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684 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:25:50 ID:HLEr4wWp 「カラオケ?」 「そ、カラオケ!ほら陽菜ちゃんが転校して来た日に行こうとしたけど・・・お前がキレておじゃんになっただろ?」 あ~そんなこともありましたね。すっかり忘れてました。 今は飯の時間。もちろん、僕は購買で買った(買わされた)パンを食べている。 「だから今週の土曜にカラオケ行こーぜ!!」 (あ~祥子さんとのカラオケデート!!) 「・・・姉ちゃんは連れて行かんぞ?」 「なんでだよっ!!大勢の方が楽しいだろ!!」 なんでじゃない。これ以上寿命を縮めたくないんだ。 「嫌だ。姉ちゃんだけは誘わない」 できれば岡田さんも遠慮願いたい。 「・・・とおっしゃっていますが?」 は?大和は誰に話しかけてんだ? 「ほぅ・・・ウチだけをのけ者にしようってのか?」 あ、あれれ?そのドヤンキーボイスはお姉さまでしょうか? 「慶太・・・歯くいしばれ・・・」 またそのパターンですか?それについてはすでに対処法を考案していますよ? 僕は姉ちゃんに振り返った。そして・・・ 「今日もお美しいですよ、お姉さま☆」 バチーーーーーン!!! どうやら対処法は失敗だったらしい。できるだけ早く良い案を見つけないと。 「って゛か゛な゛ん゛て゛こ゛こ゛に゛!?」 僕は腫れあがった頬を押さえながらそう訊ねた。 ってか、あれ?秋祭りの時、もう暴力は振るわないって言ってなかったっけ? 「ウチの舎弟からワンコがあってな」 え?舎弟? 「祥子さん実はですね・・・」 き、貴様かぁ!!何度僕を裏切れば気が済むんだぁぁぁぁ!! 「今週の土曜にみんなでカラオケに行かないかと思いまして・・・どうですか?」 「しかたねぇな・・・愚弟のお守も姉の仕事だからな」 (慶太とカラオケか~!!一緒に何歌おっかな~♪) そうだ!!僕が当日行かなければいいだけの話――― 「何の話?」 「あ、陽菜ちゃん!実は今週の土曜に(以下略)どうかな?」 「うわ~、行きたい!!行きたい!!慶太はどうするの?」 「え?もちろん行くけど?」 陽菜さんは何を言っているんだろ?僕は初めから行く気満々だったのに。 「ふ~ん・・・その話、彼女は何も聞いてないんだけど?」 わ、バカー!!姉ちゃんの前でそんなこと言っちゃだめー!! 「・・・彼女?」 (そういやぁコイツ前もそんなこと言ってたような・・・まさか慶太と付き合ってるとでもいいたいのか?) 「私早川君とお付き合いしているんですよ、お姉さん♪」 うっ・・・わ・・・終わった・・・ どうやら今日はビンタデーのようだ。 685 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:26:25 ID:HLEr4wWp 只今午後7時。 なんとか今日という日を乗り切った僕は疲れた心を癒すことにした。 でもこんなに疲れ切った心ではオススメ1を試しても効果は薄いだろう。ならばオススメ2だ。 しかし、これを使っていいものか? オススメ2には色々と問題点があるのだ。 一つは中毒性があること。はっきり言って抜けられなくなるのだ。以前試した時にはあまりの中毒性に携帯を破壊するしかなかった。 そして・・・相手に悪影響を及ぼすのだ。これまた以前試した時には1週間僕の家に泊まりに来ては離れなかった。 だが今の心を修復するにはこれしかない!! 僕はある人物に電話をかけた。 「あ、もしもし恭子ちゃん?」 「ハ、ハイ恭子です!!け、慶太さんからの電話うれしいな~///」 「フフ、ありがとう」 よし、そろそろ始めるか。 「ところで恭子ちゃん・・・俺の事どう思う?」 「え!?どうって・・・だ、大好きです・・・///」 「え?良く聞こえなかったんだけど?」 「だ、大好きですっっ!!」 「頭にお兄ちゃんってつけて?」 「お兄ちゃん大好きですっっ!!」 「もっと言ってほしいな~」 「お兄ちゃん大好きっっ!!お兄ちゃん大好きっっ!!お兄ちゃん大好きっっ!!」 