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672 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:14:14 ID:ccjqI0Qc 月曜日、雨のメロディーが町中に音をたてていた。まぁ今日に限った事では無く三日連続で雨は降り続いている。 授業再開の月曜日が雨とは嫌になる。休みを自作してみようかと考えた。けれど休む訳にもいかなかった。学生が学校に行くのは当たり前なのだから。 カッターシャツを身に纏う。もうそろそろ学ランを出さないとなと考えながら階段を降りる。父と母はもうそれぞれの職場に行った様だ。テーブルの上には家庭環境と比例して冷めていた朝食置かれていた。 3カ月前、父が旧友の連帯保証人になって逃げられてからずっとこの調子だ。 そして両親共々借金を押し付けてきた父の旧友の名前も教えてくれない。そこは2人とも口を揃えて「世の中には知らなくて良いこともある。」と言っている。意味分からん。 時間があまり無いのでテーブルの上に置かれてる冷めた白米と味噌汁と秋刀魚を平らげる。台所に空になった食器を葬って家を後にした。 傘を差して雨から身を守って歩きだす。別れ道に差しかって寂を双瞼に捉えた。 「寂、おはよ」 「     」 寂は俺の存在を理解せずにぼーとしていた。体調でも悪いのだろうか?悪いなら休め。 「おーい、どうした。体調悪いのか?」 「あ、ゆーちゃん…。おはよ。何でも無いよ。考え事してたの。」 「ならいいけどさ。無理すんなよ」 「ありがと。」 笑顔を添付してお礼を言われる。なんかいつもの寂じゃないなーと考えてみたけど無駄だからやめた。今この時俺の脳が考えるのは綾小路ちゃんの件だけで充分だし。 学校に着くまで俺と寂は終始無言だった。やっぱり心配して声を掛けようと思ったがどうせ強がるだけだと思ったからからやめた。だって天邪鬼だし。 目的地を教室に設定して歩行を再開すると寂が俺の元に小走りで駆け寄って来た。 2人で階段を上る。語弊の欠片があるかもしれないから補足するけど大人の階段ではない。 目的の階に到着して寂からの離脱を試みる 「じゃあまた」 「あ、あのさ…」 「ん?」 「今日お昼一緒に食べない?」 「あー…」いや1年の棟に行って綾小路ちゃんとエンカウントして残酷な一撃を加えるという任務が 「ダメ…?」 涙目と上目遣いのコンボで俺のMP(マジックポイント)が0になった。端的に言うと断れない。それに今日の寂は何か変で心配だったのも少なからずある。 「分かったよ。食べよう。昼休みにそっち行くわ。」 「ありがとう。」 寂がその端正な顔で笑顔を咲かせる。朝から眼福で目が胸やけしそうだ。いや、おかしいなこの表現方法。まあいいか。 「じゃ、昼休みに」 「うん。また…」 教室までの数メートルを踏みながら頭で録画していた今朝の寂を再生する。やっぱり変だと思った。あの「対俺用マシンガントーカー」が俺に話題を撃って来ないのは…故障か? まぁ、あれだ。「女の子には朝から真っ赤な物を見て一日中気が沈む日があるんだよ~」って橋本が遺言として遺していたし、それだろ。間違いない。根拠もない。 教室に入るとやけに騒がしかった。雨のメロディーがかき消される程だから多分いつも以上に騒がしかった。 「今日はいつも以上に騒がしいな。何かあったのか?いのちゃん先生が入籍でもしたのか?」 片山に疑問と冗談をぶつけてみる。それはすぐに砕けた。 「ちげーよ。知らないのか?うちの1年が例の通り魔に刺されたんだよ。命に別状はないらしいけど」 は? 「あー、まさか死の原ことお前の知り合い?」 は?は?は?は?は?は?は? 