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509 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:49:14 ID:TaGpb9rl
あれから一週間俺は昔の面影が消えてしまうぐらいに変わってしまった。
まず一週間前に現彼女である寺島 杏に愛の告白をされ、その夜には幼なじみの楓が家に晩飯を食べるため来るようになった。
しかしその晩から楓の眼を見るとあの太陽のように輝かしい眼ではなく、妖しく輝く眼となっていた。
態度も心なしかきつかったのもそのせいなのか。
次の日も楓と会い、商店街まで一緒に歩いていった。だが、俺は彼女がいるせいか楓との会話が少し歯切れの悪いものとなってしまった。
楓と別れ、学校に着きげた箱で靴を履き替え、我が教室の3ー1組に入るとクラスの奴らが俺の周りに集まって来て
「お前、杏ちゃんと付き合ったんだって!?」
今までろくに会話もしたことない奴らが俺と寺島の件についてかなり訊いてきた。
小学校の時も俺は静か系な方だったのでこんな体験は初めてだった。あまりに緊張してしまったので俺は変な声でついこう言ってしまった。
「さいです!!!!べらぼうめぃ。」
この時、俺は過去の俺をかなり呪った。…………………………なんで今までろくな対人関係やっておかなかったんだよ俺は………
510 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:50:23 ID:TaGpb9rl
俺の緊張感丸出しの反応は思わぬ方向に転がってくれた。
「ぷっ。何だよ今の反応www」
「松下君って面白かったんだね。」
「意外だな。」
この機を機会に会話皆無に等しかった俺はクラスに打ち解けた。気持ちがスッキリしたのは嬉しいと感じたからだろう。
その日からだろう学校生活に充実感を感じたのは。
今までも充実はしていたものの、心から達成感いや存在感を満たされたのは初めてのことだった。
下校時は帰りのホームルームが終わるといつの間にか寺島がいて
「帰ろう。」
と甘いお誘いがあったので、二回返事をして一緒に帰った。
最初はどちらもぎくしゃくとしていたが、寺島とは意外と意気が合いとても良い時間を過ごせた。もっと道が長ければいいのにと思う気持ちは彼氏持ち、彼女持ちの方々だったらわかるだろう?
寺島の家は高校からそう遠くはなかった。俺の家から比べるとそれなりの距離があり、通学方法は自転車で40分はどおしてもかかるらしい。
しかし今日の寺島は自転車ではなく徒歩で1時間近く時間をかけて登校して来たのだ。
何故だか訊いてみると
「帰りに松下君と長く一緒にいたかったから///」
とまあ、嬉しいことを簡単に言ってくれますよ。
511 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:51:06 ID:TaGpb9rl
寺島の家の前まで着き、そこで寺島とさよならをした。
その先に待っていたのは自分の家まで1時間と30分との戦いだった。
肥満気味の人には是非教えたいと思った。本当に。
また朝が来て、うつらうつらと下のリビングに向かうと楓がいて、また朝食を一緒に摂った。
この日は朝食の時から話していたので、前日みたいなことにはならなかった。
商店街を抜け、楓と別れ学校に向かうと校門に一人の男が立っていた。
「貴様か!?寺島さんの彼氏とは!?」
声を聞く限り綺麗な声だなと思うのだが、無理やりか声を荒げながら喧嘩口調で俺につっかかってきた。
他にも生徒がいるというのに…
「そうだけど………誰です?」
よくよく見ると声だけではなく顔も綺麗だな…多分女子からも人気があるだろう男は「待ってました!!」と………って、言っちゃったよこの子…
「俺は3年2組で寺島さんと同じクラスの石坂 浩平(いしざか こうへい)だ。」
なるほど、寺島さんは隣だったのか。よし、いつか遊びに行ってみるか。
「で?石坂が俺に何の用?」
まさかこいつ、寺島のことが好きで寺島をかけて決闘だ!!なんて言ったりしないよな?
512 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:54:07 ID:TaGpb9rl
「お前が寺島さんの彼氏なんて認めん!彼氏の座をかけて勝負だ。」
こいつは俺の思考通り動くのか!?
