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474 :シスターズ!!1話:妹が訪ねて来ました。:2010/12/31(金) 03:02:44 ID:8kNkUDgq 「たかにい~起きて~」 いつもと変わらない朝が来た。 妹に起こされて朝食を取りに行く。 同じく朝の弱い父が母に起こされて・・・って来ないし。 「なぁ彼方、父さんと母さんは?」 「はぁ?お父さんから何も聞いてないの?」 先程起こしてくれた妹の宮城 彼方(みやぎ かなた)に呆れた表情をされた。 「お父さんが新しくフランスにできる会社を任されて、今日の朝フランスに行っちゃったよ。お父さんが行くならお母さんもついていくに決まってるじゃない」 あの二人もういい年なのに新婚みたいな仲の良さだからな・・・ 「息子には何も言わないのかよ・・・」 少し悲しくなりながらも彼方が用意してくれたトーストをかじる。 「あ、でもたか兄あてに手紙を残していったよ」 そういって彼方は封筒を渡してきた。 中央に大きく<息子へ>と書かれている。 わざわざ手紙に残すほどの事なんてあるか? と封筒を破りながら思った。 475 :シスターズ!!1話:妹が訪ねて来ました。:2010/12/31(金) 03:07:04 ID:8kNkUDgq 孝康(たかやす)へ 会社の新しいプロジェクトの一環で海外に出る事になった。かなり長い期間になるが、彼方がいるし大丈夫だろう。お父さんがいなくても寂しがるなよ。 お父さんがフランスに行く事になり、当然文子(母さん)もついてくる。 まだまだ二人でいちゃいちゃしたいからな。二人っきりになれると考えたら今回の仕事も悪くないかもしれない。・・・(略) 「ただの惚気を書いてるだけじゃねえか」 後ろから覗き込んでる彼方に悪態を吐く。彼方の特徴である黒の綺麗なロングが耳に当たってくすぐったい。 「・・・その先も読んで」 彼方が妙に感情のない声で手紙に目を向けている。 ・・・彼方ってこんな声出すのか 母さんの話はこれぐらいでいいだろう。 孝康、お前には伝えなければならない事がある。 これは家族の誰にも言っていない。文子にもだ。 父さんには隠し子が二人いる。 「はぁ!?」 ありえないだろあんなに母さん一筋なのに!? 混乱しながら手紙の続きを読む。 どちらも女の子でお前の義妹になるかな。 あ、誤解される前にいっておくが浮気ではないぞ。 ただ諸事情があって母さん以外の二人との間に子供ができてしまっただけだ。 「完璧な浮気じゃねえか・・・」 今まで尊敬していた父親がそんなに爛れた性生活を送っていたなんて・・・ 帰ってきたらまず殴ろう。そして殴ろう。 まぁその辺のいざこざを文子に伝えるのもフランスでなんとかしたいと思う。 正直生きて帰れるか不安だが・・・ 定期的に連絡と入金はする。 じゃあな。 PS.この事は彼方には内緒にしておいてくれ。それと義妹の二人は多分近日中にコンタクトをとってくると思う。 隆(たかし)より 476 :シスターズ!!1話:妹が訪ねて来ました。:2010/12/31(金) 03:10:27 ID:8kNkUDgq 「・・・忠告が遅えよ」 もう後ろでばっちり彼方に見られてるじゃねえか。 「・・・」 彼方も何も言わなくなってしまった。 朝からヘビーな事を知らされて、重い雰囲気のまま朝食を食べ終える。 「・・・とりあえず学校に行くか」 「・・・うん」 着替えをした後、荷物を持って玄関を出る。 彼方と一緒に通学路を歩く。 二人とも学年は違うが同じ高校に通っている。 彼方は勉強が出来るのだからもう少しレベルが上の高校にいけるのだが、家が近いからという理由で俺と同じ高校に来た。 もう少し真面目に進路を決めろと言いたかったが、俺も同じ理由だから文句が言えない。 「あれ、もう着いたか」 「・・・」 いつの間にか学校に着いていた。 考え事をしているからか彼方はずっと上の空だ。 「じゃあまた後でな」 「・・・うん、たか兄じゃあね」 大分思いつめてるみたいだな・・・ 心配しながら彼方と別れる。 何とかしてやらないとな・・・ そう思いながら席に着く。 すると、今の気分では絶対に会いたくない奴が待ち構えていた。 「孝康聞いてくれよぉ~」 「なんだよ良人」 今、涙目になりながら話しかけてくるこいつは渡辺 良人(わたなべ よしと) 普段は面白いアホな奴だが、今のテンションだと正直扱い辛い。 「それがさぁ、今日転校生が来るって噂があったから職員室に突入したんだよぅ」 こいつの今のテンションからして多分男だったんだな・・・ 「そいつ男だったんだろ?」 「違う!めちゃくちゃ可愛い女の子だったんだよ!!」 「なら何でこんなにテンションが低いんだよ?」 可愛い子を見たら頭の中では一緒に新婚旅行に行く位までは妄想するような奴なのに。 477 :シスターズ!!1話:妹が訪ねて来ました。:2010/12/31(金) 03:13:39 ID:8kNkUDgq 「いや・・・まぁこんなに可愛い子を見たのが初めてだったからかな・・・職員室で会った瞬間につい言っちまったんだ・・・」 「何て?」 「『子供は何人欲しい?』って」 アホすぎて何も言えねぇ・・・妄想と現実がごっちゃになってやがる その時の事を思い出したのか遂に泣き出しやがった。 「もう一生忘れられねぇよ・・・あの時のゴミクズを見るような眼うわぁぁぁぁああ!!!」 ・・・どれだけ怖かったんだよ?お前の顔がこんなにやつれたの初めて見た。 ナンパして初めて付き合い始めたのが実はオカマだった時でも平気だった奴なのに(後で写真を見せてもらったが、どう見ても女装した男で、良人のストライクゾーンの広さに尊敬した) とうとう自己防衛のためか動かなくなってしまった良人を床に寝かせ、座りなおした時、先生が頭を掻きながら入ってきた。 「HRの前に転校生を紹介するからな~」 かなり気だるそうに言った。転校生という単語が出た時、良人の身体が跳ねたから多分生きてはいるだろう。 「おい、入って来い」 先生が扉に向かって言うと扉を開けて一人の女の子が恥ずかしそうに入ってきた。 女の子が入ってきた瞬間、野郎共の咆哮のような怒声が教室中を包んだ。 「うるせぇな~何事だよ」 あ、良人が起きた 「あばばばばばばば」 で、転校生見て泡吹いて倒れた・・・おもしれえなこいつ。 「では自己紹介をよろしく」 「はい」 先生に催促され女の子が黒板に綺麗な字で名前を書いていく。 九条 三つ葉 (くじょう みつば) 名前を見た時懐かしい感じがした。 俺にこんな可愛い知り合いいないけどな・・・ 「それでは九条はあそこの席に座っておけ」 そう言って先生が指した場所は俺の後ろの席だった。 「はい、わかりました先生」 見ていて気持ちが良くなる位、凛とした態度でこちらに歩いてくる。 俺の横を通り過ぎる時、九条さんは耳元で囁いた。 「お久しぶりです、お兄様」

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