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532 :赤と緑と黒の話 第2話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/30(金) 22:54:45 ID:8gNkLRd5 午後8時。先日の季節外れの雪に始まり、室内ですら少し早い冬の訪れを迎えたような寒さで、暖房器具なしでは辛いだろう。 俺はと言うと、リビングで目玉焼きとトーストをつまみながら緑茶を飲み、ニュースをチェック中。 明日の朝の最低気温は4度と、冷蔵庫内と同じ数値を弾き出す天気予報。それによれば、昼から未明にかけて雨が降り出すらしい。 机の上には皿が二枚。ただし、その両方にトーストと目玉焼きがセットで乗っている。 俺一人ならば1セットで十分なのだ。だが、今朝だけは必要に追われることになり、さらにまだ足りない、というのだ。 その、もうひとつのトーストを必要としてるであろう人物は、現在台所で絶賛料理中なのだ。 「待っててね先生、すぐに作っちゃうから♪」 台所からは陽気な声と何やら香ばしい匂いがし、1LDKの部屋に未だかつてない明るさをもたらす。 その明るさを与えてくれた人物はお察しの通り、朝霧 湊だ。 なぜ湊が俺の部屋にいるのか。そう疑問に思った人はいるだろう。だがこれには深い訳があるのだ。 ついうっかり夜まで寝てしまった俺達は、あの後すぐに施錠して学校を出た。 帰りが遅くなってしまったものだから、湊を俺の車で家まで送って行くことにしたのだ。 だが車内に乗り込んで数分後、重大な問題が発生した。 『あ、家の鍵忘れちゃった……』 本人曰く、親は湊が学校に出かけてから仕事に向かい、いつめ帰りは湊が帰ってくるよりも遅い。 それならまだいいが…湊によると親は今日は泊まりがけで仕事をするらしく、丸一日帰ってこないらしい。 普段なら湊は鍵を常備しているらしいのだが、今日はたまたま鍵を忘れてきたのだとか。 それでもって親は当然、湊は鍵を持って家を出た、と認識しているため、開錠の可能性は絶望的、と湊は語る。 母親はいないのか、と他の皆さんなら尋ねただろう。だが俺は仮にも湊の担任だ。湊の家庭の事情は、必要最小限は把握している。 湊の両親は16年前に職場恋愛の末に結婚。共働きをしながら家族生活を営むが、父親は三年前に病気で他界。 母親は、保健と自身の収入でなんとか湊に苦労をかけることなく養っているのだ。 閑話休題。 そんなわけで、今夜だけ俺の家に泊めることにしたのだ。 俺のせいで遅くなってしまった手前、そう提案せざるを得なかったのだが。 ただ…ついさっき、俺は湊にあんなコトをしてしまったばかり。なのに湊は俺を責めるどころか、自ら進んで晩飯を作ってくれている。俺は内心、針のムシロ状態だった。 「できたよー♪」 料理が完成したようだ。湊は大皿を二枚持って、居間に向かってきた。俺は椅子から立ち上がり、皿を受け取ってテーブルへと運んでやる。 皿の上には、見事な出来映えの肉野菜炒めが盛られている。久方ぶりに見る、最近おろそかにしがちだった野菜のコントラストが食欲をそそった。 さらに湊はいつの間に用意したのか、白米を茶碗に注いでテーブルへと運んできた。 いったいどうやったらそんな綺麗な色つやの米を炊けるのか。気になって仕方がない。 とにかく、湊の料理スキルはおよそ高校生とは思えないほど完成されている、と思った。 料理を並べ、テーブルを挟むように向かい合って座布団に座る。 いただきます、と食前のあいさつをし、いよいよ箸をつけてみた。 しっかりと火の通った肉と野菜の香りと、小気味良い食感。白米の甘みと野菜炒めのスープが見事に絡み合い、絶妙な旨味を演出している。一言でいえば、美味い。 黙々と、箸を進める。次第にそのスピードはアップし、気付けはあっという間に皿の上は空になっていた。 「……湊、お前まじで料理上手だな」 「ほんと!?」 「ああ、これならどこに嫁に行っても問題ないな」 素直な褒め言葉がすらすらと俺の口から出る。それには何の意図も含まれず、本当に正直な感想だった。なのに湊は、 「やったぁ! これでいつでも先生のお嫁さんになれるね!」 などと抜かしたもんだから、折角の肉野菜炒めが変な所に入り、むせてしまった。 533 :赤と緑と黒の話 第2話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/30(金) 22:56:06 ID:8gNkLRd5 「げほっ、げほっ…い、いきなり変な冗談を言うな!」 