そんなことより予想通りに決闘を申し込んできた。俺、喧嘩強くないけどどうしよう。
だが、今度は予想外の展開が起きた。
「ぐはっ!?」
「しつこい男は嫌われるよ、石坂君?」
校舎の方から俺のエンジェルである寺島が気配を消してか?石坂の背後まで来て、手刀で首をチョップし石坂を気絶させた。
「おはよう松下君。」
「おはー。」
なんだかんだで寺島と合流した形だったので一緒にクラスまで行った。
クラスからはちょうど校門が見えるので覗いてみるとまだ石坂が気絶していた。………誰か起こしてやれよ……
面白かったのでそのまま観察していると鐘が鳴り、ホームルームの時間になった。石坂はまだ気絶したままだった。
ホームルーム後、窓側の奴から聴いた話しだが、石坂はあのまま気絶したままで、先生方5、6名が来て起こされて説教を喰らってたとか。
うちの学校にも不良もどきだけでなく、痛い子もいるとは思わなかった。そして寺島の隠された強さを知った。
513 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:54:52 ID:TaGpb9rl
休み時間は予習の時間にしていたがクラスの奴らが『親しみやすくなった』と理由に俺と雑談しに来た。
会話が続くか心配だったが、俺は本当に変わったらしい…鐘がなるまでずっと雑談をしてしまった。
授業はいつもより長く感じた。頭に内容は入るがクラスの連中と雑談したい!という気持ちがあり、休み時間がものすごく待ち遠しかった。
そんな楽しい学校も終わり、寺島と合流し、明後日はテストだと勉強の話になってしまったが、どちらも飽きることはなかった。
寺島を送って家に帰宅し、家族全員で晩飯を食べていると突然母親が『最近帰り遅いけど、彼女でもできたの?』と悪意丸出しの笑みをしながら訊ねてきた。
それに父親が便乗して『可愛いかい?』とこちらも悪意丸出しの笑みをして訊ねてきた。
返答が遅れたせいか、その日の夕飯は食欲がなくなってしまった。恥ずかしいな思い出すだけで。
4日目も起きるとリビングに楓がいた。
朝食を食べている時両親二人がニヤニヤしていたのは流石に腹が立った。
514 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:55:48 ID:TaGpb9rl
最近お決まりになりかけている楓との登校。寺島がいるからそろそろ女子二人と登校はやばいだろうと思い楓に今日いっぱいでやめようと言おうとした時
「咲元さ、明日テスト何でしょう?だからあたしが夜教えに行ってあげるよ。」
待て!?確かに最近変わってきた俺だが、勉強は愚かにしてないぞ?
しかしタイミング悪く商店街を抜けてしまい
「とゆーこで、じゃねー。」
駅まで走り去ってしまった楓。断ることができなかったから夜あいつは来るだろうと思い、少し鬱になりながら学校に足を向かわせた。
いくら幼なじみとはいえ、夜に女の子を家に上げるのはまずいだろう。
学校に着き教室に向かうと明日がテストのためかみんな今までの復習やら何やらで机とにらめっこ状態だった。
俺はこんな空気には慣れていたので今日はあまり面白いことはなく学校が終わった。
寺島と合流し、一緒に帰っていると明日がテストなだけにお疲れな感じだ。
『松下君は全然疲れてなさそうだね』と言われたが、変わってからわかるが家での勉強はかなりの疲労を感じる。いや、学校の授業もかなりしんどい。
515 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 00:56:59 ID:TaGpb9rl
今まではそんなこともなく、疲れていて愚痴ってる奴を見るたびに見下していたが、今なら思う。以前の俺はおかしかったと。
よく勉強のやりすぎで頭がおかしくなるというがその通りだった。
俺も後もう少し無理していればそうなっていただろう。
5日前の俺はただ寂しかったから強がって意地を張っていたのだろう。
寺島の家がそろそろだと思った時、寺島は俺が学年一桁と知っていたためか
「今日さ、私の家で明日のテスト勉強しない?」
めちゃくちゃ嬉しく、“はい”と応える前に今朝の楓との約束を覚え出した。
『咲元さ、明日テスト何でしょう?だからあたしが夜教えに行ってあげるよ。』
「悪い。テストの時だけは一人で勉強させてくれ。」
「あ……うん…わかった。」
「悪いな本当に。」
「じゃあ、テスト明けにその………デートしよ!」
初デート。やったね。不幸中の幸いってやつか?