「ありがと。僕も恭子ちゃんの事、妹みたいで大好きだよ」 そして電話を切った。 最低だ。色々な意味で最低だ・・・ でもおかげで元気が出た。あ、携帯は壊さないとね。 「おい慶太!!早くトイレからでてこいや!!」 ふぅ、せっかく人が心を癒したばっかりだっていうのに。 トイレから出た僕はそのまま部屋に戻ろうとしたが・・・できなかった。 「ちょっとツラかせや」 (あのアマの発言について問い詰めてやる!!) そのまま姉ちゃんの部屋に拉致される僕。拷問はやめてね? しかし僕の願いむなしく、姉ちゃんの部屋に入った途端逆エビ反り固めを決められた。 「い、いだだだだだだだだだーーーーー!!!」 「・・・正直に話せば解放してやる・・・結衣とは付き合ってんのか?」 (肯定したら殺すぞっっ!!) 僕の選択肢はどうやら2つあるらしい。このままか死ぬか。どっちも嫌だ・・・ 「つ、付き合ってるけど・・・あくまで仮の関係だから!!」 「仮の関係?」 姉ちゃんの力が若干弱まった。いまが攻め時だ!! 「岡田と太郎君が付き合っているって噂が・・・それを失くすために・・・僕と付き合ってるふりをしてるだけ!!」 その言葉を聞いて姉ちゃんは僕を解放してくれた。 「ふ~ん・・・仮の彼氏役を慶太に頼んだのか・・・」 (それでもウチの慶太に手を出すとはいい度胸じゃねぇか!!カラオケの時覚えてろよ!!) 最近毎週のように修羅場が訪れるのはなんでだろう? 686 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:26:59 ID:HLEr4wWp 「それじゃあ遅くなりましたけど陽菜ちゃんの歓迎会ってことで、カンパ~イっっ!!」 「「「「「「「カンパ~イ」」」」」」」 今日は土曜日。某カラオケ店。 メンバーは秋祭りに行った時と同じ8人だ。 だけどあの時とはあきらかに雰囲気が違っていた。 「お、お兄ちゃんの横って・・・緊張するな///」 僕の横には恭子ちゃんが座っていた。 恭子ちゃんのセリフだけを聞くとかわいらしい感じがする。だが今の恭子ちゃんは例の中毒症状がでているのだ。 その症状として僕の腕にしがみついている。 「・・・ロリコン」 ちょっと岡田さん!?恭子ちゃんは僕の妹なんだよ!? 「・・・シスコン」 ちょっと陽菜さん!?妹が大好きで何がいけないの!? 「おいマジかよ慶太・・・ウチのことそんな目で・・・キモッ」 (慶太がシスコン!?マジ!?いやったー!!) ・・・あ~もうめんどくせー。 (慶太の野郎、俺たちを無視して祥子さんとあんなに・・・っ!!) (恭子ちゃんがあんなにくっついてるなんて・・・なんてうらやましいっ!!) (結衣だけでなく女性陣全員を・・・おのれ早川っ!!) お前らはロリコン、シスコン、キモいって言われるのがそんなに羨ましいのか? 「えー!!それでは誰から最初に歌いますかね!?」 殺伐とした中、カラオケ大会が始まった。 「俺がいくぜー!!」 太郎君が曲を入れた。エ○ザイルのl○vers againだ。 何を思ったのかわからないが目をつぶり胸に手を当てて歌っている。ときどき岡田の方を見ながら。 「ふ~、ちょっと音程を外したかな」 まぁ音程はちょっと外したくらいだったよ。音程は。 「どうだった結衣?」 なぜか岡田に感想を求めている。あれ?そういえば岡田と太郎君の噂はどうなったんだろう? 「ねぇ大田君にリクエストしていい?」 岡田が大和に話しかけた。太郎君の質問に答えてやれよ。 「いいけど」 「じゃあね・・・エ○ザイルのl○vers again!!」 あ、なるほど!これが岡田なりの返答なんだね! ちなみに大和は歌がめちゃくちゃうまい。岡田もそれを知っている。 大和が歌い終わると拍手喝采が起きた。 「お前うめーじゃんよ」 「あ、ありがとうございます祥子さん!!」 大和が嬉しそうで良かった。幾度となく裏切りられたが、僕の秘密を知っても友達でいてくれたいい奴だ。 「次は僕ですか」 山田だ。山田は普通の歌を普通に歌った。以上終わり。 「次は慶太だな」 大和からデンモクを渡される。ついに僕の番が来たか・・・ 「慶太さんの歌、楽しみだなぁ~」 本当にそう思うなら手を離してもらえます?