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370 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:23:28 ID:EReNh1BU 「只今よりベスト・ドレスアップ・コンテスト女性の部本戦を行います」 「「「「「「「「「「「「うおっっっーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」」」」 ワールドカップの決勝でも始まるかのような歓声が会場全体に響き渡った。 異様な熱気。轟く地鳴り。しびれた僕の体。 「僕はいつまでしばられているんだろう・・・っと余計なことは考えちゃだめだったな」 僕の飲まされたもの・・・それは思った事が口に出るという、僕史上最恐の化学兵器だった。 「では本戦開始前に、ここでルールを説明します。まず本戦の仕組みですが、それぞれ3つのお題を課せられ、その中で合計得点の高かった 人が優勝となります」 「ふ~ん、でかい大会の癖に普通なんだな・・・」 「・・・え~、ゴホン・・・次に審査ですが、今回はこちらが特別に用意した審査員の個人的主観によって行います」 「お!この司会者チャック全開だよ!超ウケ・・・ご、ごめんなさい」 「・・・・・・・・・・・・・それでは審査員を紹介していきます。私から向かって右側は・・・」 司会者が何気ない素振りでチャックを閉めながら仕事をこなしている。 会場の目は彼に同情の視線と、僕に「アイツさいて~」という視線を送っていた。 でもさっきも言ったと思うけど、現在の僕は椅子に縛られているのだ。 口をふさがせないため、そしてここから逃げないようにするため。 だからこれはしょうがない事なのだ。 「そして最後は・・・本日のメインゲスト、ガービッジ・オブ・レジェンドこと早川慶太君です」 どこかカッコイイ響きの肩書きで紹介されたが、意味は最低だ。 「「「「「「「「「「ブッーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」 分かっていた。こうなる事は分かっていた。 「だけど・・・あんまりじゃない?僕だって一人の人間。心ってものが・・・感情ってものがあるんだよ!!」 だがブーイングは鳴りやまない。 それにいらだった僕は過ちを犯してしまった。 「ったく、嫉妬は醜いんだよ!!この負け組どもめが!!・・・あれ?僕ってばこんな事考えたっけ?なんで口―――!?」 ボカッ!グシャ!ドスッ! ・・・バタッ・・・ 「ふぅ~!いい汗かいた!それではいよいよ予選を勝ち抜いた絶世の美少女達の入場だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 最後にそんな言葉が聞こえた気がした。 371 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:24:19 ID:EReNh1BU 「・・・もうすぐだなぁ~」 私は元来、こういうコンテストにはまったく興味がなかった。だって他の人からどう思われようと関係ないのだから。 だけどこうして出場し、本気で優勝を狙っている。 この大会で優勝することができたら、お兄ちゃんを一人占めできる。 そう考えただけで体がポカポカしてくる。 「まずは何してもらおっかな・・・」 頭をナデてもらうのもいいかもしれない。 やっぱりおもいっきり抱きしめてもらおっかな? それとも――― 慶「おいで、恭子」 私「う、うん・・・///」 恥じらいながらもお兄ちゃんに近づいていく私。 そしてある程度の距離になったところでお兄ちゃんがいきなり私に抱きつく。 私「ひゃっ!」 慶「ほ~ら、捕まえた☆」 私「・・・あぅ・・・///」 慶「あ~・・・やっぱり俺の恭子は世界一かわいいな・・・もう離したくないよ」 私「そ、そんな・・・か、かわいいだなんて///」 慶「なぁ恭子・・・お前、俺だけの女になれよ」 私「っ!?」 慶「いいだろ?俺はもうお前なしでは生きていけないんだよ」 私「・・・ぇ・・・っと・・・///」 慶「フフ、これでもまだ迷うの・・・か?」 私「きゃっ!ちょ、どこさわってるんですかぁ!///」 慶「嫌か?恭子は俺に触られるのは嫌か?」 私「!・・・嫌・・・じゃないです・・・けど・・・」 慶「他の女なんてどうでもいい。お前さえいてくれたら、もう何も、誰もいらないよ」 私「ほ・・・本当です・・・か・・・?///」 慶「あぁ誓うよ。俺は恭子だけを愛してる。一生、お前だけを愛するぜ!」 私「ふああぁぁ・・・私も・・・お兄ちゃんだけを愛しています!」 