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318 名前:白衣の天使[sage] 投稿日:2011/03/18(金) 02:57:42.43 ID:Aco3Lk/n [2/4] ふと、夜中に目が覚めた。 何か、身体に不自由を感じたのである。 動かせない。 右腕も、左腕も、右足も、左足も、どこも動かせないのだ。 金縛りか、と思ったが、どうやらそうじゃないらしい。 もっと単純に、手足が全て縛られているからで――――― 「ッ!?」 今度こそ完全に目が覚めた。 何だこれ?何でこんなことになってるんだ? 助けを呼ぼうにも、猿轡を噛まされて喋ることもできない。 「あ、目が覚めました?」 声のした方向に顔を向ける。 そこには、白衣を着たショートボブの可愛らしい女性が立っていた。 彼女の名は河本ユキノ。 足を骨折して現在入院中の俺、佐久間エイジの世話をしてくれている看護師さんである。 ユキノちゃんはいつものように、優しい笑顔でこちらを見つめている。 いつもと違うところがあるとすれば、それは 「ああ、このノコギリですか?ちょっとそこのホームセンターで買ってきたんですよ。  新品ですから、切れ味は良いと思います」 彼女は、大きなノコギリを持っていた。 それで何をする気なのかは、この状況から見て一目瞭然だろう。 「………………ッ!!」 「ああもう、暴れないでください。  心配しなくても、これであなたを殺そうなんて思ってませんから。  そうですよ、殺せるもんですか……世界で一番、大好きな人なのに」 そう言って、顔を赤らめるユキノちゃん。 え?大好き?彼女が?俺を? 319 名前:白衣の天使[sage] 投稿日:2011/03/18(金) 02:58:29.20 ID:Aco3Lk/n [3/4] 「ええ。大好きですよ、佐久間さん。  いえ、愛しています。狂ってしまいそうなくらいに。  気づいてましたか?私がいつもあなたを視姦していたのを。  気づいてましたか?あなたが口をつけた食器を、私がこっそりおうちに持ち帰って、自分を慰めるために使っていたことに。  気づいてましたか?夜の見回りの度にここに忍び込んで、寝ているあなたにキスしたり、首筋を舐め回したり、  ナニにむしゃぶりついたりしていた私に。  気づいてましたか?私がもう、どうしようもないくらいに、あなたに堕とされてしまっていることに。  気づいてませんでしたよね?じゃなきゃ、あんなこと平気で言えるわけありませんもの」 この子は本当に、あのユキノちゃんなのだろうか? 虚ろな瞳で俺への狂気じみた愛を告白する彼女は、普段の彼女とはあまりにもかけ離れすぎていた。 まだ夢だと言われた方が納得できるくらい、今の彼女の様子は異常だ。 「私ね、佐久間さんがもうすぐ退院するって聞いて考えたんです。  考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考え抜いたんです。  どうすればずっと佐久間さんのそばにいられるのかって。  どうすればずっと佐久間さんのお世話をしていられるのかって。  それで、思いついたんです。  佐久間さんのお怪我が一生治らなければ、私は一生佐久間さんのお世話をできるんじゃないかって。だから」 じりじりと、ユキノちゃんが俺に近寄ってくる。 やめろ……来るな…… 「その足、切っちゃいますね?大丈夫、安心してください。痛いのは一瞬だけです。  それに、あなたの面倒は、私がこれから一生見てあげますから。何も心配は要りません」 両足の膝辺りに、ノコギリがピタリと押し当てられる。 やめろ!やめろ!やめてくれ! 「ずっとずっと、あなたのお世話をしてあげますからね……エイジさん」 ギゴリ、とノコギリの引かれる音がした。

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