「…冗談だと、思うの?」 じっ、と目と目が合う。だが湊は笑ってはいなかった。唇は一文字に結ばれ、まっすぐに俺を見つめ、そっと手を伸ばす。 「先生は私の事、愛してくれないの?」 「お…俺は教師だぞ。んでもって、お前は生徒だ。そんなの---」 「だったら私学校辞める。愛してくれるなら、何でもするよ?」 表情を全く変化させないまま、湊は言葉を紡ぐ。その瞳は、俺を見透かそうとしているようだった。 「愛なんて信じてなかったし、他の誰も、笑顔の下で何を考えてるのか、怖い。でも先生だけは私に優しくしてくれた。だから、先生の事が好き」 「その歳で何をそんなに思い詰めてるんだ」 「…いろいろあったんだよ?」 湊はわざとらしく、含みのあるような言い方をした。 その笑顔の裏にはまだ、俺の知らない真実が潜んでいるのだろう。果たしてそれを知ったところで、俺に何ができるのか。そんなことはわからない。 ただひとつ言えることは…俺は少しずつ、だが確実に湊に心惹かれつつある、ということだけだ。 ###### 全てが始まったのがあの日なら、全てが壊れはじめたのはいつだろうか。…いや、そんなこと考えるまでもない。 湊とのキスから一週間が経った、11月最初の水曜日。俺はあの日から、湊と目を合わせる事を避けていた。 といっても湊は俺のクラスの生徒なわけで、1年5組で英語の授業があれば、どうしてもそれは完全に回避できない。 だが目が合ったとしても、湊は俺をじっ、と見つめてにこにこ笑うだけだった。 なぜ、何も言わない。まさか本気で思ってるのか? 俺ならば構わない、と。…やめよう。そんな思考は無意味だ。 今日の放課後は、二日前に暴力事件を起こし、現在謹慎中の体育教員、持田の正式な処分を決定するための職員会議が控えている。 ほとんど処分の内容は決定していて、それを通知するだけの、もはや形だけの会議だが。部活に行けないことの口実になるな、と一瞬考えた自分がいた。 自己嫌悪。そんなものは責任逃れに過ぎない。それに、今も部員は湊一人なのだ。 以前湊は、一人で茶を立てても意味がない、と言っていた。ならば俺が行かなければそもそも部活は行われないのだろう。 帰りのホームルーム。 俺はいつものように連絡事項と明日の時間割の確認をし、あっさりと帰りの挨拶を済ませる。生徒たちはそれを受けて、ばらばらと散ってゆく。ただ一人、湊を除いては。 10分ほど経過すると、教室には俺と湊以外は誰もいなくなった。俺は湊に背を向けて、黒板関連の掃除をしている。だがそれも、もう終わる。 がたん、と湊が椅子から立ち上がったであろう音がした。 足音が、徐々に迫る。それと共に、俺の心拍数も段々と早くなるのが自分でわかった。 「…先生」 すぐ真後ろ、ほぼゼロ距離で声がした。 「どうして目を合わせてくれないの?」 「………それは」 「私がいつもにこにこしてたから、何も思ってないと思った?」 「けど俺は、お前に」 「寂しかったよ」 湊は俺の背中にぽすん、と身を傾ける。心地好い体温と、石鹸の良い香り。一週間前の記憶が嫌でも呼び起こされる。 湊の両腕は俺の身体に回され、抱き着いたような恰好になっている。その掌は、服ごしでも暖かい、と感じた。 534 :赤と緑と黒の話 第2話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/30(金) 22:57:21 ID:8gNkLRd5 「今日、待ってるから。会議終わったら…来てね?」 湊はそれだけを言い、身体を離す。 とほぼ同時に、3時20分、今日に限っては会議開始10分前を告げる役割を帯びるチャイムが鳴る。 俺は最後まで振り返らず、湊が遠ざかっていく足音だけを見送った。 同日、18時。職員会議がようやく終わりを迎えた頃にはすっかり日が暮れていた。 他の教員方はさくさくと帰宅の支度を始めている。未だ椅子から立ち上がれずにいたのは、俺一人だけだ。 ため息ばかりつくと幸福が逃げる、とはよく言うが。ならば俺の分の幸福はとうにマイナスの値にまで達していることだろう。 だがいつまでもこうしている訳にもいかない。俺は気つけにと、デスクの上のブラックコーヒー缶をあおる。 安いコーヒーならではの、苦さよりも酸っぱさが目立つ味が口の中に広がる。その味は不快だった。こんなもの、湊のお茶に比べたら泥水だ。 そういえば、俺が自販機でブラックコーヒーを買ったのは、約二ヶ月ぶりだ。もう、そんなに経つのか。 初めて茶道部室を二人で訪れた記憶は、まだ新しいような気がするのに。 (一人でお茶なんか立てても、おいしくないですよ) なぜか俺はその瞬間、湊の寂しそうにする姿が脳裏に浮かんだ。 心が痛む。こうしている今も、湊が待っているとしたら。 けれど、一歩を踏み出せずにいた。湊は俺が昔、心惹かれた人にあまりに似すぎていたから。 容姿の問題ではない。似ていたのはその視線。 俺を見つめるあの瞳が、あの人そっくりだったから。湊に見つめられる度にかつての記憶が蘇るのだ。 その人はいつも綺麗な栗色の髪の毛から石鹸の良い香りを漂わせ、快活で、花のように笑う人だった。 彼女はまだ幼い俺を慈しみ、愛情を注いでくれた。だがその愛情は家族愛の域をけして越えるわけではない、と思っていた。 しかし、そうではなかったのだ。 彼女の名前は十六夜 麻梨亜。俺の実の姉だ。 ###### 少しだけ、昔話をしよう。 あの頃は姉さんは18、俺は14歳だった。 俺達は昔から何をするにも一緒で、学校以外の時間はほとんど共有していた。 おそらく世間で俗に言う、恋人という関係よりも長い時間を共にする、それは"家族"なら当たり前のことだった。 だが思春期を迎えたばかりの俺にとっては、ただ単に"家族"で片付けることはできなかった。姉さんは他のどの女性よりも綺麗で、優しかったから。 一過性の感情だとわかっていても、俺は姉さんを一人の女性として確かに意識していた。 けれど姉さんはいつも笑顔を絶やさず、俺に対して負の面を見せることはなかったんだ。 だがある日を境に、姉さんは変わった。 ---14年前の夏。 姉さんへの想いは、抱いてはいけないものだという自覚はあった。だから俺は想いを断つべく、クラスメイトの女子との交際を始めた。 最初に告白してきたのは向こう、それも以前の話。だけど彼女は「いまさら?」などとは言わず、快諾してくれた。 付き合い始めたその日に下校を共にしてみて俺は、"楽しい"と思った。これならきっと上手くいく、と。姉さんを忘れて、一歩前へ踏み出せると。 そして、帰宅してすぐに俺は姉さんに告げた。「彼女ができた」と。 姉さんは喜んでくれるだろうか、などとは考えなかった。ただ、その宣告によって、自分の中の葛藤を消し去ることがようやくできる、と思っていたのだ。 だが、そうはならなかった。 535 :赤と緑と黒の話 第2話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/30(金) 22:59:57 ID:8gNkLRd5 「刹那、お姉ちゃんとお出かけしよっか」 微笑みながら手を差し延べ、姉さんはそう言った。 別に、この日に限って特別なわけではない。このやりとりは日常からありふれたものだ。 なのに。この時俺は確かに、胸騒ぎのようなものを感じていた。この手をとったら、後には戻れない、そんな気がする。 しかし俺は、その手を握り返した。大好きな姉さんの誘いを、断れるはずがない。 そうしてやって来たのは、家から少し離れた場所に位置する、自然公園。さらに姉さんは俺の手を引き、木々が鬱蒼とと生い茂る奥部へと進む。 川のせせらぎを逆にたどり、数分歩いてたどり着いたのは、古い水車小屋だった。 水車小屋の扉を開け、俺達は内部に入る。ギギギ、ときしむ音をさせながら扉を閉じる姉さん。 「こんなところで何をするんだ?」と、俺はついに尋ねた。 だが姉さんは何も言わず、俺の両頬に手を添える。 「ねえ、刹那。このままお姉ちゃんとずっと一緒にいよ?」 「…えっ」 「誰にも渡さない。刹那はお姉ちゃんのものなんだから」 どすん、と俺の身体は押し倒された。姉さんはその上に覆いかぶさるような体勢になり、乱暴に唇を重ねてきた。 「な、何すんだ姉さ…んぐっ」 姉さんの舌は咥内でいやらしくうごめく。体温が、匂いが俺の五感を刺激する。 身体中の血液が沸騰するかのような興奮を、確実に感じていた。 その後どうなったかは、言うまでもないだろう。 俺達はずっと身体を絡み合わせ、あらかじめ貯め置かれていたらしい食料で腹を膨らませ、水車の水で身体を洗い…と、繰り返した。 この時の俺は今にして思えば、異常だった。いや、異常を受け入れるために、成るべくしてなのだろう。 夢にまで見た、姉さんとの幸せなひと時。それはどんな麻薬よりも甘美で、いつまでも溺れていたい。それほどまでに俺は幸せを感じていた。 だが九回目の夜を迎えたその日、それは終わりを告げた。 互いの身体を貪りあい、疲れ果てて泥のように眠っていた俺達。 目が覚めたのは、外に物音を感じたからだ。まるで足音のような… 木製の扉が軋む。内側から棒鍵がかけられている為、よほどの事がなければ開く事はない。 