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114 :僕は自分が大嫌いだ『裏』 ◆3BXg7mvLg0RN :2010/08/03(火) 15:32:55 ID:zOy7/vzT わたしは昔、雨宮くんの隣の家に住んでいた。いわゆる幼馴染というやつだ。 小学生の頃のわたしは、自分でいうのもあれだけど、誰からも好かれる人気者といえる存在だった。 そんなわたしにも、もちろん好きな人はいた。 それが、雨宮くんだ。 昔の雨宮くんは、いつもわたしの隣にいて、嬉しかったら一緒に笑ってくれたし、悲しくて泣いた時は一生懸命慰めてくれた。 雨宮くんはいつもわたしのことを気にかけていてくれて、自分のことなんて後回しにしていた気がする。 わたしの幼少時代の思い出で、雨宮くんがいない思い出はない。 その頃のわたしにとって、雨宮くんはわたしの半身と同じような存在だと思っていた。 そして、その日常はずっと続くものだと、そう思っていた。 しかし、子供の頃のわたしは分かってなかった。 だから、子供の頃のわたしは気づいてなかった。 大切な日常というのは簡単に崩れてしまうものだということを……。 115 :僕は自分が大嫌いだ『裏』 ◆3BXg7mvLg0RN :2010/08/03(火) 15:39:04 ID:zOy7/vzT わたしの日常が崩れてしまったのはわたしが小学六年生の時だ。 その日もわたしは学校が終わった後、いつものように雨宮くんと一緒に帰宅し、自分の部屋で本を読んでいた。 すると、突然部屋の扉が大きな音を立てて開いた。 そこには、雨宮くんの妹の藍里ちゃんがいた。 藍里ちゃんは、わたしの目の前まで来ると、わたしに包丁を突きつけた。 子供の頃のわたしは、いきなりのことに驚き、怯えていた。 彼女は壊れた玩具のように言葉を発した。 「お前が兄様を誘惑したんだろう!お前が兄様を誘惑したんだろう!わたしの兄様を!わたしの兄様を!汚らわしい!汚らわしい!わたしの兄様を返せ!わたしの兄様を返せ!お前がお前がお前がお前がお前がお前が!」 彼女の小動物のような愛らしいはずの瞳は濁っていて、包丁を握っていない方の手は強く握りすぎて血が垂れていた。 わたしは彼女という恐怖から逃げるように、一心不乱に弁解の言葉を言い続けた。 すると、彼女は拉致が空かないと思ったのか「明日兄様がお前に告白する!だからお前は今からわたしが言う言葉を一字一句間違えずに言え!もしその告白を受けたら絶対に殺してやる!」とわたしの喉に包丁の先を少し押しつけた。 わたしの喉から紅い雫が一筋垂れる。 その時のわたしに選択肢は一つしかなかった。 116 :僕は自分が大嫌いだ『裏』 ◆3BXg7mvLg0RN :2010/08/03(火) 15:39:57 ID:zOy7/vzT 次の日。 わたしは雨宮くんに告白され、彼の妹に言えと言われた言葉で彼を振った。 彼が去った後、わたしはその場て膝をつき、自分の顔を手で覆った。 涙が止まらなかった。 なんで彼を悲しませなければいけなかったのか……いつも優しくしてくれていたのに……。 なんで彼を振らなければいけなかったのか……好きだったのに……。 もう彼の隣にいてはいけないのだろうか……彼を振ってしまったから……。 わたしは思った。 そんなのは嫌だ。 彼のいない生活なんて考えられない。 彼のいない世界なんて生きてる意味さえない。 彼はわたしの半身? その程度なはずがない。 彼はわたしの全てだ。 その全てが、奪われた。 だから、取り返そう。 どんな手を使ってでも、悪魔に魂を売り渡しても、腕がもぎ取られても、足が切断されても、腹がえぐられても、たとえ命を削っても、彼がいれば他に何もいらない。 彼がわたしに笑いかけてくれればいい。 彼と一緒に人生を歩んでいければいい。 彼もそれを望んでいるはずだ。 あんな女、いや、あんな彼に寄生している寄生虫なんかにわたしと彼の幸せを邪魔する権利はない。 早くわたしと彼の幸せを取り戻すためにあの寄生虫を排除しないと……。 117 :僕は自分が大嫌いだ『裏』 ◆3BXg7mvLg0RN :2010/08/03(火) 15:42:15 ID:zOy7/vzT 家に帰ると、珍しく母親がいた。 「桜、話があるの」 母親は続けた。 「わたし、再婚することにしたの」 どうでもいい。 「よかったね」 わたしがそう言うと、母親は微笑んだ。 「紹介するわ。入ってきて」 どこに潜んでいたのか、顔を真っ青にした男性が部屋に入ってきた。 「柏木宏明さん。歳はわたしと同じで柏木グループのお偉いさん」 柏木グループといえば世界的にも有名な企業だ。よく母親がそんな人を捕まえられたなと思う。 「そんな訳で、引っ越しするわよ」 ……え?どういうこと?……ああ、そうか。宏明さんとやらの家に住むことになるのか。 「何時引っ越しするの?」 あいかわらず勝手に話を進めて唐突にそれを言う人だ。その日時によっては早めに彼を取り戻さないと……。 その後は彼の両親と話をして、その宏明さんの家に彼を連れて行くための準備を…… 「今からに決まってるじゃない。なにいってるの?」 …………。 …………。 …………。 本当に……唐突だ……。 次の瞬間、わたしの首筋に母親がスタンガンを押しつけていた。 「ちょっとごめんね。桜」 バチィッ、と音がなり、わたしの意識は飛んだ。

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