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912 :相反する2人 3話 [sage] :2009/11/20(金) 00:27:20 ID:i9ytejrS 入学式から三週間がたち、やっと学校生活にも慣れてきたころだ。 高校生活が始まると同時に、両親が長期出張に行ってしまい、自炊はどうしようと考えていたが、奈々枝が「ボクが朝昼晩ご飯を作ってあげるよ!」と言ってくれた。 気持ちはありがたいのだが、幼馴染みだからといって、さすがにそこまで世話になるのは申し訳ない。 「いや、さすがに奈々枝も毎日メシ作るのは、大変じゃないか? 俺のことは、気にしなくていいぞ。」 遠まわしにやんわりと断ったつもりが、 「・・・ボクが作ったご飯、食べるの嫌?」 涙目の上目遣いで今にも、泣きそうな声で俺に問い掛けてきた。 913 :相反する2人 3話 [sage] :2009/11/20(金) 00:28:59 ID:i9ytejrS 考えてみてもらいたい。 道のド真ん中で、超絶美少女と見た目がよろしくない男がいて、男の方が、女の子を泣かしているように見えたら・・・ 考えたくもないな。 奈々枝を泣かした後の惨劇なんて、容易に想像出来る。 ・・・仕方ない。 「わかった。メシのほうは、お願いしてもいいか。」 「う、うん!! ボクに任せておきなよ!」 「でも、1つだけ条件がある。」 914 :相反する2人 3話 [sage] :2009/11/20(金) 00:33:19 ID:i9ytejrS 「条件?」 「あぁ、毎日メシを作って貰うのは、悪いから1ヶ月に一回だけ、俺が出来る範囲で、どんな雑用もしてやるよ。」 「・・・、それ、ホント?」 「あぁ、宿題だろうが、掃除だろうが、何でもござれだ。」 「・・・今の言葉に嘘はないよね。」 なんで、そんなに疑り深いんだ? コレぐらい当然だろう。 「あぁ、嘘はないよ。」 そう言うと、先ほどまで泣きそうだったのが、今はすっかり元気になってやがる。 ・・・これは、1ヶ月後が末恐ろしいな。 まぁ、でも途中で諦めるだろう。 俺なんかのメシを毎日作るのは、苦痛だろう。 それよりは、好きな男に弁当とかを作ってやるのがいいと思うな。 俺みたいな男にこんな優しくしてくれるのは、やはり昔のことを気にしているのかな…。 だとすれば、あんまり無理はしないで欲しい。 915 :相反する2人 3話 [sage] :2009/11/20(金) 00:34:21 ID:i9ytejrS 昔のことは、気にしなくていいし、俺と朝昼晩ずっと一緒にいるのも苦痛じゃないかな。 まぁ、途中で奈々枝が諦めても、家の近くにある奈々枝の好きな「甘味堂」で好きなだけ、デザートを食べさせよう。 ・・・今のうちに、自炊を覚えておくかな。 916 :相反する2人 3話 [sage] :2009/11/20(金) 00:36:31 ID:i9ytejrS しかし、俺の認識は、甘かった。 奈々枝は、1日も手を抜くことはなく、宣言通りに、毎日メシを作りにきてくれているのだ。 しかも、味は格別、種類が豊富、体に良いものなど、工夫して作ってきてくれている。 ・・・ここまでしてくれるのは、予想外だったな。 多分、ゴールデンウィークにある宿題のためだろう。 噂では、うちの学校のゴールデンウィークに出てくる宿題の量が途轍もなく多いらしい。 まぁ、いいだろう。 毎日、こんなに上手いメシを作ってくれているんだ。 頑張るしかないか。 ハァ、やれやれだぜ。

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