右手を固定されるとデンモクを押しにくいし、歌いづらいのですが。 「私、久しぶりに慶太の純○歌が聞きたいな~」 陽菜が僕にリクエスト!?歌っちゃう!!僕、純恋○歌っちゃう!! ルンルン気分の僕だったが、この一言が本日の修羅場第一ラウンドのゴングとなった。 687 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:27:37 ID:HLEr4wWp 「純○歌か。わかっ―――」 「ウチはレゲエが聞きてぇな」 え? 「私は○が大好きなの知ってるでしょ?」 もはや何か分からないのですが?ジャニーズの人気グループですか? 「慶太さん・・・g○eeeenがいいです・・・」 「・・・」 これは一体どういう事だろう。僕が4曲連続で歌えってこと? とりあえずお茶を一口飲む。ん~うまい。 「えっと・・・何を歌えばいいのかな?」 「・・・慶太が歌いたいのを歌えばいいんじゃない?」 本当ですか?もし純○歌以外を歌っても怒らないでくれますか? 「・・・別に慶太が何歌ったってどうでもいいしな」 どうでもいいならリクエストを重複させないでください。あなたが最初にかぶせてきたんですよ? 「ズズズ・・・」 岡田さん、ジュースは音を立てて飲まない方がいいよ?なぜかその音が僕の心臓に悪影響を及ぼすからね。 「みなさんが何歌ってもいいって言うなら・・・私のリクエストを歌って下さい!」 あ、違うよ恭子ちゃん。この人たちは私のリクエスト以外を歌ったら殺すよ♪って言ってるんだよ? 「早く決めろや早川!!」 僕がなかなか曲を決めなかった苛立ち(と嫉妬)から太郎君が叫んだ。 しかたがない。ここは一か八かに賭けるしかない! 僕が入れたのは・・・l○vers again。 ごめんなさい。本日三回目でごめんなさい。三回目が一番下手でごめんなさい。 とりあえず歌い終えてみんなの顔を見ると、食べ物のメニューを見ていた。 本当にごめんなさい。 お詫びのしるしとして僕はみんなのためにジュースのおかわりをつぎに行こうと立ち上がった。 「じゃあ俺ジュースつぎに行ってくるけど、だれか他に入れてきてほしい人はいる?」 そう言ってみんなのグラスを見たが、全員のコップにはまだジュースが残っていた。 当たり前だ。まだここに来て4曲、時間にして20分しかたっていない。 「どうしたの慶太?ジュース入れに行くんでしょ?早く行ったら?」 陽菜が冷たい。やっぱり歌いたい曲を歌ったら怒ったらしい。 「そこに立たれると邪魔なんだけど」 姉ちゃん、俺そんなに悪いことしたかな・・・? 「ズズズ・・・」 あ、岡田のジュースは後ちょっとだ!! 「ん?早川まだいたの?」 う・・・うぅ・・・ 「ズズズズズズズーーー、ぷはぁ~!!・・・慶太さん、一緒に飲み物入れに行きませんか!?」 いいよ、分かったよ、認めてやるよ。この瞬間からおれはロリコンでシスコンだ。 「じゃあ行こうか」 そう言って恭子ちゃんと部屋を出ようとしたとき、一瞬岡田と姉ちゃんがものすごい恐い顔をした。 大声が聴こえる!、と身構えた・・・が何も聴こえなかった。 あれ?いつもあの二人が恐い顔をしたときは聴こえたのに? ま、いっか。 このときはあまり深くこの事を考えなかった。 688 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:28:07 ID:HLEr4wWp 「どれにしようかな~・・・慶太さんは何飲むの?」 「オレンジジュースかな・・・」 店員の視線が痛い。 (あの二人兄妹?でも顔が月とすっぽんだから違うわよね・・・まさか誘拐!?) ついでに心の声も。ってか客に向かって月とすっぽんとか言うな!それに誘拐したなら堂々とカラオケ店に入るか! 「慶太さん・・・恐い・・・」 「あ、ごめんね恭子ちゃん。ちょっと人間という生き物の道徳さについて考えてただけ」 「?」 「なんでもないよ。それじゃあ戻ろうか」 部屋に戻る道中、恭子ちゃんが僕の顔とジュースを交互に見てきた。 「あ、あのね?え、え~と・・・」 (慶太さんのジュース一口欲しいって言ったらくれるかな・・・?) え?