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234 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01:27:55 ID:29tgcKcv 第四話 3レス消費 翌朝、明が目を覚ますと、目の前には律の顔があった。 いつも学校で見ている、彼以外にはほとんど感情を示さない鉄面皮とは正反対の寝顔。 ありえないほど緩んだ表情と静かな寝息で、幼くさえ見えてしまう。 明は、幸せそうな寝顔に思わず顔をほころばせながら起こさないように身体を起こした。 携帯電話のチェックをしたかったのである。 案の定、メールが何件か来ている。が、なぜか個別のフォルダに入っていない。 メールを開いて見たがおかしい。友人のものまで未設定フォルダに入っている。 しかも、名前でなくアドレスが表示されている。 アドレス帳から削除した覚えは無いにも関らずだ。 慌てて明はアドレス張を確認する。 『おかしい・・・。無くなってる。』 確かに、あったはずのアドレスが一部なくなっていた。 先ほど入っていた友人の登録も無い。 『誰のがなくなったんだ・・・?ていうかなんで?』 頭がうまく働かない。昨日からずっとこの調子である。 それでも思いつく限りの知り合いの名前を片端から調べていく。 妙なことに、女性の登録だけが抜けているようだった。 学校にいた時まで異常なかったのだ。 とするとアドレスが消去されたのは下校以降。 『もしかして、律、なのか・・・?』 それ以外考えられない。 律を呼ぼうと明が振り向こうとした時、後ろから抱きつかれた。 「アドレス帳、見たんだな。」 律だ。どこか浮き浮きとした声に調子が狂う。それでも怒気をこめて返事した。 「ああ・・・。ていうか、これ・・・。」 それなのに律にはまるで届かない。 「ふふ、どうしたんだ?怖い声を出して。」 流された明は耐えられずに声を荒げた。 「どうしたもこうしたも、まず他人のアドレス帳をみるとかありえないだろ?」 「しかも、女のだけ削除するなんて、何の意味があって・・・」 235 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01:31:54 ID:29tgcKcv そういった瞬間、明の首に腕が巻きついた。 「なぜだ。」 律の冷厳な声。 「まず一つ目。なぜ他人なんだ?明と私は恋人だろう?」 「二つ目。なぜ恋人の携帯電話の中を見てはいけない?隠し事は駄目だろう?」 「それから三つ目。他の女のアドレスが何でいるんだ?いらないだろう?」 「4つ目、なぜ君が怒る?私は君との間に何も作りたくないだけなのに。」 「正直に答えてくれ。明を愛しているからしたことだ。怒られた理由を知りたい。」 声は冷厳なままに、重ねる詰問はだんだんと嗚咽交じりになっていく。 「なぜだ。教えてくれ。お願いだ。私が嫌いじゃないなら・・・。」 「ちょ、ちょっと落ち着けよ。律のこときら・・・」 明は興奮する律のとどめる。しかし逆効果だった。 「落ち着け?私は、落ち着いているっ!!」 「いや、でも・・・。」 凄まじい剣幕だった。律は明をがっちりと掴まえる。 逃れようともがくが、そのまま押し倒された。 ぎりぎりと音がしそうなくらい、手には力が入っている。 律に掴まれた肩からは、爪が食い込んで出血していた。 「私が周りから面倒な人間だと思われているのは知っていた。」 「それでも明なら、私の、この性格を理解してくれてると思っていた。」 「だが違った。明も同じだったんだな?私を面倒に思うんだろう?」 般若のような面で明に言葉をぶつけてきた。 明の顔には、律の涙と、噛み締める唇の血がポタポタと落ちてくる。 「それは・・・。」 否定できなかった。 「さっきもそう。君は私がどんな思いで両親のことを告白したか、分かるか?」 『・・・そうだ。喫茶店でもこんなやり取りが・・・。』 ぼんやりと思い出せるが、明の頭はクラクラしたままで働かない。 「なぜ受け止めてくれないんだ?恋人なのに。愛しているのに。セックスまでしたのに。」 「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」 何無表情だった律の顔が苦しみに歪む。 236 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01:34:39 ID:29tgcKcv 次の瞬間、明を抑える力が緩んだ。 明は、彼女をはねのけて玄関へと脱兎の如く走りこむ。 背後からは「どうして!」と悲痛な叫び声があがるが無視。 ほとんど体当たりするようにドアを開けた。 転がり込むようにして外に出る。 久しぶりにも思えるほど、朝の光はまぶしかった。 空気が信じられないほど新鮮に感じられる。 一瞬でも気を抜けば、あの手に引き戻されそうな気がして明は走った。 背後から迫る足音は無い。が、怖かった。 目に浮かぶのは、律があの虚ろな目のまま追ってくる姿。 肺が悲鳴を上げるのも構わず、ひたすら家を目指す。 自宅に着いた明は、ほとんど無言で自室にこもった。 妙な雰囲気を察して親が声をかけてくるが無視を決めこむ。 窓の外が気になり、カーテンをきっちりと閉めた。 血の滲む肩がヒリヒリする。 『痛ぅ・・・。一体何なんだよ・・・。』 一息ついた途端、今度は携帯電話が鳴り出した。 『いまはそんな気分じゃないんだよ・・・』 しかし、いつまでもたっても鳴り続ける。相手はたぶん、律だ。 『お願いだから、勘弁してくれ・・・』 明は電源を切って眠った。 律は客間に敷いた布団の上に座り込んだままだった。 明が彼女を押しのけて逃げ出した瞬間から、律は動いていない。 同じ態勢のまま、ただ独り言を呟いていた。 「どうして、どうして、どうして、どうして、どうして・・・」 布団と畳には、彼が倒していった中華粥の残りが染みている。 引っかき続けた畳はそこだけぼろぼろになっていた。 明がなぜあんなに怒ったのか、全く分からない。 『ただ恋人として分かち合いたくてやっただけなのに・・・』 セックスまでしてなぜ明は躊躇したのか。 なぜ自分のことをもっと知ろうとしてくれないのか。 「明はきっと、何か障害を抱えているんだ・・・。」 「私のことを心から好きになれないような。」 もしかしたら、それは女かもしれない。 だとしたら、全て説明がつく。 『明が私を愛しているのは確かだ。でも邪魔があるんだ。』 『きっと明にしつこくする女がいるんだ。そうに違いない。』 律の思考はどんどん飛躍していった。 前向きに、ただ彼との幸せを願いながら。 ※※※※ 投下終了

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