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182 :キレた人々4:2010/02/23(火) 01:43:42 ID:4S0OiKYh 「ぃよーう、久しぶりさねぇ。重ねて言うけど寂しかったぜ」 そう言って笑いながら肩を組んでくる天音さん。 周りの生徒たちは俺のことを『なんだこいつは』みたいな眼差しで見ている。目が合った奴は美人と知り合いなのを羨んでいる。 しばらくすると、その生徒たちもどこかへ散って行った。 それにしても、相も変わらず派手な人だ。生徒の目を引くのも当然だ。 肩まである髪の先を赤く染めて、一房だけ長い部分を七色に染めている。これだけでも目立ちに目立つが、この人は服装もどこかおかしい。 ディーラーが着ているような腕の袖のないパンツスーツ・・・しかも特注らしい・・・の上に俺に奢らせたジャケットを羽織っている。しかし靴は軍用のブーツ。実にアンバランス極まりない。 「さってと、じゃあ行きますか!」 「まだ手伝うとは言ってないんですけど」 「いいじゃねぇかよ。今回は報酬が凄いんだよ、な、な?」 腰を屈めて俺より低くなって上目遣いで見てくる。大抵の男ならこれで何でも言うことを聞くんだろうが、俺にそういうのが通じないことくらいこの人なら分かってるだろうに。 しかしなんだ、やっぱりこの人の思考は読めないな。プロテクトが厳重だ。 「・・・貴女の場合、ついていかないとしつこいですからね・・・、分かりましたよ行きますよ」 そう言うと天音さんはガッツポーズで「YES!!」と決めた。 「じゃ早速行くか」 「せめて家くらい行かせてくださいよ。どうせ三日は帰ってこないんですから」 「おし、じゃ行くか。運転は・・・まあ私がするわ」 「当たり前です。学生服でバイク乗り回せると思ってるんですか」 と言うことで、俺たちはその足でアパートに向かった。 184 :キレた人々4:2010/02/23(火) 02:06:01 ID:4S0OiKYh 別段特筆することもなくアパートに着いた。隣の姉さんは留守らしい。 「しっかしアレだな。相変わらず殺風景な部屋だな」 「そうですか?」 生活に必要な家電は揃ってるし、一応DVDレコーダーもあるんだがな。 「んー、自覚してないところがまた可愛いね」 自覚?あれか?ゲーム機の類でも期待してたのか? 「でもでもアレか?ん?ベッドの下に色々入ってたりすんのか?ん?」 「ないですよ。あんまり興味ないの知ってるでしょう?」 「んー、つまんねぇなぁおい。それは思春期男子としてどうなのよ?まあ、あったらあったで目の前で破り捨ててやろうかと思ったけどな」 「性悪ですね」 「そんなことすんのはお前だけだぜ」 益々性悪だよ。俺限定って。 その台詞のあと何かぶつぶつ呟いてベッドに寝転んだ。放っておいて着替えることにしよう。 俺はあまり服を持たないほうなので迷うことなく服を選ぶ。 「あれ、なんだよ、前買ってやったの着ねぇのかよ」 「あれ着てバイク運転するのは貴女くらいですよ。てか、そもそも買ったの俺ですし」 あれ、とは、以前の仕事を手伝ったときに買わされたタキシードのことだ。天音さんは「ペアルックぅ」とか言ってにやついていた。別にペアルックではない気がするが。 「おいおい、着ろよ。相手方にも礼儀ってもんをはらわねぇと」 「今回もどうせはえあうような相手じゃないんでしょう?」 「私はいつもスーツだぜ?お前がさっき言ったデューク東郷だってそうだろ?それにほら、これが一番の理由だがな」 天音さんはベッドに座り直して言った。 「ペアルックにした方がなんとなく格好いいじゃねぇか」 「・・・そんな理由で買わせたんですか、これ」 「そんな理由っておい。格好いいってのは大事なことだぜ?」 「・・・分かりましたよ。いいですよ着ますよ。何時までもこんな会話してても意味ないですし」 「あ?私は結構楽しんでんだけど」 「いいからさっさと行きましょうよもう」 というわけで、仕方なくタキシードに着替えてバイクに跨った。うん慣れないな。

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