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400 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/11/23(金) 21:02:01 ID:ErgPvPGu    …う…………  目が覚める。当たり前だが自分の部屋だ……  ………………いや違う。ここはどこだ。  跳ね起きる………言葉ほど俊敏な動作にはならなかったけれど体を起こすと 下腹部に鈍い感覚となにかがどろっと流れ落ちる感覚がした。 見たくないと思いながら目を向けると見慣れた血の色と、見慣れない白。    あ………うそ…………  呟いたつもりだったがその声は空気を震わせてはいなかった。  ここはどこで私はどうしたんだ。上手く思い出せない。脳の中までどろっとしてしまって 混乱すら出来なかった。冷静に考えよう、といったレベルではない。思考事態が成り立たない。  窓から薄明かりの刺してきているところを見ると早朝なのだろうか。六畳一間の アパートのような部屋だった。畳が随分古くなっている。おそらく白かったであろう壁は 薄く汚れて陰鬱な空気を放っていた。家具は無い。自分の下にある布団と膝に かかっている毛布、それと部屋の隅にモニターがあった。  薄型のテレビ……PC?それだけが場違いで異質だった。 401 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/11/23(金) 21:05:43 ID:ErgPvPGu   がちゃり 「あ、マユミ起きてたんだ」  名前を呼ばれて視線を向けると、ユキが部屋に入って来たところだった。  ユキ。高校時代に一緒だっ    来るな!!!!!  ユキを見た途端に全てを思い出した。 そうだ。  昨日久しぶりに飲もうと誘われてコイツとあって飲んでたら体が重くなってきて そしたら知らない男が5、6人出て来て車に押し込まれてこの部屋に連れ込まれて 怖くて声が出なくて体に上手く力も入らなくて布団の上に投げ出されてたくさんの目が ぎらついた目がこっちを見ててユキが笑って服に手がかかってボタンが飛んで手が いっぱい伸びてきて息が舌が手がそれからそれからそれからそれからああああああああ 「まだ薬残ってるのかな。ごめんね」  上手く動かない体で必死に逃げようとしたがユキに簡単に捕らえられた。 がちゃりと手錠が嵌められる。次いで足にも枷が嵌められた。 「まだ起きないと思ったから拘束衣は下なの。後で着せてあげるね」    なんでこんなことするの  涙が頬を伝った。相変わらず声は音にならず私の中にたまっていく。 402 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/11/23(金) 21:08:39 ID:ErgPvPGu 「マユミ、汚れちゃったね」  ユキが私の肌を撫でながら静かな笑顔でポツリと言った。  そして顔をあげ、私の目を見て深い笑みを作る。 「もうカズキさんのところには帰れないね」    カズキさんには手を出さないで! 「大丈夫だよ関係ない人のことなんてすぐ忘れるから」  恋人の名前を出されて動揺する私を宥めるようにユキは笑った。  そんなことより言ってる意味が分からない。関係ない?彼は私の恋人だ。忘れる? 「ねえ、今日からマユミは私のモノだよ。ずっとずっと欲しかった」  ユキが私を抱きしめる。 「女だからって理由であなたを諦めなきゃいけないのは辛かった。そして諦めきれなかった。」  彼女の手が私の頭を撫でる。 「もう、私のモノだよ。こんな汚れたらどこにもいけないでしょう?体も動かないのに」  彼女は……泣いている。 「やっと手に入れたよ。マユミ。逃げたらまたあいつらが犯すからね」  私の心はじわじわと恐怖に染まって行った。 「もうどこにも行かないでね。マユミ。愛してる」  ユキの唇が私に触れた。  彼女の狂気が流れ込んで来た。

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