慶「恭子!恭子!恭子!」 私「お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」 そして・・・そして私たちはそのまま――― 「な、なんちゃって~///」 いけない。あまりの悦楽にトリップしてしまいそうになった。 もうすぐ本番が始まるんだから、しっかりと準備を整えなくっちゃ。 「早川恭子さーん。まもなく本戦が始まりますので、スタンバイの方お願いしまーす」 「あ、はーい!」 待っててねお兄ちゃん!必ず優勝してあげるからね! そしてその時は―――兄妹を超えた究極の家族になろうね! 372 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:24:44 ID:EReNh1BU 控室で私は一枚の写真を手に取る。 それは慶太の寝顔。 宿に泊まった時の慶太の寝室は悪魔どもによって難攻不落になっているが、野宿となればそんな事はない。 その時撮った写真は私の宝物。きっとこれからもずっと。 「慶太、私頑張るからね?応援ちゃんとしてね?」 写真にキスをする。 たかがラミネート加工された紙の癖に、私に形容できない幸福感を与える。 「えへへ~♪優勝したら慶太は何て言うのかな~?」 慶「お前が優勝するのは分かりきっていたけど、おめでとう結衣。これで名実ともにお前は俺のものになるんだな」 私「え?ものって・・・?」 慶「分かんないのか?ったく・・・いいからこっち来いよ」 私「な、なんだか慶太ってば怖いよ・・・?」 慶「いいから来いっつってんだろ!俺の言う事が聞けないのかよ!」 私「ご、ごめんなさい!!」 慶「だめだ。お仕置きだな。後ろを向け」 私「な、何するつも―――あっ!」 慶「おい、何座ろうとしてんだよ!俺がいつ座っていいって言ったんだよ!」 私「で、でも・・・ふぁ!あっ・・・まっ、まって!は、激しっ、いっ、よっ!」 慶「ふん!これくらいで根を上げんじゃねぇよ!本番はここからなんだからな!」 私「いいっっ!?あっ!だ、ダメ!!ダメだってっ、あっ、だ、だ、あ・・・あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 慶「いいか!お前は俺のおもちゃなんだからな!勘違いするんじゃねぇぞ!」 私「あぁぁ・・・は、ハイ・・・私は・・・慶太のおもちゃ―――あんっっ!!!」 慶「誰が呼び捨てで呼んでいいなんて言った!?俺の事は慶太様って呼べよ!」 私「あ・・・す・・・すいません・・・慶太・・・様・・・」 慶「そうだ!良く言えたな!そんなおもちゃには褒美をあげないと・・・なぁ!!」 私「あんっっ!!だ、だから、激し、す・・・ぎっ!ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 慶「とどめだ!」 私「ひゃああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 「でへ♪・・・っは!わ、わたしったら///」 気がついたら服を脱ぎ散らかしていた。口からは涎も垂れている。 何やってるんのよ私・・・ いそいそと服を着て化粧の続きに戻る。 それにしても慶太は凄かった。 二次元で見ても、妄想の世界でも、私を幸せにしてくれる。 もしこれが現実の世界で起こったら私は耐えられるのだろうか? 「まずいな・・・今からでも心の準備をしとかないと」 あと数時間後には確実に現実になるのだ。 「早川結衣さーん。まもなく本戦が始まりますので、スタンバイの方お願いしまーす」 え!?もうそんな時間なの!? 「も、もうちょっと待ってもらえます?」 「いえ、無理です。早くしないとこちらからドアを開けますよ?」 「ま、まって!」 私はろくに着替えてもいないし、顔だってですっぴんだ。だから絶対に開けるな! 「・・・開けさせていただきます」 い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 373 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:25:16 ID:EReNh1BU 「さてと・・・どうしましょ?」 勢いで私も参加してしまったけど、一体どうすればいいのでしょうか? 一応私も女なのだから美を競うコンテストで優勝したい気持ちもあるのですが、もしそうなってしまった場合、慶太さんを陽菜さん達から 奪ってしまう事になります。 私のせいでパーティの仲を険悪にするのは不本意です。 ・・・コン、コン・・・ おや?誰か来たようですね。 「は~い、どなた―――っ!?」 