「名前は確か」 言うな馬鹿 673 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:14:45 ID:ccjqI0Qc 「綾小路美月って奴。なんか綾小路グループの令嬢とかなんとか。まぁお前にそんなVIPな知り合い居る訳ないよな。」 居るよ馬鹿。 「おい、どうした。」 僕は片山の声に耳を傾けずに走り出していた。綾小路ちゃんが駅前の病院に居ると仮定して。 「あー…何やってんだかね、あいつ」 駅前の病院に駆け込む。ナースのキョトン顔や老人の迷惑そうな顔が目に入ったが今はどうでも良かった。 ナースセンターの受付に乱暴に到着する。40代と思われるナースの引きつった顔が目の前に有った。 「あのッ…綾小路美月てッ…怪我人…ッここに入院…」学校から病院まで全力で走って来たので上手く発言出来ない。 「あれ?篠原先輩?」 後ろから聞き覚えのある声がした。俺は声のする方へだるまさんが転んだの鬼役の要領で振り返る。 「あ、やっぱり篠原先輩だー!でもなんでですか?学校は…」 元気そうな姿を確認出来てなによりだった。 「いや、刺されたって聞いたから…」 「もしかしてそれでそんなにびしょびしょになってここまで…」 あ、雨に濡れてるの忘れてた。寒ッ!!SAM!! 「あの…よろしければ私の病室まで…」 「あー、いや悪いし良いよ。学校に戻る」 「でももう1時間目始まってます。」 綾小路ちゃんが指を指す先には円形で短い針は9時を、長い針は5分を差すオブジェが見えた。 今日の一時間目は物理か…立山先生(通称ハゲヤマ)遅刻にうるさいからなぁ。あとねちっこい。 「そうだね、お言葉に甘えるよ。話したい話もあるし。」 綾小路ちゃんの病室に入ると付き人と思われる20代くらいのメガネを掛けた女性が居た。 「お嬢様…そちらの方は…」 「えぇ、篠原勇輝先輩よ」 「どうも…」 「美月さまのメイドの黒沢と申します。以後お見知りおきを」 丁寧な自己紹介を受ける。俺もしようと考えたが中身の無い人間に自己紹介なんて無理なので中断した。名前は綾小路ちゃんが言ったしね。 「それでその…お話とは…」 綾小路ちゃんが話すきっかけを作ってくれたので話すことにした。僕のジンクスについて。 674 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:15:19 ID:ccjqI0Qc 「…という訳なんだ。だから君とは付き合えない。」 黒沢さんから渡されたタオルで体を拭きながら断った。 「…」 綾小路ちゃんは無言だった。無理もないよなー。振られた理由が非現実的なんだし。 沈黙が流れる。あれデジャヴ? 「そ…そんなのどうでも良いです!私…先輩が好きなんです!」 沈黙を破ったのは綾小路ちゃん。よくねーよ。自分の命を金曜日の伊勢海老みたいに無駄遣いする気か。 「君が良くても俺が嫌なんだ。人が死ぬのは見たくない。」 「じゃあ…先輩が守って下さい。」 「無理だ。俺はそんなに有能じゃない。」 いままでも6人無くした。寂に振られて落ち込んでた俺を励ましてくれた先生、1年の時の友人3人、保健委員の先輩、右隣りの友人。 「じゃ…また」 重い腰を上げて席を立って歩いてドアの付近で一時停止。 「失礼しました。」 お辞儀をして廊下にでる。最後に病室で見えたのは俯いた綾小路ちゃんだった。 けど、何か違和感があった。今朝の寂の俯き方とは違い、何故か綾小路ちゃんからは余裕が感じられたというか。 まぁ、良いか。考えるだけ無駄だ。と思って学校に向かった。 お、ラッキー。雨が止んでる。 675 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:15:54 ID:ccjqI0Qc 私は客人が病室から出るまで俯いていた。笑いをこらえる為に。 