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426 :変わったの日・七夕:2010/07/07(水) 01:02:34 ID:YoIqN8Pn 昔ならば梅雨の時期が過ぎて、夏の本格的な暑さがやってくる頃合いなのだが、最近話題の地球温暖化のためかまだじめじめ感がある梅雨の時期だ。 今日は七夕。月日でいうと7月7日だ。近くの商店街では、竹がたくさん飾られ、その竹に願いを叶える短冊が吊されている。短冊は多くはないが色鮮やかに吊さられている。 「短冊か。」 よく小さい頃には短冊に夢見がちな馬鹿な願いを頼んだもんだ。 だが今はそんな非現実的なことも考えたりしないつまらない人間へとなってしまった。 もっと言えば、そんな自分に何の違和感もないぐらい自分は自分の意思を隠してしまった。いや、どこかに消えてしまった。 「帰ったら、センターの過去問題集をやらないと。」 青春の汗を流す花の高校生活と言う人は言うが、自分にとっては大学のための勉強場所にしか過ぎない。自分の通っている学校は偏差値は高いが、トップというほどでもない。 ちなみに自分は自慢ではないが県内最難関高校に行けることはできた。しかし今通っている高校は家から20分の場所にあったので、勉強出来ればどこでもいいと考えていたので、近くの方にした。 427 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:03:42 ID:YoIqN8Pn 学校には、不良の真似でもしたいのかだらしない服装で生活する奴らもいるが、それでもなお流石と思うべきかしっかりとした者がほとんどだった。 文化祭での盛り上がりもなかなかだが、自分にとっては邪魔な行事の一つでしかなかった。 帰り道である商店街を抜け出し、自分の家まであと少しという所まで来た。 部活に所属していないので、他の人よりは早めの下校だが、いや…もう3年生だから部活に入ってなくて当然か。まあ、それでも4時は過ぎている。 冬になるとこの時間帯でさえも暗くなるので、自分にとっては不愉快に感じる。 ………いっそのこと今日は七夕なのだから短冊に『冬でも夏と同じ時間帯に暗くなってほしい』とでもやってみるか。 と、普段では考えもしないことが頭によぎってしまった。 別に七夕なんかに特別な事もあったわけもなければ、中学の時からは、こんなこと考えたこともない。 「勉強のやりすぎか。」 高3年になってからは本当に勉強日和だったからな。 428 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:04:41 ID:YoIqN8Pn まあ、今日ぐらいは帰ったら、復習だけして寝るか。 頭おかしくまでなりたくないので今日だけはあまり勉強しないことにした。 そして家に帰宅し、先ほど思っていたこと通りに今日という日を過ごした。 昨日いつもより早く寝たためか朝起きるとどこか清々しい気分になっていた。 「……たまにはいいかもな。」 1階のリビングに向かい、親が用意した朝食を食べながら 「今日はなんかいい天気だね。」 「あら?珍しいじゃない。さー君が自分から話すだなんて。」 母だけではなく、自分も驚いた!無意識とはいえ、自分から会話を提供するなんて! それから奇跡は続き、今日の朝食は会話が途切れることなく、有意義なものとなった。母と父とあんなに喋ったのはいつが最後だったかな… いつもより少し遅く家を出た。行く際も母が『行ってらっしゃーい』と今まで一方通行だったが 「行ってきまーす」 今度は自分の意思で言った。今日はなんか本当に変な日だ。 学校に向かう途中、久しぶりの人物に会った。 429 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:11:04 ID:YoIqN8Pn 「おはー♪」 隣に住んでいる幼なじみの上竹 楓(うえたけ かえで)がいたのだった。 彼女はこの県内最難関高校である星南高校に進学したのだ。 中学の頃は同じ中学でテストの時によく自分の家に来て勉強を教えていたのでよく彼女の頭のできのことを知っているが、中3の春まではとても馬鹿だった。どれぐらい馬鹿かというと割り算が出来なかったぐらい馬鹿だった。 しかしながら夏休み相当苦労したのだろう。秋には、自分と楓で1、2位を独占していたぐらい開花したのだった。 そして、星南に受験して見事合格。しかし当の本人はすごく落ち込んでいた。 『……裏切りが…』 凄い目つきで自分を睨み付けながらそう呟く楓は殺人鬼そのものに見えた。 本人は自分と同じ学校に行きたかったらしい。多分また俺と独占しようと計画を立てていたのか。まあ、正直自分にはどうでも良かったことだったので特に気にしなかった。 430 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:15:25 ID:YoIqN8Pn だが、今考えると楓に酷いことしたなと後悔している。 「おはー、久しぶりだな楓。今日はどうした?こんな遅く出て?」 星南は最寄り駅から30分した所の駅からさらにバスで30分と遠い場所にあるので、楓が遅刻しないか心配した。 「咲元があたしを心配するなんて…頭打った?♪」 何故だろう………久しぶりに会ったせいか楓の姿を見るとドキドキする。あっ余談に自分の名は松下 咲元(まつした さきもと)。 確かに楓は可愛い。茶毛で軽くウェーブのかかった髪は最後に会ったままで、しかし容姿は3年の年月によって、大人っぽい感じがあって良いと思う………!!!! 「お・俺は何を考えている!」 「どうしたの?」 楓が上目遣いで俺を見てくる/// 「な…なんでもない!!」 「ふ~ん…まあ、良かった♪咲元と今日逢えて!!」 そんなことがあり商店街の中を通る5分間は楓と登校した。とても楽しかった。 431 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:16:06 ID:YoIqN8Pn 初めてかもしれない。勉強がはかどらなかったのは。 学校があっという間に終わり、帰るため校門をくぐり抜けると一人の女子が俺に近寄って来た。 「松下君!」 「は・はい!?」 いきなり大きな声で呼ばれたのでびっくりしてしまい、声が変になってしまった。 「ちょっとこっちに…」 言われがままに人気のない道に連れていかれた。 しかし、視線が感じるのは気のせいか? 「松下君のことが好きでした!私と付き合ってください///」 いきなり告白された。……誰が?……俺がか!? 「えっと本当に俺?」 「はい!!本当はもっと早く想いを告げようとしたのですが、近寄り難くて……けど、今日の松下君はいつもと雰囲気が違っていつも以上に引き寄せられちゃって///」 確かに朝からいつもと違うことには気付いてたが、まさか告白されるまで変わるとは!! 432 :変わった日・七夕:2010/07/07(水) 01:18:15 ID:YoIqN8Pn さらに告白してくれた子はかなりの美人ちゃんじゃないか!?楓とまた違ったタイプだな。 ヤバい……またドキドキが…… 「あの…返事は?」 「逆に俺なんかでいいの?」 「そんな!?松下君は知らないかもしれませんが松下君、結構女子から人気あるんですよ。今日告白した理由はそこにもあって、他の子に取られるぐらいなら………と思ったからでもあるんです!」 今、目が淀んだのは気のせいか?それと先ほどからある視線が冷凍ビームにランクupしたような…… 「俺なんかでよければ…」 今、楓の顔が頭に浮かんだ。しかしすぐに消え今いる女子のことで頭いっぱいになった。 「付き合ってくれるんですね!!」 「おう!…えっと?名前何だっけ?」 「寺島 杏(てらしま あんず)です。」 「よし!俺は寺島のことをたくさん知るよう頑張る。」 「わ・私はもっと松下君のことを好きになってみせます///」 こうして俺と寺島は今日から付き合い始めることになった。 今日は本当に生まれ変わった感じだ。 俺と寺島は手をつなぎ一緒に帰った。 「……裏切りが!!…」

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