ならさっきドリンクコーナーで飲めばよかったのに。 (で、でも目的が間接キスってバレちゃったら・・・キャ~キャ~キャ~!!) マズい。これは非常にまずい。恭子ちゃんの中毒症状のレベルが以前よりはるかに増している。 「け、慶太さんのジュースひ、一口ほ、ほしいな~///」 (言っちゃった!!キャ~キャ~キャ~!!) しかも結局言い放った!!もしこんな場面を勘の鋭い陽菜にでも見つ――― 「ダメだよ恭子ちゃん?このお兄ちゃんは恭子ちゃんに邪な事を考えた変態さんなんだよ?」 なんだか陽菜さんが突然現れるのがお決まり事みたいな感じがするな。それにまだそのネタを引っ張るんですか? 「そんな変態さんのジュースをもらおうなんて・・・変態さんがうつるよ?変態さんもより変態さんになるだろうし」 変態さんと4回も言われた。もう陽菜の中では確実に僕=変態なんだろうな・・・ 「・・・私慶太さんと同じなら・・・変態でもいいです!」 あらま。それはお兄ちゃんもビックリしすぎて普段使わないあらまとか使っちゃったよ。 「・・・恭子ちゃん・・・この変態のゴミに何て言われたの?」 つ、ついにさんをつけてくれなくなったぞ!?そして生まれて初めてゴミって言われたぞ!?姉ちゃんにも言われたことないのに! 「大好きって・・・私のこと大好きって!!」 恭子ちゃんが大声でそう叫んだ。もちろん廊下にいた人全員がこっちを見てくる。 ・・・お兄ちゃんはいっぱい、い~っぱい言いたいことがあるんだけど聞いてくれる?まず第一に――― 「慶太・・・」 「・・・聞いてくれ陽菜。これには色々と訂正個所が・・・」 「一つだけ真面目に答えて・・・」 陽菜さんの雰囲気がマジだ。それにかわいらしいポーチに手を入れている。携帯でも鳴っているのか? 「・・・その子のこと・・・愛してるの?」 なんだろう?無性にポーチの中身が気になるのは気のせいなのか? 「・・・答えて・・・」 「・・・好きだけど、それは妹としてです。決して異性としての意味ではありません」 こ、これでどうでしょうか? 「・・・分かった。慶太を信じる事にするわ」 そこでようやく陽菜が笑ってくれた。いや、今までも微笑んではいたけど・・・ 「慶太さん・・・私のこと大好きだって言ってたのに・・・嘘だったんですか・・・!?」 え~!?やっと問題解決したと思ったのに、今度は別の問題が勃発!? 「ち、違うよ恭子ちゃん!恭子ちゃんの事を大好きって言ったのは本心だよ!」 「慶太!本当にそんなこと言ったの!?恭子ちゃんに大好きって言ったの!?」 「だ、だからそれは妹として大好きって言ったんであって・・・」 (なにあそこ修羅場~?) (うっそ~片方の女の子まだ子供じゃない?) もう嫌だ・・・誰か助けてよ・・・ 689 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:28:45 ID:HLEr4wWp 周りの様子に気付いたのか、陽菜が冷静になった。 「・・・とにかく部屋に戻るわよ・・・話はそこでするから」 陽菜の口調が若干変わっている。そうとう怒っている証拠だ。 「・・・私も慶太さんに真相を確かめたいです・・」 (私のこと大好きだって言ったくせに!!) あれ?何気に恭子ちゃんの方も相当お怒りの様だぞ? 二人に連行され僕は部屋まで強制送還された。 「なんかさっきうるさかった・・・」 大和が言葉を切った。みんなも話し声を止めた。。 なぜなら穏やかキャラの陽菜と恭子ちゃんの二人のオーラが禍々しいものになっていたからだ。 「みんなちょっと聞いてくれる?」 な、何を言うおつもりですか陽菜様? 「コイツがさ~・・・恭子ちゃんに大好きだって告白したらしいんだけど・・・どう思う?」 「「「「「何っー!!」」」」」 「ち、違うって!!だから何度も言うけどあくまで・・・」 「違わないもんっ!!私のこと電話で大好きだって言ったもんっ!!」 お、落ち着け早川慶太!!ひとまずジュースを飲むんだ!! 「おい慶太・・・テメェ13の子に・・っ!!」 「ちょ、聞いてよ姉ちゃん!!」 「彼女がいるのに・・・」 「岡田は仮の彼じ・・・いや、なんでもないです」 みんな言いたい放題だ。