「やっぱり・・・祥子お姉さまでしたか」 え・・・まさか・・・ 「僕です。弟の山田輝です」 そ、そんな・・・ 「先ほどの予選で見たときに気がつきました。やっぱり姉さんだったんだね」 私は涙を流しながら驚きました。 「・・・俺も・・・姉さんにまた会えてうれしいよ」 目の前の少年も涙を流していました。 でも私のそれとは意味が違います。 私が泣いてしまった理由―――それはこんなにも弟がさえない男に成長していたことです。 たしか記憶ではもっとかわいらしかったと思います。 それなのに・・・なんですか、このインテリぶってるけど実はロリコンっぽいオーラは。 そうです。こんな奴は私の弟なんかじゃありません。 「また一緒に暮ら―――」 「黙りなさい。あなたなんて弟じゃありません」 「な、何言ってるのさ!正真正銘僕は弟ですよ!?」 「いいえ。確かに私には弟がいますけど、それはあなたではありません。慶太君です」 「弟に君付けなんておかしいだろ!?それにアイツの名字は早川だろ!?」 「・・・今から私の名前は早川祥子です」 「ふざけないで下さいよ!僕はずっっっっっと姉さんの事を探し回っていたんですよ!?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うるせぇな」 「へ?」 「・・・うるせぇって言ってんだよ!百打留子!」 「うっ!」 まったく、なんて聞きわけの悪い子なのでしょう。親の顔が見てみたいものです。 「山田祥子さーん。まもなく本戦が始まりますので、スタンバイの方お願いしまーす」 「分かりました。あ、ところで一つ伺いたいのですがよろしいでしょうか?」 「いいですよー。なんですか?」 「私の名前なんですが・・・山田祥子から早川祥子に変更していただけないでしょうか?」 「?分かりました」 フフ、待ってて下さいね慶太君♪ この大会が終わった頃には本当の姉弟になりましょうね? 374 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:25:43 ID:EReNh1BU あ~退屈。 慶太と一緒にいられないなんて退屈以外のなにものでもないわ。 「あ、あの~・・・」 それにしてもあのクソガキ、よくも人のものに向かって大好きとかほざきやがったな。 「え~っと・・・陽菜様・・・?」 結衣とかいう他の男に媚びるビッチは置いといても、祥子の方は油断できない。現にさっきの慶太も少しあの女に魅了されていたし。 「わ、私はいつになったら会場に戻れるのでしょうか・・・?」 「あ~もう、うるさいな!」 「ヒィッ!ご、ごめんなさい!」 何かの役に立つかと思ってここに連れてきたけど、もういっその事憂さ晴らしに・・・あ、そうだ! 「ねぇ太郎君、私が毎日あげている姿が戻るキノコの粉末・・・これを一日1gから5gに増やしてあげようか?」 「ほ、本当ですか!?」 やっぱりこの男は単純だ。 「そのかわりね?・・・」 ・・・ごにょごにょごにょ・・・ 「っ!?そ、それはさすがに・・・」 「できないの?なら眼羅象―――」 「いえやります!僕にやらせてください!」 「フフ、ありがと♪」 我ながら良い作戦を思いついた。 太郎君を部屋から追い出した後、準備に取りかかる。 現時点で私はあの3人に容姿が劣っている。これは紛れもない事実だ。 ならどうやってこのコンテスト勝ち抜く? 答えは簡単。あいつらの容姿を悪くすればいいだけの話。 「フフフ・・・」 楽しみだな。 あの慶太があの3人をまるで豚でも見るかのような視線で見つめたとき、アイツらはどう思うだろう? 絶望する?発狂する? いっそのことそのままショック死すればいいのに♪ 「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」 「ど、どうかされましたか!?」 「っ!い、いえ、なんでもないですよ~?」 危ない危ない。 「ならいいんですが・・・あ、佐藤陽菜さん。まもなく本戦が始まりますので、スタンバイの方お願いします」 「は~い、今いくね~」 醜い自分を奥に引っ込めてから、私はゆっくりと部屋をでた。 待っててね慶太。 あの豚共を処理した後で、至福の時間を過ごさせてあげるね♪ 375 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:26:47 ID:EReNh1BU 僕が目を覚ました時、綺麗な女性が5人いた。ただ一人は即席で化粧していたのがバレバレだったが。 「おや?やっと審査員の一人が目を覚ましたようなので、これより第一ステージの説明をしたいと思います」 急な展開についていけない。 