「俺は親しくなった女性を間接的に殺してしまう疫病神なんだ。だから君とは付き合えない」なんて口から紡ぐ篠原勇輝の愚直な顔ときたら…アハハ! 「貴方の幼馴染が殺してるのよ。貴方の女友達や私の大事な人を。そんな事も気付かないの?馬鹿じゃないの?」と大声で言いたかった。けどその台詞を飲み込んでから小さな声で 「道具は道具らしくしてればいいのに。」 と小さく呟いた。多分黒沢にも聞こえてないほどに。 けどあれは道具じゃ無くてキーアイテムね、と道具から2階級特進させた。 でもまぁ、振られるのは予想範囲内。まだ手は有るもの。 「黒沢。次の行動に移すわよ。」 「はい、美月お嬢様。」 黒沢が病室から出る。えぇ、彼女は優秀だから期待してるわ。ウフフ。 そして首に掛けていたペンダントを手繰り寄せて蓋を開けて一人の女性の写真に目をやる。 「お姉様…」と言っても実の姉ではない。京華院涼香(きょうかいん すずか)。私が姉の様に慕っていた女性だ。 彼女は去年殺された。天野寂によって。 天野寂がお姉様を殺した現場は見てはないけれど、私は天野寂が他の女を殺してる現場を見た。なんか殺された女、能登麻美子みたいな声してたわね。どうでもいいけど。 そして私は天野寂をストーキングして…首をワイヤーで締め殺しているのを見て彼女が犯人だと確信した。 それにしてもよくバレないわね。誰かが証拠隠滅でもしてるのかしら。誰よ?神様?彼女のストーカー?まぁどっちもいないでしょうけど。 でも…もうすぐ、もうすぐあの天野寂に復讐できる。でも、まずはキーアイテムをゲットしてから。 知ってるんですよ?篠原先輩。篠原先輩の家が借金まみれなこと。500万だったかしらね。だから 「準備が出来ました。お嬢様。」 「えぇ、今行くわ。」 買い取って差し上げますわ。キーアイテムが500万円でゲット出来るなら安い物よ。 私は病室を後にした。
672 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:14:14 ID:ccjqI0Qc 月曜日、雨のメロディーが町中に音をたてていた。まぁ今日に限った事では無く三日連続で雨は降り続いている。 授業再開の月曜日が雨とは嫌になる。休みを自作してみようかと考えた。けれど休む訳にもいかなかった。学生が学校に行くのは当たり前なのだから。 カッターシャツを身に纏う。もうそろそろ学ランを出さないとなと考えながら階段を降りる。父と母はもうそれぞれの職場に行った様だ。テーブルの上には家庭環境と比例して冷めていた朝食が置かれていた。 3カ月前、父が旧友の連帯保証人になって逃げられてからずっとこの調子だ。 そして両親共々借金を押し付けてきた父の旧友の名前も教えてくれない。そこは2人とも口を揃えて「世の中には知らなくて良いこともある。」と言っている。意味分からん。 時間があまり無いのでテーブルの上に置かれてる冷めた白米と味噌汁と秋刀魚を平らげる。台所に空になった食器を葬って家を後にした。 傘を差して雨から身を守って歩きだす。別れ道に差しかって寂を双瞼に捉えた。 「寂、おはよ」 「     」 寂は俺の存在を理解せずにぼーとしていた。体調でも悪いのだろうか?悪いなら休め。 「おーい、どうした。体調悪いのか?」 「あ、ゆーちゃん…。おはよ。何でも無いよ。考え事してたの。」 「ならいいけどさ。無理すんなよ」 「ありがと。」 笑顔を添付してお礼を言われる。なんかいつもの寂じゃないなーと考えてみたけど無駄だからやめた。今この時俺の脳が考えるのは綾小路ちゃんの件だけで充分だし。 学校に着くまで俺と寂は終始無言だった。やっぱり心配して声を掛けようと思ったがどうせ強がるだけだと思ったからからやめた。だって天邪鬼だし。 目的地を教室に設定して歩行を再開すると寂が俺の元に小走りで駆け寄って来た。 