確かにあの電話は僕に非が120%あったけど、だからって・・・ 場の全員が烈火のごとく怒り始めたとき、ぽつりと恭子ちゃんがつぶやいた。 「・・・私と彼女さんと・・・どっちが好きなんですか?」 その言葉に静寂が訪れた。みんなの視線が僕に集まる。 (慶太、浮気したことは水に流してあげる・・・だからはっきりと私の名前を呼びなさい!!) (慶太さん、私信じていますからっ!!) 主に岡田と恭子ちゃんの声が聴こえる。 答えられるわけがない。となれば第3の答え。 「・・・俺が好きなのは陽菜だ」 言ってしまった。もっとムードのある場所で言いたかったのに、こんな場面で言ってしまった。 「え・・・?」 恭子ちゃんの顔が絶望に染まる。でも妹として好きなのは変わらないからね。 「・・・っ!」 岡田が苦虫を噛んだような顔をしている。やっぱり僕なんかよりもっといい奴を選べよ。 「・・・認めねぇ」 誰もが静まる中、姉ちゃんがそう言った。 「姉として認められねェな!!慶太にふさわしい女は愛情深い人、つまりウチ以外はいないんだからな!!」 何言ってるんだ姉ちゃん!?告白に聞こえるぞ!? 「何言ってるの!?早川の・・・ううん、慶太の彼女は私なんだから!!私が一番ふさわしいんだから!!」 お・・・おい?お前まで何言ってるんだ? 「黙って聞いてれば・・・慶太さんが一番好きなのは私なんです!!私にだけ大好きって言ってくれるんです!!」 アレ?ミンナノヨウスガオカシイゾ? 690 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:29:18 ID:HLEr4wWp 「慶太は秋祭りの時にウチのこと大好きだって言ったんだぞ!!」 「私だって占いで12月になったら慶太が私のこと好きになるって言われたんだから!!」 「何度も言わせないでください!!慶太さんは電話で私のこと大好きだって言ってくれたんです!!」 岡田さんの意見だけが相当弱い。それに姉ちゃんも恭子ちゃんも都合のいい部分だけ抜き出さないで。 混沌とした修羅場が続く中、一つの笑い声が聞こえてきた。 「アハハハハハハハッ!!!」 陽菜だ。一体何がおもしろいのかものすごい笑い声だ。 「みんな醜いな~。慶太がさっき言ったでしょ?好きなのは私だって。あなたたちが喧嘩したところで何の意味もないのよ?」 陽菜の目が今まで見たこともないくらい濁りきっていた。 「それにこの際だからはっきり言うわね?まずは・・・祥姉ぇ」 声をかけられただけだというのに、姉ちゃんが怯え始めた。姉ちゃんが怯えるなんて初めてだ。 「慶太はあんたに同情して好きだって言ったのが分からないの?実の姉のくせして弟を愛しているなんて・・・気持ち悪すぎ」 おかしい。陽菜がおかしい。まるで別人だ。 対する姉ちゃんはいつものように言い返さない。ただ下を向いて何かをこらえているようだ。まさか泣いているのか? 「恭子ちゃんは一体何様のつもりなの?すぐ男の家に転がり込んだりして・・・飢えてんの?」 「ち、違います!!それは慶太さんが―――」 「飢えるの意味分かるの?その年で分かるなんて先が思いやられるわね。言っとくけどビッチは嫌われるわよ?」 陽菜の波状攻撃に恭子ちゃんが泣き始めた。だが陽菜は口撃の手をやめない。 「だいたい他人のくせに妹とか・・・そういうのがマジで男受けすると思ってんの?頭悪いんじゃないの?」 恭子ちゃんの顔が真っ青になっている。心の中で壊れた人形のように、ただ僕の名前だけを呼びながら。 「最後は・・・結衣ちゃん」 「・・・なによ」 岡田は口撃に備えて構えている。僕はただただ見守るしかない。 「正直、言う事は何もないの。結衣ちゃんはかわいいし、みんなの人気者だし、すっごい憧れてるよ?ただね・・・」 陽菜が言葉を切った。多分ここから攻撃に移るのだろう。 「私、結衣ちゃんのこと大っ嫌いっっ!!私だけの慶太を奪おうとするなんて!!顔見るだけでムカつくっ!!」 「は、は~!?意味分かんないんですけど!?だいたい慶太はあなただけの人じゃないでしょ!!」 「私だけの物よ!!私だけが慶太を理解できるし、慶太だけが私を理解してくれるんだからっっ!!」 