『おかしいな…管理人の話だと、鍵はかけられてないはず。まさか、ここか!?』 『よし、ぶち破るぞ!』 男二人の野太い声が外から響く。さらに、扉を破壊せんと、何かで打ち据える音。 その音に姉さんは目を覚まし、身体をがくがく震わせながら、俺を締め付けんとばかりに抱きしめた。 ばきん、とついに扉は破壊され、制服らしきものを着た、レスキュー隊員らしき二人の男が小屋の中に踏み入る。 『いたぞ、行方不明の姉弟だ! "応答せよ、こちら…』 『大丈夫か!? ああ可哀相に、こんなに怯えて。もう安心だからな』 何が"大丈夫か"だ。姉さんが怯えてるのは、オマエたちに対してだ。俺はそんな風に考えていた。 「いやぁ! こないで! 刹那をとらないでぇ!」 姉さんは恐怖で声を震わせ、俺をさらにきつく抱きしめる。"渡さない"と言わんばかりに。 『な、何言ってるんだ君。俺達は君らを助けに…』 536 :赤と緑と黒の話 第2話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/30(金) 23:01:22 ID:8gNkLRd5 男の片方が姉さんをなだめに入る。だが姉さんは…すでに錯乱していた。 何を言われようと、俺を離そうとしない。ただ子供のように泣き叫ぶだけだ。 隊員たちはそんな姉さんを見て、全てを察したようだった。俺達を力任せに引き離し、羽交い締めにして運び出す。もっとも、すでに俺には抵抗する気力など残っていなかったが。 「嫌ぁぁぁぁぁ! 刹那ぁ! せつなぁぁぁぁっ!」 俺と姉さんはその後別々の病院に入院した。俺は健康診断と各種検査を受け、二週間ほどで退院した。 だが、姉さんは帰ってこなかった。 後で聞かされた話によると、病室で何度も暴れ、自傷行為を繰り返し、格子付きの病院に転院したとか。 父さんたちはもう姉さんの事を、存在しないものとして扱いだした。時に憤り、悲しんだりもしたが、「十六夜家には最初からお前しかいなかった」と、頑として認めなかった。 そうでもしなければ堪えられなかったのだろう。衰弱し、それでもなお姉さんの名前を呟く俺の、あまりに哀れな姿に。 そんな風に心身共に弱っていた俺も、時が経つにつれて回復はしていった。 だがあの時の、俺の名を死に物狂いで叫び、もがく姉さんの姿は14年経った今でも俺の脳裏に焼き付いて離れない。いや…一生経っても忘れられないだろう。 ###### 現在。 重い腰を持ち上げ、俺は茶道部室前へとやっては来た。すでに殆どの電灯は消され、足元の非常灯がぼんやりと床を照らす程度。 部室内の電気も、点けられている様子はなかった。帰ったのか? と思い、軽く扉に手をかける。 施錠はされていないようだ。湊は部室の合い鍵を持っている。湊に限って施錠忘れなどしないだろう。 思いきって、扉を最大まで開く。中は先週同様にやはり真っ暗で、足元が見えづらい。 再び躓く、などという失態を犯す気はなかった。俺は携帯電話のフラッシュ機能を使い、足元を照らす。 畳の間に踏み入り、手探りで電気のスイッチをつける。黄色い電灯が室内を瞬く間に明るくした。 床を見ると、湊が横たわっているのがわかった。眠っていたのだろうか。3時間も待たされていては、無理もない。 ただこれでは、先週同様の展開になりかねない。今日こそは自宅の鍵を持って来ているんだろうな、湊? そう思いながら、俺は湊を起こそうとしゃがみこむ。だが湊の姿を、状態を見てそんな思考は消し飛んだ。 開かれた瞳は虚ろで、何も映してはいないだろう。涙を流し、額は汗でしっとりとしている。呼吸は苦しそうに、ぜえぜえ、と口で息をしている。 「湊…!? しっかりしろ、湊!」 身体を揺さぶり、起こそうと試みる。黒髪がばさばさ、と乱れるが構ってはいられない。5、6回ほど揺さぶるとぱちり、と瞳に光が戻った。 「あ…先生、なの?」 「湊、いったいどうしたんだ!?」 「…また、思い出しちゃった」 「思い出した? 何を?」 「………嫌わないって、約束してくれる?」 俺の腕の中でゆっくりと呼吸を整えながら、弱々しい、涙声で湊はそう尋ねる。 「…ああ、嫌ったりしないから、言ってみろ」対して俺は努めて優しく、湊を安心させようとした。 そうして湊の口から語られた事は、予想だにしていないものだった。 まさか、冗談か? と言いたくても、今の湊を見れば疑うことはできない。 「私、お父さんに犯されたことがあるの」

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