2人で階段を上る。語弊の欠片があるかもしれないから補足するけど大人の階段ではない。 目的の階に到着して寂からの離脱を試みる 「じゃあまた」 「あ、あのさ…」 「ん?」 「今日お昼一緒に食べない?」 「あー…」いや1年の棟に行って綾小路ちゃんとエンカウントして残酷な一撃を加えるという任務が 「ダメ…?」 涙目と上目遣いのコンボで俺のMP(マジックポイント)が0になった。端的に言うと断れない。それに今日の寂は何か変で心配だったのも少なからずある。 「分かったよ。食べよう。昼休みにそっち行くわ。」 「ありがとう。」 寂がその端正な顔で笑顔を咲かせる。朝から眼福で目が胸やけしそうだ。いや、おかしいなこの表現方法。まあいいか。 「じゃ、昼休みに」 「うん。また…」 教室までの数メートルを踏みながら頭で録画していた今朝の寂を再生する。やっぱり変だと思った。あの「対俺用マシンガントーカー」が俺に話題を撃って来ないのは…故障か? まぁ、あれだ。「女の子には朝から真っ赤な物を見て一日中気が沈む日があるんだよ~」って橋本が遺言として遺していたし、それだろ。間違いない。根拠もない。 教室に入るとやけに騒がしかった。雨のメロディーがかき消される程だから多分いつも以上に騒がしかった。 「今日はいつも以上に騒がしいな。何かあったのか?いのちゃん先生が入籍でもしたのか?」 片山に疑問と冗談をぶつけてみる。それはすぐに砕けた。 「ちげーよ。知らないのか?うちの1年が例の通り魔に刺されたんだよ。命に別状はないらしいけど」 は? 「あー、まさか死の原ことお前の知り合い?」 は?は?は?は?は?は?は? 「名前は確か」 言うな馬鹿 673 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:14:45 ID:ccjqI0Qc 「綾小路美月って奴。なんか綾小路グループの令嬢とかなんとか。まぁお前にそんなVIPな知り合い居る訳ないよな。」 居るよ馬鹿。 「おい、どうした。」 僕は片山の声に耳を傾けずに走り出していた。綾小路ちゃんが駅前の病院に居ると仮定して。 「あー…何やってんだかね、あいつ」 駅前の病院に駆け込む。ナースのキョトン顔や老人の迷惑そうな顔が目に入ったが今はどうでも良かった。 ナースセンターの受付に乱暴に到着する。40代と思われるナースの引きつった顔が目の前に有った。 「あのッ…綾小路美月てッ…怪我人…ッここに入院…」学校から病院まで全力で走って来たので上手く発言出来ない。 「あれ?篠原先輩?」 後ろから聞き覚えのある声がした。俺は声のする方へだるまさんが転んだの鬼役の要領で振り返る。 「あ、やっぱり篠原先輩だー!でもなんでですか?学校は…」 元気そうな姿を確認出来てなによりだった。 「いや、刺されたって聞いたから…」 「もしかしてそれでそんなにびしょびしょになってここまで…」 あ、雨に濡れてるの忘れてた。寒ッ!!SAM!! 「あの…よろしければ私の病室まで…」 「あー、いや悪いし良いよ。学校に戻る」 「でももう1時間目始まってます。」 綾小路ちゃんが指を指す先には円形で短い針は9時を、長い針は5分を差すオブジェが見えた。 今日の一時間目は物理か…立山先生(通称ハゲヤマ)遅刻にうるさいからなぁ。あとねちっこい。 「そうだね、お言葉に甘えるよ。話したい話もあるし。」 綾小路ちゃんの病室に入ると付き人と思われる20代くらいのメガネを掛けた女性が居た。 「お嬢様…そちらの方は…」 「えぇ、篠原勇輝先輩よ」 「どうも…」 「美月さまのメイドの黒沢と申します。以後お見知りおきを」 丁寧な自己紹介を受ける。俺もしようと考えたが中身の無い人間に自己紹介なんて無理なので中断した。