「物って・・・慶太は人間でしょ!?それを物扱いするなんて、あなたこそ何様なの!?」 「物だよ!!慶太は人間であって私の所有物でもあるんだから!!だから勝手に人のもの盗もうとしないでよっっ!!」 僕の意思とは無関係に話が飛び交っている。なんだかものすごく怖い。 「ぬ、盗むってあなたね!!大体慶太の彼女はわ・・・ううん、口で言っても分らないなら見せてあげる」 そう言って岡田は僕に近寄ってきた。その行為に対し怪訝な顔をする陽菜。 「ねぇ慶太、私と慶太は彼氏彼女の関係だよね?なら・・・」 言い終わらないうちに僕の口が何かでふさがれた。 なんだろう?今までに感じたことのない温かな感触だ。ただ周りの声がうるさく聞(聴)こえた。 「どうだった?もしかして慶太のファーストキスだった?」 そっか、感触の正体は岡田の唇だったのか。どうりで温かかったわけだ。 そんなことを漠然と考えてしまった。 「アハ、アハハハハッッ!!本当に・・・結衣ちゃんは・・・ムカつくなっっ!!」 生まれて初めて陽菜の激昂した姿を見た気がする。 陽菜はいつも持ち歩いていたポーチに手を入れてあるものを出した。 ・・・刃渡り10cmはあろうかというナイフだ。 「ぶっ殺してやるっっ!!」 そのままいきり立った陽菜が岡田に突進した。 691 :サトリビト:2010/05/05(水) 12:30:07 ID:HLEr4wWp 「って、うおぉぉぉぉぉーーーー!!」 そんな叫び声とともに飛び起きた。 なぜか目の前には布団がある。それにどうやらここは僕の部屋のようだ。 あれ?さっきまでカラオケボックスにいたはずじゃあ・・・? とりあえず携帯を見る。そこには今日が何の変哲もない平日だという事が記されていた。 どうやら今までのことは全部夢だったらしい。 よかった。本当によかった。でもなんてリアルな・・・ 「ん~・・・どうしたのぉ~、お兄ちゃん?」 隣で眠っていた恭子ちゃんが目を覚ました。 「あ、起しちゃった?ごめんね・・・ってあれ?なんで恭子ちゃんが俺のベッドに?」 「だ、だって・・・お兄ちゃんと一緒に寝るの気持ちいいから///」 そういって僕に抱きついてくる恭子ちゃん。 あれ?なんだか夢のときもこんなに積極的だったような気がするぞ? 「・・・歯、くいしばれや慶太・・・」 あ、あれ?まさかこれも夢なの? それを確かめるために僕は姉ちゃんに振り返る。そして・・・ 「今日はお美しいですよ、お姉さま☆」 「ほぅ・・・いつもは美しくないと?」 フフ、ものの見事に一字言い間違えたみたいだ。 バチーーーーーン!!!! どうやらこれは夢ではないらしい。そのことが分かっただけよかったよかった。 「お兄ちゃんになんてことするんですか!?」 「これは愚弟に対する制裁だ。ってかオメーも何の気もなしに慶太のベッドで寝てんじゃねーよ!!」 「だって私とお兄ちゃんは兄妹だもん!一緒に寝ててもいいじゃないですか!」 「いいわけあるか!来るたびに毎回慶太のベッドに忍び込みやがって!」 「なんでそんなに怒るんですか!?もしかして・・・あなたもお兄ちゃんと一緒に寝たいとか?」 「そ、そんなわけあるかっっ!!」 姉ちゃんと恭子ちゃんが僕をはさんで討論を繰り広げている中、ふと夢であった気になる点を思い出した。 カラオケのときは聴こえるはずの声が聴こえなかった。 冷静になって考えると、最近サトリの能力が不安定になっている気がする。 そういえば以前は強い感情にしか反応しなかったんじゃないのか? でも最近は以前は聴こえなかったはずの小さい声もたまに聴こえるぞ? 一度考えだすと疑問がたくさん湧いてきた。 「しかたないな・・・」 僕は昔サトリの研究を手伝わされた教授の元に行くことを決めた。 「え?ち、ちょっと待て!し、しかたないってお前!?」 (え?嘘!?慶太がウチと一緒に・・・一緒に寝るって!?) 「お、お兄ちゃん!?本気なの!?」 (嫌だぁ!!そんなの絶対にダメ!!お兄ちゃんと一緒に寝るのは私だけの特権なんだから!!) ・・・はぁ・・・もう好きにしてくれ・・・

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