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497 :名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:37:04 ID:lETl5Pn0 空が紅い。 私は目の前の彼の言葉を 信じられない気持ちで聞いていた。 今、彼は何と言った? 私のことを、好きだと、言わなかっただろうか? 彼は喫茶店でずっと黙っていた。 けれど滲み出る雰囲気は優しそうで、 見た目も格好良くて。 この人と付き合える人は幸せだな、 という卑下にも似た感情を私に抱かせた。 陳腐な言い方をすれば、一目惚れという奴だと思う。 そんな彼が私を好き? 不意に、私はもう一度空を見た。 変わらず空は紅かった。 それは次第に滲んで行く。 水彩画の様でとても綺麗だと思った。 感じたことのない、いや、一度だけ感じたことがある。 昔一度だけ、お母さんが私に微笑みかけてくれた時。 胸が熱くなって、鼻がツンとなった。 そっか。これが、嬉しいってことなんだ。 「坂田くん、私、喜んでもいいですか?」 俺は焦っていた。 告白した相手が突然蹲って泣き始めたらあんただって焦るだろ? 挙句、「喜んでもいいんですか?」だって? どうリアクションしたらいいんだ!? これって俺に告白されたのが嬉しかったってこと? なら、返事はOKなのか? 疑問符ばかりだ。 「付き合って、くれるの?」 恐る恐る聞いてみる。 「坂田くんさえいいなら喜んで」 ニコッ。 うわぁ、ヤバい。 ただでさえ可愛いのに笑うともう。 俺は橘が彼女を笑わせていたときの嫉妬など忘れてときめいた。 彼女は笑顔でこちらに手を差し伸べた。 俺は無言でその手を掴んで彼女を立たせる。 「田上さ」 スッと口に人差し指を添えられた。 「名前で呼んでください」 ニッコリ。 ああ、ドキドキするなぁ、もう。 「あー、じゃ、えっと、彩」 「うん、誠」 彼女の頬が赤いのは夕焼けのせいだけではない、と信じたい。 俺は今、間違いなく幸せだった。 結局あの後、田上さんを家に送り届けるまでずっと手を繋ぎっぱなしだった。 女の子の手って、柔らかいんだな。 就寝前のベッドの中、俺は自分の右手を見て嬉しさに悶えた。 そして朝、今度はその行動の恥ずかしさに悶えた。 498 :名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:37:08 ID:WsLLfGuE もうこの話題はやめとこ! 499 :煉獄第二話:2011/02/09(水) 23:38:26 ID:lETl5Pn0 朝のHR後。 俺は教壇に立っていた。 「皆注目!!」 取り敢えず皆の注目を集める。 何事だろうとクラスメート達がこちらを見たのを 確認してから話し始める。 「私、坂田誠はつい昨日から、このクラス、 もとい学校のアイドル、田上彩さんと付き合っております!」 静寂。 皆俺の言ってることを理解できないらしい。 そしてざわめきが少しづつ大きくなり…… 「ええええええぇぇっっ!?!?!?」 爆発。 「何で、どうして、どうやって!?」 皆の驚きを俺は素晴らしい心地よさをもって受け止めた。 彩が赤い顔で俯いていたが、すまない、 俺は自慢したかったんだ。 「HAHAHA、まあ詳しいことはおいおい話そう」 そんなの待てないとばかりに彩のほうに殺到するクラスメート。 と、急に俺は殺気を感じて上体を反らせた。 ぶうん。 風を切る音がして、 俺の目の前を蹴りが掠めていく。 「付き合ってるってどういうことよ……」 瘴気を放っているこいつの名前は如月恋。 委員長であり、空手部部長であり、俺の幼馴染でもある。 髪はボーイッシュなショートで、 よく見れば可愛らしい顔立ちをしているのだが 如何せん強気な性格であまり男子にはもてない。 隠れファンは結構いるみたいだが…… 「いや、俺が誰と付き合おうと勝手だろ? 恋には関係ないじゃん、ただの幼馴染だし」 「その幼馴染に断りもなしに彼女を作るって言う行為が許せないの!」 んな無茶苦茶な…… 「じゃあお前は彼氏を作るとき俺に断るんだな?」 「作らないわよ」 ボソッ。 ん?聞き間違いだろうか? 今なんか言ったような…… 「とにかく!」 あたしはミトメナイカラネ。 そういった恋の顔は今まで見たことが無いくらい険しいもので。 俺は思わず気圧されてしまった。 気まずい空気になり、付き合った動機とかを彩に聞いていた クラスメート達もバツの悪そうな顔をして自分の席に戻っていった。 何であんな怒ってるんだあいつ……? ただの幼馴染だろうに。 俺はボンヤリと教室のドアを見つめていた。
