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288 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:46:38 ID:/4XBLd4q 「はっ・・・はっ・・・」 俺は今、何かに追われている。 何に追われているのか分からない。 月明かりのお陰で明るい廊下を走る。 校則違反だとか気にしている場合じゃない。 階段を滑り落ちる様に降りていく。 このまま走れば昇降口に―――――― 「!?」 階段は降りたはず。 昇降口へはこの道で良い筈なのに。 「何で音楽室に着くんだよ!?」 音楽室は四階。 昇降口を目指していたのに、上へ戻されている。 もう一度。 俺は昇降口に向かうために振り向こうとした。 だが、振り向けない。 ――――――――――――――――――――――ペタ。 後ろから聞こえる、裸足で廊下を歩く音。 冷たい汗がシャツに張り付く。 ――――――――――――ペタ。 近づいてきている。 徐々に足音は大きくなっていく。 背中に視線を感じる。 ―――――ペタ。 逃げようにも、音楽室は四階の突き当たりだ。 逃げ場が、無い。 振り向くな。 ペタ。 後ろに気配を感じる。 息遣いまで聞こえる距離にいる。 恐怖に押し潰されそうだ。 絶対に、振り向くな。 足音が止まった。 「みーつけた」 もしも昔の自分に会える事が出来たら。 きっと俺は昔の俺に言うだろう。 夜の学校には絶対に行くな、と。 夜の学校には、恐ろしい、あいつ等が・・・ 289 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:48:32 ID:/4XBLd4q 「あぁ~やっとお昼ご飯の時間ですよ」 前の席に座っている田村が欠伸をしながら俺を見てきた。 「そんな目で見ても一緒には食べないからな」 「けっ、これだから彼女持ちはよ~」 「だから彼女じゃないって言ってるだろ」 「お前いつも昼いなくなるじゃねーか!どうせ彼女とヨロシクやってるに決まってる!」 「はいはい。じゃ、また後でな」 嫉妬全開の田村を置いていつもの場所へ向かう。 彼女だったらどんなに良い事か。 俺が相手にしているのは・・・ 「あっ、れん君こっちだよ~」 着物を着た二十歳前後の女の人が手を振っている。 正に大和撫子といった風貌だ。 ここまでなら羨ましい状況だろう。 彼女が鏡の中にいなければ。 「すいません。遅くなりました」 「別にいいよ~それより早く、こっちに来てお話しようよ」 鏡に背を預ける様に座る。 弁当を取り出した時、鏡から手が伸びてきて後ろから抱きしめてくる。 流石に慣れたが、このまま引き摺り込まれそうで少し怖い。 「れん君のお弁当いつも美味しそうだね~」 「あげたいけど、食べれないんですよね?」 「幽霊だからね~」 「ここまで恐怖を覚えない幽霊は初めてですよ」 他愛も無い会話を昼放課が終わるまでする。 こんな日常を迎える事になったのも、あいつの所為だ。 「七不思議って知ってるか?」 一年前。田村がこんな話題を振ってきたのがそもそもの原因だ。 「トイレの花子さんとか?」 「そう。それも我が校の七不思議の一つ」 「花子さんが入ってる時点で独創性ゼロだな」 「我々新聞部としては、調べてみたいと思わないか?」 「思わない」 そもそも俺は幽霊部員だ。 「学校の七不思議を二年生が調べてこいと部長からのお達しだ」 「二年ってお前だけじゃない?」 「お前もいるだろ?」 あぁ、そういう事か。 「つまり一人は怖い?」 「そういう事です」 新聞部のアホな指令にしたがって、田村と二人で夜の学校に忍び込んだ。 学校の前まで来る。 「結構雰囲気あるな~」 「そっ、そうだな!?」 田村は顔が真っ青になって、歩きも遅い。 こいつと一緒だと朝になるな・・・ 「田村、お前が勇敢なのは分かった」 「お、おお!当然だよな!!」 「だから重要な任務を頼みたい。俺が回ってくる。お前は校門で待機していてくれ」 「ああ!任せておけ!!」 田村は物凄い勢いで校門に戻って行った。 ・・・怖がりすぎだろ。 窓を一つ開けておいたのでそこから侵入する。 290 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:51:16 ID:/4XBLd4q 1.東校舎四階の大鏡に現れる人影。 夜、その大鏡の前に立つと呪われるらしい。 胡散臭く思いながら四階へ向かう。 「ここか・・・」 大鏡を見つけたので、前に立った。 