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686 :名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:09:33 ID:MOxK/u9Q 「功君、功君・・・」 日が昇り始める気持ちのいい朝。涼やかな声が聞こえる。 功君と呼ばれた男が目を覚ます。なかなか寝起きがよい。 しかし男はそれ以上の行動に移らなかった。少し顔色を悪くしながら、 「・・・光、すまん、この二人を起こしてくれないか?」と自分の左右の腕を見比べる。 光と呼ばれた少女は「うん」と頷きながら、男の両腕に抱きついて寝ている少女二人に声をかける。 「沙織、詩織も起きなさい!功君が起き上がれないよ!」 「うにゃぁ・・・」「うにゅぅ・・・」と似たような声を出して二人はまだまだ眠たそうに起き上がる。 その顔は同一人物としか言いようがないほど同じ顔だった。 「もう!あれほど勝手に功君のベッドに入るなっていったのに・・・!」 「だってえぇ・・・」「一緒に寝たいぃ・・・」 「私だって、功君と一緒に・・・って違う!」 光、沙織、詩織は三人とも美少女で普通に通るほどの整った顔立ちをしている。 普通の青少年なら、こんなやり取りをされたら嬉しくもあり恥ずかしくもあり、といったところだろう。 しかし、男____高原功一はベッドに座って少し辛そうに俯いていた。 その様子にすぐに気づいた三人は功一に近づき心配そうに顔を覗き込んでくる。 「お兄ちゃん、大丈夫?」と右から詩織。 「功兄、大丈夫か?」と左から沙織。 「ああ、大丈夫だ。心配かけてすまんな・・・」 「沙織、詩織、功君はまだ完治してないんだから・・・気持ちは分かるけどできるだけ我慢して?」 「・・・うん、わかった」「ごめんな、功兄・・・」二人は素直に頷いた。 「分かれば宜しい。じゃ、姉さんが下で朝ごはん作ってるから、手伝ってきてあげて。功君も早く起きてね」 688 :名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:11:26 ID:MOxK/u9Q 「「「「「いただきます」」」」」 キッチンで一斉にそろう声。[ご飯は皆揃ってから一緒に食べる]が高原家の掟 「ねえ、功一」と一番流し台に近い席に座っている女性が声を掛ける。 「ん?なんだ雪姉?」 「今朝の事、話は聞いたんだけど、まだ女性が苦手なの?」 「ああ・・・。普通に話したりちょっと触られたりするくらいならもう平気なんだがな・・・  突然声を掛けられたり、触れられたりしたら、体が反応しちまうんだよ」 雪姉こと高原雪菜は「そう・・・」と一瞬暗くなったが、間を措かずに 「大丈夫!功兄なら、すぐに克服できるさ!」 「そうだよ!ここまできたんだからもう少しだよお兄ちゃん!」 と、双子から励ましの声が飛ぶ。 「二人の言うとおりだよ姉さん。ここまできたんだから、もうそういう暗いのは無し!だよ」 「・・・ふふ。そうね」 暗かった顔がすぐに笑顔になる。 「でも、光や沙織、詩織に励まされるなんて、私も落ちぶれたものね」 「あ、言ったなー。私を甘く見てると後悔するよ、姉さん」 「そうだそうだ!光姉はともかくボクはもっとしっかりしてるぞ!」 「詩織も詩織もー!光お姉ちゃんよりしっかりしてるもん!」 「・・・あんたたち、私を馬鹿にしてるでしょ・・・?」 その後もしばらくキャアキャア言い合っていた姉妹だが、 「お前ら、早く食わねえと遅刻するぞ」 と、功一に急かされて朝食を手早く終わらせ、登校の支度を始めた。 689 :名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:13:32 ID:MOxK/u9Q 「いよう、功一。相変わらずハーレム空間全開だな、おまえ」 後ろから聞きなれた声を掛けられる。 「おう、猛か」 「あ、竹原君、おはよ」 「ああ、おはよう光ちゃん!どうだい、今度遊」 「昨日断ったばかりです」 「あ、ははは・・そうだったね。じゃあ、沙織ちゃんか詩織ちゃ」 「ボクは功兄以外の男の人とはあそばないよ!」「詩織もー!竹原先輩よりお兄ちゃんがいいー!」 「ふふ・・・。ブラコンな妹達ね、まったく。ごめんね竹原君」 「おお!では雪菜先輩は・・・」 「残念だけど、私も妹達に負けず劣らずブラコンなの。貴方にも興味ないしね」 「何気に一番酷いぞ、雪姉・・・」 姉妹の口撃にボロボロにされる猛。いつもの光景だ。 しかし、ここからがいつもと少し違う展開だった。 しばらく、ガッカリしていた猛だったが、突然顔を上げて叫びだした。 「いや!俺は諦めん!聞いたか功一!明日あたりに俺たちの学年に転校生が来るらしいぞ!」 「ああ、そうらしいな。それで?」 「聞いて驚け!その転校生、すごくきれいな上に超お嬢様らしいぞ!」 猛は気づかなかったが、この言葉に高原家全員が反応した。 「・・・ぐ、マジか?」 