いつかはデートしたいなと思ってはいたが、まさか付き合ってこんなに早くデート出来るとは。
「ああ。じゃあテスト明け楽しみにしてるよ。」
「うん///私も楽しみ///」
家に帰宅すると玄関前にまるで鬼嫁のように仁王立ちしていた楓がいらっしゃった。
516 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 01:00:46 ID:TaGpb9rl
「おそーい。こんな時間まで何してたの?」
こんな時間と言っても10時とかそんな遅い時間ではなくまだ暮れた直前ぐらいだと思うんだが。
「いや、その…あれだ。本買いに行ってたんだ。なんか明日のためにと思い。」
「じゃあ、買った本見せてよ。」
「いや、結局いいのがなくてな。だから楓の指導に全てを任せた。」
あぶないあぶない。言い訳が矛盾するところだった。
「………てたくせに………」
楓が下向きながらもごもごと何か呟いていたが、無視し夕飯を食べて勉強に取りかかった。
ちなみに親の性格が大ざっぱなことに気づいた17の夕飯。ある意味尊敬するよ…父さん母さん……
楓でに勉強を教えてもらっているとこいつの頭に改めて驚かされた。流石最難関の星南に行ってるだけはある。もう俺なんかを超えてしまっている。うちの高校に行ったら絶対に学年一位だろう。
教え方も上手く、手こずっていた場所もやすやす解けるようになった。
2時間半ぶっ通しでやったので頭が疲れ、眠くなってしまった。そんな時に
517 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 01:01:17 ID:TaGpb9rl
「よし、明日から4日間頑張ってよ。」
「ああ…」
「何?咲元が疲れちゃった!?中学生時代毎回1位を取り続けてたあの咲元が?」
「もう俺の頭じゃ追い付かなくなってきたんだよ……」
かなりこの時は眠くなっていた。
「じゃあさ!!テスト明けにどこか遊びに行こう!」
「…ああ…ああいいぜ………」
「///よし、それじゃあ今日は早く寝て明日に備えてね。」
そんなやり取りをしてしまった俺。寺島との約束もあるというのに……俺の馬鹿!
疲れた俺は早く寝てしまった。そしてテスト初日の朝がやってきた。
テストのためか、楓は朝食は俺の家でしっかり一緒に摂ったが、楓なりに気を使ってくれたのか、早く学校に行けと催促し、今日から俺はまた一人登校した。
学校に早く着き、最後の復習。そしてテストが始まった。
テスト以外これといったことがなかったので、今日は寺島が『俺の勉強時間を減らすわけにはいかない』とな訳で久しぶりに早く家に下校。
テスト勉強をしていると夕飯ぐらいに来客が来た。
楓だった。
今日も楓にテストのコツなどを教えてもらった。
518 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 01:01:53 ID:TaGpb9rl
昨日も一昨日と同じで今日も多分そうだろう。
テストの日はいつもよりかなり早く帰れるため帰ったら勉強と勉強尽くしの俺になりつつあった。
しかし以前と違って疲労感が大分表に出てきてしまっている。
その点のことを考えると以前の方が良かったかもしれないな。
先ほどまで楓が座っていた場所を何気なく見る。
…あいつ先生になればいいのに。
楓が眼鏡をかけ、椅子に座り、足を交差させ太ももをちらかせる姿が頭に浮かんだ。
………………って!?何妄想してんだ俺は!?
疲れてんだな、よし寝るか。
その時、今日楓が帰る際何か行ってたのを思い出した。
「………だから………に行く……ね。」
駄目だ。断片的にしか思い出せない。
まあ、多分覚えていないということは大したことじゃないはずだ。
俺は眠りについた。
519 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 01:02:40 ID:TaGpb9rl
やっと…やっと終わった。
今日が初めてかもしれない。テストでこんなに疲れたのは。
みんなテストが終わりどこか清々しさが感じる。多分今の俺も周りから見るとそんな感じなのだろう。
最近話すようになった窓際の赤谷(あかや)君とテストの答え合わせをしていると、教室に寺島が入って来た。
「あ!松下君。」
寺島が俺の所に来ると赤谷が生暖かい目で俺を見ながら、違うグループの所に行ってしまった。
「今日でテストが終わりテスト明けだね。」
「よし、じゃあ今日は初デートといきますか?」
「///」
可愛いなちくしょー。
だが、こんなトークしてると皆さんが生暖かい視線で………恥ずかしい///
「席に着けー。ホームルームやるぞー。」
担任が来たので真っ赤な顔の寺島帰還。
ホームルームが終わり、寺島と合流。
4日ぶりの寺島との下校。さらに初デート。俺のテンションも高まってきた。
しかし校門前に見覚えある顔があった。楓だ。
そして俺はようやく昨日の楓の台詞を思い出した。
520 :変わった日・七夕 [sage] :2010/07/09(金) 01:03:50 ID:TaGpb9rl
『明日でテスト明けるんだから、その帰りに遊びに行くんだかね。』
くそ!何がどうでもいいことだっ。重要過ぎるだろう!!
そして校門を出ると楓が俺達の前にまで来た。
「あなた誰ですか?」
「あんたが咲元の彼女?」
最悪の展開しかみえない。