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366 :転載:2010/08/14(土) 22:41:16 ID:uPkb+fr5 49 名前: 風雪 3話 ◆ f7vqmWFAqQ 2010/08/14(土) 22:33:25 ID:qybzXf/Y0 この世は無限の可能性で出来ている。 そう、どんなにエキセントリックな出来事でも、起きる事はある。 例えば、教室に謎の組織が乱入するとか、そんな男子中学生の妄想みたいな出来事でもだ。 はたまた、朝起きたら自分が醜い虫に変身していた…とか。 そう、こんな非日常過ぎる出来事があるんだ! だから、いじめっ子にパシられて代理告白をして、その告白の効果が自分に帰属するなんてよくある話… 「な訳あるかッ!!!!!」 「…どうした?」隣の女性がこちらの顔を覗きこんで訝しんできた。 いや、はい、あの、どうしたらいいんですかね、僕。いっそ逃げたい。 ただいま夕方。僕は今日の朝に告白の代理を押し付けられた。 そして、何故か僕が、現在進行形で隣を歩く双葉宮風子と交際する事になってしまった。 「なあ、雪斗」 おいおいおい、よく考えたら明日、広瀬に殺されかねないって。 「おーい、雪斗」 どうすっかなぁ、どうすっかなぁ。 今更「実はあの告白は代理告白で、僕の気持ちじゃ無いんです☆てへッ」なんて言うしかないよなぁ。 「どうしたんだー?」 でも、お互いの為にならないんだよな。こういうの。正直に言うべきなんだよ。 「…?」 でも、結果的に傷つける訳だしなぁ…。 「おい!」 「ウがっ!」額に衝撃が走る。正面を見ると、デコピンを撃った後の状態の右手と背の高い彼女が居た。 どうやら、デコピンを食らったようだ。地味に痛い。同時に目も覚める。 「えっ、あ、何ですか?」 「あーいや、話掛けてもボーっとしてたから、つい、ね。」 「すいません。」とりあえず、平謝りをかましてみた。 「まあ、いいんだ。許す代わりにだ、その、今度の日曜日、デートに行くぞ!」 「デート、ですか。」 思考再開。このままの関係を惰性で続けて意味があるんだろうか。 そもそも、デートって何処行きゃ良いんだよ。童貞に分かる訳ねーだろ! 「何か予定でもあるのか?」 「あー、いや、えっと」 言おう!あの告白は僕の意思じゃないって事を。 367 :転載:2010/08/14(土) 22:41:39 ID:uPkb+fr5 50 名前: 風雪 3話 ◆ f7vqmWFAqQ 2010/08/14(土) 22:33:50 ID:qybzXf/Y0 「えっとで…フがっ」何かにぶつかった。幸い、電柱の様な固い物では無かったが。 だが、ぶつかった対象物を見ると、幸いでも無かったが。 「ンダコラ!テメェ!前見て歩けゴラァ!」パターン青、不良グループです。 つーか、なんだこの不良。ステレオタイプ過ぎる…。腰パンに学ランにリーゼントって…昭和時代ですか、この野郎。 しかも、他の2人もステレオタイプ…なんて口には出せなかった。とりあえず平謝りをかまそう。 「す…すいません…」 「アァ!?聞こえねーぞ!あ!?」 タチ悪いな畜生! 「しかも彼女連れか、優雅だなテメェ!ウゼーな!」 すいません。僕は望んでないのに交際まで嗅ぎつけました。 大体なぁ、彼女欲しいなら作る努力しやがれ!ねだるな、勝ち取れ!それが人生のルールだろうが! 「おい!おめーら!こいつボコって、そこの女まわそうぜ!」 後ろの2人は、そのリーダー格っぽい男の提案に乗ったようで、気色の悪い歪んだ微笑みを見せてきた。 マズい!逃げよう!そう思って先輩の手を握って逃げるつもりだった。 しかし、儚くもその即席の計画は失敗した。 手を握る前に、頬をぶん殴られて吹っ飛ぶ。 柵に背中をぶつけて激痛が走る。背中と頬の痛みがデコピンの比じゃない。 くそ、先輩だけでも…守らないと。ここで「僕にかまわず逃げて!」とか言ってみたい。 死亡フラグだけど、人生で一度は言ってみたいんだよね。 「先輩、逃…げ…て…」 驚くべき光景が、僕の目に映った。 先輩がリーダー格の男を締めあげている。 地べたには、他2名が顔を腫らして、這いつくばっていた。 「暴力は嫌いだから平和的に解決しようと思ったが、話し合いでは解決できないみたいだな。」 「「ヒ、ヒイイイイ!」」 あ、リーダー格の男を残して、同級生らしき2名が逃げた。 「ちょ…おま…!!おい!!」 「で、どうする?お前もこの場から立ち去るか?」 「は、ハヒィ!も、もういちゃもん付けませんから!許して下さいッ!!」 先輩の手が不良を放す。不良は尻もちをついた後、脱兎の如く逃げだした。 かわいそうに…全治何週間するんだろう…。ご愁傷様です不良君。 368 :転載:2010/08/14(土) 22:42:02 ID:uPkb+fr5 51 名前: 風雪 3話 ◆ f7vqmWFAqQ 2010/08/14(土) 22:34:11 ID:qybzXf/Y0 先輩がこちらに近づいてくる。 「大丈夫か?」 先輩の手が、殴られた僕の頬に触れた。 「こんな真珠の様な肌に傷を…。あいつらにはもっと制裁を加えても良かったな…」 「大丈夫です。なので頬をぷにぷにしないで下さい…」あと、後半の台詞、冗談でも笑えない。 「しかし、君の頬は綺麗で、それでいてぷにぷにして気持ちいいな!女としては羨ましい限りだ。」 「そりゃ…どーも。」不覚にも照れる。 しかし、『実はあの告白は代理告白で、僕の気持ちじゃ無いんです☆てへッ』なんて言ったら殺されかねないという事が分かった。 先輩が僕の頬から手を離して、その手を差し伸べる。 その手を掴んで先輩に起こして貰って、2本の足だけで立っている状態に戻る。 「でさ、デートの件なんだが…」 「ニチヨウビデスヨネ!マカセテクダサイヨ!」 「な、なんだ急に?まあ、楽しみにしてるよ!」 「アハハハハ、ボクモタノシミダナー!」 背中が冷や汗でべったりだった。 ◆ 尾行していたら、有力情報をゲットした。 雪斗と双葉宮が日曜日にデートすることが分かったのだ。 さて、尾行してやろうっと。

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