「おう!マジよマジ!なんだ、気になるのか功一?」 「そりゃな」 「てめえ!こんな美人姉妹に囲まれてまだ足りねえってのか!?なんて野郎だ!」 そういうと、猛は 「てめえみたいなすけこましにお嬢様はやれん!いただくのはこの俺だーー!!」 と叫びながら学校に走り出してしまった。 「そういう意味の気になるじゃねーよ、落ち着きのないやつだな」 「転校生はきれいなお嬢様か・・・大丈夫?功君」 光が心配そうに聞く。双子と姉も何か不安そうに功一を見る。 「ああ、できるだけ近づかないようにするよ」 690 :名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:15:07 ID:MOxK/u9Q 学校に着くと、雪菜は3年、沙織、詩織は1年、功一と光は2年の教室へ向かう。 功一は、教室の席について辺りを見回す。 どこもかしこも転校生の話で持ちきりだ。 「すごい熱気だね」 自分の席にかばんを置いた光が近づいてくる。 「ああ。特に男子がな」 と、一人の女子が近づいてきた。光の友達だ。 「ちょっとちょっと、やばいんじゃない光?」 「何が?」 「転校生ってすごくきれいらしいじゃない。高原君、なびいちゃうかもよ?」 「あはは、功君に限ってそれは無いよー」 「むむ、大した信頼だね。でも、お嬢様のほうから誘うかも・・・」 「それでも、功君は断るよ。しつこかったら、私もはっきり言うから」 「まて、おまえら。俺はそんなにモテモテボーイじゃないぞ」 なぜか、転校生が功一を気に入るという方向で進んでいる話を功一は切ろうとしたのだが、 「高原君、知ってると思うけど高原姉妹は美人ぞろいで有名なんだよ」 「・・・それで?」 「その4人に常に囲まれてる男って、普通の人から見たらすごくモテモテに見えると思うけど」 「俺達は一応兄妹だぞ」 「でも、義理でしょ」 「・・・・・・」 しばらく沈黙が続いたが、やがて 「ま、少なくともあそこで騒いでる男子よりかはモテてると思うよ、高原君は」 と、彼女が指差した先には 「うおーー!今度こそ彼女いない暦=生きた年に終止符を打って見せるぜーー!!」 と、叫んでいる猛の姿があった。 「・・・あいつは、黙ってりゃ結構いけてるやつだと思うんだがなぁ」 691 :名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:17:08 ID:MOxK/u9Q 転校生の話題以外は特に何事も無く下校の時間を迎える。 帰宅後は雪菜、功一、光の三人で晩御飯の準備をする。沙織と詩織は部活動がある為帰宅が遅い。 晩御飯の準備といっても功一は料理はできないので、大体買い物の付き添いか、雑用である。 沙織と詩織が帰ってきたら、少し間を置いてから晩御飯となる。 「「「「「いただきます」」」」」 食事が開始されてから少したったころ、 「ねえ、お兄ちゃん」 と、詩織が功一に声を掛けた。 「ん、なんだ?」 「お兄ちゃんの学年に転校してくる人って、女の人なんだよね?」 「あ!それ!それボクも聞きたかったんだ!大丈夫なの、功兄!?」 沙織も話に加わり、功一に詰め寄ろうとするが、雪菜に止められる。 「落ち着いて、二人とも。後、沙織はご飯粒飛ばさない」 「あ、ご、ごめん・・・」 というやり取りを見て、功一は苦笑しながら答える。 「昔ならともかく、今はもう大丈夫だ。大体、クラスも半数近くは女子なんだぞ」 光もそれに追随する。 「そうそう、それに、2年は5クラスもあるんだよ。まず、同じクラスになるかわかんないよ」 「そういうことだ。だから安心しろ」 この話を聞いて二人は納得したらしく、 「うん、わかった」「それを聞いて安心したよ」 といって、食事を再開した。ところが、その直後に、今度は雪菜が二人に聞き返した。 「ところで、二人は今日の部活はどうだったの?」 すると、沙織が不機嫌に、詩織がニコニコと答える。 「ううう、その話はあまりしたくないな・・・」 「あは、今日も詩織が勝っちゃったもんねー♪」 「うるさいな!次だよ。次こそ勝つからね!」 「ふふふ~、いつでもかかってきなさい、さ・お・り・ちゃん」 「うぐぐ・・・。く、くやしいぃぃ・・・」 というやり取りを見ながら功一は光に小声で話しかける。 「あの二人が空手を始めたのって、確か護身術の代わりだったよな?」 「うん、そうだよ」 「でも、あの二人、かなり強いらしいな」 「うん、特に詩織の方は、すでに3年の先輩でも勝てないほどの腕前らしいよ」 「・・・そりゃすげえな、あの二人とだけは喧嘩は避けよう」 と、この後もいろいろな雑談をしながら時間は過ぎていった。 しばらくして、功一は姉妹に寝ることを告げ、双子に勝手にベッドに入らないように念を押してから 自室に戻りベッドにもぐりこんだ。 (転校生か・・・。ま、なるようにしかなんねえか・・・)

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