眠そうな自分がいるだけだった。 ・・・やっぱり嘘かよ。 そう思って帰ろうとした時、鏡に白い手が浮かび上がった。 「うわっ」 思わず声が出る。 鏡からは手がこっちへのびている。 少し離れたから届かないみたいだ。 手が引っ込んだと思ったら、女の人が映り込んだ。 胸の周りで手を曲げて子供がやりそうな幽霊のポーズをしている。 「う~ら~め~し~や~」 「・・・そんなので怖がるとでも思ってんの?」 「ええっ!怖がってくれないんですかぁ!?」 もう恐怖とか全く感じない。 この幽霊と話せそうなので話しかけてみる。 「こんばんは。俺の名前はレン」 「あ、こんばんは~瑞樹です~」 鏡の中でお辞儀をしている。 よかった、会話が出来そうだ。 「何で瑞樹さんはここにいるんですか?」 「ここは住み心地がいいんですよ~」 ・・・全く分からない。 幽霊視点じゃないと分からない理由だ。 とりあえず、話を合わせておく。 「瑞樹さんってこんなに綺麗な容姿をしているのに、何で怖がられているのでしょうか?」 「やだ~れん君ったら褒めたって何も出ないよ~」 顔に両手を当てて照れている姿を見て、七不思議に入るとは到底思えなかった。 「霊感には個人差があってね、大抵の人は私が見えない。見えてもぼんやり見えるだけみたい。生きてる人と喋るなんてれん君が初めてだよ~」 成程。 瑞樹さんがどんな事をやろうと、鏡の前に立った人にはぼんやり見えるのか・・・ そっちのが怖いな。 しかし、胡散臭い七不思議だったが鏡の話は本物だった。 ここに瑞樹さんがいるという事は、他の七不思議も本物かもしれない。 ・・・瑞樹さんに聞いてみるか。 「瑞樹さんはここが七不思議の一つとして話されている事を知ってますか?」 「本当ですか!?幽霊冥利に尽きます!」 何故か凄く嬉しそうだった。 他の七不思議が書いてあるメモを見せてみた。 「あぁ、ほとんどお友達がいるところですよ~」 幽霊にも付き合いがある事に驚きはしたが、瑞樹さんの友達なら害は無いだろう。 「では、他の七不思議も確認してきますね」 「えっ、もう行っちゃうの?」 「朝になるまでに回らないといけないんですよ」 「じゃ、じゃあまたこの鏡の前に来てね!」 「分かりました」 瑞樹さんと別れ、七不思議の確認へ向かう。 少し離れた所で冷や汗が止まらなくなった。 あんな幽霊とはいえ、生まれて初めて幽霊というものを見たショックは大きい。 少し不安になりながら廊下を歩く。 廊下を突き当たった所でトイレに着いた。 291 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:54:00 ID:/4XBLd4q 2.トイレの花子さん。 メジャーすぎてギャグみたいに思っていたが、瑞樹さんの例があって恐怖を感じた。 足音を殺してトイレに入る。 奥から二番目の個室をノックして「花子さん。花子さん。出て来て下さい」と言えば花子さんが出てくるらしい。 二番目の個室の前に立ち、ノックを二回。 「花子さん。花子さ・・・」 「誰が花子さんだボケェ!!」 ガンッ ガンッ ノックが返ってきた。扉の鍵はかかっていない。 ・・・開けたくない。 しかし、ここまで来て帰るとこいつに何をされるか分からない。 観念して扉を開ける。 そこには、可愛らしい女の子が立っていた。 7~8歳位だろうか。 こっちを睨みながら腕組みをして頬を膨らませていた。 金髪でウェーブのかかった髪形をしている。 ・・・花子さんって黒髪おかっぱのイメージだったけどな。 とりあえず、挨拶してみる。 「やぁ、君が花子さん?」 「だ~か~ら~花子さんじゃないって言ってるでしょ!!」 機嫌を損ねたみたいだ。 「私にはお父様とお母様から貰ったシアっていう素敵な名前があるの!」 「ごめん」 「今更謝っても遅いんだから!どんな呪われ方されたいの?」 呪われるのは勘弁してもらいたい。 「本当にごめん。シアちゃんが許してくれるなら何でもするから!」 「何でも・・・?」 シアちゃんが興味を示してくれたみたいだ。 「そう、何でも」 シアちゃんがこっちに来た。 興味深そうに観察した後、背中に飛び乗ってきた。 背中に重みを感じる。 触れることもできるのか。 「じゃあ今から私と遊んで!!」 拒否権は無いな・・・ 断ったら本当に呪われそうだし。 「いいよ、シアちゃん」 背中に乗ったシアちゃんを持ち上げて肩車をする。 「探検ごっこでもしようか」 「うんっ」 シアちゃんを連れて次の場所へ向かう。 二人というのは案外心強い。 話していたからか、恐怖心が無くなったからか、意外と早く着いた。 