名前は綾小路ちゃんが言ったしね。 「それでその…お話とは…」 綾小路ちゃんが話すきっかけを作ってくれたので話すことにした。僕のジンクスについて。 674 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:15:19 ID:ccjqI0Qc 「…という訳なんだ。だから君とは付き合えない。」 黒沢さんから渡されたタオルで体を拭きながら断った。 「…」 綾小路ちゃんは無言だった。無理もないよなー。振られた理由が非現実的なんだし。 沈黙が流れる。あれデジャヴ? 「そ…そんなのどうでも良いです!私…先輩が好きなんです!」 沈黙を破ったのは綾小路ちゃん。よくねーよ。自分の命を金曜日の伊勢海老みたいに無駄遣いする気か。 「君が良くても俺が嫌なんだ。人が死ぬのは見たくない。」 「じゃあ…先輩が守って下さい。」 「無理だ。俺はそんなに有能じゃない。」 いままでも6人無くした。寂に振られて落ち込んでた俺を励ましてくれた先生、1年の時の友人3人、保健委員の先輩、右隣りの友人。 「じゃ…また」 重い腰を上げて席を立って歩いてドアの付近で一時停止。 「失礼しました。」 お辞儀をして廊下にでる。最後に病室で見えたのは俯いた綾小路ちゃんだった。 けど、何か違和感があった。今朝の寂の俯き方とは違い、何故か綾小路ちゃんからは余裕が感じられたというか。 まぁ、良いか。考えるだけ無駄だ。と思って学校に向かった。 お、ラッキー。雨が止んでる。 675 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/04(火) 22:15:54 ID:ccjqI0Qc 私は客人が病室から出るまで俯いていた。笑いをこらえる為に。 「俺は親しくなった女性を間接的に殺してしまう疫病神なんだ。だから君とは付き合えない」なんて口から紡ぐ篠原勇輝の愚直な顔ときたら…アハハ! 「貴方の幼馴染が殺してるのよ。貴方の女友達や私の大事な人を。そんな事も気付かないの?馬鹿じゃないの?」と大声で言いたかった。けどその台詞を飲み込んでから小さな声で 「道具は道具らしくしてればいいのに。」 と小さく呟いた。多分黒沢にも聞こえてないほどに。 けどあれは道具じゃ無くてキーアイテムね、と道具から2階級特進させた。 でもまぁ、振られるのは予想範囲内。まだ手は有るもの。 「黒沢。次の行動に移すわよ。」 「はい、美月お嬢様。」 黒沢が病室から出る。えぇ、彼女は優秀だから期待してるわ。ウフフ。 そして首に掛けていたペンダントを手繰り寄せて蓋を開けて一人の女性の写真に目をやる。 「お姉様…」と言っても実の姉ではない。京華院涼香(きょうかいん すずか)。私が姉の様に慕っていた女性だ。 彼女は去年殺された。天野寂によって。 天野寂がお姉様を殺した現場は見てはないけれど、私は天野寂が他の女を殺してる現場を見た。なんか殺された女、能登麻美子みたいな声してたわね。どうでもいいけど。 そして私は天野寂をストーキングして…首をワイヤーで締め殺しているのを見て彼女が犯人だと確信した。 それにしてもよくバレないわね。誰かが証拠隠滅でもしてるのかしら。誰よ?神様?彼女のストーカー?まぁどっちもいないでしょうけど。 でも…もうすぐ、もうすぐあの天野寂に復讐できる。でも、まずはキーアイテムをゲットしてから。 知ってるんですよ?篠原先輩。篠原先輩の家が借金まみれなこと。500万だったかしらね。だから 「準備が出来ました。お嬢様。」 「えぇ、今行くわ。」 買い取って差し上げますわ。キーアイテムが500万円でゲット出来るなら安い物よ。 私は病室を後にした。

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