「えっといき―――」 「「「「「「「「「黙れ!」」」」」」」」」」 まだ5文字しかしゃべってないのに怒られた。 「最初は『自分の恋愛話』対決!各々の恋愛自伝を語っていただき、より可愛らしさ、一途さ等を競っていただきます。ちなみに審査は個 人的主観なのでそこのところはよろしく」 「ずいぶんと適当なんだな」 「そしてここからが重要なところです。審査員一人のポイントは1点が原則なのですが、今回は特別!慶太君のポイントは10点分とします」 「なに!?審査員は5人しかいないのにか!?」 「それでは予選通下位から順にお願いします!」 「ま、待ってよーーー!!」 どうやら僕の意見はここでも通らないらしい。 「・・・一体僕って・・・」 姉ちゃんは今まで恋愛をしたことがないようで今回は棄権した。 「よかった・・・もし姉ちゃんに好きな人がいたなんて聞いたら僕は死んでしまうかもしれない」 「あら、慶太君ったら・・・それはどういう意味かしら?」 「だってお姉ちゃんが僕以外に目を向けるなんてそんなの・・・た・・・たえ・・・られ・・・ない」 この毒は信じられないくらい強力だった。 なんせ大魔王様達の邪眼をまともに喰らったのに、まだこんな発言をしてしまうのだから。 「どうやら慶太君は祥子お姉ちゃんの事が大好きなようですね!」 司会者がニヤニヤしている。 「成程・・・これが目的か・・・」 どうせ死ぬなら楽に逝きたい。 「そうだよ!僕は祥子姉ちゃんが大好きさ!愛してると言っても過言ではない!」 会場全体が目を見開いた。 「どうだ!ついに言ってやったぞ!フハハハハハ・・・ハハ・・・ハ・・・や、やっぱり死にたくないよ~!」 渾身の力をもってしても、僕を縛る縄はほどけない。 「た、助けてよみんな!助けてよお姉ちゃーーーーん!」 「そ、そんな・・・///あ、愛してるだなんて・・・///」 「・・・お、終わりだ」 姉ちゃんが助けてくれないとなった今、僕は死を覚悟した。 だが予想に反して3人ほ女性は微笑んでるだけで何もしてこない。 「慶太ったら・・・かわいそうに、芽堕派煮でもかけられたのかな?ウフフフフフ・・・」 「お兄ちゃん・・・もう少しだけ待ってて下さいね?エヘヘヘヘヘヘヘ・・・」 「慶太も随分と高度な恋愛テクニックを使うようになったね♪でもね?程々にしといた方がいいよ?アハハハハハハハ・・・」 「・・・ごめん、お願いだからもう焼いて?そんなセリフを笑顔で言われるくらいなら、もういっその事地獄の業火で焼きつくして?」 そんなこんなで序盤中の序盤が終わった。 まだ4人残っている。それに2つのステージ分を入れると合計14回。 「・・・よし!薬草がまだ15枚残ってるぞ!なんとかいけそうだな!・・・あ、しばれてるからどうせ食べれないのか」 ・・・てへっ☆ 376 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:28:37 ID:EReNh1BU 「続きましてイルカ姫の登場です!」 ごく一部から歓声が上がる。 それもそのはず。この姫様とやらは全くと言っていいほど胸がない。 こんなのに歓声を上げるのはごく一部、僕の知っている中では山田君くらいだ。 「主らは幸せじゃな!よもやこのわらわの恋情を知ることができるとはのぉ!」 「なんだあの胸なし?ものすごく偉そうだ・・・ごほんっ!」 「・・・ほう?お主、その胸なしとは誰の事を指しておるのじゃ?」 「あんた・・・以外・・・にいるか!ってこの毒は思った事だけじゃなく、僕の本音も勝手に言っちゃうの!?」 不気味に笑う司会者。 「マジでお前死ねよ!」 「・・・・・・・・・お主・・・・・・・・・いい度胸じゃな・・・・・・・?」 「いや、まって、命だけは・・・!」 こっちに歩み寄るイルカさん。 「まぁまぁ落ち着いて?慶太も冗談で言ってるんだから?」 なぜかものすっごい笑顔の陽菜と岡田。 それに比べて深刻な顔で自分の胸をもんでいる恭子ちゃん。 「お兄ちゃんは・・・やぱり大きい胸の女の人の方が・・・いいんですか・・・?」 「え?僕は胸なんかで女の人を判断したりしないよ?ま、顔では判断するけどね」 世界中の女性に殺されそうなセリフを言ってしまった。 会場全員が、味方のはずの陽菜たちまでが、どこか遠いところに行ってしまった。 「・・・お主・・・最低じゃな・・・」 イルカさんの言葉に観客が頷く。 「誰も顔だけで判断するって言ってないだろ!」 「なら他には何で判断するのじゃ?」 「例えばスタイルとか服装とか!あ、あと髪型とか!」 「・・・・・・・お主・・・・・・本格的に最低じゃな・・・・・・」 イルカさんの言葉に陽菜たちまでもが頷く。 