「音楽室か・・・」 「琴音ちゃんに会いに来たの?」 「琴音ちゃん?」 「いつもここで琴音ちゃんがピアノ弾いてるよ」 メモを見てみる。 292 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:56:12 ID:/4XBLd4q 三.夜中に鳴り響く死のピアノ。 四.動く肖像画達。 「あぁ、多分その琴音ちゃんだと思うよ」 音楽室の扉を開ける。 暗く、音も一切しない。 「レン!こっちきて」 いつの間にかシアちゃんが席に着いていた。 隣に座る。 シアちゃんが上に乗ってきた。 「私いつもここで琴音ちゃんの演奏を聴くの!」 「演奏って・・・」 誰もいないじゃないか、と言う前に突然ピアノが鳴り響いた。 静かに染み渡るような悲しい音。 しかし、聴き入ってしまう。 膝に座っているシアちゃんを撫でながら目を閉じた。 悲痛な感情を周りにぶつけるような悲しい旋律。 演奏者の気持ちが伝わってくる。 目元が潤んでいくのが分かる。 何が死のピアノだ、こんなにも素晴らしい演奏じゃないか。 演奏が終わる。 静かに拍手をした。 「何やってるの?」 「良い演奏をしてくれてありがとうって拍手するのがマナーなんだよ」 「じゃあ私もする!!」 シアちゃんも元気に拍手をした。 ふと、肖像画を見ると皆泣いていた。 ベートーベンの男泣きとか、ショパンのすすり泣きなんて見たくない。 もう感覚が麻痺しているのか心霊現象が起きても何も思わない。 気がつくと目の前に制服を着た女生徒がいた。 黒の長髪で前髪に隠れて表情は見えない。 「・・・聴いてくださって、ありがとうございます」 「いやいや、こちらこそとても良い演奏を聴かせてもらったよ。思わず泣いてしまいそうになった」 前髪に隠れた頬が少し赤くなった。 「・・・感想を聞けたのは初めてなので嬉しいです」 「あれ?シアちゃんはいつも聴いてたんじゃないの?」 「私は聴き終わったらすぐに帰っちゃうよ」 「ちゃんとお礼と感想は言うようにしないと駄目じゃないか」 「うぅ~レンがお父さんみたいに叱る~」 「・・・レンさん、ですか」 「あぁ、それが俺の名前。君の名前は聞いてる。よろしくね琴音ちゃん」 「・・・はい、また聴きに来てくれると嬉しいです」 そう言って琴音ちゃんは一瞬で目の前からいなくなった。 293 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 19:58:33 ID:/4XBLd4q 5.内臓を貪り食う人体模型。 「ねぇ、シアちゃん。人体模型って動くの?」 「動くよ。よく散歩とかしてるし」 いくら心霊現象に慣れたとはいえ、流石に半分皮の無い人体模型に追いかけられるのは精神的に耐えられない。 ・・・逢わない事を祈ろう。 シアちゃんと次の場所へ向かう。 廊下を慎重に進む。 次の目的地に着く前に、後ろの階段から嫌な音が響いてきた。 カツン 何の音だ? カツン、カツン 誰かが階段を降りているみたいだ。 でも、何故こんな音がするんだろう。 まるで、プラスチックが歩いているような・・・ カツン、カツン、カツン 階段を見たまま金縛りに遭ったみたいに動けない。 階段の角から顔が見えた。 やはり、顔の半分は剥がれていた。 人体模型と目が合う。 こっちを見て人体模型は静かに微笑んだ後、走り出した。 カン、カン、カン 全力疾走で人体模型が走ってくる。 恐怖で足が震えている。 「しっ、シアちゃん!逃げよう!!」 横にいるシアちゃんに話しかける。 返事が無い。 いつの間にか、シアちゃんはいなくなっていた。 カン、カン、カン 混乱していても人体模型は近づいてくる。 ここで、やっと足が動き、走り出す。 足が震えて上手く走れない。 距離が段々縮まっていく。 自分の足に引っかけて、転ぶ。 もう、後ろまで、来ていた。 転んでいる俺を見下ろしている。 顔に両手を添えられた。 頬に添えられた手が冷たい。 人体模型が口を大きく開いた。 唾液で糸を引いている口が目の前に迫った時、 俺は意識を手放した。 294 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 20:00:05 ID:/4XBLd4q 6.保健室で起こるポルターガイスト。 目を覚ます。 目の前に人体模型の顔があった。 「うわっ!?」 「おっと、驚かせてしまったみたいだ。本当にすまない」 人体模型が大袈裟なポーズをしながら喋っている。 「えっ!?俺、食われたはずなのに?」 