497 :名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:37:04 ID:lETl5Pn0 空が紅い。 私は目の前の彼の言葉を 信じられない気持ちで聞いていた。 今、彼は何と言った? 私のことを、好きだと、言わなかっただろうか? 彼は喫茶店でずっと黙っていた。 けれど滲み出る雰囲気は優しそうで、 見た目も格好良くて。 この人と付き合える人は幸せだな、 という卑下にも似た感情を私に抱かせた。 陳腐な言い方をすれば、一目惚れという奴だと思う。 そんな彼が私を好き? 不意に、私はもう一度空を見た。 変わらず空は紅かった。 それは次第に滲んで行く。 水彩画の様でとても綺麗だと思った。 感じたことのない、いや、一度だけ感じたことがある。 昔一度だけ、お母さんが私に微笑みかけてくれた時。 胸が熱くなって、鼻がツンとなった。 そっか。これが、嬉しいってことなんだ。 「坂田くん、私、喜んでもいいですか?」 俺は焦っていた。 告白した相手が突然蹲って泣き始めたらあんただって焦るだろ? 挙句、「喜んでもいいんですか?」だって? どうリアクションしたらいいんだ!? これって俺に告白されたのが嬉しかったってこと? なら、返事はOKなのか? 疑問符ばかりだ。 「付き合って、くれるの?」 恐る恐る聞いてみる。 「坂田くんさえいいなら喜んで」 ニコッ。 うわぁ、ヤバい。 ただでさえ可愛いのに笑うともう。 俺は橘が彼女を笑わせていたときの嫉妬など忘れてときめいた。 彼女は笑顔でこちらに手を差し伸べた。 俺は無言でその手を掴んで彼女を立たせる。 「田上さ」 スッと口に人差し指を添えられた。 「名前で呼んでください」 ニッコリ。 ああ、ドキドキするなぁ、もう。 「あー、じゃ、えっと、彩」 「うん、誠」 彼女の頬が赤いのは夕焼けのせいだけではない、と信じたい。 俺は今、間違いなく幸せだった。 結局あの後、田上さんを家に送り届けるまでずっと手を繋ぎっぱなしだった。 女の子の手って、柔らかいんだな。 就寝前のベッドの中、俺は自分の右手を見て嬉しさに悶えた。 そして朝、今度はその行動の恥ずかしさに悶えた。 499 :煉獄第二話:2011/02/09(水) 23:38:26 ID:lETl5Pn0 朝のHR後。 俺は教壇に立っていた。 「皆注目!!」 取り敢えず皆の注目を集める。 何事だろうとクラスメート達がこちらを見たのを 確認してから話し始める。 「私、坂田誠はつい昨日から、このクラス、 もとい学校のアイドル、田上彩さんと付き合っております!」 静寂。 皆俺の言ってることを理解できないらしい。 そしてざわめきが少しづつ大きくなり…… 「ええええええぇぇっっ!?!?!?」 爆発。 「何で、どうして、どうやって!?」 皆の驚きを俺は素晴らしい心地よさをもって受け止めた。 彩が赤い顔で俯いていたが、すまない、 俺は自慢したかったんだ。 「HAHAHA、まあ詳しいことはおいおい話そう」 そんなの待てないとばかりに彩のほうに殺到するクラスメート。 と、急に俺は殺気を感じて上体を反らせた。 ぶうん。 風を切る音がして、 俺の目の前を蹴りが掠めていく。 「付き合ってるってどういうことよ……」 瘴気を放っているこいつの名前は如月恋。 委員長であり、空手部部長であり、俺の幼馴染でもある。 髪はボーイッシュなショートで、 よく見れば可愛らしい顔立ちをしているのだが 如何せん強気な性格であまり男子にはもてない。 隠れファンは結構いるみたいだが…… 「いや、俺が誰と付き合おうと勝手だろ? 恋には関係ないじゃん、ただの幼馴染だし」 「その幼馴染に断りもなしに彼女を作るって言う行為が許せないの!」 んな無茶苦茶な…… 「じゃあお前は彼氏を作るとき俺に断るんだな?」 「作らないわよ」 ボソッ。 ん?聞き間違いだろうか? 今なんか言ったような…… 「とにかく!」 あたしはミトメナイカラネ。 そういった恋の顔は今まで見たことが無いくらい険しいもので。 俺は思わず気圧されてしまった。 気まずい空気になり、付き合った動機とかを彩に聞いていた クラスメート達もバツの悪そうな顔をして自分の席に戻っていった。 何であんな怒ってるんだあいつ……? ただの幼馴染だろうに。 俺はボンヤリと教室のドアを見つめていた。

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