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132 :僕は自分が大嫌いだ ◆3BXg7mvLg0RN :2010/07/14(水) 16:36:10 ID:UxX3/Xfs 僕は自分が大嫌いだ。 僕がこんなことを言うのには理由がある。 まず、事の発端は小学六年生の頃。 当時の僕には好きな人がいた。 その子の名前は相沢桜。 僕の幼馴染で、明るく元気で顔も可愛くて誰とでも打ち解けられる子だったから、当然クラスの人気者だった。 その頃は至って普通だった僕は、クリスマスが恋人の日だという事をニュースで知り、思い切って彼女に告白した。 しかし、結果は悲惨なもので彼女には、 「わたし、×××くんみたいなぶさいくな男の子、嫌いなの。気持ち悪いこと言わないで」 と言われた。酷い言われようだった。 その後、僕は一週間学校を休み、妹に説得され学校に行くと、相沢桜は転校していた。家庭の事情だそうだ。 しかし、僕は彼女に言われたことを気にするようになり、目元が見えない位まで前髪を伸ばし、他人と関わらなくなった。 それが理由となり、中学時代はいじめ、かつあげ、サンドバッグの的代表として引っ張りだこ。一躍時の人もとい人気者だった。 まあもちろんそんな生活を送っていれば僕がひねくれたのは当然と言えるだろう。 僕が僕を好きになれない理由はそこら辺の事情にある。 僕は弱いのだ。全てにおいて。 だから僕は弱い自分が大嫌いなのだ。 でも妹曰く、「兄さんは変なところで素直で純粋で芯は強い」らしい。 妹には眼科へ行くことをオススメしといた。もしかしたら妹も頭おかしいのかもしれない。だって僕の妹だし。 そして時は高校二年生の春である。 133 :僕は自分が大嫌いだ ◆3BXg7mvLg0RN :2010/07/14(水) 16:38:58 ID:UxX3/Xfs 今日は入学式。 妹がうちの高校に入学する日だ。 妹は剣道の推薦で私立の高校から誘われていたのだが、なぜか一般の公立高校で家からとても遠いうちの高校に入学した。 そして一人暮らしをしていた僕の住処に同居することになった。 妹を溺愛している両親は反対したが、妹の「お父さんなんか大っ嫌い!」が決め手となり、妹の同居が決まったらしい。(情報源:涙声の父さん) そして僕は実の父親から、「俺の可愛い娘に手を出したら生まれてきたことを後悔させながら殺してやる」との温かいお言葉を貰い、僕の住処がアパートからマンションにランクアップしたわけだ。 仕送りも五倍近くまで跳ね上がった。扱いが違いすぎない?と、まあここで回想終了。なぜなら、 「兄さ~ん!お待たせ~!」 我が妹君の御登場だからである。 妹の名前は雨宮藍里、肩にかかるくらいの長さの髪に、健康的な色の肌、クリっとした愛らしい瞳。 一言で表すなら美少女だ。 兄としてのひいき目で見てもそう感じるだろう。まあ生憎とそんな目は持ち合わせていないが。 「どうしたの?」 藍里が首を傾げる。 「いや、なんでもない。行こう」 「うん♪わかった!」 そして僕らは歩き始める。 歩き始めて間もなく、藍里がなぜかそわそわし始めた。 「どうした?」 藍里に聞いてみる。 「う、ううん。なんでもないよ」 「そう」 歩く、歩く、歩く、歩く。 「兄さん」 「なんだ?」 藍里が話しかけてきた。 「その、わ、わたしたちって、さ。周りから見るとどんな風に見えるのかな?」 「そりゃあ兄妹だろ」 それ以外どんな風に見えるんだ?さっぱり分からん。 134 :僕は自分が大嫌いだ ◆3BXg7mvLg0RN :2010/07/14(水) 16:40:16 ID:UxX3/Xfs 「そ、そっか。そうだよね…」 なぜか藍里が残念そうだ。だが別に気にするようなことじゃない。 そうして歩いていると、また藍里が話しかけてきた。 「ね、ねえ、兄さん」 「なんだ?」 藍里がうつむきながら話しかけてきた。 「て、手ぇ、繋いでいい?」 「却下」 即答。当然だ。 「む~、なんで?」 なぜか機嫌が悪くなった。そして頬を可愛らしく膨らませているせいで実年齢より幼く感じる。