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題名の無い長編その十三第五話」(2010/08/22 (日) 14:42:55) の最新版変更点

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29 :名無しさん@ピンキー:2010/05/08(土) 15:35:11 ID:7kkAG7Hr  命惜しさとは酷いものである。  あの時は生命的危険を感じ、承諾してしまったが  後悔せずにいれようか。  もはや俺の人間としての評価はどうでもいい。  生きていれば何とかなる・・と信じたい。  問題は二人との「約束」だ。  二人の現時点での俺の脳内評価から  二人が鉢合わせしようものなら(特に俺が)ただで済む筈がない。  具体的には刃傷沙汰ってことも起こり得る。  当然、現代日本(H22現在)では銃の取り締まり・刑罰は重いので銃ってことはない・・筈だ。  で、一番手ごろな凶器として、刃物だ。  ・・・さっきから刺し殺されるとこしか想像できない。  銃で撃たれるならともかく、刺し殺されては「死を受け入れた覇者のポーズ」がきまらない。  やはり俺には覇王の真似事は早すぎるか。  しかし、できれば死にたくない。  ならばここは篭城戦。  日本史の戦国武将だって、ピンチになれば篭城だってしてた筈だ。  織田信長のような魔王の覇気なんて俺には無いからな。  そうと決まれば早速行動。  「さぁやるぜ・・善は急げってな。」  「急いては事を仕損じるって事はないの?」  「あっっ!!?」  突然横合いから声がかかり、驚いて思わず声が出た。  いつからいたの!?そして誰だ?  ぎこちなく首を右向け・・右!  視界に映ったのは口調とは違って上半身を前に傾け、鬱屈としたような姿勢の少女。  整った白い服装と裏腹に乱れた髪が顔を隠してホラー映画の死装束女みたいになってる。  「修二ぃ・・・遅いから来ちゃったよ?」  ・・・綾だった。  雰囲気っていうかオーラがいつもと何か違う。  怒ってるでもなく・・苛立ってるでもなく・・・闇?  そう!闇のオーラってかんじだ。  グラヴィティよりキツい。  「遅かったってなぁ・・・・まだ10時だぞ?」  来いと言われていた時間は10時半。あと30分ある。  「10分前行動を知らないの?」  「30分前行動なんて聞いたことがないぞ・・・」  ♪ ♪ ♪ ♪ ♪・・・・・・  突然の着信。  ポケットに入れていた携帯が海賊BGMを奏でる。  メール発信源は・・・まぁ、咲良だったりする。  『早く来て♪』  こっちはこっちで予定は11時。あと1時間半はあるよ?  「・・・行こ?修二。」  と、俺の空いてるほうの手を掴む綾。  どうせ行き先は綾の家。咲良の家に向かえることはなさそうだ。  ・・・・オマエ絶対メールの用件わかってて言ってるだろ。   30 :名無しさん@ピンキー:2010/05/08(土) 15:35:51 ID:7kkAG7Hr 手を繋いだ状態で歩くこと約20秒。  当然、いくらお隣だからって20秒で行き来できるワケがない。立地条件にもよるが。  相変わらず家の中・・・・に居たはずだ。  居たはずである・・と思えなくなってきた。  場所は父親の部屋。去年から無人状態の父親の部屋。  入るな・・と言い含められていたので立ち入らなかった。  埃まみれである筈の部屋だ。  ・・・前置きで察せるように室内が綺麗になってた。  っていうか生活感が溢れている。  父親の置いていった荷物はそのまま。  家具の配置も記憶にあるとおり。  ただ、明らかに父親の品以外の物があちらこちらに見受けられる。  ハッキリ言って女物。可愛らしいデザインの写真たてやら時計やら。  クマのぬいぐるみまである。  ・・・親父、アンタの部屋占領されてますよ。  呆然と立ち尽くす(しかない)俺の手を、早く早くとばかりに引く綾。  