは僕を膝に乗せながら手当てをする。 まぁ、いつもの事なんだけど。 「水、貰えますか?」 「うん、いいよ」 和美さんは頷くと、水筒に口を付け、含んで、僕に口渡しをする。 まるで奇妙だ。 ぬるりと、水と共に舌が絡んで来る。 和美さんは僕が水を飲んだ後もその行為を続ける。 身体は、動かない。 そのまま口付けを続けながら、和美さんの手は僕の胴着の帯へと伸びていく。 「駄目です」やっとのことで和美さんの口付けから逃れて僕は言う。 和美さんはまるで聞こえてないみたいに僕の頭をそっと床に置いて、それから僕の上に跨り胴着を脱がしていった。 今日こそは、何としてでも防がなければ。 防ぐ、と言うのは和美さんとの性交のことだ。 僕が始めて和美さんとの組み手で負けた時、今よりもコテンパンにやられて骨折までした時。 僕はやはり気絶していて、起きたときに驚いた。 和美さんは僕の胴着を脱がせ、愛撫していたのだ。 僕が動けない事を知ってか知らずか和美さんは自ら僕と性交に及んだのだ。 怒獲棲流に僕の様な汚い血を混ぜるわけにはいかない。 僕は必死に訴えた。 「和美様、駄目です。辞めてください」 和美さんはそれを聞くなり拳を振り上げて僕の鳩尾に落とした。 さっき飲んだ水が少し口の中に上がってきた。 「黙って、賢君」 和美さんは続けて二発、水月と喉に抜き手を放って言う。 「貴方は、私の物でしょ?ほら、分かったら復唱しなさい」 今度は張り手が飛んできた。 「うっ、」 「早く、ホラ」 また張り手が冷たい道場に響く。 「僕は…和美さんの…物……です」 和美さんはそれを聞いて嬉しそうに微笑むと、今度は僕の顔の輪郭に沿って指で撫でた。 「そう、あなたは私の物、貴方の名前も、貴方の拳も私が作ってあげた」 和美さんはそこまで言うと、僕の性器を自らの性器にあてがい、腰を下した。 「ッッ!」 不覚にも身体に余計な力が入らないせいか、和美さんの中は気持ちよかった。 「動くね?」 288 :ケン君、危機一髪 [sage] :2009/06/08(月) 19:37:57 ID:qYPOnSYP 僕の上で腰を振る和美さんはとても淫らで、美しかった。 後ろで結んでいた髪を解き、僕の胸に降りてきていた髪はとっても綺麗で、一本一本が絹みたいな、そんな高級な雰囲気を漂わせていた。 和美さんを見上げると、あの時の、僕を買った時の虚ろな眼だった。 和美さん、ごめんなさい。 僕、もっと強くなって、和美さんを拒絶します。 だから今だけは、このまま休ませてください。 僕は、和美さんの中の痙攣と共に精子を放ち、また目を閉じた。 賢君が私の中に子種を放った後、賢君はまた眠りに落ちてしまった。 私はお腹の中の温かさの余韻に浸りながら、賢君の顔を撫でた。 私と賢君との出会いは交流試合の帰りだった。 私はその日、本家の病出冷流からの出場者をボコボコにして、再起不能になるまで膝を踵で踏みつけた。 私はその頃、怒獲棲流に関わる全てを憎んでいた。 道場では何人もケガ人を出し、あまつさえ山の熊さえ殺していた。 交流戦の帰り、私は人買いの商品の中に、賢君を見つけた。 彼は私の視線に気付いたのか、私と眼を合わせる。 彼は私を見つけるなり、微笑んで手を振った。 その時、私の中に何かが駆け抜けた。 内腿が震え、膣が熱くなった。 私は、濡れていたのだ。 私はすぐさま交流戦で貰ったお布施で彼を買った。 彼を買った後、私は父の替わりに師範代を勤めると誓い、その手助けに彼を買ったと告げた。 おずおずと父に頭を下げる彼の姿に父も頬を緩め、「勝手にしなさい」と許可をくれた。 あれから五年、私は組み手と称して彼に私の印を押していった。 脱臼、骨折、打撲、賢君のありとあらゆる所に私の烙印を押してきた。 彼の苦悶に歪む表情も、私に抗う顔も堪らない。 今日も、脱臼させた鈍い音聞いた時、私は快楽に落ち始めていた。 いや、もしかすると彼が打ち込んできた時からかも? 私はこれからも彼に勝ち続ける。 彼に私の烙印を刻み続ける。 その為に私はこの家を継いだのだから。 その為に門下生の大半の血を見てきたのだから。 私は寝息をたてている賢君に優しく口付けをして、医務室まで抱えていく事にした。 「医務室で…もう一回…えへへ」

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