詐欺だ。 「もうそんな年でもないだろ。大して仲が良いわけでもないし」 そう答えると、 「ふ~ん。じゃあ兄さんはわたしのことが嫌いなんだね」 どこか刺々しい口調でそう言ってきた。結論がおかしいだろう。 めんどくさくなってきた僕は藍里を無視して歩くことにした。 「ねえ兄さん。聞いてるの?」 「……」 「兄さん?どうしたの?」 「……」 「ねえ、に、兄さん?」 「……」 「う、うう、ぐすっ、ひっく」 「……!」 ヤバイ!午前8時の住宅地にて、住人は見た!女の子を泣かしている暗そうな男!(僕) 「あ、藍里!?冗談だから!ゴメン!ほ、ほら!大丈夫だぞ!」 急いで藍里の頭を撫でる。 すると、藍里が涙目の上目遣いでこちらを見る。 「ほ、ほんとに?ぐすっ」 こうかはばつぐんだ。 HPがガンガン削られる。 「あ、ああ。僕が悪かったから」 「わ、わたしのこと、ひっく、きらいにならない?」 かいしんのいちげき。 僕は混乱に陥った。 「あ、ああ。嫌いじゃない嫌いじゃない」 「じゃあ、わたしのこと、好き?」 クリティカル! せかいかんがおかしくなった。 「あ、ああ。好きだから。大好きだ。あれ?」 「ふふ、うれしい…」 は!つい心にもないことを! 「もう、ツンデレなんだから…。兄さんのばか」 なんで僕は妹に告白してるんだよおおおおぉぉぉぉ! 「い、いや、今のはだな!その場のノリというかな!」 「もう、照れちゃって。大丈夫だよ、わかってるから♪」 だめだ。妹は人の話を聞くという能力を失ってしまったみたいだ。 その後も弁明を試みたのだが、結局、僕は高校に着くまでに誤解を解くことはできなかった。 135 :僕は自分が大嫌いだ ◆3BXg7mvLg0RN :2010/07/14(水) 16:42:02 ID:UxX3/Xfs 藍里は僕のクラスまでついてこようとしていたが、無理矢理自分のクラスに行かせた。 ちょっと涙目になっていたが罪悪感は当然ない。……ちょっと心臓が痛くなってきた。病気かな? 2-Aの教室に着くと、真っ先に自分の席へ向かう。窓際の一番前という微妙な席だ。 席に着くと、隣の席の女子が話しかけてきた。 「おはよう、雨宮くん」 二年生の中でも五本の指に入ると言われている美少女、柏木桜さんだ。まあその称号を持っているのは五人もいないけど。 「どちら様で?」 取り合えずしらばっくれてみた。 「柏木桜って言います。これから一年よろしくね」 手を差し出してきた。 僕はその手に飴玉(醤油プリン味)を落とし、「あげる」と呟いた。 聞こえたか分からないけど彼女は「ありがとう」と言いその飴を口に入れ、「あ、美味しい」と喜んでいた。味覚がおかしい僕でさえ吐きかけたのに……。 「よう、雨宮」 おや?また新しい登場人物が来たようだ。 彼の名前は坂本啓介。赤の他人以上友達未満あたりの関係だ。 柏木さん目当てかな? 「……久しぶり」 この高校で会話のしたことがある数少ない知り合いだ。 「たまには前髪切ってみたらどうだ?安くしてやるぜ」 こいつの家は床屋をやっている。でも僕は知り合いの家だからといって贔屓はしない。 まあこいつが「別に来なくてもいいぜ」とか言うのも理由のうちだが。 「遠慮しとくよ。当分は髪切る予定ないし」 「そっか。じゃあまた今度だな」 今度は永遠に訪れないけどな。 「ねえ、坂本くん」 柏木さんが話に入ってきた。 「ん?なんだ、柏木さん」 「坂本くんの家って床屋なの?」 柏木さんは知らなかったらしい。 「そうそう。俺んち、床屋なんだよ。今度来てみる?」 さりげなく誘っている坂本。なぜ僕の方をちらちら見るんだい? 「雨宮くん、今度一緒に行ってみない?」 「嫌だ」 即答だ。当然だろう。僕にはバイトがあるんだ。自宅警備員という名の。 「残念……」 ほんとに残念そうにしている。 睨むな坂本。 そして、チャイムが鳴り、教師が教室に入ってきた。坂本が席に戻ろうとしたので、足を掛けて転ばせておいた。

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