「私はそんな野蛮な事しないさ。大体、今回坊主を驚かせたのは彼女の要望でね」 人体模型が指した方を見ると、白衣を着た女の人が座っていた。 眼鏡をかけて、髪は後ろにまとめている。 「起きたみたいね。私は彩夏よ。そっちの模型はツトム、宜しくねレン君」 「何で俺の名前を?」 「彼女に聞いたのよ。私達をしっかり認識できる人が来たって」 彩夏さんが鏡を指すと、瑞樹さんが浮かび上がった。 「瑞樹さんって鏡ならどこでも映れるんですね」 「学校の中のみ限定だけどね~」 そう言って瑞樹さんは笑った。 「いつ、保健室に来るかと待ち続けても来ないからツトムに連れて来させたの」 ・・・あれは怖かった。死を覚悟したのは初めてだ。 「本題に入るわ。レン君、これからは私達の話し相手になって欲しいの」 彩夏さんに真剣な眼差しでお願いをされた。 「私達はね、誰からも認識される事無く何十年と過ごしてきたの」 「だから、れん君が来てくれた時、凄く嬉しかったんだよ~」 瑞樹さんが笑っている。 ここまで頼まれたら、断れないよな。 「いいですよ。俺でよかったら」 「よかった。断られたらどうやって洗脳しようか悩んでいたの」 彩夏さんが満面の笑みで言う。 断らないで本当に、良かった。 「ならレン君は昼放課と放課後に来てもらう。月、水曜日に瑞樹の鏡の前。火、木曜日に音楽室に来て頂戴。金曜日には必ず保健室に来る事。土日は好きにして」 もう少し自由が欲しかったが、断ると洗脳されそうなので了承した。 「あれ?私の日が無いよ?」 いつの間にかシアちゃんが俺の寝ているベッドに座っていた。 「シアはどの場所でも行けるじゃない。好きな時に行きなさい」 「それもそうか、これからよろしくね。レン!」 シアちゃんに抱きつかれる。 一晩で不思議な出来事が多すぎて、頭が追いつかない。 とりあえず、家に帰ってぐっすりと眠りたい。 「それでは、今日はこれで帰りますね」 ベッドからゆっくりと降りて、扉へ向かう。 「えぇ、しっかりと身体を休めなさい」 「れん君、また明日ね~」 「レン、じゃあね!!」 「じゃあな、坊主。良い夢見ろよ」 幽霊や人体模型に見送られて保健室を出る。 誰か、俺の日常を返してくれ。 俺は溜息を吐きながら校門へ戻った。 295 :学校の八不思議。 始まり  ◆rhFJh.Bm02 :2011/01/15(土) 20:02:48 ID:/4XBLd4q 7.こちらを凝視する二宮金次郎。 校門に戻ると、田村が頭を押さえて丸まっていた。 「おい、田村。どうした?」 田村が顔をあげる。 涙や鼻水で顔がグシャグシャになっていた。 「レンなのか!?」 俺を見て、さらに顔が崩れる。 「怖かったんだよぉ!!あいつがこっちを見てるみたいでぇ!!」 田村が指で示している方を向く。 そこには、二宮金次郎像が変わらぬ澄まし顔で立っていた。 しばらく見つめるが、ピクリとも動かない。 (まぁ今更、動いても驚きはしないけどな・・・) 「二宮金次郎の話はガセだな」 「そ、そうなのか!?」 「でもそれ以外は本物だった」 「・・・マジで?」 「あぁマジだ」 「・・・俺、転校しようかな」 「霊感が無ければ大丈夫だ」 田村と帰宅する。 長い、夜が終わった。 「瑞樹さん達と出会ってもう一年か」 「月日が経つのが意外と早いんだね~」 瑞樹さんに抱きしめられながら、弁当を食べる。 「もう俺も三年ですし、進路の事も頭に入れておかないと」 「進路?」 「俺、東京の大学に進学しようかな、と」 「えっ、じゃあ私達と会えなくなっちゃうの?」 「卒業したら会うのは中々難しくなっちゃいますね。遠いし、そもそも在校生じゃないから学校にも入り辛いし」 「・・・嫌だ」 「えっ?」 「嫌だよ・・・れん君と離れ離れになるのは絶対に嫌。・・・何とかここには残れない?」 「無理ですよ・・・俺だって残れるなら残りたいけど、東京にしか俺の夢が叶いそうな大学が無いんですよ」 「そっか・・・」 「でも、あと半年位は一緒にいられますよ。卒業しても会えない訳じゃないですし」 「うん、そうだね・・・」 チャイムがなった。昼放課も、もうすぐ終わりだ。 「じゃあ、また放課後に来ます」 「うん、待ってるね」 俺があの時、気が付いていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。 「・・・絶対にれん君と離れたくない。どんな方法を使っても引き止めなくちゃ」 彼女の気持ちと、想いの歪みに。

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