「綾・・・この部屋はなんだ?」  「お義父さんの部屋でしょ?」  ・・・コイツお義父さんとか言いやがったか?   「だから綾、言葉遊びのつもりか知れんが、俺には彼女が・・・  声が続かない。  綾の表情が激変していた。  負の感情を純度100%で表情に出している。  人の成せるものじゃない・・と思えてきた。綾は人だが。  「修二。今は他の女のことなんか考えちゃだめだよ。今は私だけを見て。 私は修二のこと愛してるから。なんでもしてあげるよ?エッチなことだって、恥ずかしいことだって ・・・人を殺す事だって!  アハハハハハハ!愛してるよ、愛してるよ修二!だから一緒に居よ?他には何も要らないよ・・・    ・・・そこからイマイチ覚えていない。  部屋に引き込まれて、不覚にも嫌なカタチで大人の階段を昇ってしまった。  自己嫌悪が心に渦巻いている。  既に昼過ぎ。明るい日差しが小窓から差し込む。  小休憩・・・らしい。俺としては永遠に休憩していたいが。  責任とらなきゃな。咲良になんて言おうか。  「だめだよ修二・・・他の女のこと考えちゃダメだよ。」  だめだ。思考回路はとっくに掌握されている。  綾が胴体に手を回して抱きついてくる。行為の後ってことで(俺もだが)全裸だ。  デッドゾーンがしっかりと視界に映る。  綾の下半身が若干痙攣しているように見えた。  ・・・・本当にどうしようもなく堕ちたな、俺。人間失格だ。  「休憩終わりっ!」  言うが早いか綾は俺の両肩を突き飛ばし、ベッドに押し倒す。  突発的な行動力は昔からだが、それが見れるだけでも安心できた。  根底は昔からの綾だな。  しかしさっきからそうだが、このままだと俺って永遠に受身なんじゃなかろうか。  既に洪水状態の女性器が俺の男性器を飲み込む。  「あっ・・ひあぁ・・はいったよ・・んぅっ・・・」  根元まで飲まれ、快感の波が強くなる。  「・・・もう濡れてるのか」  「だ・・だってぇ・・あぅっ・・・修・・二のこと・・考えてたら・・あぁっ・・ん・・」  男として嬉しいことに違いないが、今は罪悪感が勝っている。  「んちゅ・・ぺろ・・むぐ・・んむぅ・・・・」  綾が唇を重ね、さらに舌を差し込んできた。  舌の感触に快楽が増し、いよいよ堤防が危なくなってきた。  理性を保て。快楽に流されるな。鉄壁の理性。動かざること山の如し!  「あ・・あぁ・・んっ・・しゅうじの・・あったかいよ・・」  ちょっと待て我が息子よ!!・・・君には心底ガッカリさせられるぜ。クソ、欝だ。死のう 31 :名無しさん@ピンキー:2010/05/08(土) 15:36:22 ID:7kkAG7Hr 事実にして真実。どうしようもない現実として、既成事実が出来上がった。  責任追及は逃れられない。  「逆レイプされました。」って誰も信じない。  こういう時、男は圧倒的に不利だ。  諦めるか、受け入れるか、全てを捨てて抗うか。  ・・・諦めよう。  できれば受け入れよう。綾のこと嫌いじゃないし。  しかし俺が納得しても意味は無い。  非常に、非情に大きな問題点が残っている。  ・・・ゴメン、咲良。  死んで詫びる気はサラサラ無い。  四肢の一本くらいは・・・まぁ、それで許されるなら。  明後日、謝罪も含めて別れるか。  俺のモットーは「責任は果たせ」だ。親父にあの事件以来、血反吐を吐く程叩き込まれた。    ようやく体が落ち着き、脱力感から眠気が来る。  足腰不全の綾に服を着せ、自分も服を着る。  二人して、親父のベッドに倒れて睡魔に身を任せた。  沈みかけた意識に聴覚を通してインターホンの電子音が鳴り響く。  『修二君、遅いから来ちゃったよ?』  ・・・・1日に2回も聞くとはな・・そのセリフ。  まぁ、遅刻じゃなくて行けなくなったんだが。 

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