「・・・葬ってくれるわ・・・」 「まって!何だか話が変な方向に変わってきてない!?これはイルカさんの恋愛話を語る時間だよね!?それなのに何でこんな展開になる の!?」 だがイルカさんの歩みは止まらない。 そのまま舞台から飛び降りようとした時、躓いたのかイルカさんの体が大きく揺らいだ。 「きゃ、きゃっーー!」 可愛らしい悲鳴とともに、なぜか僕の上に落っこちてきた。 「いでっ!」 「す、すまぬ!」 僕に向き合うように体をくっつけているイルカさんの顔が赤くなっていた。 それから僕を見上げてきたかと思ったら、変な事を口走り始めた。 「わが身をかばってわらわを助けてくれるなんて・・・///」 「いや、あんたが勝手に僕のところに落ち―――」 「・・・なんじゃ?このいいようのない幸福感は?」 何となく嫌な予感がする。 「もしかして・・・恋!?」 「おかしいだろ!今のどこにキュンと来るシーンがあった!?それと危ないから早く僕からどけ!」 「な!?わらわに命令するとは100年早い―――」 「眼羅巳」「遺悪羅」「雷出陰」 「お、遅かったか―――って僕までギャーーーーーーーー!!!」 377 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/07/05(月) 22:29:18 ID:EReNh1BU なんとか薬草をイルカさんの従者(?)に食べさせてもらった僕たちは一命を取り留める事が出来た。 ただその代償に薬草を6枚も使ってしまったが。 「節約していかないとな・・・」 残り13回の修羅場を9枚乗りきらないといけない。 「・・・無理じゃね?」 「さ~て、次は早川結衣さんです!どうぞ!!」 岡田、いや早川さんの番が回ってきた。 「私の好きな人(ちらっ)との出会いは真っ暗な洞くつで~(ちらっ)私が迷子になっていたときに~(ちらっ)・・・」 「お願いだから陽菜も恭子ちゃんも、そしてえ~っと、イルカさんも落ち着いて」 「しかもその人が毒に侵されていたいたときにぃ~キスをしちゃって~・・・」 「本当にお願いだから落ち着いて!手から炎とか出すのやめて!」 「それからその人は私を押し倒したと思ったら、急に真剣な目で「いいんだな?」って言ってきて~・・・きゃっ~!!///」 「マジで!マジで危ないから!もう僕には薬草が9枚しかないんだから!」 「以上がが私と私の夫との恋愛話です!!きゃ、恥ずかしかった///」 「・・・や、やっと終わったの・・・か・・・?」 良かった。なんとか岡田は無傷、僕は右腕一本で済んだ。 「いや~実に羨ましくてその夫とやらに殺意が沸く話でしたね!」 岡田の話が終わったと思った僕は油断していた。 「では講評の方、慶太君おねがいします!」 「な、なにー!」 「先ほどの結衣ちゃんの話・・・特に後半部分は本当ですか?」 陽菜の目が細くなった。 「本当だよ!・・・く、くそっ!・・・あの時は確かに・・・・結衣とやりたいって・・・お、思ったよ・・・」 「そうですか♪では改めて結衣ちゃんの魅力はなんですか?」 恭子ちゃんの顔が能面に変化している。 「まずは・・・顔がいい事・・・そして・・・スタイルがいい事・・・ち、違う!こ、これは僕の意思じゃない!」 「そうですか。では最後に結衣ちゃんとさきほどの祥子さん、イルカ姫・・・この3人のことをどう思っているか、率直にお願いします」 その瞬間、岡田の目がつり上がった。 姉ちゃんの口端が嫌な吊り上がり方をした。 イルカさんが目をつむってうんうん、と頷いた。 「ぐっ!・・・恋人にするなら姉ちゃん、エッチするなら結衣、イルカさんは別に何とも思わない」 一つだけ分かった事がある。 この毒は思った事を口にするだけじゃない。本心を強制的に言わせるだけじゃない。 それもあるが・・・この毒の一番恐ろしい特性はそれじゃない。 「僕の心を邪悪にするのもだったのか・・・!」 司会者が笑う。 「・・・言いたい事はそれだけかえ・・・?」 「やっぱりイルカさんは恐ろしいほど胸がないね!・・・あの、もう勘弁して下さい・・・」 「他には?」 「姉ちゃんはやっぱ最高に美人だね!・・・あ・・・あぁ・・・」 「私には・・・?」 「結衣はなんかな~・・・恋人にはしたくないタイプって奴?・・・ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!・・・あ、そう言えば前回優勝者さんは どこに行ったんですか―――」 ふぅ、まったく・・・僕はマゾじゃないんだぞ☆ あ、ちなみにこれはあの世で言った言葉です。

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